No.637348

真・恋姫†無双 巡る外史と仮面の魔神 七話

XXXさん

魔神編

だって気になるじゃない

2013-11-16 14:39:15 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:2263   閲覧ユーザー数:2069

孫策は森の奥の墓を掃除していた。

それは亡き母の物…遺言により、あまり派手ではないようにしている。

だがそれでも、孫策は重大な事を報告するために毎回来ているのだ。

 

だからだろうか…

彼女にとって安らかな状態の時に、森の奥から狙われるのは。

 

「……母さん、あたしは母さんにはなれないよ。あたしにはあたしの道があるから、怒らないで見守っててね」

 

(…今だ!)

 

すっ、と立ち上がった瞬間、森の奥に潜んでいた人物から矢が放たれる。

風が斬る音、それを聞き孫策はすぐさま飛んでくる物を見た。

いつもの勘はどうしたのか……それは避けきれず、腕に刺さるように思われた…のだが。

 

いつの間にか、孫策の目の前に黒い格好の人物が現れる。

そして、飛んでくる矢を素手で掴んだ。

 

「なっ…!?」

 

(…何!?ありゃあまさか……)

 

『やはり、毒矢か…』

 

「貴方…魔神君!?」

 

『久しぶり……とでも言おうか?孫策』

 

その人物は魔神。

いつも通りの白い仮面を付け、孫策の前に立っている。

そして、魔神は恐らく初めてだろう殺気を……森の奥にいる人物に放った。

距離が離れていたとしても、襲われる……そんな事を感じさせるような鋭い殺気で。

 

『……………』

 

「ひっ…ひゃあああああああ!?」

 

「あれは…魏の鎧!?まさか曹操が…」

 

『いや、違う。曹操は暗殺をするような、小者ではない』

 

逃げた魏軍の兵を見て、まさかと思う孫策。

だが、すぐさま魔神は否定。

 

『覇道を突き進める曹操がこんな事をすると、自分ではそう思うか?』

 

「………そうね、あり得ないわ。…それと魔神君ありがとね、あたしを庇ってくれて♪」

 

『…庇ったつもりはない。ただ死なれては困るからな』

 

「それでもよ♪何かお礼がしたいわね…」

 

『礼…か。だとすれば、要求は二つある』

 

「良いけど、その前に仮面をとってもらいたいなぁ~…」

 

『…何の意味がある?』

 

「だって気になるじゃない。どんな顔なのかしらって♪」

 

『…俺は恥ずかしがりやなんだ、よしてくれ。それより要求の一つは今は曹操と戦うな、それ以降ならば問題がない。それにもう一つは周瑜をここに呼んでくれ』

 

周瑜を呼べ…その言葉に孫策は疑問を持つ。

魏と戦うなと言うのは、できなくはない。

ただ何故、周瑜なのだろうか。

 

「何で冥琳?あっ、まさか惚れちゃったとか…」

 

『周瑜を延命させるためだ』

 

「!?延命…ってどういう…」

 

「――――雪蓮、大変だ!魏軍が国境を…」

 

延命の意味を聞こうとした瞬間、遠くから周瑜が走ってくる。

それを見た魔神は周瑜のもとに歩き出す。

 

「!?魔神…何故ここに…」

 

『少し痛いぞ…』

 

「なっ…!?」

 

周瑜と近距離の位置に来た魔神はマントの中から何かを掴む。

そして……周瑜の腹を手刀で刺した。

だが、一瞬でそこを抜くと、その部分には刺された後などなにもないほど治っている。

 

「っ!?今…私は…!?」

 

『気分はどうだ、周瑜?楽になったか?』

 

「…!?まさか貴様…」

 

『…何日もしないうちに、華陀と言う医者が来る。治して貰え』

 

そうとだけ言うと、魔神は森の奥へと歩いていく。

まるで最初に会った時と同じように。

 

「まって…!どこにいくつもり!?」

 

『別に?ただ少し、曹操に用があってな』

 

 

 

「曹操様!報告します!」

 

呉の領域に建てた天幕の中…会議をしていた曹操達の前に、一人の兵が慌てて入ってくる。

曹操は不機嫌な顔をしながらも、それを聞こうとした。

 

「…なにかしら?今は会議をしているのだけれど…」

 

「そ、それが魔神と名乗るものが、面会を求めておりまして…」

 

「「「っ!?」」」

 

魔神が面会を求めている。

魔神と言う名が出ただけでなく、面会と言う言葉が出てきてその場にいた全員が驚く。

一体何をしに来たのだろうか…

 

「通しなさい…」

 

『その必要はない。もう来ている』

 

「っ!?貴様、いつの間に…!?」

 

突然の声に振り返る夏候惇。

そこにいたのは、忘れもしない魔神。

とっさに夏候惇は己の武器を構える。

 

「春蘭、武器を下げなさい」

 

「ですが…」

 

「それで、貴方は何をしに来たのかしら?」

 

『…これが何か分かるか?』

 

そう言って魔神が曹操の目の前に出したのは一本の矢。

その矢先には何かが塗り付けられている。

 

「…矢、ね。これが…」

 

『貴様の軍の兵の一人が、孫策暗殺の為に放った矢だ。ご丁寧に致死性の毒まで塗ってある』

 

「っ!?」

 

「で、出鱈目よ!魏軍の兵がそんなこと…」

 

『矢は全ての弓隊に配給されている筈だ。ちゃんと人数分あるはず…そうだな?』

 

「…秋蘭、今すぐ調べなさい。弓隊自身ではなく、別の部隊のもの達にね」

 

「御意…」

 

夏候淵は曹操の命令通り、天幕から出ていく。

そして暫くすると、夏候淵は俯きがちに天幕に戻ってきた。

 

「…報告します。調べたところ、元許貢の兵の一人が持っていた矢の数が合いませんでした」

 

「……そう」

 

「華琳様!その兵を一刻も早く処刑…」

 

『夏候惇、その前に俺にそいつを貸してはくれないか?』

 

声を荒くする夏候惇に声をかける魔神。

少しだが、その声には怒気が感じられた。

 

「何!?貴様が処刑を…!?」

 

『違う、少しばかり鬱憤をはらすために使うだけだ。なに、殺しはしない』

 

「ふざけるな!!これは魏の…」

 

『貴様は俺に借りがある。それを少しばかり返して貰うだけだ』

 

「だが…!」

 

「いいでしょう……ただし、半刻だけよ」

 

「か、華琳様!?」

 

「今回の失態は兵の調整に失敗したことに理由があるわ。私達がその兵を裁くと言う絶対の権利はない」

 

『……感謝する、曹操』

 

 

 

 

 

 

「――クッソ、放せ!」

 

「曹操様、連れて来ました!」

 

「ご苦労」

 

主犯の兵は他の兵に無理矢理来させられ、曹操の目の前につきだされた。

その顔は誰が見ても分かるようなほど、歪んでいる。

死への恐怖だろう…

 

「貴方は私の覇道に泥を塗った。これは万死に値するわ」

 

「へっ!何が覇道だ!かちゃあいいんだろ、要するに!」

 

「…愚かね。貴方は今すぐにでも処刑したいのだけれど、半刻だけ別の人物に身柄を引き渡すわ」

 

悪態をつく兵に対し、冷静にそう告げる曹操。

兵はぽかんとした表情をしている。

 

「は……?」

 

「二度は言わない。じゃあ、お願いするわ…」

 

『ああ』

 

そう言って出てきたのは一人の人物…魔神。

噂程度しか聞いていない兵だったが、その姿を見ただけで驚く。

 

「てめぇ…魔神ってやつ…」

 

『そうだが?』

 

「お、俺をどうする…」

 

『心配するな、殺しはしない。ただ……』

 

フードを深くかぶり、その奥で仮面を外す魔神。

それと同時に、後ろにいた曹操、夏候惇、夏候淵と言った武官…そして軍師達の体全体に鳥肌が立った。

いままで経験したことのないような、殺気と怒気。

 

「…今から地獄を見せてやる」

 

「な…げぼぉッッ!?」

 

瞬間、兵の一人はいつの間にかハンマーを手にしていた魔神に叩かれる。

兵が吹き飛ぶ……そんな事を見たことがない曹操達は目を見開いていた。

弧を描き、ぐしゃ、と鈍い音が聞こえながら兵は地面に落下。

四肢が本来曲がるはずのない場所に曲がっている所を見ると、骨が折れていると考えられる。

そして数秒もしないうちに、魔神は兵に接近し頭を掴む。

そのまま地面に何回も何回も叩き付け、陥没ができると首を持って腕を挙げる。

するとどうだろうか……兵の四肢が血まみれになった顔面が、元に戻っていた。

周りと兵も驚いたが、魔神が兵を放り投げるとハンマーを槍に変化させ、比喩ではなく蜂の巣のように兵の体に穴を開けていく。

だがそれもすぐに元通りに。

 

「…ぐっえ…?」

 

「取り合えず半刻だけだからな、思う存分やらせてもらおう」

 

「なん……おれ…殺して……」

 

「ああ、殺していないさ。この外史の孫策はな」

 

「なに、いって…ん…」

 

「お前に話しても無駄だな。まあ、半刻だけだし存分にやらせてもらう」

 

それから半刻経つまでの間……曹操達は、世にも奇妙な光景を見続けた。

頭蓋骨が変形するまで拳銃で叩き付けても治り、腹を裂いてその中身を引きずり出したとしても逆再生のように治る。

そんな光景を奇妙と言わずになんと言おうか。

そして、半刻後…

 

「…あ゛……あ…」

 

「少しやり過ぎたな…」

 

仮面を付けながらそう呟く魔神。

そう言った通り、兵は見るも無惨な姿になっていた。

まるで老人のように髪は白くなっている。

そればかりか、目の焦点が合っていない。

 

『おっと、そうだった…曹操。少し警告することがある』

 

「…何を?」

 

『定軍山と言うところで劉備と戦うのならば、必ず援軍を送れ』

 

「あら、貴方は占い師でもなったつもりかしら」

 

『違う、これは警告だ』

 

「警告…ね。話は変わるけど、貴方仮面をしていない方が強いんじゃないのかしら?」

 

『…そうだとしたら?』

 

「何故仮面を付けているのかしら?」

 

何故仮面を付けるのか。

それは魔神に会ったもの達ならば、全員そう思うであろう。

仮面を取った時の方が強いのなら尚更だ。

 

『では逆に聞こう。仮面は何の為に付ける?』

 

「くだらないわね。顔を隠すためでしょ?それとも正体を隠すため?」

 

『半分正解だ』

 

「半分…?どういう…」

 

『意味が知りたければ生き残れ、それしか言わん』

 

そう言って浮かび上がる魔神。

そして空へと飛び立ってしまった。

その後、主犯の兵は夏候惇によって処刑。

その際、呟いたのは…『やっと死ねる』と言う言葉だったと言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

XXX「作者と!」

一刀「一刀の!」

X一「「後書きコーナー!」

 

一刀「…えっ、何今回グロ回?」

XXX「いやね、前のコメントにブラックゲッターモチーフだからめったうちシーンあるのかって書かれててさ」

一刀「それでやったと?」

XXX「まあ、前から決めてたけどね」

一刀「それで魔神って仮面取ると強くなんの?」

XXX「まあね、あの仮面は枷みたいなもんだし。でも付けないとほとんどの能力使えないんだよねー」

一刀「使えないの?」

XXX「いんや?腕に纏わせたり、武器に纏わせたりできるけど顔を隠す必要があるため使いません」

一刀「そうだ、何で仮面かぶってんだよ。今さらだけど」

XXX「…………」

一刀「えっ…何…?」

XXX「それは物語の核心に迫るから言えない」

一刀「さいでっか…」

XXX「あ、そうだ。取り合えず曹操に定軍山のこと言ったから定軍山編やりません。やったとしても短いだろうし」

 

一刀「核心…か…。まあいいや、さて次回の真・恋姫†無双巡る外史と仮面の魔神八話は!」

XXX「魔神編 “それが私の…”。ちなみに次回は劉備と対話→レッドクリフ前半だから」

一刀「やっぱ早いな…」

XXX「それと次々回か、次々々回に魔神が正体見せます」

一刀「えっ!?マジd」

 

再見ΟωΟノシ

 

一刀「最後まで言わせろよ!」


 
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