No.635836

真・恋姫†無双 巡る外史と仮面の魔神 五話

XXXさん

魔神編

魔神と鬼神

2013-11-10 18:00:18 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:2491   閲覧ユーザー数:2298

――許さない

 

戦場に立つ一人の少女は、燃えるような赤髪を揺らしながら自らの敵を斬る。

 

――許さない

 

そこに同情の余地はない。

己の感情に従い、武器を振るう少女は…まさに鬼神。

 

――何で壊すの?

――何で苛めるの?

――何も悪いことしてないのに…

 

数十、数百…数千…。

戦場は阿鼻叫喚に包まれ、今も死体が増え続けている。

 

――何で…

 

血に濡れた大地に立つその少女の名は…

 

――……許さない…

 

     呂布 奉先

 

 

反董卓連合の天幕。

何回目の会議だろうか……静寂に包まれていた。

理由は単純…この反董卓連合の中でもっとも戦力がある袁紹軍が、たった一人の少女によって数千人削られたからだ。

 

「…それで?大口を叩いた割には、随分と早く帰ってきたわね」

 

「……相手が、…相手が悪かっただけですわっ…。あんな…化け物が相手じゃなければ…」

 

そう、そもそも何故袁紹が虎牢関を攻めたのかというと、ただ単純に目立ちたかったからだ。

泥水関をたった一日で他の諸侯が突破……いや、正確には魔神がやったのだが……したため、自分には注目されなかった。

それ故に、二回目の会議では自分が前線に出ると宣言。

総大将自らが前線に出ると言うことは、下手をしたら連合の壊滅も意味する。

他の諸侯…特に曹操は止めたのだが、言っても聞かず強引に決定。

 

「確かに……一人で黄巾党の大群をねじ伏せただけはあるな…」

 

「でも……何かに怒ってなかった?」

 

しかし虎牢関に持ち受けていたのは、一騎当千と名高い呂布奉先…。

統率が取れておらず、兵一人一人の練度が低い袁紹軍の兵になすすべはなく、ほとんどが逃げ出すばかり。

一払いで何人も吹き飛ばす姿はまさに鬼神。

それを間近で見た袁紹は現在の通り、顔面蒼白だ。

 

「怒ってた…って何にですか?」

 

「何か…って言うのはわからないけど、何かに」

 

「それで、次は誰が出るのかしら?総大将がこんな様子じゃ、私達が決める他無いけど」

 

そう言って曹操は袁紹以外の諸侯に顔を向ける。

その誰もが顔を俯かせて、表を上げようとしない。

少数の諸侯にとって、兵を失うのは良くない事だからだ。

そんな中、たった一人…劉備が手を挙げた。

 

「はい!私、行きます!」

 

「と、桃香!?」

 

「劉備が?貴女の所は少数の義勇軍だけじゃない。それでどうやって…」

 

「それについては私が説明します」

 

曹操が疑問を持つ中、劉備の軍師、諸葛亮が説明しだす。

その内容は、簡単に言えば呂布に将をぶつけること。

将と兵では練度が違い、経験が違う。

将が相手ならば、呂布を倒せずとも足止めはできるのではないか、という事だ。

その間に他の兵達が虎牢関を攻め、占拠する……という作戦。

 

「…聞くかぎりそれをやったとしても、まだ張遼が残ってる。それについてはどう対処するのかしら?」

 

「それは……まだ決めていません…」

 

「だけど劉備ちゃん、何でそんなに出たがるの?」

 

「……確かめたいんです」

 

「?確かめたい?何をだ?」

 

「どうして…どうして袁紹さんが攻めたときに、魔神さんが来なかったのか…気になるんです」

 

魔神…その名を聞き、周りが騒ぎ出す。

曹操と孫策は実際に魔神と会った事があるので、表情には出してはいないが考え出す。

 

「そうね…泥水関の時に出てきたのに、何故麗羽が攻めたときには出なかったのか…」

 

「面倒だからじゃないの?」

 

「それはどうでしょう。各地で賊の討伐をしていたと言う魔神さんです…きっと別に理由があるのではないのではないでしょうか?」

 

「理由ね…。劉備、次は私達も出るわ」

 

「あっ、あたし達もね♪」

 

「曹操さん…孫策さん?」

 

劉備の言葉を聞き、曹操と孫策も名乗りを挙げる。

どうしてだろう、と思ったがこの二人にもちゃんとした理由があった。

 

「私個人としてはどうでもいいのだけど…部下の一人が再戦したいと言っているのよ」

 

「あたしもそんな感じだけど~…まあ、ちゃっちゃと終わらせたいしね」

 

「そうですか…あの、ありがとうございます!」

 

会議の結果、次に攻めるのは劉備、曹操、孫策に決定。

後の諸侯は補助にあたるようにした。

 

 

そして翌日…虎牢関の上で、呂布はやって来る連合を見下ろしていた。

前髪が垂れて表情が分からないが、恐らく無表情。

 

「……………また来た」

 

「しつこい奴等なのです!」

 

「それにしても、今日はぎょーさん来たなぁ…まさか、攻め落とす気やないか?」

 

呂布専属の軍師…陳宮と張遼もやって来る。

それを見た呂布は再びうって出るつもりか、下の門の所へ降りていった。

 

「ああ、恋殿~!」

 

「にゃはは、恋もやる気やな。まあ、ウチもなんやけどな」

 

陳宮は呂布を追いかけ、張遼は顔を武人のものへ変える。

絶対に勝たなければいけない、戦いへの決意だろう。

 

 

 

「せーーーーいッッ!!」

 

「うりゃりゃりゃりゃッッ!!」

 

「はぁああああー!!」

 

「……………ふっ!」

 

四半刻後…呂布は関羽、張飛、趙雲と戦っている。

状況は呂布の圧勝…呂布は三人の武将を相手に苦もなく戦っていた。

今も関羽達三人が攻撃をするが、呂布の方天画戟により弾かれる。

弾き飛ばされた三人は少し息を荒くしながら、汗を垂らしていた。

 

「はぁ…はぁ…ここまでとは…」

 

「私達の攻撃が届かんとは…」

 

「悔しいのだぁ…」

 

それぞれがそれぞれの感想を言い、武器を再び構える。

顔は疲労の色が見られ、痛む腕で武器を持ち上げた。

 

「…何故貴殿のような者が、董卓に仕える!」

 

「そうなのだ!」

 

「何故あんな……悪逆非道の董卓に…」

 

「ッッ!!」

 

悪逆非道…その言葉に呂布は激昂し、一気に関羽達に襲いかかる。

先程とは違い、両手持ちで方天画戟を握っていたので関羽達は大きく後退。

しかも武器が壊れかけ、おかしな方向に曲がりかけていた。

 

「………月を…悪く言うな…ッ!」

 

「くっ…!なんという一撃だ!」

 

「鈴々の蛇矛が~~!」

 

「流石は一騎当千と言った所か…」

 

呂布は関羽達を休ませる気はなく、次々と攻撃する。

そしてとうとう…関羽の青龍偃月刀が完全に折れた。

 

「なっ…!?」

 

「……死ね」

 

「「愛紗!!」」

 

武器を失った関羽は一瞬の隙を作る。

そして、その隙を狙って呂布の方天画戟が関羽の目の前にやって来た。

もはや避けるのは不可能……そう思い関羽は死を覚悟し、目を瞑った。

 

「……………えっ…?」

 

いつまで経っても来ない痛みに疑問を持ち、目を開ける。

するとそこには……

 

『ぬ…ぅ…!』

 

方天画戟を白い大剣で防いでいる魔神の姿が。

 

「……!?」

 

『ふんっ…!!』

 

「ま、魔神!?」

 

「魔神なのだ!?」

 

「ふむ…あれが…」

 

大剣で方天画戟を弾き、呂布に距離を置かせる魔神。

関羽達は驚き、趙雲は何かに関心しているようだった。

 

「………誰?」

 

『魔の神…魔神』

 

「…!!…華雄…返せ!!」

 

『断る!!』

 

呂布は相手が魔神と分かった途端、魔神目掛けて方天画戟を降り下ろす。

対する魔神は両手持ちにした大剣を下から振り上げた。

ギィン…!と言う金属音と同時に、辺りに衝撃波が放たれる。

それにより、近くにいた兵は怯え出すもの達も増えたそうだ。

 

『…埒があかないな…』

 

「……!?」

 

『流刃若火ッッ!!』

 

魔神が何かをすると感づいた呂布は下がろうとするが、魔神は泥水関でやったように炎を大剣から出す。

そして、魔神と呂布の周りに炎を集め、炎で出来たドームを作り出した。

 

 

「……?」

 

呂布と魔神しかいないドームの中で、呂布は首を傾げていた。

何故わざわざこんなことをするのか…わからないでいる。

 

『…さて、呂布…お前に話したい事がある』

 

「………!!」

 

『華雄の事については、まだお前達の下には返せない。だが、約束する……数年後には必ずお前達の元へ返そう』

 

「………ほんと…?」

 

華雄を返すと聞き、呂布は警戒を解く。

野生の感なのか、それとも別の何かなのか…。

 

『ああ。それでだ……話と言うのは、今貴様がしたいことをしてやろうと言う事だ』

 

「……ッ!?」

 

『…俺は総てを理解している。董卓のこともな』

 

「……月、何も悪いことしてない」

 

『分かっている。捕まったんだろ』

 

「………恋達、苛めない?」

 

『ああ、俺の目的の一つは董卓の救出…だけどそれには条件がある』

 

条件と聞き、呂布は再び首を傾げる。

だが、大切な董卓の為だと思い、聞くことにした。

 

『まず一つは董卓…それに賈駆もだな?その二人は救出した後、真名のみで生きること』

 

「……………ん」

 

『二つ目は保護する相手が劉備だと言うこと。俺は面倒を見ることはできないし、他の諸侯は恐らく処刑するだろうからな』

 

「……………ん」

 

『三つ目…救出するのは俺で、お前には暫くの間大陸を旅して貰いたい。その内、袁術と言う奴に拾われて劉備と戦うが、その時に劉備のもとへ下れ。そうすることで董卓と居られる』

 

「……………ん」

 

『最後だ。俺が落陽に向かうには、この戦争を早く終わらせなければならない。そこでだ…俺に力を貸してくれ』

 

 

 

 

「一体どうなっている…?」

 

魔神が作り出した炎のドームの前で関羽は呟く。

魔神が出てきたことだけでも驚きなのに、呂布を連れてドームの中に入ってしまった。

しかも数分経っても出てこない…何をしているのだろうか?

そうこうしている間に、目の前の炎のドームが弾けとんだ。

 

「熱つつつつつ!?」

 

「弾けた!?」

 

「あ、あれは……」

 

弾けとんだ炎が辺りに広がる中、関羽は弾けた中心を見る。

そこには…魔神と呂布が並んでいた。

だが、二人の姿が少し変わっている事に気づく。

 

「りょ…呂布!?その顔は…?」

 

「魔神もお面が変わってるのだ!?」

 

「魔神と鬼神…か。面白い!」

 

そう、呂布の右目部分には魔神が着けている仮面があり、右目のみ黄金に輝いている。

一方の魔神は着けている仮面が全く別の物となっていた。

元々着けていた白い仮面とは真逆の黒い仮面。

米神付近から左右に角が生えている…まるで悪魔のような仮面。

黄金だった魔神の瞳は今では全てを魅了するかのような緑色になっている。

関羽と張飛は驚き、趙雲はやる気が出ていた。

 

『呂布…その力を使えるのは、持って半刻だ。その間に…』

 

「うん………やる」

 

『任せた…!』

 

そう言うと魔神はこの場所から足はやに去っていく。

どこにいく!と趙雲は追いかけようとするが、呂布に阻まれた。

 

「くっ…呂布…魔神と手を組んだのか!?」

 

「……ん。恋は月を助ける…でもできないから、魔神がやる」

 

そう言って呂布は趙雲を弾き飛ばし、近くにいた連合の兵を切りつける。

上半身と下半身が別れた兵だったが…関羽達はその兵を見て驚く。

それは……魔神が攻撃したときと同じように、生きているからだ。

 

「な…あれは…!?」

 

「魔神と同じなのだ!?」

 

「何故貴様が…!?」

 

「……行くっ…!」

 

 

 

 

 

 

「うぉおおおおおおおおおおッッ!!」

 

「せやぁあああああああああッッ!!」

 

関羽達から数十里離れた場所…ここでは夏候惇と張遼が一騎討ちをしていた。

本人達の希望により、周りの兵…妹の夏候淵でさえも手出ししていない。

だが…董卓軍の兵の中に、夏候に向けて矢を絞っている者がいた。

手柄欲しさ故にか…。

 

「そりゃ!!」

 

「ぬっ!?」

 

(捉えた…!)

 

張遼の一撃を受け、夏候惇が怯んだ瞬間…兵は矢を飛ばす。

それは真っ直ぐと夏候惇の顔に進む。

その矢は夏候惇の目に後数秒で当たる所で夏候惇に気付かれた。

刺さる…そう思った時、その矢は横から来た橙色の弾丸によって完全に消滅させられる。

 

「な…!?」

 

「ッ!?」

 

「な…おどれは…まさか…魔神か!?」

 

その場所にいた者は驚き、弾丸が放たれたであろう場所を見ると、そこには二丁拳銃を構えた黒い仮面の男がいた。

張遼は感なのか、その男が魔神だと思い始める。

 

『…そうだが?今は仮面を変えているがな』

 

「何故…私を…?」

 

『さあな…それより、お前達の一騎討ちを邪魔する者を排除してやろう』

 

「何ぃ…!?」

 

そう言って魔神は二丁拳銃をハンマーに変えて、連合、董卓軍の兵の近くに行き、その地面にハンマーを叩きつけた。

叩きつけられた場所は軽くクレーターが出来ており、そこから面白いように兵達が宙を舞う。

それでも残っている兵は、鞘を付けたままの刄金で殴り付けていた。

さらには、ハンマーをトマホークに変えて投げ、遠くの兵を切りつけている。

 

『…これで大方大丈夫だろう…後は…』

 

そう言って魔神はある方向に目を向ける。

そこにいたのは董卓軍の鎧を着た兵。

だが、その行動は挙動不審だ。

何やら偵察をしているような……そんな様子。

そして遠くから虎牢関が連合に占拠されかけていると知ると、その兵はどこからか馬を連れ出して何処かへ走って行った。

 

『そうだ……そのまま行け。そして伝えろ…この戦は負けだと、張譲にな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

XXX「作者と!」

一刀「一刀の!」

X一「「後書きコーナー!!」」

 

XXX「はい、今回は呂布を説得しました~」

一刀「説得…っちゃあ説得なんだよな、あれ」

XXX「それと何で恋が仮面付けて魔神と同じ能力を使えたのかと言うのは後で書きます」

一刀「あの真っ黒い仮面は?」

XXX「あれはまあ、もう一つの仮面ってことで。ちなみにイメージはぶっちゃけブラックゲッターロボと真ゲッターロボね」

一刀「ああ!だから武器にトマホークが!」

XXX「それとこの作品では春蘭は目を失いません。だってグロイんだもん」

一刀「一里あるな。食べるシーンは…見たくない」

 

XXX「はい、じゃああってもなくてもいいガイムの感想~」

一刀「先週もだけど…ハィ~で噴いたわ」

XXX「それにロックシードの音声グレープじゃなくてブドウだったし」

一刀「て言うか、鎧が!鎧が弾んだ!」

XXX「シュシュットって…なんか一昔前の戦隊思い出す…」

一刀「それと今回出てきたライダー…黒影とグリドンだっけ?量産型臭がプンプンする」

XXX「松ぼっくりとドングリだもんな、その内クルミとか出そう」

一刀「それと次回もライダー出るんだっけな…なんか怪人っぽい見た目だけど」

XXX「むしろ変身者が一瞬某仮面ライダーDCDの主題歌歌った歌手に見えた…」

 

一刀「そんなこんなで…次回、真・恋姫†無双巡る外史と仮面の魔神 六話!」

XXX「魔神編 “神にでも祈れ”…いや、決して753的な意味じゃないですよ!?」

一刀「てか今回仮面ライダー知ってる人じゃないとあんま理解できないな…」


 
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