~三回戦~
我に返ったワンコ達は照れながら、一刀君の居る部屋に戻りました。
「お帰り。さっきの事だけど…」
「…お願いですから忘れてください、ご主人様」
「独占券の為とはいえ、この様な事を行うなど…」
「うう…。恥ずかしいです」
「ふふ。少し驚いたけど、俺の為にしてくれたんだろ?
なら、もう一回お願いしようかな」
「「「も、もうやりません!!」」」
流石は一刀君。一瞬にして甘い雰囲気が漂う空間にしてしまいます。
ワンコ達も言葉では否定しているものの、一刀君が頼まれるなら、
もう一度、おまじないをしちゃおうかな、と思っている様です。
全く、見ているこちらの身にもなって下さい。甘くてお腹が一杯です。
その後、四人はイチャイチャし終えると、一刀君は政務に取り掛かり、
ワンコ共はサポートするのであった。
陽が徐々に落ちかけ、夕焼けの今。政務を終えた三人は中庭に居た。
というのも一刀君が…
「三人共、この後予定があるかな?
なければ、一緒に散歩でもしない?」
と提案してきたのだ。魅力的な誘いを断る恋姫はいません。
ワンコ達は尻尾を大いに振りながら、一刀君と共にしたのである。
そうした事から、四人は今、中庭に居るのです。
おやおや?愛紗さん、凪さん、亞莎さん。
華琳さんが手招きして貴女達を呼んでいますよ?行かなくて良いのですか?
…ようやく。華琳さんの手招きに気付いた凪が、二人に召集されていると、
伝えました。そして、少しの間、一刀君にこの場で待機して頂き、
悟られぬ様、華琳さんの下へと急いだのであった。
「…貴女達の忠犬振りには目を見張るものがあるけど、
度が過ぎると盲目になってしまう様ね。…よもや勝負の事を忘れてないかしら?」
「「「……………」」」
「忘れていたようね。…全く」
華琳さんは顔に青筋を立てており、随分とご立腹な様子。
「まあまあ、華琳。そんなに妬かなくていいじゃない」
「だ、誰が妬いてるって言うのよ!」
「えっ?違うんですか?勝負を忘れた愛紗ちゃん達を見ていて、
ブツブツと言ってたじゃないですか。
私ならもっと的確に手助けできるって…」
「い。言ってないわよ!そんな事!!」
「い~え。確かに言ってました。そうですよね、雪蓮さん」
「言ってたわよ」
「なっ!?~~~~~~!?」
キョトンとしているワンコ達の目の前で、華琳さんは頬を赤く染め上げ、
俯いてしまいました。ツンデレ凄いですね。貴女こそ万夫不当のツンデレ王。
正直、愛紗達に称号を与えるより、貴女に与えたい気分です。
『ツンデレの鑑』と…
「…ゴホン。さ、三回戦を発表するわ」
気を取り直して説明に入る華琳さん。まだ、頬が赤いままです。
「三回戦は……」
『ドキッ!当然私を選ぶわよね。貴方を逢い引きに誘いたい!」
「説明するわ、これから、一刀に逢い引きの誘いをしてもらうわ。
勿論、三人一緒にね」
「あ、逢い引きですか?」
「逢い引きのお誘いなんて、私無理です」
やはり、顔を赤くしてソワソワとする、愛紗と亞莎。
凪はというと…
「……隊長と…二人で……逢い引き…あわわわ!」
自分の世界に入っておりました。
「…頬が緩んでいるわよ…凪」
「………ハッ!!も。申し訳ございません!!」
「…まぁ、いいわ。続けるわよ。三人共同日同時刻に、
約束を取り付け。一刀に選ばれた者に点数を与えるわ。
それと…羞恥心で一刀から逃げない事」
華琳さんから睨まれたワンコ達は、戦々恐々として萎縮しております。
「…早速行って来なさい」
「ねえねえ、華琳。また引き分けにならないかしら?」
「釘を刺したから大丈夫よ。
今度はちゃんと勝敗が決するわ」
「私の勘が引き分けって言ってるのよね……」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ワンコ達は一刀君の下へと近づいております。その道中、ワンコ達は色々と思案しておりました。
どうやって誘えばいいのか。私を選んでくれるかどうか。頭の中は緊張で一杯一杯です。
心臓も異常なほど早鐘を打っています。恋において引っ込み思案な三人は、
自ら一刀君をデートに誘った事がありません。何時も姉や親友に協力して貰い、
デートに漕ぎ着けていたのだ。それ故に緊張を倍加させているのです。
そうこうしているうちに、一刀君まで、100m………50m……
その時でした!
「「「きゃあああああああああああああ!!」」」
突如、ワンコ達の悲鳴が中庭に響きわたりました!
一体何事でしょうか!!
…え?コレを読むんですか?…ゴホン。
恋姫ニュース速報です。只今、中庭にて愛紗、凪、亞莎の三名が、
落とし穴に陥りました。推測ですが実行犯は魏の猫耳軍師。
動機はおそらく、北郷一刀に仕掛けたものが、誤って三人に掛かった模様です。
なお、近くに待機していた北郷一刀が救助しておりますが、
三名共に気絶してしまった為、救助に時間が掛かる模様。
そして。一部始終を須く見ていた三王は……
「…部下の管理くらい、きちんとしなさいよね」
「…今回は流石に謝るわ…ごめんなさい」
「うわーーーーっ!?愛紗ちゃん!?皆!?大丈夫!!!?」
「…何か、三人に悪い事をしちゃったわね」
「…ええ。……最終戦はアノ案でいきましょうか?」
「ま、それが妥当ね。ここまで頑張ってもらったし、
それ位のご褒美は必要よね」
「決定ね。それじゃあ、私達も一刀と共に三人を救助しましょう。
桃香もいち早く駆けつけているしね」
「りょ~か~い、やっと一刀の手助けが出来るわね、華琳」
「…いちいちぶり返すんじゃないわよ…馬鹿」
と言って、北郷一刀に協力し救助に向かったようです。
以上、恋姫ニュース速報でした。…さようなら
判定:桂花の落とし穴が発動し引き分け
~最終戦前の幕間~
「よもや、落とし穴に掛かるとは、一生の不覚!」
「その上、気絶してしまうなんて、私は…武官失格です」
「軍師なのに落とし穴の存在に気付けなかった…」
ワンコ達は先程の件を尾に引いており、随分と暗い様子。
たかが、落とし穴に陥ったくらいで、と思う方もおりましょうが、
知っての通り三人は生真面目な性格。更に罠に掛かった、
情けなさから、ここまで落胆しているのだ。
そこに三王が現れ、重い空気の中、華琳さんが口を開きました。
「…気分はどうかしら?貴方達…」
「これが、良さそうに見えますか?華琳殿…」
「…見えないわね」
流石に華琳さんも心咎めしてしまいます。後ろに居る雪蓮さんと桃香さんも、
反省の色が濃い。しかし、最後の勝負は是が非でも受けてもらおうと、
三王は決心しています。ある種、ご褒美といえる内容になっているらしいからです。
「けど、勝負は続けて貰うわよ」
「…今は、その様な気分では……」
「あら、関雲長ともあろう者が約束を反故にするのかしら?」
「……………」
「凪、亞莎。貴女達も顔を上げなさい」
「……………」
中々、三人は顔を上げません。やはりショックが大きいようです。
それでも、華琳は神妙な面持ちで話し続けます。
「勝負の説明に入る前に私達から一言、伝えたい事があるの。
…悪かったわね、凪」
「ごめんね、愛紗ちゃん…」
「ごめんなさいね、亞莎」
「「「………!?」」」
三王は頭を下げました。誠意が伝わる様に精一杯、深々と……
この行為に、三人は驚きを隠せません。
特に凪と亞莎、頭を下げてまで謝る光景を見た事が無い二人にとって、
まさに、驚天動地の出来事なのです。
「「「あ、頭を御上げ下さい、桃香様、華琳様、雪蓮様!!」
「…私達の所為で、貴女達を巻き込み、すまないと思ってるわ」
「やりたくもない勝負を焚き付けて、反省してるわ」
「本当にゴメンね、皆」
話し終えると三王は顔を上げた。その顔は反省の色が濃い。
どうやら心の底から、申し訳なく思っているようです。
「けどね、勝負は続けて欲しいの」
華琳さんが再度口を開く。
「この勝負、何も忠犬を決める為のものだけじゃないの。
貴女達の成長を兼ねて、焚き付けたのよ」
「私達の成長ですか?」
華琳さんの言葉を聞いた凪が疑問をぶつける。
それに答えるのは雪蓮さん。
「そうよ。貴女達は一刀の事を考えると正常な判断が付かなくなって、
注意力が散漫するじゃない。現に落とし穴に掛かったのが、いい例」
「た、確かに雪蓮様の言うとおりです」
亞莎は雪蓮さんに同意する、続けて桃香さんが口を開く。
「それとね、落とし穴に掛からなくても、ご主人様を逢い引きに
誘えなかったと思うの。三人共、自分から逢い引きに誘った事がないでしょ。
これ位あっさり…とは言わないけど、出来なくちゃいけないなと思うんだ。
だって、愛紗ちゃん達も幸せになって欲しいからね♪」
「と、桃香様。そこまで、私達の事を…」
三人共、目を潤ませ感動に浸っております。
そんなに思慮深く考えていたなんて……良い話だな~。
………って言うか!?今回はコメディ作品でしょ!?
何でシリアスになってるのよ!!これじゃあ詐欺じゃない!!!
誰よコメディって言った馬鹿は!!!!
「皆、最後の勝負、受けてくれる?」
「「「はい!喜んで!!必ず桃香様、華琳様、雪蓮様の期待に応えて見せます!!!」
「うん、皆、凄く嬉しいよ。それじゃあ発表するね。
最後の課題は……」
「「「最後の課題は…」」」
『夜這いで~~~~~~すっ!!』
「「「……………よ、夜這いーーーーーーーーーーーっ!!!?」」」
シリアスさん、さようならーーーーーーーーっ!!
さぁ、盛り上がって参りました、最終戦!!
一体どうなるのでしょうか!?
~最終戦~
空室にて三王はワンコ達に、叱咤激励をしていました。
泣いても。笑っても、これで最後。
否が応でも、三王に力が入ります。しかし、それとは逆に、
ワンコ達は、緊張から小刻みに震えております。
「よ、夜這いするだなんて、私には無理ですよ。雪蓮様~」
「大丈夫よ、亞莎。貴女なら出来るわ。自分を信じなさい」
「ほ、本当に…夜這いをしなくてはいけないのですか。華琳様」
「あら、さっき、期待に応えると言ってくれたじゃない。
…大丈夫、貴方が選ばれるから、覚悟を決めなさい、凪」
「うう、まさか、最終戦が、よ…夜這いだなんて、
一体何を考えて御出でですか、桃香様」
「何も考えてないよ。只、一言、言うなら愛紗ちゃんに幸せになって
欲しいなって思ってるよ。だから、頑張って、愛紗ちゃん♪」
不安しかないワンコ達を三王は勇気付けます。そして、夜が更け、いよいよ勝負の時。
六人は一刀君の部屋の直ぐ横に来ております。
最後に確認の意を込め、華琳さんが口を開きます。
「もう一度、確認するわよ。勝負の内容は夜這い。一刀に選ばれた者が勝者で、
独占券を二枚授与します。なお、これまでの健闘を讃え、敗者にも、
独占券を一枚ずつ与えるわ。…って、聞いているの?貴女達」
ワンコ達は、顔を紅潮させ、緊張が解けておらず、言葉を聞く余裕がありません。
端から拝見しても、火を見るより明らか。まぁ、無理もありません。
三回戦と比べて、明らかにハードルが上がっていますからね。
「とにかく、一刀の部屋に行ってもらうわよ。…大丈夫、
貴女達なら必ず出来るわ。一刀が好きなんでしょ」
華琳さんの慈愛に満ちた言葉を聞き、ワンコ達は覚悟を決め、
勇気を奮わせながら、一刀君の下へと出陣しました!!
「……行ったわね」
「自分で焚き付けておいて何だけど、愛紗ちゃん達、羨ましいな~」
「ねぇ、華琳、桃香。誰が選ばれると思う?」
「そんなの考える以前に決まってるじゃない」
「そうですよね~。華琳さん」
「まぁ、そうよね」
「今頃、凪が…」
『隊長、抱いて下さい』
「って言ってる筈よ」
「そんで以って、亞莎が…」
『あの…一刀様。僭越ながら、わ、私と閨を共にしてください!」
「って言ってるわね」
「その後、愛紗ちゃんが…」
『…ご主人様。今宵、私を愛して頂けませんか…』
「って言ってると思うな♪」
「「「そして、一刀(ご主人様)が……」」」
『…三人一緒じゃダメかな?』
「って間違いなく言うわね」
「ご主人様だし、必ず言うな~」
「必ず、そう言うでしょうね」
三王の想像通り、一字一句間違い無く、一刀君の部屋でやり取りが行われていました。
そして、その後ワンコ達は、全てを話した上で、一人を選んで欲しいと頼みましたが、
一刀君は……
「皆が同じ位好きだから選べなる訳が無い。
それと、これからは遠慮なく扉を叩いてくれ。
俺だって皆と一緒に居たいんだ。
もう一度言うけど、皆を愛してるからね」
この殺し文句を聞いた、愛紗、凪、亞莎は何もいえません。
それ処か、俯き、顔を真っ赤に染め上げ、身体を震わせています。
おそらく、胸の中が喜びで一杯なのでしょう。
………チョロいワンコ共め…
…っていうか、一刀が生まれた世界でこの発言をしたら、
最低野郎のレッテルを貼れるのに…… (# -.-)ペッ
こうしてー、ワンコ達はー、一刀と共にー、
甘い夜をー、過ごすんだってー、……チッ!!
………ゴホン。失礼致しました。再び三王に焦点を当てましょう。
三王はと言うと…
「さて、退散しましょうか。
私は、これから桂花をお仕置きしてくるわ」
「私は冥琳の所に行って来ようかな~」
「私は…えっと、鈴々ちゃんと一緒に寝ようかな」
どうやら、このお話も終わりが近いようです。
「それじゃあ、またね。桃香、雪蓮」
「ええ、またね。華琳、桃香」
「お休みなさい、華琳さん。雪蓮さん」
判定:泥試合により
そして、言わずもがな、今宵、ワンコ達は一刀君にド…
「そうそう、言い忘れてたわ。こんな事を書く奴なんていないと思うけど、
語り手と、一応、コメント投稿者にも警告しとくわ」
『ワンコ達はドロドロになるんですね。わかります』
「何て書き込んだら、ちょん切るから。…何処を?
ふふ、貴方が想像している部分よ。では、失礼するわ」
……………
………
…
一刀君と過ごせて羨ましいな、と思う華琳様であったとさ。
「ちょっ!?…ま、待ちなさい。別に羨ましいだなんて、お、思ってないんだから!!
か、勘違いするんじゃないわよ!!」
しドロもドロに言い訳をし、ツンデレを炸裂させる華琳様でした。
「だから、う、羨ましいと思ってないし、言い訳もしてないわよ!!
ちゃんと聞きなさい!」
次回も暇な時間に読んで頂ければ嬉しいです。
では、さようなら~
「終わらせるんじゃないわよーーーーーーーーっ!!!!!」
後日
三王は偶然にも、一刀君とワンコ達がイチャイチャしている所を目撃した模様。
そして、自業自得なのにも拘らず、嫉妬をし、また良からぬ事を考えているそうです。
~おしまい~
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こちらは真・恋姫†無双の二次創作でございます。
注意:作中にメタ発言がございますので
苦手な方は戻るを推奨します。
一刀君だから仕方ないね(最終戦)
最後に、稚拙な文章、口調がおかしい所があるかもしれません。
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