No.624498 英雄伝説~光と闇の軌跡~ 756soranoさん 2013-10-02 14:22:01 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:732 閲覧ユーザー数:702 |
~IBC~
「さてと……ロバーツ主任はいるかな?」
「多分、財団のフロアでヒマそうにしてると思います。エニグマで連絡してみましょう。」
ロイドの言葉に答えたティオはエニグマで通信を開始した。
「……どうも、ティオです。いえ……別にそんなつもりは。……………しつこいです、主任。いい加減にしてください。」
(あ、相変わらずみたいだな……)
ティオの通信を聞いていたロイドは苦笑し
(ティオちゃんももう少し優しく接すればいいのに……)
エリィは溜息を吐き
(むしろあのオッサンなら冷たくされて喜んでんじゃねえか?)
(確かにそんな様子が見られるわね♪)
口元に笑みを浮かべて言ったランディの言葉にエルファティシアはからかいの表情で頷いた。
「……ええ、エニグマⅡの緊急アラート機能について……ええ……そうです……はい、下に来ているのでよろしくお願いします。」
「相談に乗ってくれるって?」
通信を終えたティオにロイドは尋ねた。
「ええ、すぐこちらに降りてくるそうです。何でもヨナも一緒だとか。」
「あら……」
「それって確か、爆破されたジオフロントの部屋を使っていた?」
「エプスタイン財団出身の天才ハッカー君だったかな?」
「ああ、小生意気だが微妙にヘタレな小僧だぜ。」
「それに天才ハッカーって自称しているだけでティオやレンに敗北しまくっているけどね♪」
ノエルとワジの疑問にランディとシャマーラは答え
「もう……例え事実だとしても、そんな風に言ってはダメですよ?」
シャマーラの言葉を聞いたセティは溜息を吐いた後注意し
(むしろセティ姉様の言い方の方が酷い気が……)
エリナは冷や汗をかいてセティを見つめていた。
「さすがに今は財団の事務所に厄介になってるらしいな?」
「ええ……イヤイヤみたいですけど。」
そしてロイドの疑問にティオは疲れた表情で答えた。その後少しするとヨナとティオの上司である男性―――ロバーツがエレベーターから姿を現してロイド達に近づき、ロイド達から事情を聞いた。
「―――なるほど。そんな事情だったのか。」
事情を聞いたロバーツは頷き
「ハッ、どうせ導力切れで連絡が取れないってだけだろ?遊撃士なんて良い子ぶった連中、放っときゃいいじゃん。」
ヨナは鼻を鳴らして答えた。
「ヨナ、お前なぁ。」
「もう……そんな事言っちゃダメよ?」
「はあ、ヨナ君ときたら最近ずっとこうなんだよ。せっかく事務所の一角に最新型の専用端末ルームを用意してあげたっていうのにさ。」
「いくら処理能力が高くたってあんな制限つきのシステムで満足できるかっつーの!とっととセキュリティコードをボクに解放しろよな!?」
ロバーツが呟いた言葉を聞いたヨナはロバーツを睨んで言ったが
「あ、それはダメだよ、ヨナ君。そんな事したら君、またやりたい放題しちゃうだろ?かわりに『ポムっと!』でティオ君に勝てるよう、特訓用のプログラムを組んであげたからさ~。」
「よ、余計なお世話だっつーの!」
自分を見つめて言ったロバーツの言葉を聞いて突っ込んだ。
(何だかんだ言ってヨナの事、ちゃんと監督してるみたいだな。)
(まあ、イラッとする所はともかく有能な人ではありますから。)
その様子を見ていたロイドは苦笑し、ティオは静かな表情で答えた。
「―――まあ、それはともかく。エニグマⅡのアラート機能だがお役に立てないかもしれないねぇ。」
「そ、そうなんですか?」
「そういった機能があるのはあるんですよね?」
ロバーツの話を聞いたロイドは戸惑い、エリィは尋ねた。
「うん、ただ導力波が弱くてほとんど感知できなくてねぇ。10セルジュくらい近づかないと測定器でも感知できないんだよ。」
「10セルジュ……」
「そりゃまた微妙な距離だな……」
「クロスベル市内にいるのなら感知できそうだけど。」
ロバーツの話を聞いたノエルは考え込み、ランディは溜息を吐き、ワジは考え込んでいた。
「……わたしのセンサーと組み合わせるのはどうでしょう?マトリクス化されたシステムならエイオンで連動できそうですが。」
その時ティオは提案した。
「ああ、それならあるいは―――……いや、やっぱりダメだ。エイオンに連動させるには測定器の精度が不安定すぎる。導力圧の問題もあるし、周辺地形の反射も考えられるからかなり無理があると思うよ。」
「そうですか……」
しかしロバーツの説明を聞いたティオは溜息を吐き
「な、何がダメなのかイマイチわかりませんが……」
「どうやら技術的な問題があるみたいね……」
ロイドは疲れた表情をし、エリィは考え込み
「……君達では何とかできないのかい?」
リィンはセティ達に視線を向けたが
「すみません……さすがに最先端の導力機器関係については正直、お手上げです……」
「魔導杖の改造くらいならできるけどさすがにデータ関連はね~。」
「……それもできるようにするのが今後の課題ですね。」
視線を向けられたセティは申し訳なさそうな表情で答え、シャマーラは疲れた表情で呟き、エリナは静かな表情で呟いた。
「――――だったらさぁ。オルキスタワーの屋上で測定しちゃえばいいんじゃね?」
その時ヨナが意外な提案をした。
「え……」
「……ヨナ君?」
「えっと、どういうことだ?」
「アラート用の導力波は微弱すぎて測定器から近い場所にないと感知しきれない。かといって測定器とティオのセンサーと連動させても出力が足りないし精度不足なんだろ?でも、遮蔽物のないタワーの屋上なら感知精度も上げられるだろうし、高出力の導力が確保できるんじゃね?」
「あ、相変わらず意味不明だが……」
「どうなの、ティオちゃん?」
ヨナの説明を聞いたランディは呆け、ノエルはティオに視線を向け
「……驚きました。」
ティオは静かな表情で呟き
「いやはや、さすがヨナ君!システムエンジニアとしての才能は目を見張るものがあるねぇ!」
ロバーツは興奮した。
「フ、フフン。まあそれほどでもあるけどなー!」
「それじゃあ……」
「何とか目処が立ったみたいだね?」
「ええ、行けるかもしれません。」
「早速、オルキスタワーの管理部に屋上の使用許可がもらえないかかけあってみよう。ヨナ君、君も手伝ってくれるね?」
「なんでボクが―――って言いたいけどまあヒマだし手伝ってやるよ。その代わりアンタら、これで貸し一つだからな!?」
ロバーツの言葉に答えたヨナはロイド達に視線を向けて言い
「フフ、ちゃっかりしているわね。」
「はは、わかった。」
「無茶な頼みでもない限りきっとお返しさせてもらうわ。」
ヨナの言葉にエルファティシアとロイドは苦笑し、エリィは微笑んだ。
その後、オルキスタワーの管理部から屋上の使用許可をもらった主任たちは機材と共に一足先にタワーへと向かった。準備に少し時間がかかるらしく、ロイド達は他の用事を片付けてからオルキスタワーに向かう事にした……………
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第756話