ちゅんちゅん
「・・・・・ううん、ええと、何処だ?ここ」
自分の部屋とは似ても似付かぬ部屋で目覚めた男は目を白黒させている。
変わったベットに、壁の色、見た事も無い景色、間違いなく自分の部屋ではない。
「部屋で寝てた筈なのに・・・・どうなってんだ?」
ガチャ
「あら、目が覚めたのね」
「え?」
「気分はどう?朝食はもう少し待ってちょうだい」
「え、ええと・・・・」
見た事のない少女が入ってくる
自分の部屋でない事は頭では判っているのだが、
それでも”自分の部屋”に女の子が入ってきた様に思ってしまう
「君は?」
「ボクは賈駆、字は文和。董卓将軍に仕える軍師よ」
董卓と言えば戦国時代と言われる乱世に置いて暴政を振るった大悪党
賈駆と言えばその軍師。もし此処が当時の中国だと言うならとんでもない勢力に拾われたのかもしれないでも、幾らこの部屋が日本の様相のそれではないとしても希望を捨ててはいけない・・・・。
「その服、コスプレ?賈駆のファンって事?」
「こすぷれ?聞いた事のない言葉ね。あなたは何者なの?言葉もだけど、様相も奇抜な物を着ているし、なにより貴方は昨日近くの山に光と共に現れたのよ?」
「何者もなにも、聖フランチェスカの二年生、北郷一刀だけど」
「ふらんちぇすか?」
「知らない?日本の中でも結構有名な学校だと思ってたけど・・・」
「にほん?そんな邑知らないわ」
(日本を知らない?そんなまさか・・・)
賈駆は特に何かを気負う訳でも、後ろめたい訳でも、貶めようとするでもなく、自然とそう答える
「そうか、なら一つだけ聞きたい。此処は何処なんだろう?」
「ここは洛陽、宮中の私の部屋よ」
洛陽と言えば河南省と言いたいけど、ここまでハッキリと言い切るという事は此処は本当に三国志の世界なんだ・・・
「そうか・・・。だいたい状況が分かった、賈駆の質問に答えるよ」
「信じられないかも知れないが、俺はこの世界の人間じゃない。1800年後の世界の住人だ。そして、1800年後の世界では董卓や賈駆は男の武将ないしは知将って事になってるだから、時代だけじゃなくて、住んでる世界も違ってる可能世界が高い。」
「なかなか興味深い話ね。でも、そんな話だけで納得する訳にも行かないの」
「黄巾党に手を焼いてるんじゃないのか?それに王允にも気を付けた方がいい」
「農民の一揆についてはその通り、将が居ない訳では無いけれど、数の暴力には適わない。それに他にも困った事が有るの。貴方の言を信じる事にするわ。お願いボクに力を貸して!」
急に賈駆の余裕が無くなっていく。
「どういうことだ?」
「後で紹介するけれど、今、ゆ・・・董卓将軍は窮地に立たされているの。元々ボク達は涼州という田舎で暮らしていたのだけれど、十常侍を筆頭とする宮中の官達の企みで自分達の悪政の隠れ蓑として利用する為に誘き寄せられたのよ。その時、ボクがそれに気が付いて居ればよかったのだけれど、過ぎた事を言っても仕方ない。何より怖いのは、この後反董卓を題目とした連合が組まれる事よ」
そうだったのか。
「でも、それを俺にどうしろって言うんだ?」
「貴方には、天の御使いを名乗って欲しいの」
「なるほどな”天の”御使いか」
「ええ、貴方を僕達の争いに巻き込んでしまう、それは解ってる。でも、これは未来から来た貴方にしか頼めない事なの」
「ああ、確かに。畏敬の心によっての軍備拡大と他国への喧伝敬遠を行うって事だろう?」
「その通りよ。その見返りとして、我々の軍勢で貴方を保護させてもらうわ。どう?」
「わかった。宜しく頼む」
「ありがとう。今日はゆっくりして頂戴。午後には遠征してる諸将も戻るだろうし、明日の軍議には貴方にも出席してもらうわ」
ばたん
「もう、戻る事は出来ない・・・。でも、今の賈駆達を放っておく事も俺には出来ない・・・か」
賈駆が用意してくれた朝食平らげた俺は周辺の散策に出る事にした。
(董卓って暴政を敷いた悪役の筈だが、やはりそんな様子はない。歴史が変わり始めてるのか?・・・ん?)
「ちんきゅーーーきーーっく!!」
どーん!
熊猫印の少女の飛び蹴りを交しつつ帽子を取り上げる
「奇襲のつもり?あれだけ足音を立てては、後ろから近付いても意味がないよ」
「キサマですか!詠殿を誑かし、居座った天の御使いとか言うのは」
誑かす・・・。そんな風に噂されているのか・・・・・。////
「こほん・・・誑かしてはいない。董卓の助けになるよう頼まれただけだよ」
「本当なのですか?胡散臭いのです・・・」
「本当だ。それにどんなに胡散臭くとも、ちんきゅうきっくでは俺は倒せないよ」
当れば痛いだろうけど、知恵が回るようにも見えないしね
「良く言ったのです!恋殿ー、恋殿ー」
「どうした、の」
少女の後ろから何処かボーっとした、しかし、武を志す者にのみ解る押し殺してなお滲み出る尋常なき覇気この娘とは余り争いたくないものだ・・・・。
「恋殿!こいつがあの天の御使いとやらなのです。怪しいのでやっつけるのです!」
「俺は北郷一刀と言う。今日付けで賈駆からの助けを受けてここに住む事になった。君は?」
「呂布」
やはり。もし此処が三国志の世界ならばそれしか有り得ない。そして、確信が有ったこの娘が呂奉先であると
「ほう、あの飛将軍とまで謳われる豪傑、呂奉先か」
「今更謝ったって遅いのです!」
「だいじょう・・・・ぶ」
「へ」
「いい人」
「そんな訳ないのです。騙されちゃいけないのです~」
「じゃあ、俺はこの辺散歩してるから、何かあったら言ってくれ」
そう言って呂布と別れる・・・・・おっと、帽子を返し忘れた。まぁ、同じ董卓の元に募るもの同士、明日にでも又見える事になるだろう。その時で良いか
「こらー待つのです~・・・・」
恋と別れた一刀は市を見回っていた
多くはないが、店も立ち、人で賑わっている
「悪くないな。店も飲食店から雑貨屋、装飾、服に薬も揃ってる。ん、旅芸人まで居るのか」
市の真ん中では地方の旅芸人の一座が音楽と歌を披露していた。
(歌も音楽も悪くはない。詩も天下太平をモチーフにしていて庶人受けしそうな物を選んでいる)
「ありがとうございましたー!」
しかし、歌が終わると急に野次馬が散って行く
幾らなんでも、これはないだろう・・・・。
「よかったよ。少ないが取っておいてくれ」
一刀は賈駆から持たされていた硬貨を差し出した
「お兄さん、こんなにいいの~?」
穏かな声の少女が聞いてくる
「ああ、構わない」
「ありがとうございます」
この娘はおとなしそうな、でもどこか理知的な鋭さを持っている。詩を書いているのは多分この娘
「いいよ、苦労してるな。是からも頑張ってくれ」
「まっかせて!!」
元気印。そんな第一印象の幼い少女・・・
「じゃあ」
願わくば、彼女達に幸多からん事を・・・・
市を去った一刀は街を歩いていた
「腹が減ったな。どこか店に入ろう」
一刀は目の前の拉麺屋に入っていく
「親父!拉麺と餃子」
・
・
・
「ふぅ、喰った喰った」
と、急に人影が飛び出してくる
「誰か、掴まえてくれ!引ったくりだ」
「はぁ、何処の世界でも性根のせこい悪党の一人や二人居るもんだな」
「借りるぞ」
見回りの兵士の剣を取り上げる
「どけぇぇぇぇ」
所詮は食い詰めた農民。袈裟に放つ熟練した一刀の刀捌きにかなう筈がない
「ぐぇぇぇぇ」
「はぁ、はぁ、ふう。助かった。礼を言う」
「かまわない」
この二人もかなり出来る
「華雄!捕まえたんか。」
(関西弁!?古代中国で!!)
「ああ、ここに居る孺子がな」
「華雄!あの驍騎校尉か」
こいつも確か、董卓の所の将軍・・・・
「む、何だそれは?」
「ええ!!華雄の号じゃないか」
「ニイちゃん、そいつにそんな事言うても無駄や。戦しか知らん奴やからな」
「あんたは?」
「ウチは張遼文遠や」
「神速の曉将か」
名高い武将知将が勢ぞろいだな
「そんな風にも言われとるな。で、アンタは?唯物(ただもん)やないやろ」
「董卓のところで世話になってる北郷一刀だ」
「なに、あの噂は本当だったと言う事か」
「あの噂?」
「あんた、今凄い噂になってんで。天の御使いが現れて賈駆がその啓示を受けたってな」
なんだ、そんな噂なのか。なにが誑かすだよ。
あの娘が勘違いしてただけじゃないか・・・・。
「でも、うちが見るにその噂もえ・・・じゃなかった。賈駆がわざと流したもんやと思うてるけどな」
え?えなんだろ
「まぁ、董卓の所に凄い奴が来たって喧伝して、それによる軍備の拡大と他国への敬遠が目的だからな」
今の賈駆の董卓を守るという立場と、そこに俺みたいな奴が来れば俺も同じ事をするだろう
「へー、ちゃんと解ってるんや」
まぁな
「おい、そんなことどうでもいい」
へ?
「おい、孺子!どうだ、私と手合わせしないか!」
「おいおい、俺が華雄に適う訳ないだろう」
あんまり騒ぎにはしたくないのに・・・・
「いや、ウチはええ勝負すると思うで」
うう、煽るなよ・・・・
「さぁ、こい!」
くそ!もうどうなっても知るか!
「いいだろう。いくぞ!」
地を蹴り華雄に向かう
切る
袈裟に向け太刀を滑らせる
しかし、戦斧の柄で防がれる
裂く
返す刀で上段に貫かれるも
退歩(後ろに下がること)によって避けつつ
絶つ
今度はこちらが上から
真っ二つに絶つ
割る
しかし、之も見事に受け止められる
その上、真似をするかのように振りかぶる華雄
付く
逡巡付かず喉元に刃先を向ける
刺す
華雄もそれに気付いた様で
矛先を変え戦斧の穂先で突きを放つ
しかし、その鋭利な穂先での突きは最早、”突く”と言うよりは”刺す”
二人の体と刃が交差する・・・・
お互い余りに踏み込みすぎたようだ、距離を離す為に剣を振り斧で薙ぐ
正に一進一退
「なかなか、筋は悪くは無いな。だが私よりは下だ!」
「そうかな、最初より随分と焦っているように見受けるが」
「ほざけ!!」
------------------------------------
もう何十合打ち合っているだろうか、流石の華雄も限界が近い
そろそろ手を抜くのは止めよう。華雄ほどの武人に失礼だし、その武に敬意を表して・・・・
「行くぞ!華雄。北郷一刀の渾身の一撃受けよ!」
「いざ!」
剣を縦横無尽に、しかし、規則性を持たせながら切りかかる。
槍術の妙義を剣術に適用した北郷家、そして、北郷の道場に伝わる剣技の一つ
しかし、この程度の技すぐに見切られるだろう。だから、チャンスは一度限り
「なに!なんだ、この剣筋は?!」
驚いているこの一瞬の内に柄を弾き、甲を叩き付ける
「っつ」
カラン
「勝者!北郷一刀!」
あとがき
変な所で終わって済みません。
一応、この後のぐだぐだを、書いて終わるか、次をぐだぐだから始めるかで
悩んだのですが、結局次をぐだぐだから始める事にしました。投稿されている他の皆様には
相手にならないヘボ文章ですが、是からも宜しくお願い致します。
そして、この後書きの真の目的ですが、全体の長さは本編と同じ位にしようと思っているのですが
エンディングを、恋姫†無双か、真・恋姫†無双のどちらのエンディング形式を取るか
アンケートを取りたいと思います。
恋姫†無双式 倒した陣営(劉備、曹操、孫策)の武将を味方になるよう説得してハーレム
真・恋姫†無双式 自陣営のキャラのみで各話形成
のどちらかを感想に書いて貰えるとありがたいです。是からも宜しくお願いします。
P.S 恋姫†無双式のエンディングになったとしてもキャラは真・恋姫†無双で行きます。
つまり、真・恋姫†無双登場の劉備、曹操、孫策、董卓陣営キャラ総勢38名のハーレムとなります
袁紹とか袁術が居ないのは、あの独特なキャラを自分の能力では上手く扱えないと思ったからです
なので、袁紹、袁術陣営のキャラは登場しません。あしからず・・・・。(袁紹、袁術が好きな方
ゴメンナサイ)その代わり、真・恋姫†無双式のエンディングとなった時は董卓陣営VS袁紹陣営
董卓陣営VS袁術陣営の合戦にて登場させます(こちらの場合恋愛描写をしなくていいから)
強制では有りませんが、面白いと思って下さる方は出来るだけお願いします。 by 作者
Tweet |
|
|
38
|
2
|
追加するフォルダを選択
遅くなりました。続きです。
今回で董卓軍全将との顔合わせ&一刀の強さの片鱗を見せて居ます。華雄はもう限界みたいに書いてますが、この時一刀は華雄と何十合も打ち合ってても全く疲れて居ません。それどころか手を抜いて戦って居ますそんな強さです。
文章ヘボくてすみません、是からも頑張りますので宜しくお願いします。