異形の軍勢を一体残らず殲滅してから迦楼羅達が村に戻ると
村長「この度はこの村を救って頂き、誠に有難う御座います」
村人総出で感謝の言葉を述べて来た。10万の軍勢をたった5人で殲滅したのでこんな待遇をされるとは思っていなかった旧董卓軍(以降馬謖軍と表記)は茫然として固まってしまった
そして迦楼羅達が数瞬固まっていると
???「あら、何固まってるのかしら? もしかして貴方達の武力を見た村の皆が引くとでも思ってたのかしら?」
村人の中から20人程の一団が出てきてそう声を掛ける
『!? ………何で雪蓮が此処に居る?それに桃香に冥琳に華琳に翠に由真も。あれ?でも格好が違う』
戦姫「それはそうだろう。此処にいる数人は今迦楼羅が上げた人物達の
戦姫の口から衝撃の言葉が紡がれる
緑「ハァ!?それどう言う事よ!ってか何でそんな事アンタが知ってるのよ!?」
戦姫「なに、月様の配下に成る前に居た官軍の部署で何度か彼女等に助けられたのだ。恩人を忘れる程私は馬鹿では無い。孫姉妹の母、孫堅殿。馬超の母、馬騰殿とその盟友韓遂殿。曹操の母、曹嵩殿。夏候姉妹の母、夏候充殿。周瑜の母、周異殿。司馬姉妹の母、司馬懿殿。袁紹と袁術の母、袁逢殿だ」
楓「おぉー、華雄ッチが月ッチ以外に殿を付けるとはな~~」
戦姫「何だと!?」
楓が戦姫をからかっていると
???「あらあら、華雄さん。御三方の事をお忘れですが?」
???「そうだぞ華雄よ。我々、特に御三方を忘れているぞ!」
???「ま、まあまあ。最後に会ったのはもう半年近く前ですし」
???・???「「そうだぞ華雄!私達の事を忘れてるぞーー!!!!」」
そんな声が聞こえてくると、戦姫・霞・音々音・月・詠の顔が驚愕したモノに成り、慌てて平伏する。そして
月「れ、霊帝様!弁様!協様!何故ここに!?それに何進さんと張譲さんも!?」
月の言う通り、台詞は上から何進、張譲、劉宏、劉協・劉弁と成っている
戦姫「ほら!お前達も跪け!」
戦姫と霞がずっと立ったままの馬謖一党と恋に跪くように言う
劉宏「ああ!そのままで結構です!と言うより月達も立ってください!私達は世間では死んだ事に成ってますし!って言うか村の皆さんも笑ってないで何とか言ってください!」
が、それを劉宏が慌てて窘め、劉宏以外の村人達が大笑いをする
それを見て劉宏は更にオロオロし、月達は更に茫然とするのだった
劉宏「先程は失礼しました。改めまして、私は劉宏、字を巨伯と申します」
劉弁「愛彩は劉弁!字は伯弁ね!」
劉協「愛衣は劉協!字は伯和だよ!」
張譲「……全く、御三方は。ああ、私は張譲、字は敬仲だ」
何進「私は何進、字は遂高です。良しなに」
???「私は劉順って言いま~す。字は伯徳ね~」
曹嵩「私は曹嵩。字は巨高よ」
夏候充「私は夏候妙上よ」
袁逢「私は袁逢、字を周陽と申しますわ」
司馬懿「司馬懿、字は仲達」
馬騰「オレは馬騰、字寿成だ」
韓遂「私は韓文約です」
???「私は司馬徽、字は徳操。号を水鏡と申します」
???「私は盧植、字を子幹と言います」
???「私は丁原、字は建陽です。って恋ちゃん霞ちゃん暑いです!少し離れてください!」
霞「い~や~や~」
恋「………嫌」
自己紹介している間、恋と霞は義母である丁原に抱き付いて離れようとせず、丁原は暑いからと二人を引き剥がそうと四苦八苦していた
孫堅「……まあ、愛の事はほっといて――――――」
丁原「ほっとかないでーー!!」
孫堅「――――――改めて、私の名は孫堅、字は文台よ」
周異「私の名は周異、字は子隠よ」
???「性を程、名を普、字を徳謀と申します」
???「私の姓名は韓当、字は義公と言います」
???「私は祖茂、字は大栄です」
『………馬謖。字、幼常。月様が真名預けてるから、俺も預ける。真名は迦楼羅』
桜「……徐公明。真名、桜」
緑「性は太史、名は慈、字は史義と申す。真名は緑です」
神楽「姜伯約です!真名は神楽だよ!」
秋桜「……私は高順。字は無い。真名は秋桜」
玲「徐元直であります。真名は玲であります」
楓「アタシは凌公績。真名は楓です」
雫「………鐘士季。真名、雫」
椿「あっしは鄧士載、真名を椿と申しやす」
と、馬謖一党が劉宏をはじめとする一団に真名を預ける
孫堅「あらあら、真名を預けられて預けないのは失敬ね。私の真名は炎蓮よ」
周異「我が真名は茜雫だ」
程普「私の真名は雪麗と言います」
韓当「私は
祖茂「私は里緒と申します」
曹嵩「私の真名は琳音よ」
夏候充「我が真名は冬蘭だ」
丁原「私はさっき炎蓮が言ってたけど、改めて。愛よ」
盧植「私は蛍と申します」
劉順「私は桜香って言います~」
馬騰「オレの真名は葵だ」
韓遂「私の事は香織と」
司馬徽「私の真名は流奈と申します」
袁逢「私の真名は美麗ですわ」
司馬懿「私の真名は結花よ」
劉宏「私の真名は――――――」
張譲「お待ちを!貴女様まで真名をお預けになるのですか!?」
劉宏「えぇ~だって私もう皇帝じゃないし。娘も皇族じゃないし。別に良いじゃん。てなわけで、私の真名は美沙夜と申します♪」
劉弁「愛歌は愛歌だよ!」
劉協「綾香は綾香だよ!」
何進「あらあら。私の事は紗耶香と呼んでくださいな」
張譲「紗耶香まで~~。ああもう!私の事は
と、真名を馬謖一党に預けた後ブツブツと言い始める張譲改め彩羽とそれを慰める何進改め紗耶香
菖蒲「さてと。真名の交換も終わりましたし、取敢えず現状を把握した方が良さそうです。師匠」
『………ん、分かった。
そう言って迦楼羅は銀狼を伴って村の外れに移動する。馬謖軍がその後に続き、興味深そうに村人たちも着いて行く
村の外れに来ると、迦楼羅は白い煙の出ている玉を取り出し、思い切り空に向けて投げる。すると、白い煙が尾を引いて空に飛んでいく
そして
迦楼羅・銀狼『「すううううぅぅぅぅ」』
15人「「「「「「「「「「「「「「「!!?」」」」」」」」」」」」」」」
迦楼羅と銀狼が息を吸い込むと、迦楼羅以外の馬謖軍の面々が驚きながらも村人達に耳を塞ぐように言い、不思議な顔をしながらも村人達は
迦楼羅・銀狼『「ウオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」』
これまで戦前に上げていた遠吠えが可愛く聞こえる位の大音量の雄叫びをあげた
その雄叫びは各国の至る所に響き渡った
そして、暫くすると
ザッ!! と、擬音が付き、迦楼羅の部下が全員集合した
『……菖蒲』
菖蒲「ハイ。さて、先程この楼桑村に異形の軍勢が攻めてきました」
菖蒲がそう言うと迦楼羅の部下達から此処もか。という雰囲気が起こった
菖蒲「その反応からすると、3国も同じように襲撃を受けたみたいですね。では、誰か報告を」
部下1「では私から。蜀を襲った異形は蛇と死人を掛け合わせたような形相をしており、突如として成都周りに出現。それもちょっとやそっとの量では無く、100万はゆうに超えるような大群が唐突に、何所からとも無く現れました」
菖蒲「ふむ、こちらと略似たような状況ですね。数は10倍以上ですが」
部下1「本当に何の前触れも無く100万を超える大群の出現に混乱している内に関所も城も飲み込まれ、成都で留守を守っていた黄忠将軍・厳顔将軍・魏延将軍・馬超将軍・馬岱将軍・公孫賛将軍・袁紹将軍・顔良将軍・文醜将軍・袁術殿・張勲殿・鳳統殿が指揮を執り、民を逃がしたのですが。逃走中に皆様バラバラに成ってしまい、現在消息不明です」
菖蒲「………そうですか。魏・呉は如何なのですか?」
部下2「魏も似たような状況です。軍師・将軍揃って行方知れずです」
部下3「呉も似通った状況です。唯、多くの将兵が捕虜に成ってしまったと」
菖蒲「……分かりました。最後に、洛陽は如何なのですか?」
部下4「……洛陽は。洛陽に向けられた異形の軍勢は……」
菖蒲「軍勢は?」
部下4「も、目測ではありますが。に、250万以上は確実かと」
全員『「「「「「「「「「「「「「「!!?」」」」」」」」」」」」」」』
菖蒲「そ、それで洛陽はどうなったのですか!?」
部下4「…劉備様・関羽将軍・張飛将軍・趙雲将軍・諸葛亮様・曹操様・夏候惇将軍・夏侯淵将軍・荀彧様・黄蓋将軍・周泰将軍・孫策様・周瑜様、そして、北郷様が軍を率いて迎撃に当たりました。しかし、現在洛陽には5万の兵力しかおらず、数の差で結局……」
菖蒲「そうですか。皆の生死は?」
部下4「不明です」
報告が終わった所で戦姫が
戦姫「如何するのだ?菖蒲」
菖蒲「情報が少なすぎます。何かほかに報告する事は?」
部下5「此処に来る途中、幾つかの城と陣営と軍を見ました。いずれも遠呂智軍に攻撃を受けていました」
菖蒲「うん?遠呂智軍とは?」
部下5「異形の軍勢の事です。奴等の首領は遠呂智と言うらしく。自らを遠呂智軍と称しておりました」
菖蒲「そうですか。で?その軍勢と言うのは?3国の何処に所属して居るのです?」
部下5「それが、どの国にも所属して居ないと思われます」
戦姫「? どう言う事だ?国の軍旗を掲げて無かったか?」
部下5「いえ、そうではありません。掲げていた旗は【織田】・【明智】・【豊臣】・【伊達】・【浅井】・【立花】・【島津】・【徳川】・【森】・【武田】・【真田】・【前田】・【上杉】・【直江】等でした。しかし、奇妙な旗も有りました」
音々音「むぅ、どれも聞いた事の無い軍なのです」
詠「奇妙な旗?」
部下5「ハイ。確か
玲「む、見た事の無い字であります」
そうして菖蒲達軍師は一旦情報を纏める。周異・司馬徽・司馬懿も手伝った事により、予定より早く情報を纏める事が出来た
霞「で?どないするん?菖蒲っち」
菖蒲「まだ情報が少ないですが、今は事を起こすべきでは無いので情報収集をし、ある程度将兵の生死と居場所が分かった時点でそれらを助けつつ勢力を増やして遠呂智とやらを討つと言う方針で行きましょう」
戦姫「む?遠呂智とやらを討たんのか?」
音々音「話を聞いていなかったのですか!?遠呂智軍とやらは少なく見ても500万は居るのですよ!?幾ら恋殿達が強かろうともねね達馬謖軍は兵約7000人・将3人・軍師4人位しか居ないのです!分かってるのですか!」
戦姫「む、将3人と言う事は無かろう」
音々音「お・ま・え・は!迦楼羅達は一応隠密であると言う事を忘れてやがりますか!」
音々音がそう言うと村人達から『あの強さで隠密!?』『冗談だろ?』等と言った声が上がるが一旦馬謖軍の面々は無視をして話を続ける
戦姫「おお!そうであった!」
音々音「ハァ。やれやれなのです。とにかく、500万を超える大群に7000其処等で挑むのは無謀を通り越して狂人の考えなのです。いくら恋殿や迦楼羅達が強かろうとも無謀なのです」
戦姫「む、それもそうだな」
詠「ねねが華雄を説得した事だし。取敢えずはこの村を拠点に情報収集を行っても構いませんか?」
村長「どうぞどうぞ。どうにも話を聞く限り、大陸の一大事じゃ。断るなどと言う狂った真似は致しませんぞ。必要な物が有ったら言うて下され。出来る限り支援いたしますぞ」
月「有難う御座います」
そう村長達と話して居ると
炎蓮「ねえ?もしよかったら私達を貴方達の軍に加えてくれないかしら?」
菖蒲「む、どう言う風の吹き回しです?黄巾の乱が始まる前に隠居した方々や逃げ出した方達が行き成り」
突如軍に加えてくれと言いだした炎蓮に迦楼羅以外の馬謖一党・戦姫・霞・音々音が怪しい者を見る様に睨む。確かに、大陸が群雄割拠の世に成る前に家督や地位を跡取りに譲って隠居した者や逃げ出した者ばかりの集団が行き成り軍に加えてくれと言いだせばそうなるだろう
炎蓮「あらら、手厳しいわね」
菖蒲「当たり前です。群雄割拠を見越したように家督や地位を跡取りに譲り渡して隠居。しかも15人も揃って。そりゃあ貴女達はボク等とは比べ物に成らない数の視線を潜り抜けて来たんでしょうけど、群雄割拠を生き抜いたボク等程の実力が有るとは思えないね。1年も隠居してたんでしょ?」
琳音「行ってくれるわね。これでも日々の鍛練はしていたのだけれど?」
そう言うと元皇帝一派と桜香、流奈、愛、蛍を除く11人の殺気が月・詠を除く馬謖軍に突き刺さる。しかし、当の馬謖軍は一部除いて余裕綽々と言った感じで
菖蒲「やっぱりいくら強くても1年隠居してた人の殺気ってこの程度だね。1人1人の殺気ならシャオや蓮華の方が強いね。おめでとうございます。晴れて娘より殺気が弱いと判明いたしました」
戦姫「見損ないましたぞ!これならまだ官軍に居た時の貴女方の方がよっぽど強かった!」
と、言ってはいるが、一部の者は
霞「い、いや。華雄っち、菖蒲っち。可笑しいやろ。あんた等感覚麻痺してへんか?」
音々音「シャオや蓮華もこんな殺気出さないのです!」
と、殺気に当てられて互いに抱き合って震えている
戦姫「む、情けないぞ霞よ。この程度の殺気、迦楼羅の者と比べたら何でも無いではないか」
霞「あ、あんた等と同じにすんなや!雪蓮並の殺気を14も浴びせられたら震えるやろ!」
戦姫「いや、迦楼羅との鍛錬を思い出したら震え等直ぐに止まったわ」
炎蓮「………私達を前にしてその態度。いい度胸じゃない」
殺気を向けていた14人から怒気も迸り、一触即発かと思われた
が、彼女等の怒りはすぐに収まった
その理由は
迦楼羅・恋『「………いい加減にしろ」』
迦楼羅と恋のたった一言。何故二人の一言で全員の怒りが収まったか
それは非常に古典的な理由だ
――――人間は自分より遥かにブチ切れている存在をみると冷静になる――――
ただそれだけか、と思う者がいれば、彼女等が見た風景を見て同じ事が言えるだろうかと問いたい
かたや、悪鬼羅刹も裸足で逃げ出し、普段の行いからは想像もできない程の鬼の形相で周囲に氣を容赦無くぶちまける恋
かたや、仮面で表情は読めないが、体中から氣が溢れ、体の所々から黒い手が出現している迦楼羅
しかも2人共元皇族一派と桜香、琉那、愛、蛍、月、詠、村人達には器用に氣・怒気・殺気を当ていない
その2人が人を何人か思念で殺害せしめるレベルの怒気と殺気を撒き散らして居る。その光景に自分達の怒りなど一瞬で覚め、冷や水を掛けられたように冷静になった将達
鍛錬で何度か受けている戦姫達でさえその目を見開いて若干唇の色が失せていたと言えばその状況が如何に恐ろしいか判っていただけるだろうか
当然、そんな馬鹿でかい氣と殺気と怒気に一騎当千の力を持つ将達、そして野生動物が気付かぬはずがない
沈没前の船よろしく鼠が大挙して引越を始め、飛ぶ鳥は墜ち、魚は川に浮かんでビクビクと痙攣、大陸のあらゆる場所で猫がその毛を限界まで逆立ててさながら毬藻の如き容貌となり、土佐犬の様な大型犬すら股に尾を挟んで親からはぐれた子犬のようになる
南蛮で昼寝をしていた美以達は飛び起き、報告に挙がっていた所属不明軍の将兵達は行き成り背筋に走った悪寒に驚いて2m程後ろに跳躍し、行方不明に成っている各国の主要な将達も行き成りの悪寒に武器を構え、各国の主要な城や軍を撃破した遠呂智軍の将兵の一部はショック死を起こしている。人では無いが、思念で本当に生き物を殺してしまった
そんな2人を見ていがみ合っていた者達は冷や汗をダラダラ流し、硬直していた
『……今はいがみ合っている場合じゃない。少しでも戦力が要るし、情報も足りない。それに、敵は人間じゃない。なら、人間同士で争う意味が無い。分かった?』
23人「「「「「「「「「「「「「「サー!イエッサー!」」」」」」」」」」」」」」
『……分かればいい。でも、これ以上喧嘩するな、俺と恋が同時に相手に成る』
23人「「「「「「「「「「「「「「サー!もう喧嘩しません!サー!」」」」」」」」」」」」」」
天下に名高き轟将軍と飛将軍が同時に相手だったら3国の兵は一人残らず裸足で逃げ出すだろう
迦楼羅・恋『「………ん。なら良い」』
そう言って2人は殺気などを引っ込めた
余談だが、殺気を向けられた23人は暫く体が硬直して動けなかった
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第弐話