No.604700

無表情と無邪気と無我夢中7-2

よし、後編!
なのは悩む&妹登場。
え?
おうかはシュテルが元で、あらしはディアーチェが元だとすると、レヴィはって?
追々登場します。させます。しやがります。

2013-08-03 21:10:25 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:984   閲覧ユーザー数:972

【無表情と無邪気と無我夢中7-2】

 

 

 

 

 

 

はやてや。

 

おうかにゃん視点やと話が進まんのでワタシのワタシによる一人称でいくで。

 

 

「あ、ワタシはやて。名前、八神はやてっていいます」

 

 

そういえば名乗ってなかったと思い簡単に自己紹介する。

 

 

「甘いわねはやて。こういう時は英語でビシッと決めないと。え~と、アイムアラシ。アラシ・ヤガミ。……センキュー」

 

「いや、最後の違くありません?」

 

 

ごもっとも。

 

おうかにゃんにツッコミを先取りされてもうたが、無理矢理カッコつけるからそうなるんや。

 

 

「い、いいのよ!これがあらし流よ」

 

「八神流ではなくあらし流ですか。貴女しかいないじゃないですか」

 

「うるさい、いまだおうかにゃんのくせに生意気だ!」

 

「な……仕方ないじゃないですか!なかなか治ってくれないんです!」

 

 

あぁあ。

 

いつものパターンに入ってもうた。

 

こうなってまうと私ですら入れないフィールドが出来上がってまうので、そういう時は除け者通しでワタシはワタシの空間を作ることにしている。

 

 

「くすくすくす」

 

「あの二人はいつもあんなんやねん」

 

「面白いね。あらしと……おうかにゃん?」

 

「ぷっ……」

 

 

あらら。

 

おうかにゃん、ちゃんと自己紹介してなかったんやな。

 

はよせんと“おうかにゃん”で覚えられてまうで。

 

 

 

ん?

 

 

 

「って、日本語大丈夫なん?」

 

「え?……あ、あ~……」

 

 

 

何やろ?

 

なんか言えへん事情でも抱えてるんかな。

 

 

「……まあええか。これからよろしくな。え~と……」

 

「そういえば名前言ってなかったっけ。私は―――」

 

「―――私はおうかです。高町おうかって言います」

 

 

て、うぉい!

 

どんなタイミングで口挟んでるねん!

 

 

「おうかにゃんは黙っててぇな」

 

「おうかにゃんね。私は―――」

 

「違います!おうかにゃんでなく、おうか!」

 

「はいはいおうかにゃん黙ろうにゃ~」

 

「ふぐぅ……んん、んんん!」

 

 

あらし、グッジョブや。

 

もう、おうかにゃんで定着させようか。

 

 

「……もういいかな?」

 

「あ、ごめんごめん。さあどうぞ、舞台は整ってるで!」

 

「…………」

 

 

あ……やってもうたか。

 

ちょっとの間、静かな時間が流れた。

 

 

「……アリシア。アリシア・テスタロッサ」

 

「アリシアちゃんか。これからよろしくな」

 

「ん~、ん~~!」

 

「よろしく~」

 

 

挨拶をすませたら、アリシアちゃんが時間を気にして時計を見た。

 

 

「もうこんな時間!?シュークリーム買いに来ただけなのに……」

 

 

あ~そうやったんや。

 

そこでおうかにゃんが引き止めて、さらにはワタシらが引き止めてもうたんなら申し訳ないな。

 

 

「おうかにゃん。今日はここまでやね」

 

 

その後、アリシアちゃんはシュークリームを5個買って帰っていった。

 

可哀想なのは、おうかちゃんの名前が“おうかにゃん”で覚えられてもうたことやね。

 

 

てか何でまだ傷治ってないのか不思議や。

 

 

呪いでもかかってるんちゃう?

 

 

 

 

 

 

なのはなの。

 

ようやく私視点で話が進められるの。

 

最近おうかちゃんがお母さんにお菓子作りを習い始めたの。

 

おうかちゃんいわく「鼻をあかしたい奴がいるのです」とのこと。

 

お父さんから剣を習っているのにその上お菓子もだなんて。

 

翠屋二代目は私がなりたいなって思ってたのに……ズルいの。

 

そんな私は今神社でくぅちゃんとそういう話をしていました。

 

 

「なのはは、翠屋の二代目になりたくないの?」

 

「なりたいけど……おうかちゃんがいるから」

 

「……それは違う。おうかは関係なくて、なのはがどうしたいかだと思う」

 

 

私が……?

 

私は……どうしたいんだろう。

 

 

「じゃあ、久遠はなのはのシュークリームが食べてみたい」

 

 

私の……シュークリーム?

 

でも。

 

 

「おうかちゃんも作ってるんだから、おうかちゃんの食べればいいと思うの」

 

「むぅ……おうかのシュークリームの試食係は決まっちゃってるみたいだから食べれない。でも、なのはのシュークリームの試食係は空いてるから久遠がやる!」

 

 

そうだ。

 

そういえばそんなこと言ってた。

 

でももし私がおうかちゃんを超えちゃったらどうしよう。

 

 

「そうなったらそうなったでいいんじゃない?」

 

 

あれ、あらしちゃんいつの間に?

 

 

「なのははネガティブに考えすぎ。将来なんてまだわかんない訳だし、やれるだけやってみれば?」

 

「……あらしちゃんは将来何になりたいの?」

 

 

ふと気になったの。

 

 

「アタシ?ん~……」

 

 

あらしちゃんも決まってないのかな。

 

そうだよね。

 

はやてちゃんのこともあるし―――

 

 

「秘密」

 

 

―――決まってるんだ。

 

やっぱり私……

 

 

「といってもただの夢よ。こうありたいなっていう望み」

 

 

そこにあったあらしちゃんの顔は、いつもおうかちゃんとケンカしてるあらしちゃんじゃなくて。

 

少し悲しい目をした。

 

 

「だからさ。おうかより先になのはが翠屋二代目になっちゃえばいいじゃん。誰も文句言わないよ」

 

「そうそう。だから早くなのはのシュークリーム食べさせて」

 

 

そうだね。

 

おうかちゃんが誰かを見返すためにシュークリームを作り続けるなら、私はそのおうかちゃんを見返せばいいんだ。

 

 

「久遠。それじゃアンタ、シュークリーム食べたいだけにしか聞こえないわよ」

 

「ぎくっ」

 

 

く、くぅちゃん……

 

 

「ていうか久遠、今日はうち来ないの?」

 

「あ、ごめん忘れてた」

 

「はやて心配してたわよ。なんか事故にも遭ったんじゃないかって」

 

「くぅ、ごめん。なのはが悩んでたから」

 

「私もごめん。連絡入れておけばよかったね」

 

 

そう、いつからかくぅちゃんはほぼ毎日はやてちゃんとあらしちゃんの家にいる。

 

たまにおうかちゃんがくぅちゃんに会いに二人の家に行ってるみたいなの。

 

 

「ん~、それなら仕方ないか。で、どうすんの?」

 

「くぅ、行く」

 

「はやて、翠屋で待ってるから早く行くわよ―――じゃまたね、なのは」

 

「またね」

 

「うん、二人共また」

 

 

一人になっちゃった。

 

でも少しだけ心が楽になったかな。

 

門限まで時間あるし、海岸公園まで歩こう。

 

 

 

 

 

 

考えすぎ、なのかなやっぱ。

 

ちょっと夜にでもおうかちゃんに相談してみよう。

 

テクテクテクと海岸沿いを歩いていたら金髪の女の子がベンチでシュークリームを食べていたのが目に入った。

 

あ、細かく食べては噛みしめてる。

 

もしかしてあの子がおうかちゃんが言っていた仇の子?

 

 

「…………!?」

 

 

あ、気付かれたの。

 

その子はそそくさと荷物を纏めて立ち去ろうとした。

 

 

「ちょっ、ちょっと待って!」

 

「……ごめんなさい!」

 

「とって食うつもりはないの。お話がしたいだけなの~!」

 

 

止まってくれたの。

 

 

「?……あれ、あの子じゃない?」

 

「私なのはっていうの。あなたは?」

 

「…………フェイト」

 

 

 

「へえ~、お母さんの病気の治療のために引っ越してきたんだ」

 

「うん。海鳴大学病院ってとこに専門の先生がいるっていうから」

 

 

海鳴大学病院は私もよく知ってる。

 

数年前にお父さんが入院していた所だし、今もはやてちゃんが通院している所だから。

 

 

「……でもなんでマンションは隣町なの?」

 

「そこは母さんのうっかり」

 

 

まあ仕方ないの。

 

マンションとかはこっちより隣町の方がいいマンションいっぱいあるし。

 

5人家族なら広さや部屋もそれなりに無いと困るしね。

 

 

「あれ、私家族5人って言ったっけ?」

 

「え、違うの?シュークリーム合計5個あったからてっきり……」

 

「……あ~……一応間違いじゃない」

 

 

 

どういうことなの?

 

もしかしてペットとかも含めてってことかな。

 

まさかくぅちゃんと同じような人がいるなんて、そんな偶然ないよね。

 

 

「そのシュークリームおいしい?」

 

 

箱からみるにこのシュークリームは翠屋のシュークリームだ。

 

お母さんの得意商品。

 

お父さんを虜にしたという最高の一品なの。

 

 

「うん。みんな表情が崩れてた」

 

 

やっぱりうれしいの。

 

お母さんを褒められると自分が褒められているように感じる。

 

 

「幸せな気持ちになる、っていうのかな」

 

 

そういえばお母さん、おうかちゃんにそのことを言ってたの。

 

食べてくれた人がそれだけで幸せを感じて笑顔になれるように。

 

 

……なんだ。

 

 

簡単だったの。

 

 

自分が相手の幸せを願ってやることならなんだっていい。

 

 

自分が得意なこと。

 

 

自分が憧れていること。

 

 

私がカメラを好きになった理由も、撮った写真をお母さんが褒めてくれて幸せそうな顔をしたからなの。

 

 

だったら、なおさらおうかちゃんに負けてられないの。

 

 

いっぱいお菓子のこと勉強して、いっぱいカメラのこと勉強して。

 

 

たくさんの人にちっちゃくてもいいから幸せな気持ちになってほしいの。

 

 

「ありがとフェイトちゃん!」

 

「え……な、なにが?」

 

 

あ、キョトンとさせちゃったの。

 

 

「私、さっきまで色々悩んでたんだけど、フェイトちゃんとお話してスッキリした!」

 

「私、なんもしてないよ?」

 

「いいのいいの。改めてありがと」

 

「ど、どういたしまして……」

 

 

早速お母さんにお菓子作りを教えてもらうように頼み込むの。

 

おうかちゃんに先を進ませるわけにはいかないの。

 

 

「あ、そうだ。また、ここで会えるかな?」

 

「え~と、ごめんわかんない……今日ここにいたのはたまたまだから」

 

「そうなんだ……あ、じゃあ」

 

 

私はポーチの中からペンとメモ帳を取り出して、私の携帯番号を記していく。

 

そしてそれをベリッて破ってフェイトちゃんに渡しました。

 

 

「もし時間が出来て暇だったらここに電話してほしいの。絶対会いに来るの」

 

「…………」

 

 

ちょっとビックリさせちゃったかな。

 

 

「ありがとなのは。今日はもう時間無いからまた今度ね」

 

 

そう言ってフェイトちゃんはシュークリームの箱を手にして走っていっちゃいました。

 

 

「またね~フェイトちゃ~ん!」

 

 

私も手を振って見送ります。

 

それよりも。

 

フェイトちゃんが私の名前を呼んでくれました。

 

自己紹介してからさっきまで、いつ呼んでくれるだろうって密かに待ってたのです。

 

でも去り際に呼んでくれました。

 

なんだかすぐにまた会えそうな予感がします。

 

 

 

また会いたいな。

 

 

色んなお話したいな。

 

 

そしてゆくゆくはあの綺麗な金髪をいじってみたいの。

 


 
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