第7弾 装備調達
キリトSide
さて、菊岡に指定された場所に行くのは良いが…。
「この『旧居住エリアD-10』と『総督府』ってどこだ?」
「え、キリトくん場所知らないの?」
「……どうせあの男のことだ、その場所に行けとだけしか言われていないんだろ?」
俺の問いかけにアスナは驚き、呟いたハジメの言葉は大正解だ。
案内のエージェントでも用意させておくべきだった。
まぁ、今更そう思っても仕方がないか…。
「それならわたしが誰かに聞いてみるよ」
「俺が聞いた方が良くないか? 自分で言うのも難だが、この容姿なら釣れると思うし。
それにアスナにはあまりそういうことはさせたくない」
確かにアスナならば確実に釣れるだろうが、俺としてはさせたくないところである。
だが彼女の意思は固いようで…。
「お願い、キリトくん。わたしにはこういう事しか出来ないから、ね?」
「……アスナがやりたいと言っているんだ、やらせてあげればいいだろう」
そう言われた上にハジメにも苦笑しながら言われたのならば断わることなどできない。
「…分かった。けど、なにかありそうだったらすぐに割り込むからな」
「うん、その時は守ってね」
当然、守るに決まってるだろう…。
アスナは辺りを見回し、NPCではなくプレイヤーを探し、そのまま駆けて行った。
その様子を見ていると、彼女は1人のプレイヤーに声を掛けた……なんと、女性だった。
キリトSide Out
シノンSide
ついに今日は第3回『バレット・オブ・バレッツ』通称『BoB』の予選が行われる。
前回は本大会とはいえ、22位という不本意な結果に終わってしまった。
だけど、今回こそは全員倒して、絶対に優勝してみせる……その時こそ私は、乗り越えられるはず。
大会へのエントリーを行える総督府に向けて歩き出そうとしたその時…、
「あの、すいません。少し道を教えていただけませんか?」
そう声を掛けられた。明らかな女性の声なので特に警戒もせずに振り返ってみると、
そこには真紅のツインテールをした私と同じくらいの年齢と思えるアバターの女の子がいた。
アバターにしてもかなりの美少女なので少し驚いたけれど、道を尋ねてきたことと装備が初期の物から考えて、
このゲームは初心者なんだと思い、話しを聞くことにする。
「このゲームは初めて? どこに行きたいの?」
「はい、初めてです。友達も一緒なんですけど…」
女の子だけというのは私を含めてこのゲームなら当然かと思ったけど、もしかして連れは男なのかもしれない。
一応警戒はしておくけど、ここで初心者を追い返しては名が廃れると考える。
「それじゃあ、その友達も呼んでもらえる?」
「あ、はい」
彼女は通りの方へ手を振り、誰かを呼んだ。
果たしてどんな奴が来るか……と、身構えてから拍子抜けした。
こちらに歩み寄ってきたのはまたもや2人の女の子だった。
1人は紅髪の女の子と同じような白い肌に黒髪、もう1人は浅黒い肌ながらも滑らかで白銀の髪をしている。
驚いた、まさか女の子3人でのプレイだなんて…脳裏に少し、遠藤達の顔が過ぎったけれどそれを振り払い、
彼女達の目的地を聞いてみる。
「それで、どこに行きたいのかしら?」
「実は『旧居住エリアD-10』と『総督府』に行きたいんです」
「D-10と、それに総督府? 何しに行くの?」
黒髪の子が目的地を教えてくれた。
D-10は確か露天商やら個人のプレイヤーが開いている店とかがあるエリアだから解るけど、初めてで総督府に?
「……今日から行われる、バトルロイヤルイベントに参加しようと…」
「え、今日、初めてなんだよね? なのに、イベントに…?」
銀髪の子の言葉に少し動揺した。正直、BoBは初心者が参加して戦えるような大会じゃない。
そう思っていると、紅髪の子が口にした。
「わたし達、別のゲームからのコンバートなんです」
「そうなんだ……どうしてこんなオイル臭くて埃っぽいゲームに来たのか聞いても良い?」
納得した、コンバートなら他のゲームでそれなりの能力があればこっちでもやれると思う。
自分でいうのも難だけど、彼女達がこんなゲームに来た理由には興味が湧いた。
「いままでファンタジー系のゲームが多かったんですけど、偶にはこういうサイバー的なものもやってみたいと思いまして…」
「……それに、銃の世界で他の世界の戦い方がどれくらい通用するか、とも…」
「わ、わたしは、2人が行くって言ったから、折角なんで…」
黒髪の子と銀髪の子はサクサクと応えたけど、紅髪の子は少しどもりながら応えた。
確かに、偶には趣向を変えてプレイしたいと思うかもしれないし、腕試しというのも頷ける。
だけど、黒髪の子は話しを続けた。
「それに、少し調べてみたい『噂』があるんです……『死銃』って、ご存知ですか?」
「『死銃』って、あの訳の分からない行動をしたっていう?」
そういえばその死銃という奴がゼクシードと薄塩たらこを殺したなどという迷信めいた噂があるのを思い出した。
それに紅髪の子がなんか動揺したような気が…。
「掲示板でそういうのを見つけたので、折角ですからどんなものかと思ったんです」
「ふ~ん…ま、所詮は迷信よ。でも、大会に出るのならまずはガンショップだけど…」
例の死銃というのに興味が湧いた、ね…。
まぁ噂を解明したいとか、実際に会ってみたいとか、分からないでもないけど。
とりあえず、大会に参加するのなら装備を整えないと。そう話しを切りだしたところ…。
「その装備なんですけど、さっき言った旧居住エリアに知り合いがいるんです。彼が武器を譲ってくれるそうなので…」
「そうなの?……分かった、そこまで案内するわ」
なるほど、それなら態々コンバートしても装備に自身が持てるから大会に参加する気にもなるわね。
「それじゃあ行きましょう。その後は総督へ、私も大会に出場するし」
「「「ありがとう(ございます)」」」
3人にお礼を言われて、笑みで応えてから旧居住エリアD-10へと私達は向かった。
D-10に着く前に大きなマーケットを紹介しておいた。
今後もプレイしてくれるのなら、やっぱり慣れていてほしいし。
そしてD-10の入り口についた。
「それで、知り合いってどんな人なの?」
「目立つように青一色のローブを着ているらしいんですけど……あ~、アレですね、多分」
聞いてみると黒髪の子が答えて、すぐになんか残念そうな声音で言った。
その先を見てみると……うわぁ、そこには派手な青のローブを纏い、なんかポーズを決めている男がいた。
3人の様子を見てみると頭を抱えている。
「……とにかく、話し掛けてみよう…」
「はぁ、OK…」
「う、うん…」
銀髪の子の言葉に黒髪の子と紅髪の子が頷き、私も苦笑するしかない。
「それじゃあ私はここら辺で露店を見てるから、終わったら声を掛けて」
「はい、分かりました」
そう声を掛けておくと紅髪の子が返答し、私は露店を見ることにした。
シノンSide Out
ハジメSide
3人で男に歩み寄り、キリトが声を掛けた。
「すみません、貴方が『
「おう、そうだが…もしかして、アンタらが菊岡さんの言っていた3人か? 2人は男だと聞いていたんだが…」
どうやら当たりらしい、それと私とキリトは男だ。ちゃんと性別も男になっている。
「俺とコイツは男だ、なんでもM9000番系とかいうタイプのアバターらしい」
「おっと、そいつは悪かったな」
敬語だったキリトが口調を変えた様子を見るに、気に障ったようだ。
多分この男相手にキリトはもう敬語を使わないだろう。
「じゃあ装備を渡そうか。誰が銃に詳しいんだ?」
「……私だ」
「了解、この中から見繕ってくれ。あと防具の類も用意してある」
彼が表示したアイテムストレージには幾つかの銃や武器があり、
その中には私がキリトを通して菊岡に注文した物もあった。
そんな中、1つの武器が目に入った。
「……この『フォトンソード』というのは?」
「ああ、そりゃ剣だよ。光の剣、『光剣』と書いて『コーケン』って読むらしい。
アンタらALOじゃ剣士なんだろ? だから必要かと思ってな」
それはありがたい。見ればキリトとアスナもホッとした様子だ、私はともかく2人は完全に剣士だからな。
まずはキリトの分を見繕うか、あまり凝ったものにするよりも…。
「……ファイブセブンと「フォトンソードを2本頼む」……正気か、キリト?」
フォトンソードを2本要求したキリトに思わず聞き返した。
確かに二刀流剣士としてはそうしたいだろうが、このGGOでそれは…。
「俺の場合、下手な射撃よりも高速で移動して斬りつけたり、近づいて撃った方が良い」
「……はぁ、分かった…。あとはコリブリか、珍しいな…」
威力は低く、射撃精度も低いが至近距離で心臓部や頭部を撃てれば十分だろう。
それに剣士ならば簡単に扱えるものだ。
「フォトンソードはどうする? カラーリングは白と黒があるが…」
「白と黒、1本ずつで」
TOKKOUに聞かれたキリトは『フォトンソード・カゲミツG4』のマットブラック塗装とライトホワイト塗装を1本ずつ、
牽制用の『FN・ファイブセブン』、奇襲用の『コリブリ』、予備弾倉、厚手の防弾ジャケット、
ベルト型の『対光学銃防護フィールド発生器』、小物装備等を受け取る。
「……今度はアスナだが、どうする?」
「えっと、わたしもフォトンソードの白いのを1本と、あとはお任せします」
少し考えてからTOKKOUにアスナへの装備を渡してもらう。
アスナは『フォトンソード・カゲミツG4』のライトホワイト塗装、『バタフライナイフ』、
『ベレッタM92FS』のフルオート、威力のある大型拳銃『コルト・ガバメント』、Mobに有効な『光学銃』、
予備弾倉、薄手の防弾ジャケット、ベルト型の『対光学銃防護フィールド発生器』、小物装備等を受け取った。
「……最後に私だな…っ、これは…!」
前から受け取る物を注文していた私は注文した物以外で
一応それも受け取っておく。私は『バヨネット・ソードモデル』、『デザートイーグル』、『光学銃』、
スナイパーライフルの『ドラグノフ狙撃銃』、予備弾倉、厚手のジャケット、ベルト型の『対光学銃防護フィールド発生器』、
小物装備等、そして先程目についた1品を受け取る。
「よし、渡すものはこれでいいな。出来れば噂で済んでほしいが……3人共、気を付けてくれよ」
そう言ってTOKKOUはログアウトし、私達は水色の髪の女の子の元へ移動した。
ハジメSide Out
To be continued……
後書きです。
はい、キリト達がシノンと出会いました・・・まぁ視点的にはシノンが出会ったというべきでしょうねw
まぁ女の子だと勘違いされたままですがw
さらにキリトの装備は原作よりも強化、ハジメとアスナもそれなりの装備になりました。
強すぎじゃね?ですか?・・・装備を要求したんですから、せめてこれくらいじゃないとw
それとハジメとアスナの銃は「緋弾のアリア」を参考にしました。
あとハジメの『バヨネット・ソードモデル』はオリジナルの武器で銃剣です、剣がメインの銃ですね。
キャラ設定にキリト達の装備も書き加えますよ。
次回は例のギャンブルゲーム話です、あとは原作と少々違う展開もあります。
それでは・・・。
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第7弾です。
タイトルの通り、今回は装備の調達を行います。
あと、キリト達が彼女とも出会いますよ。
どうぞ・・・。