-序章-
目覚め
ここはカグツチに存在する小さな村。
この場所にはカカ族と呼ばれる種族が生活している。上層にある都市とは違い薄暗く、魔素の充満している麓にも近いため一般人はほとんど立ち入らない区域だ。
そんな村の小さな丘の上でその人物は目を覚ました。なにを隠そう先程山の麓で気を失っていたあの人物である。
「…ここは?」
状況を理解できずに辺りを見回して首を傾げている。
「…天国?」
と、思考をまとめようとしたところに、
「「「あ~。起きた~」」」
足元から三つの声が揃って聞こえてきた。声の方に目を向けるとそこには小さなカカ族の三人組がいた。三人共カカ族に特有の服装で顔まではわからないが身長から察するに全員子供だろう。
「おはよ~」
「大丈夫~?」
ぼーっとしている人物に向かって心配そうに顔を覗き込むチビカカ達。そこで我に返ったのかようやく声に反応する。
「はい、大丈夫です。すいませんあまりにもかわいくて見とれてました。」
最後の方は小声になって聞き取りにくかったがとりあえずは会話を成立させる。
「よかった~」
「運んできてからずっと寝てたから心配したよ~」
「じゃあタオ姉ちゃん呼んでくる~」
テンポ良く三人が喋りそのうちの一人がどこかに走っていった。
「…かわいい」
小声で呟き、恍惚の表情を浮かべているとついさっき走り去ったチビカカの一人が誰かを連れて戻ってきた。
「タオ姉ちゃんほら見て」
「おぉ、ホントに起きてるニャス」
チビカカにタオ姉ちゃんと呼ばれたその人物はチビカカ達を大きくしただけのような外見をしていたので彼女もカカ族なのだろうと推測できる。
「あんた大丈夫ニャスか?」
目の前まで来て話かけるタオカカ。それに対し、
「は~い大丈夫で~す」
気の抜けた声が返事をする。
そして、声の主はここでようやく自分が顔も見せておらず、名前も名乗ってないことに気がついた。
「申し遅れました~。私はウツメという者です~」
名乗ってから着ていた外套を脱ぐ。
現れたのは可愛らしい少女の顔だった。外套の上からではわからなかったが胸もある。しかし、それよりも印象的なのは暗い、まるで深い闇のような虚ろな瞳だった。目の下には黒いクマが出来ている。
「ニャンと女の人だったニャスか!タオはびっくりニャス」
驚いた素振りを見せるが口元は笑っているように見える。そして、
「女の人ならやらなければいけないニャスな~」
笑顔を浮かべながらにじりよってくるタオカカ。次の瞬間
「えいニャス」
掛け声と共にウツメの胸にタッチする。そのまましばらく押し込んだり上に持ち上げたりする。ウツメは特に反応せずされるがままにしている。
「む~これは乳の人には及ばないながらも中々の大きさと柔らかさニャスな~」
「そうですか~」
ひとしきり胸を揉んだあと手を離すタオカカ。これが彼女なりの挨拶みたいなものだったのかようやく
「タオはタオニャス。暗い人はなんで外にいたニャスか?」
と、自己紹介を済ませ質問をする。暗い人というのはおそらくウツメのことだろう。タオカカは名前よりも印象で人を覚えるらしい。
「旅の途中だったんですがお腹が空いて倒れちゃったんです~」
暗いと言われたのにさほど気にした様子もなく会話を続けるウツメ彼女もちょっとズレている。
「ペコペコだったニャスか。それならタオにいい考えがあるニャスよ」
タオカカは笑みを浮かべたままウツメの手を取り立ち上がらせる。
「タオは咎追いというのになって賞金首とかいうのを捕まえてお金いっぱいもらうニャス。そしたらいっぱいご飯食べられるニャスよ」
「なるほど~」
タオカカに促されて立ち上がりながらやる気のない声で応えるウツメ。まったく興味がなさそうである。
「でもその前に一回乳の人のところに行くニャス。乳の人ならご飯もくれるはずニャス」
言うが早いかタオカカはウツメの手を引き移動する。
「ちょっと待ってくださいよ~」
ウツメは先程脱ぎ捨てた外套と唯一の荷物である二本の布を取りタオカカの後に続く。
ここから蒼に交わる異色の物語が幕を開ける。
作者コメント
どうも作者です。
今回ようやくセリフが入りました(笑)
色々考えた結果やっぱりタオカカと最初に絡ませるのが無難かな~と思いこうなりました。
まぁ、タオカカを原作のように再現出来たか不安だらけですが(^^;
しかし、ストーリー内のタオカカは可愛いのにゲームで対戦すると泣きを見ますよねタオカカ(;´д`)
さて愚痴も入ったところで次回はチャイナ服に白衣を着たあの人が出ます。
お楽しみに~(^^)/
え?チビカカ達の性別がわからない?
何を仰いますやらあんなに可愛いチビカカ達が♂なわけないじゃないですか┐('~`;)┌
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序章のラストです。
ようやくキャラが喋ります。
原作キャラも今回出ます。
不安だらけですがお楽しみくださいm(__)m