No.578601

IS−インフィニット・ストラトス−黒獅子と駆ける者−

トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!

2013-05-21 15:07:46 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:643   閲覧ユーザー数:632

 

 

 

 

episode170 不可能を可能にする太古の遺産

 

 

 

 

「それにしても――――」

 

「・・・・」

 

『・・・・』

 

隼人達はしばらく隠し扉の奥の通路を進んでいくが、まだ歩いていた。

 

「長ったらしいなぁ・・・この通路は・・・」

 

「確かに・・・」

 

『かれこれ二十分ほど歩いている気が・・・』

 

「ってか、こんなに広い感じの遺跡だったか?」

 

「さぁ?」

 

『・・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここで一旦休憩しよう」

 

「えぇ」

 

「うん」

 

「・・・・」

 

楯無と簪、バンシィとシャルロットはアンノウンの猛攻を避け、何とかとある部屋に到着する。

 

「それにしても、隼人君達は大丈夫かしら」

 

「分からない。何とかユニコーンと合流できていればいいんだけど・・・」

 

「隼人君の事だからやられてしまうって事は考えにくいけど・・・あれだけの敵が居るとさすがに・・・」

 

「・・・・」

 

全身装甲なので簪の表情は見えないが、その下には不安の色が浮かんでいた。

 

「大丈夫だよ、簪」

 

シャルロットは簪の様子を見て、声を掛ける。

 

「例えどんな敵が現れようとも、隼人は負けはしない」

 

「シャルロットさん・・・」

 

「信じているからね。義妹として・・・義兄をね・・・」

 

「・・・・」

 

「・・・まぁでも、みんながバラバラになったのは・・・最も隼人が原因だけどね」

 

「確かに・・・そうね」

 

「う、うん」

 

三人は苦笑いする。

 

 

 

「・・・・」

 

バンシィは警戒しながら周囲を見ていると、あるものが目に留まる。

 

(あれは・・・)

 

警戒しながら近付くと、壁にあるコンソールに触れる。

 

するとコンソールに光が灯され、モニターが起動する。

 

「バンシィ?」

 

起動音に気付いて三人も近付く。

 

 

 

 

「・・・どうやら、ここは実験施設みたい」

 

「え?」

 

バンシィがコンソールを操作すると、部屋の中にある各モニターが付いて薄暗かった部屋が少し明るくなる。

 

「未だに動くって・・・」

 

「Gシステム78の動力は永久に動く代物。何千年も動いてなくても動力は生きている」

 

「凄いわね。ますますそんなものがこの地球にあったのが不思議でならないわね」

 

「う、うん」

 

「・・・・」

 

 

 

 

「それで、ここで何が行われていたの?」

 

「・・・・」

 

バンシィはデータをある程度閲覧する。

 

 

 

「・・・なるほどね。謎が解けた」

 

「え?」

 

「何の・・・謎が?」

 

シャルロットと楯無は唖然とする。

 

 

 

 

「ドクターアルベルトが戦闘機人の技術を得た理由がね」

 

「っ!」

 

その名前を聞いた途端楯無の気配が変わる。

 

「戦闘機人の技術って・・・」

 

「どういうことなんですか?」

 

シャルロットと簪は怪訝な様子で聞き返す。

 

 

「そもそも生き物と機械の完全な融合はこの世界の技術力じゃ不可能。それすらも可能に出来るのは・・・それに準じた技術がここにあったから。そしてそれを扱う天才がいたから」

 

「・・・つまり?」

 

 

 

「・・・ドクターアルベルトはここで生まれた」

 

「「「っ!?」」」

 

三人は驚愕する。

 

「そして戦闘機人の技術を得て、彼は戦闘機人を産み出した」

 

「・・・なんてやつなの」

 

「こんな所で・・・」

 

「・・・・」

 

 

 

「同時に、隼人もここで生まれた」

 

「な、何ですって・・・?」

 

「確かに戦闘機人として生まれたって言っても、こんな所で隼人が?」

 

「隼人は直接転生されたわけじゃない。ここで生まれて、その後はどういう経緯があったかは分からないけど、ここから出ている」

 

「・・・・」

 

「じゃぁ、あいつも・・・ここで・・・」

 

楯無は左拳を握り締める。

 

「それは分からない。でも、彼は誰かのクローンである事は確かだね」

 

「誰かの?」

 

「うん」

 

「それは一体?」

 

「そこまでは分からないよ。まぁ、まともな人間じゃ無さそう」

 

「・・・・」

 

「さすがに失敗はあったみたいだけど、成功体として隼人。そしてコストダウンされた戦闘機人のプロトタイプ・・・シノンがここで生まれた」

 

「隼人や・・・シノンがここで・・・」

 

「・・・あいつが戦闘機人の技術を得た場所、か」

 

楯無の声にはいつもとは違って怒りが混じっていた。

 

 

 

 

 

 

 

(まさか、ドクターアルベルトがここで戦闘機人の技術を得ていたなんて。あれだけの技術力を持っていてもおかしくは無い)

 

バンシィはコンソールの端末の差し込み口に右掌より接続コードを出して差し込み、データのコピーを行う。

 

「・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようやく行き止まりか」

 

しばらくして隼人達はある部屋に到着する。

 

「帰り道が結構大変になりそうだね」

 

「あぁ。これで何も無かったら無駄骨もいい所だぞ」

 

『それは・・・そうですね』

 

隼人は周囲を警戒しながら奥に進む。

 

「でも、何かはありそうだけどね・・・」

 

ユニコーンも前の方を手探りしながら進むと・・・

 

 

 

「・・・あっ」

 

すると手に何かが触れた。

 

「どうやらあったみたい」

 

「そうか。まぁ、無駄骨にならない以上良かったと言った所か」

 

『・・・・』

 

リインフォースは壁際を探っていると、何かの装置に触れて稼動音がして部屋が明るくなる。

 

「・・・これって」

 

「・・・・」

 

明るくなった部屋の置くには、大きなある装置があった。

 

「何だ?これは?」

 

『何かの・・・装置でしょうか?』

 

 

 

 

「・・・本当に私達って、悪くとも、運がいいみたい」

 

平然を装っているが、その声に緊張味があった。

 

「何?」

 

『どういう意味だ?』

 

隼人とリインフォースは聞き返す。

 

「恐らくバインドの目的は、これだね」

 

「何?」

 

『これ・・・だと?』

 

「そう。ある意味禁忌の力を秘めた装置だよ」

 

「・・・・」

 

『禁忌の・・・力・・・』

 

 

 

 

「それがこの・・・『Gシステム・アルタートゥム』」

 

「Gシステム・・・」

 

『アルタートゥム?』

 

「そう。不可能を可能にするGシステムの元となった・・・創造システム」

 

「Gシステムの原型・・・だと?」

 

『通常のものとはどう違うのだ?』

 

「基本的に創造システムなのは変わらない。でも、唯一違うのは・・・・・・情報源」

 

「情報源?」

 

「Gシステムは沢山の情報がなければ完全な物を創造する事が出来ない。その分情報が不足しやすく不完全な物が出来やすい」

 

「なるほど」

 

「・・・でも、アルタートゥムはそんな情報は要らない。必要なのは・・・・・・記憶」

 

「記憶?」

 

「アルタートゥムは記憶やメモリーから物を創造する」

 

「記憶から・・・だと?」

 

「もしくは強く固いイメージでも創造できる」

 

『つまり、何でも作れると?』

 

「そう言う事。それが禁忌ともいえる所以だよ」

 

「それは・・・?」

 

「このGシステムがあれば・・・・・・命すらも作り出せる」

 

「命・・・だと?」

 

隼人は少し反応する。

 

「もちろん、偽りの・・・・・・人の記憶から作り出された実体を持つ幻・・・」

 

『実体を持つ幻・・・』

 

「人間の欲望が産み出した・・・最大にして最悪の禁忌。アルタートゥムはそれすらも可能にしてしまった」

 

『・・・・』

 

「確かに・・・そうかもしれんな」

 

隼人は腕を組む。

 

「人間の命を作り出す。禁断の実験を人間は昔からやってきた」

 

『・・・・』

 

「そうだね。このアルタートゥムも、その欲望から作られていると思う」

 

「・・・・」

 

「結果的に人間の命を完全に作り出すまでには至ってないみたい。でも、それ以外は完全な物を創造出来る」

 

「・・・だからバインドはこいつを・・・」

 

『何でも作れるとすれば、確かに連中が欲しがるのも納得がいく』

 

 

 

 

 

「でも、だからと言ってこれを放っておくわけにはいかない」

 

と、ユニコーンはアルタートゥムのコンソールを操作し、コンソールが変形して人間の手の形をしたスキャナーが出てくる。

 

「何をする気だ?」

 

隼人はユニコーンの行動に少し驚く。

 

「これをバインドに渡すわけには行かない」

 

『だからこれを破壊すると言うのか?』

 

「最初はそれを考えていたけど、Gシステムのエネルギーはかなり膨大で強力なものだから、それを爆発させたらここは完全に吹き飛んでしまう」

 

「マジか?」

 

「だから、逆に私達が使えばいいんだよ」

 

「何?」

 

「ある問題を解決すればね」

 

と、ユニコーンは右手をそのスキャナーの上に置くと、あるイメージを固める。

 

するとアルタートゥムが起動し、筒状のユニットが下に下りて次に外側のユニットが筒状のユニットを包み込むように合体する。

 

「その問題は・・・これをどうやって運び出すか」

 

「・・・まぁ、確かにこいつは結構大きいからな。運び出せるサイズでもない」

 

『これをどうやって運ぶと言うのだ?』

 

「まぁ普通の方法じゃ不可能。でも、その不可能を可能にする装置が目の前にあるんだよ?」

 

「・・・まさか」

 

「そのまさかだよ」

 

 

 

するとアルタートゥムの動きが止まり、ユニットが次々と外れていく。

最後に筒状のユニットがゆっくりと回りながら上がっていくと、その中に一つの装置があった。

 

 

 

「特に、イメージを強く固める事が確実に出来る私なら、こんな装置を完全な物を作り出す事が出来る」

 

ユニコーンは側面から回り込んでその装置を手にする。

 

『何を作り出したのだ?』

 

「無機物なら何でも量子変換してこの装置の中に保存できる量子変換装置だよ」

 

『量子変換装置・・・だと?』

 

「ISに使われている技術を応用したのか?」

 

「その通りだよ。まぁこの大きさだと時間は掛かるだろうけど、これでアルタートゥムを持ち出せる」

 

ユニコーンは装置を二つに分けるとそれをGシステム・アルタートゥムに取り付けて起動させる。

 

 

 

「それまでま待つだけか」

 

「うん。でも、このままあいつらが出てこないって言うわけにも行かないだろうし」

 

『そうだな。いつあいつらが現れるか分からんのだからな』

 

リインフォースは後ろを向いて出口付近を見渡す。

 

 

 

 

 

 

「・・・・」

 

隼人は壁際にもたれかかってアルタートゥムを見る。

 

(何でも作り出せる、か。まさに今の人類の取っては喉から手が出るほど欲しがる代物だ)

 

そして一瞬ある考えが過ぎる。

 

(・・・これがあれば・・・・・・)

 

一瞬手を置くコンソールを見る。

 

 

 

 

しかしすぐにその考えを振り払う。

 

(な、何を考えているんだ、俺は・・・。こんな事をしていいはずが無い!)

 

それから落ち着いてゆっくりと息を吐く。

 

(・・・こんな事しても、ただの自己満足だ。・・・死んだ者は二度と生き返りはしない)

 

そのまま下に俯く。

 

(・・・鈴だって・・・・・・例外じゃない)

 

 

 

 

 

タスケテ・・・

 

 

 

 

 

「っ!」

 

するとまたあの声が脳裏に響く。

 

(い、一体何なんだ?この声は・・・。それに、さっきより強くなって・・・)

 

隼人は左手で頭を押さえる。

 

『隼人・・・?』

 

その異変にリインフォースは気付いて近寄ろうとした――――

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

すると突然隼人がもたれかかっていた壁が消えて隼人はそのまま中へと落ちて行った。

 

『隼人!?』

「隼人君!?」

 

二人はとっさに隼人の元に向かおうとしたが、壁はすぐに元に戻ってしまう。

 

『隼人!隼人!』

 

リインフォースはその壁に近付くと、何度も壁を叩く。

 

「一体どうなっているの!?さっきまで何ともなってなかったのに!?」

 

ユニコーンは驚きを隠せなかった。

 

 

『隼人・・・隼人・・・』

 

リインフォースの顔には不安の色でいっぱいだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・妙だな」

 

「あぁ」

 

その頃通路を警戒しながら一夏達は進んでいた。

 

「さっきまでアンノウンが襲ってきたって言うのに、ピタリと襲撃が無くなったな」

 

「そうですね」

 

箒もビームライフルを上に上げ、背後に居た輝春も両腕のシールドライフルを前に向け、周囲を警戒する。

 

「こうも静か過ぎると不気味だな」

 

「確かに・・・」

 

千冬と一夏は手にしている得物の柄を握り締めて警戒する。

 

「隼人達と一向に合流できないな・・・。無事であればいいんだが・・・」

 

「・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

ドォォォォォォォォォォンッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

「「「「っ!!」」」」

 

すると爆音が通路に響く。

 

「爆発だと!?」

 

「音はほとんど響いて無かったって言うのに・・・」

 

「って事は、近くで誰かが!」

 

「なら話は早い!行くぞ!」

 

「おう!」

「分かりました!」

「あぁ」

 

そうして四人はとっさに爆音がした方へと向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・」

 

バンシィはライオットブレードを交差させて身構える。

 

その装甲は少しボロボロになっており、額から血を流していた。

 

周りには気絶して倒れていた楯無、簪、シャルロットが居た。

 

 

「まさか・・・こんな所にこの二体が居たなんて・・・」

 

歯を食いしばって睨む先に、二体の機体が立っていた。

 

一体は四本の角を持ち、背中にはガンキャノンが背中に持っていたウイングと同タイプのウイングを持ち、両腕にはアルトロンが持っていたドラゴンハングを持っていた。

 

その隣には悪魔の様クロークを持ち、頭部、胴体、腰の形状がブラックウイングやホワイトウイングに似ており、右手には大きな鎌状のビーム刃を持つビームシザースを持ち、左腕に二つの方針を持つガトリングを持っていた。

 

 

 

 

「・・・『アルテマガンダム』・・・『オメガガンダム』」

 

その二体はツインアイを発光させると、バンシィへと向かって飛び出した・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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