No.574957

超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神 ラステイション編

さん

その19

2013-05-10 20:59:10 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:628   閲覧ユーザー数:613

俺は空に向かって顔を仰ぐ。

そこには、日光を遮る巨大な影があった。

全長約5メートルはありそうな物は、全体的に錆色をした滑らかなフォルム、その右手に握るのは巨大なアックスを左手に握っているのは巨大なモーニングスター、下半身は亀の様な甲羅から蠍のような鋭角がある尻尾がある。

生気もなく、敵意もない。

言えることは、プログラムされた殺意に従う兵器が俺達の目の前にいた。

 

それに敵対する俺達。

刀を構え、カタールを構え、大剣を構え、注射器(特大サイズ)を構える。

相手は命令をただ執行するだけのマシンだと、無機物であることが分かっていても、大切な友人の夢と希望と作っている工場を破壊したお前に対しての憎悪が今にも爆発しそうだ。

 

「………覚悟はいいかしら」

 

そう呟いて、剣先を向ける変身時のネプテューヌ。

俺達の顔が更に引き締まり、眼前の敵を睨みつける。

 

 

ーーーみんな、いい顔しているねェ。

 

 

俺の中に住む邪悪の龍が呟き、やる時はやる奴らだからと返す。

 

ーーー漆黒の皇神鎧(アーリマン・ディメイザスケイルメイル)は一度使うと例外を除いて半日は使えないから。

 

分かっていると返す。

ちくしょう、こいつの同型の奇襲ミサイルの所為で咄嗟に漆黒の皇神鎧(アーリマン・ディメイザスケイルメイル)を使用してしまい、そのおかげで既に使用限界時間に至り解除したせいで、デペアの言うとおりに一時間たっているかいないかの微妙なこんなときに使うことは、まずできないと考えていい。

なので、ほぼ絶対というほど、このロボット戦に使うことはできないということだ。

 

ーーーねぇねぇ

 

却下だ。

 

ーーースタイルが良かった黒ッ子の次はちょパイを揉みたいなぁ、具体的には二葉ッ子のような……ってえぇ!?ダメなの!?

 

逆に俺は聞きたいが……なんで、超意外そうな声なんだ?俺はお前の様にそんなに餓えていない。

そして、ぶっちゃけこの状況はあの時の様な超危険な状況でもない。

 

 

ーーーおばあちゃんが言っていた……。

 

デペアがまるで時空を飛ぶことが出来るシスコンのように呟く。

 

ーーー貧乳は皆に希望を与え、美乳は幸福を呼び、巨乳には夢が濃縮されているのだと……

 

 

デペアの戯言を頭が痛くなった時、ロボットの顔部に光のラインが走った。

 

 

「来るわよ!」

 

アイエフの声と共に、ロボットが両手の武器を空に向けた。さきほど躓いてしまったコンパの足は応急処置はしていると言っても注意しなければならない。

黒曜日を大剣から双剣に分け、地面を蹴り加速して一気に振り下ろされる二つの武器の攻撃範囲から逃げる。

懐近くまで潜り込んだ時に、ロボットの下半身の甲羅から伸びた尾から刃が生え俺を狙って突き刺してくるのを双剣を重ね防御する。

その隙に、ネプテューヌとアイエフが俺が抑えている尻尾を足場に跳び、ロボットの左右の手の関節部分をすれ違い様に斬るが、ロボットの素早く無駄のない動きに実際には狙いは外れて厚い装甲に微かに傷をつけるだけの結果へとなってしまった。

 

 

ーーー……おーーーい。

 

 

ロボットの下半身の甲羅が左右に開き幾多のミサイルが姿を現し、頭部の一部が開きレーザー放射器らしき筒状の銃のような物が姿を現す。

ちらっと、少しは離れたコンパには見る。そして、レーザーを躱すだけの回避能力は無いと判断した俺は、ロロボットの尾を強引に横に弾き、黒曜日の片方をレーザー放射器、目掛けて投擲する。

まず俺を狙っていた高熱のレーザーを躱し、俺の投擲した黒曜日の刃は奴の発射機構に突き刺さり、小規模な光華を放ってロボットの体制が大きく崩れる。

しかし、ミサイルコンテナから解き放たれたミサイルは目標である俺達を目掛けて神風特攻隊よろしく突っ込んでくる。

爆発で吹き飛んだ黒曜日の片方を量子に戻して、自分の手に再構築して握りしめ、向かってくるミサイルを一刀両断に切り裂く、アイエフはカタールに内蔵された銃でコンパも注射器の針の先から圧縮された弾丸で、ネプテューヌは背中の蝶の様な翼からブーストを吹かし、ミサイルの集団から潜り抜けすれ違い様に尽くを切り裂き、天空に大地に幾多の光華が咲き誇る。

 

 

ーーー……あーーの…ォ。

 

 

「魔刃閃・震砕!!!」

 

黒曜日に大量の魔力を込め、地面に突き刺してロボットの周囲に爆発させる。

砂煙がロボットを纏い、一瞬だけ動きが鈍った隙にコンパとアイエフの射撃がロボットを追撃する。

 

「ネプテューヌ!」

「えぇ!」

 

俺は風を使って、ネプテューヌも飛び、ロボットの頭上を取る。

ロボットは両手の武器で振り回し、その風圧で砂煙を吹き飛ばすが直ぐに俺とネプテューヌがいないことに頭部を忙しく動かし、上空の俺達に気づくがーーー遅い。

 

「クリティカルエッジ!」

「魔神剣・斬刀!」

 

そして、黒と紫の二つの流星はロボットの両腕を根っこから切り落とす。

そのダメージにロボットはバチバチと紫電が発せられ、時計の針のように動きが鈍る。

 

「今だ!」

 

コンパの超圧縮された弾丸が下半身を一部破壊して、アイエフは素早い動きロボットの装甲の浅い首部を切り裂き、ネプテューヌと俺は再び地面を蹴り、ロボットと一気に距離を詰める。

ロボットはところどころ、煙を上げ責めての一撃にとミサイルコンテナを開くが既に発射されるまでの時間より俺とネプテューヌの合わせて双刃の方が速い!

 

 

「「ヴィクトリースラッシュ!!」」

 

X字に切り裂かれたロボットは、断末魔のような紫電を散らせ莫大な熱量と共に巨大な光華を咲かせた。

 

「さすがだな、ネプテューヌ」

「それはこっちのセリフよ。紅夜」

 

そして俺とネプテューヌは、拳をコツンと合わせた。

 

 

 

ーーーぐすっん、僕……要らない子状態なんですね。非情な現実に直面したよォ。

 

 

 

 

 

 

俺達はあのロボットを倒した後、急いでシアンの工場へ戻った。

ご都合な、そして奇跡など起きることはなく、シアンの工場は言ってしまえば廃墟に近かった。

天井は抉り取られ、木端微塵に破壊された機械は紫電と煙を上げ、無尽蔵に散らばっていて砕けている機材の数々、そんな嵐の過ぎ去ったのような惨状をシアンは、ぼーっと破壊された工場を見つめていた。

 

「シ、シアンさん?そんなに、落ち込まないでほしいです。博覧会がムリでもわたし達アヴニールさんをなんとかするです」

「あぁ、シアン。せめて、お前の夢を粉々にぶっ壊しやがったアヴニールにはちょっと痛い目に合わせてやるからな……その、落ち込むなよ」

 

自分の居場所を壊された痛みなんて俺には想像がつかない。

ベールたちのお蔭で、俺は俺であることが出来る。

そんなものが失うなんて、考えれば、狂ってしまいそうになる。……思わず、口をだした俺は本当にシアンに向かってなんと言えば思考を動かしているとシアンが手を顔に当て、悔しそうに声を上げた。

 

「うあー!!やられたーっ!!!!」

「……シアン?」

「安心しろ紅夜!まだ大丈夫。ネプテューヌ、前に渡した試作品は当然持っているよな!」

「えっ…、うん!持っているよシアンが作ってくれた武器!」

 

そう言って、ネプテューヌは刀を取りだした。

確か、シアンに博覧会に出費予定の試作品を貰ったとか言っていたが……。

 

「これさえ、あればなんとかなる」

 

シアンの目には微かに悲しみがあった。けどそれ以上に熱意があった。

 

「……俺は諦めないぜ。中止だって言われたときみたいなみっともない姿はもう見せないって決めているからな!!」

「そうだよ!これがあれば、まだ博覧会に出費できるんだね!」

「もちろんだ!……と言うワケで、博覧会が始まるまで一時回収な」

 

あの時、博覧会を中止と言われそのあまりのショックに涙を流したシアンは、そこにはいない。

技術者としての信念とアヴニールの暗躍から真っ向から立ち向かうだけの勇気と覚悟がシアンにはあった。

 

ーーー凄いね。

 

「あぁ、凄いな」

 

俺には……いや、この場の全員が思ったことかもしれないが、今のシアンは輝いて見れた。

自分の意思で、どんな壁も乗り越えるだけの覚悟がある。……それが、俺には羨ましく思えた。

 

 

 

 

 

 


 

 
 
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