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No.574954
超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神 ラステイション編2013-05-10 20:50:16 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:654 閲覧ユーザー数:644 |
ノワールとの出会いから数日が経った。
俺は、相変わらずネプテューヌパーティーと一緒にクエストをこなしたり、立ち直ったシアンに頼まれた素材を取りに行ったり、自分宛てに依頼されたクエストを着々と片付けていった。
このペースなら、多少は予定より遅れるもののリーンボックスに元気に帰れそうだ。
ベールは相変わらず、怪我はしていないか、朝昼夜ちゃんと食事を取っているのか、前者はともかく後者は一日中ゲームするときがあるお前に言われたくない。
とにかく、心配性な彼女に今のラステイションのいざこざを知られてはいけないと黙っておくことにして、俺は足を進ませる。
何処に向かっているかと言うと町から離れた廃棄工場だ。
『暇』
目的地まではそれなりに遠く、森林の中の道なき道を歩む。
先ほど、周囲の木々より高い木の頂上に昇り、進路はちゃんと理解しているので迷子になることはないだろう。
『暇~~』
それにしても、この頃はとても忠実した毎日だ。
やることがあるのは、とてもいいことだ。
家でゴロゴロしながら読書するのも好きなんだが、こうやって体を動かすのも好きだ。
『暇だよ~~。この野郎~~』
…………はぁ、と俺はため息を一つして左手に浮かび上がった黒色の宝玉を見つめる。
「お前なぁ、何だかこの頃、落ち着きが無いぞ?」
『二度と会いたくない相手に監視されている感がどうしても不愉快。あとなんかこの頃、紅夜は僕の力を使わない鬱憤が溜まりまくり!」
お前の言う、二度と会いたくない相手……夜天 空のことだろう。
それほどまでデペアにとって奴は天敵……いや、怨敵と言ってもいい存在なんだろうか?一体、紅夜と空の間になにが合ったのか……いい加減、知りたいところなんだが。
デペアがブーブーと子供みたいに文句を吐く、その内容から結果は垣間見れるが、過程が全く分からない。
あと、『
『マシュマロを焼いて食べたい』
「はいはい、今日の帰りに買うよ」
デペアのとにかく機嫌が悪いので、デペアの大好物を買うことにした。
とはいっても、デペアは俺の心の中で住んでおり許可なく出ては、いけないということなんだ。
その時、俺は自分の許可じゃダメなのか?と聞くと即答でダメだと言われた、俺じゃなく俺の過去のキャプテンとデペアが慕っている紅夜じゃないとダメみたいだ。
なので、感覚を一時的に同調させることで食べる味を共有する方法でたまにデペアの好きな食べたい物を食べようにしている。因みにデペアの食べたい物は乳製品がほとんどだ。
「ん……そろそろだな」
歩き続けて約一時間。
日光を遮るほど万遍なく伸びていた木々達は少なくなり、温かい光が木々の間から差し込んでいる。
前を良く見れば、大きく光が差している空間を見つけた。
その先に、
『ニヒル!!!』
閃光が瞬いた。
「………ギリギリセーフ!」
『本当だね…』
漆黒のドラゴンを象った甲冑ーーー『
突然、視線が閃光で埋め尽くされた寸前に、デペアの掛け声に半分無意識に鎧を顕現したおかげで後から迫ってきた爆発から微かに後ずさりするだけで済んだ。
あともう少し、反応が遅かった場合、爆発に巻き込まれて俺の人生はゲームオーバーだったかもしれない。
俺には人並み外れた回復能力があるが、どの程度まで大丈夫なのか限界値が分からないからな。
『ニヒル!』
「分かってる!」
背中から生えた欠けた翼状の部分から、そして足と腕の装甲が一部開いて魔力を放出させ空へ舞い上がる。
「ネプテューヌ!!」
「紅夜!」
変身状態のネプテューヌが廃棄工場を目の前にロボットと戦っていた。
近くには、アイエフとコンパの姿もあった。
ドラゴンの力で強化された黒曜日を具現化させ、全力で加速しロボットを吹き飛ばす。
そして、ネプテューヌ達の近くに着陸した。
「なにが合った!?」
「えっと……えっと…!ここで待っていたらいきなりそのロボットさんに襲われて……!」
「コンパ、落ち着きなさい!」
アイエフの一喝に目を回していたコンパは、気を取り戻す(それでも涙目だ)。
刀を紫色の機械的な鎧を装備して、外形が一気に大人風に変化したネプテューヌはロボットが態勢を整えようとするのを注意しながら、俺に視線を流す。
「どうやら、私達嵌められたみたいよ」
「だろうな……アヴニールは俺達に始末させないといけない理由が出来たみたいだ」
このクエストの依頼者は、アヴニールだった筈だ。
俺達の活動は基本、モンスターの討伐やシアンから頼まれた兵器製造に必要な素材を調達するぐらいだ。
アヴニールという大企業に怨みを買う様なことはしてない……その中の一個人には、色々言ったけど……。
『チッ、ニヒル。どうやら僕達、かなり恨みを買っているようだよ』
宝玉から話されるデペアの呆れた声に俺はモンスターの気配を感じた。
廃棄工場から、数えれるだけで100体は下らないほどのモンスターがうようよと現れてきたからだ。
更に、後ろからもまた別種のモンスターが木々の間から姿を現す。
「…不味いな」
「なんだか、プラネテューヌに襲ってきた魔女みたいな奴と言い、この前の妙な格好をした奴と言い、思ったんだけど、ネプ子……あんた厄介ごとに巻き込まれるタイプね」
「あいちゃん、人を厄病神みたいな言い方はやめて…」
「ねぷねぷはとても、いい子なのです!……昔はすごく荒れていたかもしれませんけど」
あの出来事により『
生身でも、それなりに戦えるが流石に数が多すぎる……。
「記憶喪失って不便だな」
「……えぇ、全くそうね」
ネプテューヌと同じタイミングでため息が出る。
自分の知らないこと、自分のが知らないのに知っている人物。
罪人か、善人か、家族がいたのか、恋人がいたのかーーー大切な人すら思い出せない歯痒いこの感じは、イラつく。
まぁ、まことに可能性と言うか、いつもの格好とは想像がつかない、その結論にたどり着いた切欠は変身できることぐらいしかないが、もしネプテューヌが女神だとしたらーーーこの状況も納得できるがな。
「ネプテューヌ、とりあえずこの状況は不味いから、後ろのモンスター群を突破して逃げるのが最適だ」
「………無理ね。そもそもどこに逃げる予定?あのロボットが絶対に追ってくるわ」
うっ、確かに……。
ロボットの武装は巨大な斧とモーニングスター、足はなく下半身は後ろに亀の甲羅のようなミサイルポッドとその後ろに伸びた蠍の様な尾がある。
恐らくアヴニールの新作と考えていいだろう、そして周囲のモンスターもこのために誘導されと思っていい、流石の俺達もこれだけの数を敵に回すとなると、とても不味い。……なら、
「俺が囮になる。その隙に逃げろ」
「だ、ダメです!それじゃ、私たちはこぅちゃんを見捨てるようなことじゃないですか!」
……優しいなコンパは……けど、
「みんなで危ない橋を渡るより、誰かひとり犠牲で多少は楽になるんだ。合理的にそっちを選んだ方が安全だ」
「で、でも……!」
「分かってくれ……、別に死ににいくような自殺行為じゃない、適当に片付けたら俺も逃げるさ」
「却下よ」
コンパを宥めているとネプテューヌが静かに力強く声を発した。
「私たちはパーティーよ。言わば運命共同体、仲間を犠牲にするようなことは絶対にありえないわ」
「はぁ、お前らなぁ……」
「諦めなさい、紅夜。これが私たちのパーティーよ」
現実はゲームやアニメの様に甘くないって……、この選択で死ぬか生きるかに分けれるだぞ?
都合よく、女神様とか、救いの手でもないかぎり、この状況をひっくり返るなんて、無理だ。
「やってみなきゃ分からないでしょ?」
「………分かった。俺の負けだ」
降参というように、手を上げてぷらぷらと振るう。
餓えたように距離を詰めてくる猛禽の眼差しで距離を詰めてくるモンスター。
顔部に光が通りすがり、鈍い音を立てながら上空に飛ぶロボット。
「上と下、ネプテューヌはどうする?」
「そうね……、下でお願いするわ」
「了解」
勿論のことだが、アイエフとコンパは飛翔能力はない。
俺は『
ロボットは空に飛んでいるんので、自然と空中戦が重要になる。
ネプテューヌは下ーーーつまり、アイエフとコンパと共にモンスターの退治を
俺は上ーーーつまり、上空に飛んでいるロボットをぶっ壊すために意識を高めたその瞬間、
炎の波が、空を赤く染めた。
「「「「!?!?」」」」
青空を飲み込む灼熱の火炎は、俺達を避けるように、炎そのものが意思を持っている様に動き周囲のモンスターを一瞬にして飲み込む。
そのあまりに刹那的な出来事に、モンスターは断末魔すら許されず有象無象差別なく消し炭と化した。
「ーーー全く、無駄足だった」
呆れた声音が炎の海の中で呟かれる。
時計の針の音を刻むような、一定のリズム。
姿を現すのは、純白のコートと金色の髪、その手に紅蓮の炎を纏った長い太刀を握りしめる夜天 空の姿が自分たちとの距離を詰めていき、俺達の隣に移動する。
「あ、……あなたはだれですか…?」
震えた声でコンパは空に向かって問を投げかける。
俺達を避けるように伸び火炎は既に海となっており、目の前にあった廃棄工場は溶解を始めている。
ネプテューヌもアイエフもただ、肌を焼く様な暑さを感じながら、夜天 空の放つ存在感にただ唖然とした表情で見つめることしかできない。
「秘密だよ。お嬢ちゃん」
微かに笑みを造り、空はその手に握る長太刀を振るう。
この空間を支配していた、万象を焼き尽くす灼熱はその太刀に集まっていき、空の背後に俺達が並んで移動できそうになるほどの道が出現する。
そして空は、背後に出現した黒ずんだ地面に親指を親指を向けて口を開く。
「早く行きな」
「ッ、空……お前は!」
突然のことに意識がクルクル回るが、俺は直ぐに声を出すが空はこの灼熱の空間とは対極に冷めたを感じる眼差しで
「シアンの工場が破壊されるよ」
「「「「!?!?」」」」
二度目の衝撃。
頭に金槌でも振り下ろされたような、驚愕が俺達の間を通過した。
「それって、どういうこと!?」
「今の状況で、あれほど真摯に総合技術博覧会の優勝を狙っている奴らなんていないからね……。厄介な君たちを遠ざけて、適当な理由で事故として排除。オマケに自分たちは自分たちの兵器のデータを集めるためにシアンの工場を木端微塵……こんなところだよ」
空の声に俺は、拳を握りしめた。
アヴニールの誰がそんな指示をしたのか分からない。
けど、これだけは言えるーーーふざけるなと
「貴方は一体何者なの?」
「だから秘密だって、ほらどうしたの速くしないと不味いことにーーーっと!」
上空に静止していたロボットの下半身の甲羅の様な部分が開き、そこから一気にミサイルが飛び出した!
空は、長太刀を横に薙ぎ払う、その太刀からは火炎が生み出され壁の様に広がり、降り注いできたミサイルを爆発させ、空に光華と爆炎が彩る。
「---それは、空から生み落された煉獄の権化」
爆発の衝撃に俺達は思わず吹き飛ばされそうになる。
そんな中で、身動きしない空は無造作に長太刀をロボットに向けて奏でるように詠唱を語る。
「昇る旭光に満ちた創世を生み出す爪牙、墜ちる曙光に煌めく終焉を生み出す魂魄」
再びミサイルの雨が降り注ぐが、周囲に迸る火炎が鞭の様に伸びてミサイルと叩き落とす。
そして、空の持つ長太刀を中心に轟音と共にこの世を焼き尽くす火炎が渦を巻いて濃縮されていく。
荒々しく、そして全てを見下す威圧感は、正にドラゴンの威光と呼ぶに相応しい。
「我、その灰燼を振りまき生死を支配する災厄を持ってーーーこの世を紅蓮に染めよう」
空の長太刀が渦巻く炎は、赤黒く染まっていく。
それは正に必殺の一撃。
災厄を振りまく、悪魔のような微笑と共に、新たなものを作り出す為の破壊なる烈火、正に原初の火炎にして地獄と天国の狭間で生死を無慈悲に差別なく平等に焼き尽くす魔の光焔が構築され
「熔滅せよ。---『
煉獄の灼熱が吼えた。
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その17