No.570191

【SS】Rainbow 〜降り止まない雨は無い〜【多分F-ZERO…;;;】

◆珍しく、SSなんぞを投下してみます…いや、普段から書かなくはないのですが、滅多に公表しないんですよ…今回は珍しく気が向いたのと、今までとちょっと違う事をしてみたかったので公表してみましたが…一発屋かも(こら)◆どの辺がF-ZEROなんだかフェニックスなんだか我ながらさっぱり分からないのですが;;基本的に俺の書く二次創作って、1.5次創作なのでと開き直ってみるww(こら×2)◆ちなみに「敗北感にのたうち回るフェニが書きたかっただけ」なので、ぶっちゃけそう言う内容です(こら×3)何があったのかはご想像にお任せしますwww◆あ、後半に出て来るQQQの設定は俺がでっち上げましたwので、真に受けないでね;;;

2013-04-26 22:26:12 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:580   閲覧ユーザー数:579

無意識のうちに深いため息が漏れる。

肩の力が抜け、全身からも力が抜けていく。

精も魂も底をつき、俺は虚ろに空を見上げる。

 

…酷い天気だ…

 

黒い雲が空一面を覆い、強い雨が顔面を叩きつける。

こんな雨の中、傘もささずに突っ立っている俺の姿は、周囲から見れば異様な光景に違いない。

だが、それでも俺は、どこかに移動しようと言う気になれなかった。

身体が鉛のように重い。

足に根が生えたかと言わんばかりに動かない。

やっとの思いで吐き出す息は馬鹿みたいに熱く、打ち震えているのは身体なのか、魂なのか。

 

深い色のバイザーに隠された俺の瞳を読み解ける者はいないだろう。

その瞳は虚ろなのか、見開いているのか……

俺自身、今、自分がどうなっているのかよく分からない。

涙こそ見せていなかったとは思うが、このずぶぬれの中では確証は得られない。

 

 

事を進めようとしたのは俺自身だが、事をぶち壊したのも俺自身、か……

 

 

己の未熟さ、判断ミスが招いた結果故、その怒りをぶつける矛先が見つからない。

 

憔悴しきったと言うか、この言葉にならない気持ちは何だろうか…

焦りや怒りや歯がゆさを遥かに通り越して燃え尽き、灰になってしまったと言うべきか……いや、燃えても燃えても燃えても燃えても燃やし切れず、ヘドロのように奥底に溜まり、そうして渦巻いて取り残された、どす黒い感情を表現する術が無いと言うべきか。

 

そうだ……

憔悴しきってはいるが、俺はまだくたばった訳じゃない……

そうだ……

俺の中には、まだ“何か”が残っているじゃないか……

 

俺は再び大きく深呼吸をする。

俺の胸の内に溜まったヘドロを吐き出すように。

勿論そんな事で全てを吐き出せるとは思っていない。

だが、それは今の俺にとって必要な事だ。

 

俺はまだくたばった訳じゃない。

確かに今回の“やらかした感”は半端無いが、それでもまだ俺はくたばった訳じゃない。

俺はまだ生きてここに存在する以上、取り戻す事が可能な筈だ…愚かな失敗を取り戻す事が。

 

それにはとにもかくにも、俺はここから動かなければならない。

精神的にも、物理的にも。

ここで突っ立って後悔した所で、状況は何も変わらない。

無理にでも、無理矢理にでも、ともかく俺は、ここから動かなければならない。

 

俺はゆっくりと頭を下げ、ゆっくりと右手で拳を作る。

ゆっくと、だが確実に、その手に力を込める。

力強く握ると、その拳の中に小さな炎を握りしめたかのような“熱”を感じる。

ゆっくりとだが、雨で心底冷えた身体に、熱が、血液が、全身を駆け巡るのを感じる。

 

「………あ………」

我に返る…と言うのが、一番適切な言葉だろうか。

握りしめた拳を見つめていた時、フと視界にQQQの姿が飛び込んで来る。

 

……いや、飛び込んで来たと言うより、事の始めから今まで、ずっとQQQは俺の元にいたんだ。

ただ俺が……意識から除外していただけだ……

 

その瞬間、内側に向かっていた意識が外側…現実に引き戻される。

 

視界が広がる。

凄まじい雨音が耳に入って来る。

 

そして何だか困ったようなQQQ(キュースリー)の姿も……

 

と言っても、こいつは見ての通り外見は旧式のロボットだから表情なんて無いんだが……俺には分かる。

そりゃそうだ、呼びかけてもちっとも答えない、移動しようとしても応じてくれない……じゃ、誰だって困り果てる。

俺とQQQは生体的にリンクしているので深層意識Lvで呼びかける事は出来る筈なのだが、俺の方で無意識のうちに連動をシャットアウトしていたらしい。生体関係の装置は感度が鈍いと使い物にならないが、感度を上げすぎるとこう言う事も有り得る…こりゃ帰ったら少し調整を入れないといけない。

 

「大丈夫だって…壊れているのはお前の方じゃなくて、強いて言えば俺の方だ」

俺は苦笑いを浮かべながら軽く頭を抱える。

……本当、こんな所でノンビリしている訳にはいかない。やるべき事は沢山あるじゃないか。

 

「そうだな…一先ず、雨の当たらない場所にでも行くか…」

手がかりも足がかりも無い。だが、何とかする。何とかしてみせる。

俺は…いや、俺たちはゆっくりとその場を後にする。

何とかしてみせる……

そう決意を新たにして。


 
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