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No.568580
真・金姫†無双 #31![]() 一郎太さん 2013-04-21 21:34:48 投稿 / 全7ページ 総閲覧数:8538 閲覧ユーザー数:6179 |
#31
「えー、弁当ー、弁当はいらんかねー」
「おいしーおいしーお弁当だよー」
雪蓮ちゃんが冥琳ちゃんを引き連れて軍議に行っている間に、俺は地和と弁当を売り歩く。
「軍の味気ない糧食よりも、ずっとおいしーよー」
「こんなに可愛い女の子が作ったんだよー」
おいおい、嘘は吐くなよ。
「別にいいじゃない。その方が売れるんだし」
「虚偽広告でしょっ引かれても知らないぞ?」
「その時は兄貴が助けてくれるんだよねー?」
「そりゃそうだ」
ま、バレなきゃいいか。
「そうよ。ほら、さっさと売り捌いちゃうわよ」
「おー」
そんな事をしていれば。
「あーっ、ラーメン【次郎】のお兄ちゃんなのだ!」
「ん?」
聞き覚えのある店名に振り向けば、1人の幼女がいた。
「あぁ、よくウチで大豚
「おぉっ、よく覚えているのだ!」
「そりゃ、大事なお客さんだからな」
赤い髪に虎のバッヂのようなものをつけたその娘は、肩にバカ長い矛を抱えている。
「それより、こんなところで何やってるんだ?」
「んーと、洛陽でとーたくが悪い事をしてるから、懲らしめにいくの」
「って事は、反董卓連合に参加してるのか」
「そーなのだ!」
あらあら、こんな小さな子まで駆り出されるなんて、この娘の所属する軍は、余程人手が足りていないらしい。いや、季衣とか流琉もこのくらいだし、割と普通の事なのかも。
「兄貴、知り合い?」
そんな会話をしていれば、ハブられて寂しい地和ちゃんが袖を引っ張った。
「聞いてただろ?前のお店のお客さんだ。よく食うんだぜ」
「へー。じゃぁ、お嬢ちゃん、このお弁当買わない?」
「にゃっ、お弁当?」
「そうよ。すっごく美味しいんだから!」
言いながら、地和は弁当箱のひとつの蓋を開けて見せる。途端、幼女は眼をキラキラと輝かせる。
「美味しそうなのだー」
「買っていく?」
勧めるは、営業スマイルの元アイドル。そりゃ、敵わんわ。
「んっと…じゃぁ、買うのだ!」
そして釣れました。
「ありがとう。いくつ欲しい?」
「んーと、んーっと、お姉ちゃんと、愛紗と――」
……ん?
「星と朱里と――」
おいおい、マジかよ。
「――それから鈴々に10個なのだ!」
「全部で10個?」
「鈴々だけ10個なのだ」
「はーい。じゃぁ、全部で14個ね。お金はある?」
「待ってて!」
言って、幼女はゴソゴソと服を漁り始める。少しして。
「んっと、これで足りる?」
「ちょっと待っててね。ひぃ、ふぅ、みぃ……うん、足りるよ。お釣りはこれね」
「ありがとなのだ!」
「いーえ。毎度ありー」
差し出された小銭を確認し、地和は14個の弁当を幼女に与える。
「楽しみなのだ」
ニパっと晴れやかな笑顔で、幼女は去って行った。
「流石は商売用の顔だな」
「変な言い方しないでよ」
ボソリと呟けば、途端にいつものツンデレ(現在、ツン:デレ=2:8)顔に戻る。そんなところも素敵だぜ。
「なに当たり前の事を言ってるの。ほら、さっさと他の弁当も売りに行くわよ」
「おー」
いくつかの陣営をまわり、弁当も完売したので、孫策軍の陣へと戻る。
「ただいまー。なんか問題は?」
「お兄ちゃん、ちぃちゃん、おかえりー」
「お帰りなさい。特にないわ」
「そうかそうか。お疲れさん」
いい子に留守番していた天和と人和の頭を撫でてやれば、地和も頬を膨らませて寄ってくる。
「ちょっとー、一番頑張ったのはちぃなのにー」
「はいはい。地和もお疲れ様」
「にへへー」
同じように撫でれば、途端に顔を緩ませる。あぁ、うちの妹達はなんて可愛いのだろう。
そんな風にイチャついていると、後ろから声がかかった。
「あー、居た居た。一刀、お客さんよ」
「雪蓮ちゃん?」
振り返れば、軍の長。その後ろには頭に片手を当てて呆れ顔の冥琳ちゃん。
「お客さんって、俺に?」
「そう言ってるじゃない」
そんな冥琳ちゃんとは対照的に、実に楽しげな雪蓮ちゃん。あぁ、嫌な予感しかしない。
「久しぶりだな、北郷殿」
「あ、人違いです」
「嘘をつくなっ!」
劉備ちゃんと関羽ちゃんが、そこには居た。
「ほい、ジュース」
「あぁ、黄巾党の時の飲み物か……頂こう」
茶を沸かすほどの余裕はないので、商隊の積み荷から適当に見繕い、飲み物を作る。代金は頂いてないが、負い目があるため、このくらいは仕方がない。
「劉備ちゃんと一緒に行かなくてよかったの?」
「あそこで必要になるのは、武ではなく智だからな。朱里が居れば問題はない」
『あそこ』というのは、反董卓連合の軍議の場。劉備ちゃんは孔明ちゃんを引き連れ、雪蓮ちゃんも冥琳ちゃんと一緒にそこに行っている。雛里んも行きたがっていたが、孫家の軍では周瑜の名が有名であることと、人材が多い事を袁術に知られたくないということで、お留守番。
「美味しいね、お兄ちゃん」
「俺特製のジュースだからな」
「うん」
今は、こうして俺の膝の上に座って、コクコクとジュースを飲んでいる。
「何故、鳳統がこの場にいるのだ?」
関羽ちゃんが問うてきた。んなの決まってんじゃん。
「雛里が居なかったら、絶対勝負吹っかけてくんだろ」
「何故それをっ!?」
いや、バレバレだし。
「いやいや、鳳統がいようとも、勝負は出来るだろう」
「ヤだよ。疲れる」
「以前我々の街に来た時は、仕合をしてくれると約束したではないか」
「記憶にございませーん」
「あわわ…お兄ちゃんが悪い顔してましゅ……」
だってしたくないんだもん。という訳で。
「雛里、アレをやるんだ!」
「あ、アレ?」
「ほら、アレだよ。お兄ちゃん対策
「んと…あっ、『お兄ちゃんが勝負を挑まれた時は?』ってところ?」
「そうだ」
流石は雛里ん。記憶力は抜群だな。
という訳で。
「か、関羽しゃんっ!」
「な、なんだ……」
雛里は俺の膝から立ち上がり、関羽ちゃんの前に立ちはだかる。
「お兄ちゃんを…イジメないで……」
「はぅっ!?」
そして、涙目の上目遣い。関羽ちゃんは、胸を抑えて仰け反った。
「い、いや…別に苛めている訳では……」
「雛里、4項の2だ」
さらに追い打ちをかけるべく、俺はコソッと付け加える。雛里は頷き、数歩前に出た。
「ほ、鳳統……」
雛里は関羽ちゃんの胸元に抱き着く。両手は軽く握り拳(手の甲の半分は袖で隠れている。ココ大事)を作り、ちまっと関羽ちゃんのシャツを掴んでいた。そして。
「喧嘩はダメだよぉ…お姉ちゃん……」
「――――――――!!?!?!?!!!?」
関羽、堕つ。
「――――私もまだまだだな」
地面に座り、空を見上げる関羽ちゃん。いやいやいや。
「なに遠い眼してんだ。ちゃっかり雛里を抱いてんじゃねぇか」
「頭に柔らかいものがぶつかってましゅ……」
「あ、雛里んはそのままつるぺたで」
「あわわっ!?」
雛里んは『お姉ちゃん』発言の直後に抱き締められ、以降関羽ちゃんの脚の上に収まっていた。
「鳳統は可愛いなぁ……」
「あうぅ…お兄ちゃん、助けてぇ……」
「妹を寝取られた……」
「あわわっ!?」
雛里を抱き締めて頬擦りをする関羽ちゃん。俺にもしてください。
「というか、孔明だって同じくらいちんまいし、つるぺただし、可愛いじゃん」
「……」
なんだその顔は。その手があったか。じゃねーよ。
「それはいいとして」
「いや、よくねーよ。返せよ、雛里」
「断る。それはいいとして」
めんどくせーな。なに? この世界の武人は皆メンドイ性格してんの?
「北郷殿は戦わないのか?」
「俺? 戦うわけないじゃん。商人だよ?」
「だが、いまはこうして輜重隊の管理をしているではないか」
「そりゃ孫策ちゃんに借りがあるからな。前線に出ることなんかしたくないし」
「そうか、残念だ」
なんで?
「北郷殿の戦いぶりを、この目で見てみたかったのだがな」
「お金くれるならいくらでも見せるけど?」
「なっ!? 貴様は金で戦うのか! それでも武人かっ!」
「いや、商人だし」
「……そうだったな」
まぁ、それはいいとして。
「なんだ?」
「そろそろ雛里返せ」
「もうちょっとだけ頼む……」
「あぅ…」
そんなひと時。
おまけ
オラ、お前らの大好きな巨乳さんだ。
悦びに咽び泣いて自家発電しやがれ。
こいつぁ、流行るぜ!
あとがき
という訳で、#31でした。
先に言っておく。
連合編は、#40までにまとめきる自信がない。
でもキリのいい#40までは毎晩1つずつ投稿予定。
少しでも楽しみにしてくれれば幸いです。
ではまた次回。
バイバイ。
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お久しぶりです。
書くのがメンドゲフンゲフン、最近忙しくて、なかなかこれませんでした。
まだ反董卓連合編を書き終ってないけど、自分を追い詰める為に投稿。
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