No.566462

IS−インフィニット・ストラトス−黒獅子と駆ける者−

トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!


2013-04-15 17:24:15 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:672   閲覧ユーザー数:631

 

 

 

episode150 第三者の襲撃

 

 

 

 

 

それからネェル・アーガマは秘密ドッグに向かって航路を取り、現在紅海に入ったところである。

 

 

 

 

 

「全く・・・お前は本当に馬鹿としか言いようが無いよな」

 

「うっ・・・」

 

格納庫で隼人は白式の調整を一旦止めて後ろに居る一夏に毒舌を吐く。

 

「俺があれだけ使うなと言って使うって・・・お笑いのお約束じゃないんだぞ」

 

「そういったって・・・って、それ古くないか?」

 

 

「・・・まぁそれはともかくとして」

 

隼人は単独展開している白式に向き直る。

 

「幸いにも暴走せずオーバーロードになってよかったな。下手すれば木っ端微塵の所だったぞ」

 

「・・・・」

 

「それだけじゃなく、俺達も巻き添えになる所だったな」

 

「・・・・」

 

「ボロボロの状態でよく使おうと思ったもんだな」

 

「その場の思いつきだよ。それ以外に方法は無かったから」

 

「・・・まぁ臨機応変と言う点ならいいが、もう少しマシな方法を考えろ」

 

「・・・そうする」

 

 

 

「でも、どうにかならないのか?白式の無限動力機関は」

 

「どうにかなれば、今更白式はフルスペックでも使用が可能になってるよ」

 

「・・・・」

 

「それに、俺は今頃人類初で永久機関を把握したとして表彰されて、束さんより凄い人物と謳われるよ」

 

「だよな」

 

「そもそもを言えばな、理論すら全く無いのにどうして白式が参考にしているとはいっても、不完全ながらも永久機関の理論を出せたのが不思議でいっぱいだ」

 

「まぁな・・・」

 

「・・・もう一つの何かがあればこいつが完全になるって言う感じになれば本当に楽なもんだ」

 

「・・・・」

 

「まぁ、世の中うまく行かないのが事実だ」

 

「そりゃなぁ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、お前はどう考える?」

 

「・・・お前を助けたあの機体の事か」

 

「あぁ」

 

しばらくして一夏は隼人にあの事を聞く。

 

それは自分を助けた謎の機体である。

 

(白式に残っていたデータを見る限りじゃ・・・あの形状はフリーダムか・・・しかし、なぜあの機体が・・・)

 

 

「クラス対抗戦でもあの形状をしたバインドが現れたよな。何か関係があるんだろうか」

 

「さぁな。今まであんな感じのバインドが現れても、同一個体が現れてないから、撃破している以上関係はない。形状だと同じだが」

 

「そうだな。そういや、セシリアのストライクフリーダムとあの機体・・・今思えばそっくりだよな」

 

「そっくりも何も、ほぼ同じなんだろ。名前だって後半同じだから」

 

「・・・・」

 

「それに、言う内容も内容だな。まるで俺が言うような事を言う。『守るべき者の為に戦う』とかな」

 

「確かに・・・」

 

「・・・で、その声に聞き覚えがあるって言っていたな」

 

「あぁ。でも、全く思い出せないんだ」

 

「・・・・」

 

「懐かしい感じだってする。でも、それが何なのかが全く思い出せないんだ」

 

「・・・・」

 

「俺さ、お前に会う前の事あんまり覚えて無いんだ」

 

「そういや、アルバムに小一以前の写真が無かったよな」

 

「あぁ。千冬姉はそれ以降俺と関わった人を覚えて置くように記録を残しておけって言ったんだ」

 

「ふむ」

 

「でも、気になるのは・・・俺だけじゃなくて、何で千冬姉や輝春兄の事を知っていたって事だよな」

 

「俺に聞いても仕方が無いだろ」

 

「まぁ、そうだな」

 

 

 

 

 

 

「どう考えたって答えが出るわけじゃないんだ。今はそれほど重要視しなくていいさ」

 

「・・・・」

 

隼人は白式を待機状態のガントレットにする。

 

「もう雪月花は使うなよ。少なくとも暴走の危険性が無くなるまでな」

 

「あぁ。分かった」

 

ガントレットを拾うと、一夏に手渡してそのままどこかに行こうとする。

 

「何所に行くんだ?」

 

「病室だ。眠ってる仲間の元に行く」

 

「そうか」

 

隼人はそのまま格納庫を出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隼人がそのまま艦内の病室に入る。

 

「・・・・」

 

ベッド四つには簪、シャルロット、楯無、エリーナが眠っていた。

 

隼人は入って近くのベッドに眠っている簪に近付いて近くのイスを引き寄せて座る。

 

「簪・・・」

 

隼人は微笑むと、簪の髪を優しく撫でる。

 

簪が無事である事が・・・彼にとっては一番の安心感を与えてくれる。

 

誘拐されていた仲間も全員救えたので、精神的に安定し始めていた。

 

「無事で良かった・・・本当に・・・」

 

隼人はしばらくその場に居座り続けた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「隼人君・・・どうやら精神的に安定し始めたようだね」

 

『そうだな』

 

ユニコーンとリインフォースは艦の休憩場で話していた。

 

『連れ去られていた仲間をようやく全員取り戻せたのだ。隼人にとってはどれほど嬉しい事か』

 

リインフォースは紙コップに入れたコーヒーをユニコーンに差し出す。

 

「そうだね。本当に嬉しそうだったね」

 

ユニコーンは紙コップを受け取ると、一口飲む。

 

『あぁ。あの嬉しさは・・・颯を救った時のような感じだな』

 

「そっか・・・」

 

 

しかしユニコーンの表情はどこか少しくらい。

 

『どうしたのだ?』

 

「ちょっとね・・・気掛かりな事があるの」

 

『・・・・』

 

「仲間を救えた事で隼人君の精神状態は回復している。けど、まだ完全に安定しているわけじゃないの」

 

『まだどこかで心配していると言うのか?いや、隼人の事だ。ありうるな』

 

「まぁね。戦場である以上、彼の心配の種は尽きないよ。それに、今の状態が一番危険な状態なの」

 

『なに?』

 

リインフォースの表情に少し焦りの色が出てきた。

 

「考えてみて。もし大切な仲間の無事が確認出来て安心した時に・・・一つの悲しい出来事が起きた時・・・どうなると思う?」

 

『・・・・』

 

「精神的に張り詰めた時よりも、大きな絶望感が襲い掛かる」

 

『・・・つまりは――――』

 

 

「今の状態でもし大切な仲間の身に何かがあったら・・・隼人君はどうなるか分からない」

 

『・・・・』

 

「最悪・・・精神崩壊を起こし、心は砕ける」

 

『・・・・』

 

「そして・・・破壊の王へと覚醒するだろうね」

 

『・・・・』

 

「そうさせない為に、私達が居るから、リインフォースもお願いね」

 

『分かっている。・・・だが、そもそもを言えば破壊の王とは一体何なのだ?力の一種なのか?』

 

「力の方だとは思うけど・・・実際は私やバンシィはその実体は知らない」

 

『そうなのか・・・』

 

「分かるとすれば・・・全てを破壊する災厄の力だって事かな」

 

『・・・・』

 

「それも世界どころか、次元レベルのものだからね」

 

『他の次元にも影響が出る、と?』

 

「破壊の王はその名の通り全てを破壊する邪神。この世界に留まらない程の力を有している」

 

『・・・・』

 

「多数の世界だって崩壊してしまう恐れがある・・・」

 

『それほどの力を・・・』

 

予想以上の恐ろしさにリインフォースは表情を険しくする。

 

「だから・・・本当に気をつけてね」

 

『分かっている・・・隼人の心が壊れるなど・・・見たくは無い』

 

「・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・」

 

アーロンはブリッジの指揮官席に座って考えていた。

 

「考えてるの?はっくんの事?」

 

束はデータ整理と自動迎撃システムの調整を同時に行いながらアーロンに聞く。

 

「あぁ。最近は少し落ち着きを取り戻しているようだがな」

 

「そうだね。昨日だって残ったリゼルディフェンサーの調整を手伝って貰った時も少し前より元気そうだった」

 

「そうか。・・・・・・だが、その状態が一番危ないのだからな」

 

「まぁね。人間って本当に脆いから、はっくんだって例外じゃない」

 

「・・・・」

 

「もし・・・はっくんが理性を失ったら・・・私達にも牙を向けてしまうのかな」

 

「さぁな。だが、千冬より聞いた話じゃ、あいつ怒ると手が付けられんらしいな」

 

「そういやちーちゃんから聞いた事があったね」

 

「その点を考えれば・・・恐ろしいな」

 

「うん。味方だと頼もしくていいんだけど、敵に回したらこれほど恐ろしいものはないかな」

 

「そうだな」

 

「少なくとも、何も起きなければいいんだけどね」

 

「・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドォォォンッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「っ!?」」

 

すると突然爆発音と共に艦に衝撃が走る。

 

「どうした!?」

 

 

「ネェル・アーガマ艦底部に直撃です!」

 

「なに!?」

 

「海中からの攻撃です!」

 

直後に更に爆音と衝撃が走る。

 

 

「っ!第一エンジンに被弾しました!」

 

「やられたか・・・!」

 

「くーちゃん!!大丈夫!?」

 

『こちらは大丈夫です!ですが、損傷で他のエンジン出力が低下。高度維持が限界です!』

 

「そう・・・何とか出来る?」

 

『やってみます』

 

「・・・・」

 

 

「海中より多数の熱源探知!」

 

「バインドか!」

 

「いいえ!この熱源は・・・・・・」

 

 

 

 

するとモニターに警告が走る。

 

「そんな!?上空全方位より熱源多数が接近しています!」

 

「なんだと?」

 

「海中よりも多数の熱源あり!」

 

 

「・・・バインドじゃなくてここまでの戦力を持つのは・・・」

 

「やつらめ・・・なぜこの状況になってまで!」

 

アーロンは席を立つ。

 

 

「熱源の中にナンバーズのISを確認!その中に亡国機業のISも確認!」

 

「・・・・」

 

モニターには空を覆う多数の無人機がいた。

 

どれも緑でドラゴンの様な姿をしたものばかり。

 

「あいつら・・・何をやっているのか分かってんの?」

 

「それもだが、襲撃されている以上考えている暇は無い!」

 

アーロンはブリッジの出口に向かう。

 

「全員に発進準備を急がせろ!俺も出る!」

 

「了解!」

 

「お前たちは船が落ちないように高度を維持だ」

 

「はい!」

 

「束は機関室に向かって応急修理を頼む!」

 

「合点承知!」

 

そうしてアーロンはブリッジを出る。

 

 

 

 

 

 

 

「あいつら本当に何考えてんのよ!全く!」

 

鈴は格納庫でGモードの状態で甲龍を展開していた。

 

「今人間同士が争っている場合じゃないって言うのに!」

 

「確かにそうだが、今は目の前の現実を直視しろ!」

 

隼人はバンシィ・ノルンを展開する。

 

 

(・・・やっぱりバルバトス・ミラージュと戦った損傷が直り切ってないか)

 

バンシィ・ノルンの状態は本調子ではなかった。

 

(本当にタイミングが悪い。いつもの事だが・・・今回だけは本当にマズイな)

 

 

 

 

「一夏。さっきも言ったが、雪月花は使うなよ」

 

「分かってるさ!何度も言わなくたって!」

 

Gモード状態の白式を纏った一夏はカタパルトに足を置くと、振り向いて隼人に言う。

 

「もし使うとするのなら、本当に自分の身に危険が迫った時だ」

 

「あぁ」

 

一夏はそのままカタパルトから飛び出す。

 

 

(聞こえるか、マドカ)

 

(あぁ)

 

隼人は次にプライベートチャンネルでマドカに通信を入れる。

 

(あまり無理をするなよ。調整をしたとは言えど、本調整ではないのだからな)

 

(分かっている。今回のデータが次の調整に役立つのだろ)

 

(そういう事だ。いいデータが来るのを待ってるぞ)

 

(そうだな)

 

 

 

 

 

 

『隼人』

 

と、ブラックウイングに変身したリインフォースが近付いてくる。

 

「どうした、リインフォース」

 

『その・・・今回の戦いも・・・気をつけてください』

 

「どうした、急に?」

 

『いえ・・・ただ、少し不安なので』

 

「不安?」

 

『・・・仲間が戻ってきた事を嬉しく思うのは分かります。ですが、あまり気を抜かないでください』

 

「・・・・」

 

 

 

 

 

「分かっているさ。俺はいつだって気を抜かない」

 

『隼人・・・』

 

「だから、安心しろ」

 

『・・・はい』

 

リインフォースは心配を拭い切れなかったが、そのままカタパルトから飛び出した。

 

 

「気を抜く、か」

 

隼人はボソッと呟き、カタパルトに足を置く。

 

「・・・・」

 

そのまま一気にカタパルトが飛び出し、隼人は飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし・・・この時誰も知る由など無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これが悲劇の幕開けであった事を・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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