「一騎討ち?」
「ああ。FクラスはAクラスに代表同士の一騎討ちを申し込む!」
今の言葉でわかると思うけど、僕達は今Aクラスにいる。
前で話し合っているのは我らFクラス代表の雄二と、Aクラス代表の代理として交渉している優子さんだ。
「目的は、って聞きたいところだけど……どうして一騎討ちなんて勝負を持ちかけたの? あなた達なら最初から5人ずつの一騎討ちを持ちかけてくると思ってたんだけど」
さすがは優子さん、あなどれない推理力だ。
確かに僕達は一騎討ちを望んでいない、けどそれを見越して翔子さんが5人ずつの一騎討ちを提案してくると思っていたからだ。
まぁ、優子さんもそれをわかっている上であえて知らないふりをしてるんだろうけど……。
「それはおわかりだろ? んで、どうすんだ?」
「はぁ……まあいいわ。うけてあげるけどそのかわり、さっき言った5人ずつの一騎討ちならいいわよ」
「わかった、それでいい。科目はこっちが3、そっちが2で良いか?」
「な!?」
雄二の言った言葉に優子さんが目を見開く。
そりゃそうか。優子さんには僕達が出ること、そしてテストを本気で受けることを伝えてあるんだから。
「なんだ、不服か?」
「当たり前でしょ! 明久君達が出るんだから、せめてこっちを3にしてよ! それじゃあこっちは良くても1勝しかできないわ!」
『『『え!?』』』
優子さんの言葉にAクラスだけでなく、Fクラスからも驚きの声が上がる。
そりゃそうか。皆にとって僕は『
そんな皆の反応もお構いなしに、雄二は話を進める。
「なんだ? 最低のFクラスと戦うのに、そんなハンデもなしか?」
「当然なことを言わないで! そのメンバーなら、むしろこっちがハンデをもらいたいわよ!」
『き、木下さん!?』
『坂本も何言ってんだよ!』
「ほう、そっちがハンデをもらいたいと? Aクラスとしてのプライドはないのか?」
『そんなの、あるに決まって――――』
「プライドどうこう以前の問題よ! というかそんなのどうでもいいわ!」
『『『木下さぁん!?』』』
……………えーっと、なんかすごいことになってるなぁ……。
というか優子さん、あんなこと言ってるけど本当はプライド高いよね?
これ、僕も話に加わった方がいいのかな? そう思っていると……
「優子、落ち着きなさい」
「「「「え……?」」」」
この声、忘れるはずがない。だって、大切な親友の声なんだから。
でも、いるはずないじゃないか。
だって今、彼女は日本にいない。外国にいるはずなんだから。だけど……
僕達が黙っていると、兄さんが勇気を振り絞って口を開く。
「星、奈……?」
彼女、
「お久しぶり、4人とも」
「星奈、いつの間に帰ってたの……?」
「そんなことよりも、今は話し合いが先決でしょ」
「あ、そうだ」
僕達は慌ててAクラスの方に向く。すると優子さんのとなりに翔子さんがいた。
「で、どうするんだ?」
「……いいわ、そっちが3で手をうってあげる」
「ご協力、感謝する」
そう言って雄二が出て行こうとする。それをFクラスの人が慌てて止める。
『おい坂本、吉井が強いってどういう事だよ!?』
「そんなの、簡単だ」
雄二は再び教室の方を見て、FクラスだけでなくAクラスの人にも伝えるように言った。
「明久達が本当の強さを隠している、ただそれだけだ」
雄二の自信満々の答えに、誰も追及することはなかった。
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