マドカが消えてから時間が少し経ち、千冬は椅子に座り心を静めていた。箒達も心配して側にいる。
「大丈夫か、千冬姉。」
「あ・・・・ああ・・・・・すこし・・・・・・・・・話したいことがある。」
「・・・・・・・・・・・マドカのことか?」
「ああ・・・・・・・。嘘を言ってすまない。」
「別にいいよ。」
「・・・・・・そうか。」
「あの・・・・・・・織斑先生、私達は退席しましょうか?」
「いや、いてくれると助かる。一夏に話すのに二人だけだと話せない気がする・・・・・」
「わかりました。」
千冬は一夏の顔を見て話し始める。
「私がマドカを引き取ろうと思ったのはお前のためをと思ってだったのがきっかけだ。お前と私以外に身内はいない。お前を一人にすることが度々あったから私は孤児院に養子を引き取ろうと思って行った。そこで私の目に印象的に入ってきた子がいた。」
「それがマドカ・・・・・・」
「そうだ。私とよく似ていると思った。当時のマドカは心を閉ざした状態でな。私が話し掛けていくうちに徐々に心を開いていった。丁度その頃にモノグロッソがあった。私はとっさの思いつきでモノグロッソの日とマドカを引き取る日を一緒にしようと思った。」
「でもその時に・・・・・・・」
「そうだ。お前の誘拐事件が発生した。それと同時にマドカも誘拐された。私はその時迷った。一夏かマドカ、どちらか一方を助け、一方を、見捨てなければならない。」
「そして俺を選んだ。」
「・・・・・・・・・そうだ。私は一夏を選び、そして助けに入った。ドイツで働いている間も私はドイツ軍にまどかを探してくれるように頼んだ。・・・・・・・・・私は最低だ。人一人の命を見捨てた。」
「それは違う!」
「え・・・・・・・・・」
一夏が叫んだことに千冬は驚く。
「マドカは、あの時言ってただろ。俺たちに会えて嬉しかったって。俺は千冬姉が最低だなんて思わない。」
「一夏・・・・・・・・・ありがとう。」
その後しばらくして千冬は平常心を取り戻した。
その夜の学生寮屋上。満天の星空の中、一夏は空を見上げていた。
「マドカ、お前が俺をあの時助けてくれたから今俺はこうして生きている。ありがとな。」
一夏はブラスターショットを取り出しバレルをスライドさせ、天に向け二発放つ。
「せめてもの思いだ、受け取ってくれ。」
一夏はそう言ってその場を去った。
ある白い空間、千冬はそこに立っていた。
「ここは・・・・・・・・・・一体・・・・・・・・?」
千冬はあたりを見渡すとマドカの姿があった。
「マドカ!」
千冬はマドカに駆け寄り、抱きしめる。
「マドカ・・・・・・・」
「お姉ちゃん。」
「よかった、また会えてよかった。」
「・・・・・・・・・・・・お姉ちゃん、私は死んでいるってことはわかってるよね。」
「・・・・・・・・・・・・ああ、私の前で光になった。でもどうしてまたこうして会えているんだ?」
「ここはあの世とこの世、現実と精神のいわば狭間の世界。私は運よくここにいられているの。」
「運よく?」
「そう。ここにいられるのは本当に奇跡でも起きない限りここに入られないの。」
「そう・・・・・・・・・・か・・・・・・・」
「私お姉ちゃんに伝えなきゃいけないことがもう一つあったの。」
「なんだ?」
「お姉ちゃんの両親の話。」
「なに!?」
「お姉ちゃんの両親はお姉ちゃん達を捨てたんじゃない、殺されたの。」
「どういうことだ、マドカ!」
「お姉ちゃん達の両親はあいつが私の身体を器として使っているときに殺したの。」
「そんな・・・・・・・・・じゃあ私と一夏は・・・・・・・・・」
マドカは頷く。
「伝言を預かってる。『強く生きて。』って・・・・」
「あの人たちが・・・・・・そんなことを・・・・・」
「このことはもう一夏お兄ちゃんに言ってあるから。」
「そうか。ありがとう、マドカ。」
「うんうん、私が今出来るせめてもの償いだよ。それと・・・」
「なんだ?」
「私もお姉ちゃんが最低だなんて思わないよ。私はお姉ちゃんが最高の人だと思うよ。」
「マドカ・・・・・・」
千冬は涙を流しながらまどかに抱きついた。
謎の遺跡がある場所に一夏は立っていた。
「またここか。」
一夏は遺跡に向かい、石のスートーンフリューゲルに触れる。その途端一夏は謎の空間へと飛ばされる。
「どうしたんだ、急に呼び出したりなんかして?」
ネクサスは映像を見せる。
「これは!」
そこには黒いゴスロリ服を着ているマドカの姿があった。黒いゴスロリ服を着ているマドカは二人の男女を襲い、殺した。
「この人たちは一体!?」
ネクサスは一夏に指を指す。
「まさか・・・・・・・・・・・・・俺の両親なのか!!」
ネクサスは頷く。
「これは誰が教えてくれたんだ!」
ネクサスは白いワンピースを着たマドカを映し出す。
「マドカが教えてくれたのか!!」
一夏の問いかけにネクサスは頷いた。
「そうか・・・・・・・・・ありがとな、マドカ。」
「彼女も光を見つけた子だ。」
一夏は声のするほうを向くと黒い服を着た男性がそこにいた。
「あなたは・・・・・・」
「俺は一度闇に落ちたもんだ。倒されて記憶を失い、自分の過去に恐怖し、そして光を得て、そして死んだ。」
「じゃあなたは・・・・」
「まあ幽霊みたいなものだな。俺の名は溝呂木眞也だ。お前に一つ言っておく。今度の敵は今まで以上に強い。下手をすればお前は命を落とす。それでも戦うか?」
「はい・・・・・・・・・俺は戦います。みんなを守りたい!あの日の後悔だけはもうしたくない!」
「・・・・・・・・・・そうか。だが忘れるな、お前は一人で戦っているんじゃない。守りたいものがあるからお前は戦えるんだ。」
「はい!」
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マドカが消えて数時間後、千冬は一夏にマドカのことを話す。