No.553437

IS−インフィニット・ストラトス−黒獅子と駆ける者−

トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!


2013-03-10 11:09:06 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:644   閲覧ユーザー数:628

 

 

 

episode129 ドイツからの使者

 

 

 

 

数十分前―――――

 

 

 

 

 

 

 

「クラリッサからの極秘暗号通信だと?」

 

差出人がラウラが持つ部隊の副隊長である事に千冬は表情を険しくしていた。

 

「お前が教官時代に教えて、ラウラの部隊の副官か?」

 

「あぁ。だが、なぜドイツから遠いIS学園にこんなものを送りつけたんだ」

 

「さぁな。それに通信って言ってもデータで送られているのか」

 

輝春は山田先生が持つタブレット端末覗き込み、データを開いた。

 

「・・・・」

 

千冬はその内容を見て目を細める。

 

 

「内容からしてこっちに向かってきているようだな」

 

「あぁ。それに加えてバインドの襲撃を受けながら来ている。恐らく今も追撃を受けている可能性があるな」

 

「・・・予定時刻だとあと数時間後に到着予定か」

 

「・・・・」

 

「状況が状況だ。迎えが必要になるな」

 

「確かにそうだが、今戦力を割くわけにはいかない」

 

「まぁいつあいつらが襲撃があるか分からないからな。だがその大尉殿はここに届け物がある。バインドの追撃を受けながらでも届けようとする物を」

 

「・・・・」

 

「迎えには最低でも三人は必要になる。何が起こるか分からないのだからな」

 

「・・・・」

 

 

 

 

「・・・俺が迎えに行く」

 

「兄さんが?」

 

「それとアーロン、颯を連れて行けばいいな」

 

「なぜそのメンバーなんだ?」

 

「腕の立つのがいればどんな状況でも対応できる。もし追撃を受けているのなら護衛に入れる」

 

「だが、神風を連れて行くのはなぜだ?」

 

「颯のAGE-FXが持つCファンネルは防御に使える。それに颯の精密なコントロールで確実に攻撃を防げるからな」

 

「・・・なるほど。だがアーロンを連れて行ってもいいのか?軍の者と接触するのだぞ」

 

「今海賊だどうや言う状況じゃないから、構う心配は無いはず」

 

「・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

それからしてアーロンと颯が呼び出された。

 

「内容はそれで間違いないのだな」

 

「あぁ」

 

「向こうがここに届けようとする物の詳細は掛かれてないのが気掛かりだが・・・それ以前になぜここに向かっているのが分からんな」

 

「恐らく向こうで何かがあったからここに来ている、と言ったところだろうな」

 

「・・・・」

 

「時間を掛ける訳には行かない。行くぞ」

 

「はい」

 

「あぁ」

 

そして三人はAGE-1フルグランサ、AGE-2ダークハウンド、AGE-FXを展開してスラスターを噴射し、一気に飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

(本当なら私が行くべきなのだが、今の私には何も出来ない)

 

飛び出した三機を見送りながら千冬は考えていた。

 

(だが、なぜクラリッサはここを目指しているんだ?それにバインドの追撃を受けながらでも届けたい物とは・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃―――――

 

 

 

 

 

「くそっ!」

 

女性はバインドのレギナのビーム砲撃をかわしていく。

 

直後に後ろを向いて右側の非固定ユニットのレールキャノンのリボルバー式の弾倉を動かすと音速で弾丸を放ち、一体のレギナの左腕を撃ち抜いて破壊した。

 

(ここまでやつらが追ってくるとは・・・どうしてもこれを奪い取る気か!)

 

その女性・・・クラリッサはワイヤーで縛り付けて背中に背負うアタッシュケースを見る。

 

直後にレギナはビームファンを出して一気に飛び出し切り掛かって来るが、クラリッサはスラスターを一気に噴射してかわす。

 

(だが、これをIS学園に届けなければ!)

 

後退しながらレールキャノンを放つ。

 

本当であれば他にも部隊員が居たのだが、ここまで来るまでに自分を逃がす為に一人一人とバインドに捕らえられてしまった。

 

「くっ!」

 

ビームをかわしていくも、次の瞬間バインドが放ったビームがクラリッサの後ろの海面に直撃して水柱を上げる。

 

「っ!?」

 

水柱にぶつかった衝撃でバランスを崩しそうになるもとっさに体勢を立て直す。

 

しかし直後にレギナがバインダーライフルよりビームを放ち、シュヴァレツェア・ツヴァイクのレールキャノンを撃ち抜き、直後に爆発した。

 

「ぐっ!」

 

爆風で完全にバランスを崩し、そのまま海面をバウンドして近くの海面から出ていた岩場に叩きつけられる。

 

「がっ!」

 

胸部と頭部に激痛が走り、肺に溜まっていた空気を吐き出す。

 

 

「ぐ、うぅ・・・」

 

半身が海に浸かっているクラリッサは何とか激痛に耐えてその場で寝返り、アタッシュケースを岩と自分の背中に挟むようして守る。

 

シールドエネルギーがあると言っても岩場に強く頭をぶつけたせいか、打ち付けた所から血が顔を通って流れ落ちる。

 

「・・・・」

 

するとレギナ数体がクラリッサの前に集まる。

 

(ここまで、か)

 

軽く脳震盪を起こしたのか視界が揺れていた。

 

レギナは背中のバインダーライフルをクラリッサに向ける。

 

その瞬間クラリッサは死を感じ取る。

 

(申し訳ございません、ボーデヴィッヒ少佐・・・。先に逝って待って居ります)

 

覚悟を決めて目を閉じる。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・?」

 

しかしいつまで経っても相手は攻撃してこない。

 

(なん・・・だ?)

 

クラリッサは恐る恐る目を開ける・・・

 

 

 

 

 

するとレギナは大きな風穴を胴体に空けられて吹き飛ばされていた。

 

「っ!?」

 

その瞬間聴覚が戻ってきて音がする。

 

更にエネルギー弾が飛んできてレギナを三体ほど撃破し、他のレギナは周囲に散る。

 

「何だ・・・?」

 

 

 

 

 

 

『大丈夫か!』

 

と、オープンチャンネルで男性の声がする。

 

「・・・・」

 

クラリッサはモニターに後方映像を映した。

 

 

そこには三機の全身装甲のISが飛んできており、その内の一体を見て驚く。

 

(救世主・・・!?)

 

その機体を知っているクラリッサは目を見開く。

 

 

 

 

 

輝春はクラリッサの前に止まると、アーロンと颯は他のバインドの撃破に入った。

 

「・・・・」

 

「生きているか?」

 

「・・・あ、あぁ」

 

救世主と呼ばれるAGE-1に見とれて少し返事が遅れる。

 

「俺はIS学園の戦術教官をしている織斑輝春だ。そっちは?」

 

「・・・クラリッサ・ハルフォーフ大尉だ」

 

「じゃぁあの暗号通信の差出人か」

 

「あぁ」

 

「そうか。間に合ってよかった」

 

輝春は近付いてくるレギナにシールドライフルを放って二発牽制し、三発目で撃ち抜く。

 

「念に入れて迎えに来たが、やっぱり追撃を受けていたようだな」

 

「・・・・」

 

「他の者はどうした?」

 

「・・・部下は私を逃がす為に連中に捕まった」

 

「何?」

 

「軍の上層部より命じられてあるものを運んでいる。それをやつらに渡すわけには行かない」

 

「分かった。二人共、聞いての通りだ。大尉を守るぞ!」

 

『あぁ』

 

『はい!』

 

颯は修復し終えたばかりの大型のCファンネルを射出し、クラリッサの周囲に配置した。

 

輝春は背中のグラストロランチャーを両脇より出して高出力ビームを放ってレギナを撃ち落す。

 

アーロンはランスのビームマシンガンを放ってレギナを牽制し、左肩のアンカーガンを射出し絡ませると電流を流して直後に振るって近くに居たレギナにぶつけて爆発させた。

 

直後に颯は残したCファンネルを飛ばしてレギナのバインダーライフルを切り落とすと、そのままバラバラに切り裂いて撃破した。

 

 

 

「・・・・」

 

クラリッサはAGE-1の背中を見ていると、体の奥底より安心感が出ていた。

 

(救世主・・・)

 

以前にも助けてもらったので、その時の事が脳裏を過ぎる。

 

 

 

 

 

そうしてレギナは全て撃破された。

 

 

 

 

(信じられない。我々でも一体を倒すだけでも一苦労だと言うのに、一瞬で全てを・・・)

 

クラリッサは三体のISを見る。

 

(海賊に助けられたのは癪だが、助けてもらったのだから何も言えんな)

 

 

 

 

そうして輝春はクラリッサの前に来る。

 

颯はCファンネルを戻すとアーロンと共に周辺警戒に入る。

 

「しかし、大尉は一体何を運んでいたんだ?」

 

「いや、実際の所私も知らないんだ」

 

「何?」

 

「中身を知らずに運んでいたのか?」

 

アーロンが聞く。

 

「上層部でも僅かな者しか知らないものだ。部隊の副官の私が知る由が無い」

 

「・・・・」

 

「それに、あいつらはこれを狙って私達を追ってきていた」

 

クラリッサは背中に背負うアタッシュケースを取り出す。

 

(バインドが血気になって追いかける程の重要な代物か)

 

「なぜあいつらはそれを?」

 

「分からん。が、関係あるもので間違いないだろう」

 

「関係のあるもの?」

 

「・・・・」

 

輝春はアタッシュケースを受け取ると、颯に渡す。

 

「それほど何かを記されたものでしょうか?」

 

「連中が追撃をしてまで奪おうとするのだからな。ただの代物じゃないっていうのは確かだろうな」

 

「そうですよね」

 

 

 

「それより、立てるか?」

 

「大丈夫だ。このくらいなら――――」

 

と、クラリッサは立ち上がろうとするも、そのまま岩場に尻餅を着く。

 

「っ!」

 

《損傷率75%。脚部稼動不能。PICに異常発生。エネルギー残量3%》

 

(やはりあの時に・・・。それにもうエネルギーが残って無かったのか)

 

 

 

「立てそうに無いな」

 

「・・・不本意だが、その通りだ」

 

「しょうがない」

 

「・・・・?」

 

と、輝春はそのままISを纏ったクラリッサを所謂お姫様抱っこのように抱き抱えた。

 

「な、何をする!?」

 

いきなりの事にクラリッサは戸惑う。

 

「動く事が出来ないんだろ?なら俺が運んでやるよ」

 

「だ、だからと言ってこ、こんな風に・・・」

 

「?もう動くだけのエネルギーも殆ど残って無いんだろ?なら尚更だろ?」

 

「・・・・」

 

事実であるためにクラリッサは言い返せなかった。

 

「・・・な、なら・・・頼む」

 

頬を赤らめた事を悟られないように向こうを向いて言う。

 

「そんじゃぁ行くぞ。またやつらに来られたらたまったもんじゃない」

 

そうして輝春はクラリッサを抱えたままアーロン、颯と共に飛び立ってIS学園に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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