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「なぜこうなった・・・」
俺は今リーンボックスの女神こと『グリーンハート』様と一緒にクエストに来ている。
「ゼロ、そちらにいきましたわ!!」
グリーンハート様が俺に向かって叫ぶ。
「あぁ~、はいはい・・・」
「返事は一回ですわ!!」
「ハイ・・・」
普段のグリーンハート様からは考えられないほどのシャキシャキとした言葉。
ホントに思う。
なぜこうなった?
―――時は遡り 2時間前―――
俺ことゼロは今、リーンボックスの協会に来ていた。
「まずリーンボックスとは・・・」
と先からこの土地の歴史を頼んでもいないのに勝手にペラペラ喋っているオッサン・・・ここの宣教師らしい。
それにしても早く終わらねーかな?
こちとら仕事をやりに来たのだが・・・なんでこんな事を聞かされなくちゃならない?
「それででしてね・・・」
「ハァ・・・」
俺は小さくため息をつき、周りを見渡す。
誰もいない・・・
「ハァ・・・」
2度めのため息。
誰かいたら助けてもらおうと思ったんだが・・・誰もいない。
このジジイ・・・張り倒してやろうか?
「~というわけなのです」
やっと終わった。
よく自分が住んでいる土地とはいえ、二時間近くも話せるな。
逆に驚いたわ。
「それで・・・仕事の内容は?」
「おぉ~、そうでしたな」
このジジイ・・・仕事の話をすっぽかして別の話をしてやがったのか!
ちょっとガチで殴っていい?
「ではゼロさんの仕事についてお話しします・・・」
そして現在に至るという・・・
もう一度言おう。
なぜこうなった?
俺の受けた仕事は確かモンスター退治だと聞いた。(フィナンシェから)
なのになぜ『グリーンハートの護衛』になってるんだ?
分からん。
考えられるのはフィナンシェのやつが間違えた・・・ぐらいしか思い付かない。
あのおバカ娘にはお仕置きをしなくては・・・
一方、ルウィーの方では……
「へっくち!!誰か私の噂をしているんでしょうか?」
フィナンシェがくしゃみをしていた。
「ゼロ、なにをボーとしているんですか?」
気がつくとモンスターの群れは全滅していた。
「へ?あ、あぁすいません・・・。そんなにボーっとしてましたか?」
「えぇ、それはもうボーっとしてましたよ」
「そ、そうですか。すいません・・・」
「いえいえ♪」
ホホホと口に手を当てて上品に笑うグリーンハート様。
どっかの誰かさんもこのくらい上品だといいのに・・・
一方、ルウィーの方では……
「へっくち!!……誰か私の噂でもしてるのかしら?」
ブランがくしゃみをしていた。
「あら、もうこんな時間!?」
いきなりグリーンハート様は腕時計を見てそんなことを言った。
「なにかこの時間にあるんですか?」
「えぇ!それはもう!!」
鼻息を荒くして、それはもうガッツクような感じで話す。
そこから約30分間ゲームの話をされた。
酷な時間だった。
さてと・・・ネプテューヌたちに関してだな。
俺が今怪しいと思うのはあの宣教師だ。
あの宣教師はなんだか裏の顔がありそうな気がするんだ。
なぜだかは分からない。
だが怪しい。
できればこの『直感』が当たらなければいいが・・・
俺はシャワーを浴びベッドに寝転がりふと考える。
なぜ俺はやつらのことをこんなにも考えているんだ?
『仲間』たからか?
―――違う
『友人』だからか?
―――違う
ならなんだ?
―――分からない
分からないのに手を貸してるのか?
―――分からない。それ事態が『分からない』。
俺はいったい何をしているのだろう?
そのまま俺は深い眠りに着いた。
お前は変われない---
誰だ?
お前は一生変われない---
なにがだ?
お前は誰とも分かち合うことはできない---
なんのことだ?
お前は誰も仲間とは思っていない---
黙れよ・・・
お前は誰にも理解されない---
黙れ・・・
お前はいつまでも一匹狼---
黙れ!
今までも、これからも---
黙れ!!
貴様は誰だ!?
お前は誰とも相容れない---
黙れ!!
お前の『仲間』とはいつも言葉だけ---
うるさい!
お前は・・・【変われない】---
うるさい、うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい・・・
黙れ、黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れぇええええええ!!
「ッ!」
目覚めは最悪だった。
その理由はさっきの生々しい夢。
「なんなんだよ・・・あの『夢』は」
全身から嫌な汗が吹き出る。
仲間・・・変えられない・・・わかち合えない・・・【一匹狼】
狼・・・それは本来なら群れをなして狩りを行う動物
しかし中には一匹で狩りを行う狼もいる
それを人々は『一匹狼』と呼んだ
俺が・・・一匹狼?
そんなバカな
俺には『仲間』がいる
―――仲間?
―――誰だ?
ブランやネプテューヌやアイエフやコンパや白雪、ティラだっている
―――そいつらはホントに『信用』できる人間か?
ブランとは長い付き合いだ。雪は俺の妹だ。ティラは俺の師だ。ネプテューヌやアイエフやコンパは最近知ったけどいいやつらだ
―――お前は『表』だけを知っていて『裏』を知らない
違う・・・俺は―――
―――お前は結局誰も『信じられない』人間だ
違う・・・違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う・・・絶対に―――
―――言えるか?『絶対に違う』と
!!
俺、俺は変わ―――
―――変わらないさ。永遠にな
ああ・・あああ・・・あぁあああアアアアアアアあアアアアアアアぁああああああああああああああああぁぁぁァァァァァァァアアアアアあああああああああああああああああああああァァァァァァァアアアアア!!
「落ち着いてください、零哉様」
とたんに後ろから誰かに抱き締められた。
その抱き締めてきた人は―――
「ティラ・・・」
「大丈夫です。貴方の隣には私がいます・・・だから、大丈夫です」
優しくも強いその言葉に俺は涙を我慢しきれなかった。
「ウッ・・・ヒグ……ティラ・・・俺は……俺は・・・」
「大丈夫です。大丈夫・・・」
ただティラはその言葉を繰り返した。
ひたすらに・・・必死に
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第三十話です
無印のリーンボックスってどんな内容だっけ?
そしてシャングリラは只今急ピッチで下書き中です
もうしばしお待ちください