小話3
その1 ~ 九回目の強化 ~
【リズベットside】
第一層、炭坑の街《ミータル》の中央広場の隅の方。今日もあたしはスキル熟練度を上げるべくスミスハンマーを振り続ける。
そんないつもの昼下がり、アイツはやってきた。
「前よりも端に追いやられたんじゃないか?」
「……そんなわけないわよ」
毎度お馴染みの軽口に、インゴットを叩く手を止めて視線を
そこには案の定、愛想笑い一つない無表情があった。違いがあるとすれば、瞳の色が赤紫色に変わっているくらいだろう。
「それでアヤメ、今日は何の用かしら?」
「態度悪いな……。リズベット、熟練度はどれくらいになったんだ?」
「な、何よいきなり……?」
「いいから」
突然の問いに、あたしは訝しみながら今の《片手武器作成》スキルの熟練度をアヤメに教える。
それを聞いたアヤメは、少し空を見上げたかと思うと、腰に挿された《ハームダガー+8》を鞘ごと抜き取りあたしに差し出した。
その動作で、何のために来たのか理解した。
「……九回目の強化ね。待って、準備するから」
ハームダガーを受け取り、あたしは今の作業を急ピッチで終わらせる。
完成した片手曲刀のプロパティを軽く確認し、ストレージに仕舞ってからアヤメに目を向ける。
アヤメはと言うと、あたしの作業の間に素材と
急かすようなその動きに、楽しみにしてるんだなぁ、と思う。よく見れば、目が期待一杯に輝いているように見えなくもない。
「《正確さ》の強化を頼む。素材は上限までで、こっちで用意した」
早くしてほしいのか、アヤメは早口でまくし立てるように言った。
「かしこまりました」
接客の練習として、始めた当初より少しはマシになった笑顔と声音で承り、素材を炉に流し込む。
緑色のライトエフェクトを確認してからハームダガーを炉にくべ、鉄床に移す。
ちらりとアヤメの様子を伺うと、相変わらずの鉄面皮だが、少しだけ浮ついた雰囲気がありいつもより落ち着きを感じられなかった。
――これは、失敗出来ないわね……
お客様の期待に添えるべく、成功しろ! と強く念じながら一回一回、丁寧かつ力強く刀身をリズミカルに打つ。
そして、最後の十回目。
「……!? リズベット止めろ!」
「え?」
突然掛けられたアヤメの制止の声。しかし、あまりに突然のことで、あたしはハンマーを止める間もなく最後の一回を叩いた。
全工程が終了し、ハームダガーが今までで一番鮮やかな緑色に輝き――――
――ぷしゅぅぅぅ……
気の抜けるような音を立て、輝きを失った。
この現象を、あたしは知っている。と言うか、職業上何度も見ている。
「………」
「………」
あたしとアヤメは無言のまま数秒見つめ合うと、アヤメがこくりと頷いた。
現状を何となく悟っているようだった。
あたしはそれに頷き返し、ハームダガーを手に取る。
少し前には感じなかったズシリとした重みを右手に感じながら、ダガーをタップしてプロパティを確認する。
【ハームダガー+8 残り強化試行数:0 鋭さ:0 速さ:0 正確さ:0 丈夫さ:1 重さ:7】
「………」
これは何というか……酷い。
何度も失敗を見てきたが、ここまで酷い《プロパティ変化》は見たことがない。アヤメが目指していた原型が欠片も残っていなかった。
「……見る?」
「………」
そう聞くと、アヤメは無言のまま頷いてハームダガーを受け取った。
その際に感じた重みに眉を潜め、続けてタップしてプロパティを確認すると、数秒間ラグした後に俯いた。
「ア、アヤメ……?」
心配して呼び掛けると、アヤメはゆっくりと顔を上げる。
赤紫色の目からハイライトが完全に気失せ、端には涙が少し溜まっていた。
あたしは現実逃避するかのように、ああ、SAOの感情エフェクトはこんなのもあるんだなあ、と思った。
「あの…ごめん……」
しかしそれもほんの僅かで、気まずくなったあたしは取り敢えず謝った。
人一倍武器を大切にしているアヤメにとっては、鉄面皮が崩れるくらいショックなことだったのだろう。
「いや…リズベットは一生懸命叩いてくれたんだから、気にしなくていい」
いや、今のアンタを見てそれはムリ!
「……なぁに、第三層のNPCショップに売ってた短剣にちょっと心を動かされた俺が悪いんだ……」
ネガティブになりすぎよアンタ! キャラ崩壊凄まじいわよ!?
「……お詫びにこれあげる」
あたしはストレージの中から偶然作れた少しレア度の高い短剣――《タロン》を差し出す。
「……ありがと」
アヤメは、ほんの少しだけ顔を明るくして、鉤爪のような鋭さを持つそれを受け取り、ストレージにハームダガーと一緒に仕舞い込んだ。
「じゃ、また来る……」
「えと……。またのお越しをお待ちしています……」
営業スマイル――絶対ひきつっている――をどうにか浮かべてアヤメを見送る。
あたしの言葉を背に受けながら、アヤメは暗い影を背負ってとぼとぼと歩いていった。
「……もっと熟練度上げよう」
あたしの睡眠時間が二時間減った。
その2 ~ リズベット武器店 ~
【アスナside】
「こんにちは」
第八層迷宮区でレベル上げをしてきた私とシリカちゃんは、武器の耐久値を回復させるため最寄りの街に入った。
この街は今の最前線で人が多く、街自体も小さく道も狭いため人口密度が高く、もし友達と一度はぐれてしまったらなかなか見つけれそうにない。
そんな雑踏に中を、シリカちゃんと良さそうな鍛冶屋は無いかなと探していたところ、ある露天販売が目に付いた。
武器販売と鍛冶屋を兼任している普通の露天販売なのだが、その露天販売を開いている人物がSAOでは珍しい女性プレイヤー――それも、私と同い年くらいの女の子だったからだ。
それだけで興味は十分なのだが、それ以上に、客足が良くないのか溜め息をつく彼女を何となく無視できなかった。
だから、私は思い切って彼女に声をかけた。
「……! い、いらっしゃいませ」
童顔でそばかすのある顔に少しぎこちない笑みを浮かべながら、緊張した様子で彼女は言った。
「えっと……《リズベット武器店》でいいのかしら? それで、あなたがリズベットさん?」
「はい、そうです」
「よかった、間違えてなくて……あ、私はアスナです」
微笑みながら握手を求めてみると、リズベットさんは少し躊躇してから私の手を握った。
握手を終えると、そのお陰かリズベットさんは少しリラックスした様子で話し出した。
「本日はどのようなご用件でしょうか?」
「研磨をお願いしたいんですけど」
「かしこまりました」
腰に挿したレイピアに手を添えながら聞くと、リズベットさんは大きく頷いて両手をこちらに差し出してきた。私はレイピアを抜き取り手渡す。
両手でレイピアを丁寧に受け取ったリズベットさんは、鞘から刀を抜き取り、僅かに傷付いた刀身を眺めた。
ある程度眺めると、隣に置いてあった研磨台を起動させ、研磨台が十分に回転するのを待ってからレイピアの刀身を当てゆっくりと慣れた手付きでスライドさせた。
作業をする彼女の表情は真剣そのもので、ゲームだからといって手を抜くことなどあり得ないと言っているようだ。
リズベットさんのその態度は、私の今までの
「――ふぅ。お待たせしました」
研磨を終えて一息ついたリズベットさんは、レイピアを鞘に収めてから笑顔で手渡してきた。
「ありがとうございます」
お礼を言ってからレイピアを腰に提げ、お代を手渡す。
「見つけました!」
ちょうどその時、私の後ろから怒ったような聞き慣れた声が耳に届いた。
そう言えば、露天商売に気を取られててシリカちゃんのこと忘れてた。
冷や汗を流しながら振り返れば、当然ながら、顔を怒りで少し赤くしたツインテールの女の子が立っていた。
「あはは……ごめんねシリカちゃん」
「もぅ……人がいっぱいで、探すの大変だったんですからね?」
誤魔化すように、自分なりに可愛らしく小首を傾げちろりと舌を出して謝ると、シリカちゃんは本当に疲れたような溜め息をついて言った。
「……ん? 今、シリカって言いました?」
「はい?」
すると、後ろのリズベットさんがそう私に尋ねてきて、その声に反応したシリカちゃんは私の後ろを覗き込んだ。
「ええっ!? リズさん!?」
「あら、シリカじゃない」
リズベットさんの顔を見た瞬間、シリカちゃんは表情を驚愕に染めた。
対して、リズベットさんは一瞬驚いたものの、驚くシリカちゃんの様子を見て直ぐに満足そうにニヤリと笑った。
「えーと……二人は知り合いなの?」
「はい。第二層のとき、ハームダガーを鍛えてくれた人です」
「そうだったんですか……。ありがとうございました」
「いえ、当然のことをしただけですよ」
「……そうだ。リズさん、今日のお昼ご一緒しませんか?」
シリカちゃんが楽しそうにニコニコ笑いながら言った。
「え? いやでも……」
そう言いながら、リズベットさんは私をチラリと見た。
「私は大丈夫ですよ。リズベットさんともっとお話ししたいですし」
「だめ…ですか?」
「う…。じゃあ、お言葉に甘えて」
逃げ道を塞がれ、寂しそうな声でシリカちゃん言われたリズベットさんは、やや遠慮がちに頷いた。
その3 ~ お店を開かなかった理由 ~
【シリカside】
(《リズベット武器店》の続き)
お昼になり、私たちはメインストリートから少し離れたとことにある小さな広場にやってきた。
広場は芝生が植えてあり、私たちは小さな木の側にレジャーシートを敷いて座った。
「今日のお弁当はサンドウィッチでーす」
私たちが全員座ると、アスナさんはシートの真中にバケットを置き、私たちに見えるように開けた。
中には、レタスやトマトのような野菜や、ハムが挟まれた美味しそうなサンドウィッチが三つ入っていた。
「実は、今日は調子良くて作りすぎちゃったのよね。だから、リズベットさんが来てくれてよかったです」
そう言って、アスナさんはサンドウィッチを二つ取り出し、私とリズさんに手渡した。
「ありがとうございます」
「あ、ありがとうございます」
残りの一つをアスナさんが取り出すと、私たちは「いただきます」と言ってそれぞれのサンドウィッチに口を付けた。
「……おいしい」
思わず、と言った様子でリズさんは呟いた。
「よかった……」
ほっ、と息をつくアスナさん。
アスナさんは趣味で《料理》スキルを上げているけれど、熟練度はまだまだ低いらしい。成功率も芳しくないようで、この前、クッキーを作ろうとして消し炭を作った、と言う話を聞いた。
いくら人に出せると分かっていても、やっぱり心配だったらしい。
「シリカちゃんはどう?」
「とってもおいしいです!」
今日のランチは、この世界で私が食べたことのあるもののなかでダントツの美味しさだった。
◇◆◇◆
アスナさんの手料理をお腹に収めて、NPCショップに売っている紅茶(のような飲み物)でひと息ついているとき、ふとアスナさんがリズさんに尋ねた。
「リズベットさんは――」
「リズでいいですよ。こんなに美味しいものご馳走してくれたし、年も同じくらいですから」
と、リズさんが笑いながらアスナさんの言葉に割って入って言った。
アスナさんは、きょとんとした表情を浮かべ「じゃあ、リズもアスナでいいわ。それと、敬語は無しね」と直ぐに微笑み返した。
「それでえーと……そうそう。リズはいつからお店開いてたの?」
「どうしてそんなこと聞くんですか?」
「リズくらい腕のいい鍛冶師ってあまりいないから、どれくらい長くやってるのかなって」
私の質問に、アスナさんは丁寧に答えてくれた。
腕のいい、と言われたリズさんは、恥ずかしそうに朱く染まった頬を人差し指で掻いた。
「ちょうど一週間くらい前かしら。でも、鍛冶ならこの世界に捕らわれて直ぐに始めたわ」
「へえ……。じゃあ、お店を開く前は何してたの?」
「武器成作系の熟練度をひたすら上げてた。……あたし接客ニガテだから『剣の質で勝負してみるのはどうだ』ってアドバイス貰って実践してみてたのよ」
「まあ、お客さんはほとんど来ないんだけどね」と苦笑いを浮かべながら続けた。
「始めて間もないんですから仕方ないですよ。リズさんの腕なら、あっと言う間に口コミで広がりますって」
「ありがと」
そうフォローを入れると、リズさんは笑顔で答えた。
「……ところで、リズさんどうやって暮らしてたんですか?」
今度は私が、とリズさんに気になったことを尋ねてみると、リズさんは私の言葉が足りなかったのか疑問符を浮かべた。
「鍛冶屋を開いてないのにどこから収入を得てたの、ってことよね?」
「は、はい。その通りです」
「ああ、そういうこと」
アスナさんの付け足しに納得したらしいリズさんが頷いた。
「簡単に言っちゃうと、自分で作った剣を売ってたのよ。《ミータル採掘洞》でインゴットを集めて、それで出来た《スモールソード》とか《ブロンズナイフ》とかを売ってたってわけ」
「そういうやり方もあるのね……」
感心したように言うアスナさん。私もその発想は思い付かなかったので驚きだった。
「じゃあ、次はあたしの番ね」
そう言うリズさんは、紅茶を口を付ける私を見て、
「シリカ、彼とはどうなの?」
「っ!?」
と言ってきた。
危うく紅茶を吹き出しそうになった。
紅茶が器官に入ったらしく、私は咳き込みながら恨みがましい目でリズさんを睨み付けた。
「けほっ…けほっ……。うぅ、ひどいですリズさん」
「ご、ごめん」
目尻に溜まった涙を払いながら深呼吸で息を整える。
「どうって、特になんともありませんよ。それに、どうしてアヤメさんなんですか?」
「あたしの目は誤魔化されないわよ。それに、あたし《彼》って言っただけで《アヤメ》とは一言も言ってないわよ~」
おどけた風に言うリズさん。
古典的な方法にはめられたと理解した私は、恥ずかしさで顔を俯かせた。
「ふふ。シリカちゃんかわいいなあ」
ニヤニヤ笑いながらアスナさんが言ってきた。
「ア、アスナさんだってこんな風に聞かれたらあの人のこと想い出しますよね!?」
「私はそんなことないもん」
「ダウトです! 顔が朱いですよ?」
「えっ!?」
そう言うと、アスナさん驚いた様子で頬に手を当てるけど、そこには健康的な肌色があるだけだ。
「ウソです」
「シーリーカーちゃーん!」
「なになに? アスナにも好きな人いるの? 有名人? あたしにも教えなさいよ~!」
アスナさんは怒った顔で私を睨もうとしたけど、リズさんが割り込んできて出来なかった。
「もう、知りません!」
頬を膨らませて拗ねたようにそっぽを向くアスナさん。
その様子が可笑しくて、私とリズさんは笑った。つられてアスナさんも笑みを零す。
そのあとも私たちはガールズトークに花を咲かせ、お開きになったのは三時を過ぎた頃だった。
その4 ~ 格闘と体術 ~
【アヤメside】
現在地、第二層主街区《ウルバス》転移門広場。
「約束守って来たぞ、アルゴ」
そこに、俺はアルゴに呼び出された。
「よくきたナ、アヤ吉。来ないと思ったゾ」
「10分前に来たのに信用ないな」
「前科一犯だからナ」
ぐうの音も出ない。
「……で、今日は何のようだ?」
「今回は忍者ども追っ払えってわけじゃないカラ、そう身構えるナ」
そう言いながら、アルゴはフーテッドマントを翻してフィールドへと向かっていった。
付いて来い、と言うことだろう。
◇◆◇◆
「……やっぱり帰っていいか?」
「だめダ」
さて、アルゴに連れられて俺がやってきたところは、
ここに来る途中アルゴに聞いたが、俺に《体術》スキルを習得して《格闘》スキルとの違いを調べて欲しいそうだ。
それはつまり、あの岩を割れと言うことであり、その時ばかりは口に出して言った。
――めんどくせぇ……
「最近スロット一つ増えたんだからいいダロ?」
どこで知った? と聞くのはするだけ無駄なのだろう。
「……分かったよ。やればいいんだろ」
「さっすがアヤ吉。そーゆーところはオネーサン好きダヨ」
「……はぁ」
何度か聞いたふざけてるとしか思えないセリフに溜め息を一つ。
それから、山小屋のドアを開けた。
◇◆◇◆
「にゃーははははは!」
クエストを受注して、キリトと同じ様なやり取りの末、顔にヒゲをかかれた。
案の定、アルゴに笑われた。
マントが汚れるのも気にせず、地面をゴロゴロと笑い転げるアルゴを眺めながら、《キリえもん》とか言って悪かった、と心の中でキリトに謝る。
「……さっさと終わらせよう」
転げ回る
瞬間、左拳が黄色に輝き、腰の入った鋭い逆突きが岩に突き刺さった。
格闘スキル《
「――良し」
手応えはあった。もしかしたら、今日中に終わらせることが出来るかもしれない。
「サクサク行こうか」
◇◆◇◆
それから三日が経過した。
岩割りは予想通り一日くらいで終了し、熟練度上げに二日使いある程度分かった。
まず、《格闘》と《体術》の一番の違いは《メイン》か《サブ》かの点だ。
《格闘》スキルは、ソードスキルのバリエーションが豊富で使い勝手のよく威力の高いスキルも多い。しかし、扱い的には《メイン》となり片手直剣や短剣といった武器との併用ができない。
そして、いろいろな武器を装備できるゲームではよくある話だが、武器を装備したほうが強い。
対して、《体術》スキルは単発技だけでバリエーションも少ない。その代わり、補助的な役割が強く、武器装備状態でも《体術》のソードスキルの発動が可能だ。
「――それを聞くと、《体術》のほうが圧倒的にお得ダナ」
分かったことをアルゴに報告すると、そのような感想が返ってきた。
「まあ、それだけならアヤ吉が《格闘》を選ぶはず無い」
アルゴの言うように、今の俺のスロットに《体術》は存在していない。消したからだ。
「デメリットばかり目立つ《格闘》スキルだが、《強化オプション》が優秀なんだ」
「例えはなんダ?」
「《筋力値+5》とか《敏捷値+7》。しかも、どの装備でも通用する」
「マジか」
驚きの表情を浮かべるアルゴ。
俺が上げたような強化オプションは他の武器にも存在するが、それはその武器限定の補強となる。
しかし、格闘スキルの場合はその枠がない。パラメーターの補強と言うより追加なのだ。
「まあ、熟練度上げが面倒だし危険だから、マイナス面のほうが大きいかもな」
最後にそう締めくくると、アルゴはメニューのメモ欄に文字を打ち込み、ウィンドウを閉じた。
「コレは個人的に聞きたいんだケド、どうしてアヤ吉は《格闘》スキルに拘るんダ?」
俺を心配してくれているのだろうか。だとしたら、少し嬉しい。
「だけど、それは
「ン~~~~……。なら、仕方ないナ」
「すまない」
「いいや。聞いたオイラが悪かったヨ」
そう言うと、アルゴは「協力アリガト。じゃあな」と手を振りながら立ち去った。
◇◆◇◆
【三人称side】
「アーちゃんにリカちゃん、奇遇だナ」
日は西に傾き、もう直ぐ夜の帳が降りようかというとき。小路を歩いていたアスナとシリカの前に、アルゴが現れた。
「アルゴさん、こんばんは」
「こんばんは」
狙ったようなタイミングに、少女二人は少し身構える。
「まあまあそう警戒するナ。……ところで、二人はこのスクリーンショットいるカ?」
「「ッ!!」」
そう言ってアルゴが表示させた二枚のそれを見た二人は、思わず息を呑んだ。
何故ならその写真には、黒髪に同色のロングコートを着た、惚けたような表情をする少年と、無表情ながら、恥ずかしそうに菖蒲色の瞳をそらす少年の姿がそれぞれ写っていたからだ。
それも、二人が見たことのない三本ヒゲが描かれた姿でだ。
「今なら、これくらいにしとくヨ?」
「「買います!」」
アルゴが指を二本立てると、アスナとシリカは同時に反応した。
「毎度アリ」
やることをやったアルゴはコルを受け取ると、闇の中に溶けるように消えていった。
あとには、頬を朱く染める嬉しそうな少女二人が残されたが、どちらがどちらを買ったのかは言うまでもないだろう。
【あとがき】
以上、小話3でした。皆さん、いかがでしたでしょうか?
今回は豪華四本立てでお送りしました。一番最後のはただの悪ふざけです。
あと、《リズベット武
今回もキリト君が出てきていません。女の子書くのが楽しくてつい忘れちゃうんだよ!(アヤメ君? いや、主人公だし)
……あ、ごめんなさいアスナさん! 次回は貴女様が満足行くよなかっこかわいいキリト君をちゃんと書きますからその剣下ろして!?
次回からはオリジナルストーリーになります。原作キャラの登場は少なくなりますが、ご了承ください。
それと、現在テスト期間なため(作者が我慢できれば)二週間後の投稿となります。
それでは皆さんまた次回!
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小話3更新です! 妄想が爆発して《小話》かどうか怪しい長さになっていますorz
《ハームダガー九回目の強化》
《アスナさんとリズベットの出会い》←追加
《リズベットがお店を開いていなかった理由》
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