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夜天 空side
「ぶぁくしょーーん!!!」
硝煙の臭いを感じながら盛大なクシャミが放たれた。
直ぐに空間からティッシュを取り出し垂れたしまったものを拭いて燃焼させる。
「誰か僕の噂でもしているのかなー?」
具体的には『お の れ ソ ラ -』とか聞こえた気がする。
これでも陰口には鋭い方なのだが……うん、なんだかとてつもない出番を渡された気がする。最悪に悪い方向で。
『煉獄ヲ裁断スル切ッ先』を肩に担ぎ、このゲイムギョウ界に来た瞬時に襲われたモンスターの燃える死骸を横切る。
突然のことに思わず最大火力で放ってしまったから、直ぐに辺りは灰燼になり、僕が着陸した森の半分は未だに火の海だ。
「ふむっ、……………やべぇ」
場所的に言えばリーンボックスだけど、これじゃこの地域の生態系を焼滅させてしまう。
この焔の全てに僕の魔力が宿っているため、そこらの水程度じゃ消せないから厄介だ。
とりあえず、従者ーーーレイスのだけど、携帯でこの世界に呼んで消火活動をしてもらおう、モンスターはともかく、この森に棲んでいた動物類はジョブ=二グラス辺りにお願いして創造してもらおう。
自分でも不思議だけど、あの邪神とは仲がいいんだよねーー………ほかの邪神は生理的に無理だけど。
「おっと、あったあった」
お探しの物が見つかった。
黒ずんだ大地の下で感じる電波、適当に掘り起こすと正方形の黒い箱が姿を現す。
僕はそれを持ち上げて、ポケットから携帯と無色のカードを取り出して、カードを黒い箱に当てる。
「コード:<
『音声認識、パスワード確認、ロックヲ解除シマス。』
機械声が黒箱から聞こえたと同時に箱は開き、真ん中にキーボードが、四つのモニターに八つのアンテナが現れる。
携帯でこの世界の自然を元通りにしてとジョブ=ニグラスにお願いしながら、このゲイムギョウ界のシェアが一年前を基準に何か巨大な変動があるかを調べる。
「はぃ?どうやったらレイスを自分の婿に出来るって?」
結果は、異常なし。
至って平和だ。
「お前さん、兄と結婚して更に息子にも手を出して更に上の兄の義妹にも手を出したておいてねェーーーいや、僕は反対している訳じゃないんだよ?あのレイスが身を固める話はむしろ賛成だ」
試しに100年前のシェア変動を見るが女神が変わったことを除けばこれまた特になし。
「うーん、あの超朴念仁は夜這い&既成事実しかないと思うよ」
再びカードを取り出してモニターに当てると、モニターの光は消え元の状態である黒い箱に戻っていく。
「空亡ちゃんは……まあ君だから仲良く出来ると思うけど、あのサイコキラーをどうにかしないとダメだよ?えっ?恋する乙女は無敵だー?……いいけど、お願いだから戦いは余所でやってね、狙った様に僕の管轄下でやらないでね?後処理とか始末書とかいつも僕がやる羽目になるんだけど!」
黒箱は役目を終え、プログラム通りに地面に消えていく。
これは、僕が
シェアを調べたり、ここ数千年前までに生じた被害等を調べたりできる便利アイテムなのだ。
「ちょ、黙らないでも恐いから。たださえ君たちの王が面白半分に空亡ちゃんにお酒飲ませて暴走して星が消滅したからその後処理と始末書で一週間は徹夜確定なのに、君とティシフォネが戦う事態になれば僕は三年間ぐらいは徹夜確定なんだけど!残業手当とか無しの!ただ働きになるんだけど!おーい聞こえていま『ブチっ』…………ことが終わったら栄養剤を買おう」
他には胃薬とか、その前にはレイスをフルボッコにして空亡ちゃんを我が館に招待しよう。
空亡ちゃん程の癒しを僕は知らない。
最後にギャルゲーの主人公の親友の大体が苦労人だと思うのは僕だけ?
「…………」
空を仰ぐ、今にも雨が降りそうな黒雲だ。
「どうして、こうなったんだろう」
正しいと自分に言い聞かせて、レイちゃんの為にと思ってやってきた全ては間違っていた。
ただ単に僕が大馬鹿だった。誰にも相談しなかった。親友がいたにも関わらず苦しいって言えなかった。
「…………ニーヴァ」
壊してしまった妹分の名前を呟き、僕は紅夜を探すために、こことは違うゲイムギョウ界に移動した。
零崎 紅夜side
ーーー頭が痛い。
左腕が狂喜するように俺の中で暴れる。
入院生活で幾度も味わってきた餓えた獣のような食欲と暴虐の意思、それは女神の存在が大きくなるにつれて膨張していく。
まるで中毒性の強い麻薬でも体に入れられたような気分を俺は何時もと同じように強く歯を食い縛る。
これがブラッディハードの呪い……とでも言えばいいだろうか。
モンスターを治める王、絶望の化身、女神を殺す魔王、暗黒への招待者ーー等、過去の先輩達はなかなかはっちゃけたらしいが、ゲイムギョウ界にとって絶対の存在である女神の悠久の宿敵である俺は、その存在を否定した。
それゆえ、不完全呼ばわりされたが、俺は俺だ。
過去にどんなことがあろうとも、それを理由に俺の信念を曲げる権利なんてない。
「っ………」
この体にうまく馴染んでいない時に変身時間を無理に行使した所為なのか、俺は体中に鉛を付けられているかのような重ったるい体から手を開いて、閉じるーーー五感は正常、動ける。
テラが被せたくれたコートを取り除き、未だに覚束ない足取りで立ち上がる。
相変わらず煩く吠える左腕を抑えながら、気配を感じる方へ視線を向ける。
俺はテラと抗戦していた奴の飛鳥剣を撃ち落として、それから戦って敵は不利と読んだのか、目くらましをして撤退したのでここには、闘争の残痕しか残っていない。
「………バックプロセッサ展開」
俺の言葉と同時に背中に紅いノイズの双翼が放出され、宙に舞い上がる。
「キラ、クァムは無事なのか…?」
一度ブラッディハードになった所為か、女神の気配に俺が嫌になるほど鋭くなっているため、女神の位置が薄らと感じられる。
しかし、それ以外は全く分からない。
これほどまで暴れて、悲鳴や騒動一つもない薄気味悪いこの街を不快に思い飛翔を続けていたーーーその時だった。
「失礼するぜ♪」
陽気な声と共に背中に強烈な塊が落ちてきた。
「ぐべっ!?」
「おっ!?、これはカエルボイスの紙飛行機かよ!?」
突然の奇襲に体制が狂う。
視線が掻き混ぜられるように円を描きながら墜落していく。
この体は、ラスボスの器だった物でぶっちゃけ、ビル十五階ぐらいの場所から落下しても痛くないだろうが、背中を奇襲してきた奴の顔を見てやると意気込みバックプロセッサの出力を上げ、体を垂直にして空気抵抗を受けるように無理やり体制を整える。
「おいおい!直立するなよ!!落ちるぞ!!」
「…………」
器用にバックプロセッサにしがみ付く虫に振り向くと……
「……クァム?」
見知った顔だった。
ただ俺の知っているクァムとは、髪や瞳の色が違う。
例えるなら烈火の如く燃える灼眼だ。
「俺をあんなへっぽこと一緒にするな。俺はミラージュだ」
同じ顔で同じ声でミラージュと名乗るそいつは不敵に笑みを零した。
「そうか、それじゃ落ちてくれないか?重たい」
「さすがの俺もここから落ちたら痛いぜ」
そこらのビルの頂上を軽々しく見下ろすほどの上空で飛翔していた俺を背中から奇襲してきた奴が言うことか……?
「ほら、とっととキラ……とか言ったな。合流しないと不味いじゃないか?」
「! お前はキラと一緒に居たはずじゃ」
「嗚呼、ちょっと強い奴と殺り合う際に二次災害に巻き込まれる可能性が合ったからな……逃がした」
強い奴ーーー頭に思い浮かんだのは、テラと協力して撃退したエスターや飛鳥剣を扱う奴が頭に浮かんだ。
「ちっ、ミラージュって言ったな」
「おう」
貫禄な表情で、ミラージュは口を開いた。
「道は分かるか?」
「当たり前だ」
ニヤリとミラージュは笑った。
俺は、体を平行にしてバックプロセッサの出力を高め、一気にブーストするための体制をとる。
「ーーー舌を噛むなよ」
「へっ、俺を舐めんなよ」
女神の気配はとりあえずこの町にいるといる。
それだけは、はっきり分かる。キラも心配だが、女神も心配だ。
多少の無理もこの状況だ。口から血の泡が溢れだし、俺は全身を這いずる回る激痛が一層強さを増すが、関わらずバックプロセッサは爆発するようなブーストを開始し、空を駆ける。
「---もってくれよ」
キラ、そしてなにより俺の
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やっと出せた。……
短いかもしれないけど、これで精一杯。
うん……なんだか、紅夜の様子がおかしくなってきたなぁ……