その日の放課後、一夏達はアリーナでいつもどおりの訓練をしていた。
「今回は私達五人で相手をするぞ。」
「今度こそ負けませんわ。」
「覚悟しなさい、一夏。」
「セシリアも強くなったんだし今回は勝てるよ。」
「油断するなよ、皆。」
やる気が出まくっている箒達。
「ああ、こっちも試したいこともあるしな。」
「なんですの、それは?」
「今は言えないな。」
「まあいいじゃない。それをやられる前に勝てば。」
「そうは言うけれど僕ら一度も一夏に勝ってないよ。」
『うっ!』
その通りであった。一夏は今のところ無敗、箒達は何度も一夏に向かい戦ったがその度に負けていた。
「それじゃあそろそろ始めようぜ。」
「ああ。・・・・・・・・始め!」
箒の合図と同時に鈴は至近距離で衝撃砲を放つ。
一夏は回避する。そこをセシリアのBTライフルのレーザーがホーミングで襲ってくる。一夏は一旦急停止した後に急加速して回避する。そこをラウラがプラズマ手刀で近接格闘戦を仕掛けてくる。
「はあっ!」
「くっ!」
流れるようにくるラウラの攻撃を一夏は時に止め、時に流す。一夏は右足でラウラを蹴る。
「ぬぁっ!」
「もらったよっ!」
シャルロットがアサルトライフルにブレードを付け瞬間加速で接近してくる。一夏は雪片を展開し、左に避け雪片を振り下ろす。アサルトライフルが二つに切られるがシャルロットはアサルトライフルから手を離し右手にブレードコールし一夏向け振る。一夏は左手で受け止める。一夏は左足を上げブレードを折る。
一夏はバーニアで少しシャルロットに接近しかかとを落とす。
「うわっ!」
「とりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
鈴が急加速で双天牙月をコールし、大きく振りかぶる。一夏はマッハムーブを使い鈴との距離を縮め、剣先を鈴に突き立てる。鈴は回避が間に合わず攻撃を喰らう。
そこへセシリアのビット兵器が攻撃してくる。一つ一つタイミングをずらして攻撃してくるが一夏は回避する。だがビットから放たれたレーザーは一つにまとまり、一夏に向かってくる。一夏は雪片を収め、そのエネルギーを吸収する。
「行くぞ、鈴!」
「ええ!」
箒と鈴が正面から攻撃してくるが一夏は拳を握り、両肘を曲げ、自分の胸の前に出す。
一夏の拳の付近にエネルギーの塊が徐々に形成されていく。
「なにあれ!」
「距離を置け!」
「いくぞ!」
一夏はエネルギーの塊を右の拳で飛ばす。箒と鈴は回避する。
「もしかしてこれ?」
「ただエネルギーの塊を撃っただけだぞ。」
油断した瞬間であった。一夏の放ったエネルギーの塊は拡散し小さな粒上のエネルギーとなり宙で静止状態になる。箒達は自分らの周りに浮いているエネルギーの小さな塊に驚いていた。
「まさかこれは!」
「マズイ!皆、回避しろ!」
その刹那エネルギーの塊は箒達に向かい集まっていく。四方八方からの攻撃に箒達は回避行動が間に合わず直撃する。
『キャァァァァァァァァァ!!!』
一夏は左手を胸にかざし振り下ろす。白式はアンファンスからジュネッスに変わる。一夏はクロスレイ・シュトロームを鈴に放つ。
「きぁぁぁぁぁ!!」
「はあああ!!」
箒が空烈を使いエネルギーの刃を一夏に放つ。
「はっ!」
一夏はパーティクルフェザーで相殺する。一夏は雪片を展開し瞬間加速で箒に急接近、雪片を振り下ろす。箒は雨月と空裂をクロスさせて防ぐが一夏の一撃は重かった。
(なんて重い一撃だ。これをもろに喰らえば!)
その隙を一夏は見逃さなかった。一夏は右のローキックを箒に喰らわせる。
「おりゃ!」
「ぬあっ!」
箒はバランスを崩す。一夏は雪片を箒の紅椿に突く。
「ああっ!」
そこへラウラのレールカノンが火を噴く。
「くっ!」
「まだだ!」
ラウラはワイヤーを六本出し、一夏に向け放つ。一夏は後ろに後退しつつも回避しながらワイヤーを切り裂いていく。
「なかなかやるな、一夏。」
「でも後ろががら空きだよ。」
シャルロットが一夏の後ろをアサルトライフルで狙撃する。一夏はマッハムーブを使い回避する。
「そこっ!」
セシリアのビットが一夏の正面に展開し発射態勢に入っていた。一夏は両腕のアームドネクサスの刃を光り輝かせる。一夏はラムダ・スラッシャーを二つ同時に放ちセシリアのビットを破壊する。爆煙が一夏の目の前に広がる。そこをシャルロットが『楯砕き』を装備して特攻してくる。
一夏は急降下して地面すれすれで静止し、ラウラに急接近しレールカノンを切り落とす。
「くっ、まだだ!」
ラウラはプラズマ手刀で近接格闘に持ち込もうとするが一夏は後ろに下がりながら回避する。右からシャルロットがブレードを両手にコールし一夏に突くがそれも回避する。そこに箒が後ろから切りかかろうとした瞬間であった。
一夏はマッハムーブで急上昇。
同時に三人に向かってネクサスハリケーンを放つ。
『キャァァァァァァァァァ!!』
三人はネクサスハリケーンにより足元を固められ身動きが出来ない状態。
「な、何だこれは!」
「う、動けないよ!!」
「く、このっ!」
三人もがくがまったく意味を成していない。
「はああっ!」
一夏はセシリアに向かい雪片を展開しバーニアを使い接近する。セシリアはミサイルビットからミサイルを発射する。一夏は雪片でミサイルを切り裂く。そこをセシリアはBTライフルで撃つ。
BTライフルから放たれたレーザーは枝状に分かれながら広がる。一夏はそれを全て雪片で相殺する。
「はああああああああああああああああああ!!」
「な、なんて技量だ!?」
「あの動きにISが追いついているのか!?」
「普通は無理だよ!だとしたら相当いじっているはずだよ!?」
一夏は『零落白夜』を発動しセシリアをリタイヤさせる。
一夏は箒達の方を向きオーバークロスレイ・シュトロームを放つ。
『キャァァァァァァァァァァァァァ』
勝者・織村一夏
ふう、結構疲れたな。だが白式の反応が何度やっても遅いな。誰かにこういうのはどうしたらいいか聞いてみようかな?
そう思いながら一夏はシャワーを浴びようとベットから立ち上がると扉が開く。
「じゃじゃーん。楯無お姉さん参上~。」
「・・・・・・」
「・・・・・何か言ってよ。」
「あえて言わない方針で。」
「ヒドイ!!」
「それで用事は何ですか?」
「あはは、せっかちだね。」
「長引くと後々大変なんで。」
楯無は一夏の部屋の座席に腰掛ける。一夏は楯無のお茶を出す。
「ん~、なかなかおいしいわね。虚以上かもね。」
「そんなことないと思いますよ。虚先輩もおいしいお茶入れますし。」
「あれ、うぬぼれないのね。」
「そこまでの実力を持ってませんから。」
「嘘おっしゃい。さっきの戦闘見たけど中々だったわよ。」
「いいえ、まだまだです。それより用事は何ですか?」
「一夏君、襲われたんですって?うちの警備の人間をつけましょうか?」
「・・・・・・・・いいです。」
「そう。まあそう言うと思ったけど。」
「そうですか。」
「それともう一つお願いがあるんだけど・・・・・」
一夏は少し驚いていた。いつもの楯無にしては歯切れの悪い口調だったためである。
「その・・・・・お願い!」
パンッ!と手を合わせていきなり拝む。
「妹をお願いします!」
「はい!?」
一夏には何がなんだかわからなかった。
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その日の放課後のアリーナ。一夏対箒達の模義戦が行われていた