No.537654 外史を駆ける鬼・IS編 第009話2013-01-29 21:38:52 投稿 / 全7ページ 総閲覧数:1395 閲覧ユーザー数:1286 |
外史を駆ける鬼・IS編 第009話「帰還と出会い」
季節は8月。
IS学園は夏休みに入り、学園のほとんどの生徒はそれぞれの国(故郷)に帰郷している。
重昌も夏休みの期間を利用し、束のいる研究所に戻っていた。
重昌「久しぶりに帰っては来たが、やはりとんでもない事になっているんじゃないか?」
“とんでもないこと”とは、研究所の散らかり具合である。
重昌の居候期間、研究所の掃除を行っていたのは彼自身であり、いくら掃除しても翌朝になると”とんでもないこと”になるのだ。
っと言っても、実際”とんでもないこと”になるのは束の部屋だけであるが。
廊下を歩き終え、束の研究所の研究室に着き、この後に映る光景を目に浮かべながら一つため息を吐いて、扉のパスワードを打ち込む。
機械の扉が開くと、彼の目に映った光景は自身が旅立ったままの状態である研究室であった。
彼は一度扉を閉めて、パスワードを打ち間違えていないか確認する。
打ち間違えの影響で、きっと何処かの異次元の世界に繋がったのだと思うが、パスワードを打ち漏らした形跡は無い。
もう一度深呼吸して扉を開けると、やはりピカピカに掃除された研究室が写っている。
重昌は目頭を『コリコリ』と弄ると、一つ瞑想する。
重昌「{・・・・・・落ち着け、私。きっと疲れているんだ。あの束が掃除などするわけがない。以前、コーヒー一つ用意しようとして、食器の5割を壊滅させた束にそんな器用な真似が出来るわけない。――そうか、これは夢だ。夢なら直ぐに覚めるはずだ!なんだ。それならば早くこの夢の中で布団を見つけ、再び寝て夢から覚めなくてh}「あ!重ッチ~~。おかか~」」
彼の視線の先には、研究所のテーブルでお菓子を頬張っている束の姿があり、大きく手を振っている。
重昌「{――毘沙門よ。嘘と言ってくだされ・・・・・・}」
・・・・・・・・・
重昌「それで、どういう事だ?」
束「何が~~?」
重昌も椅子に腰掛け、束と向かい合うように座る。
重昌「お前なんかが掃除をするわけないだろ。ましてや私が戻ってくるまで散らかさないように気を付けていたとは思えない。そして『ツイッ!』埃一つないのはどういうことだ?」
彼がテーブルを指でなぞる。
束「むっふっふ~~。天才、束様にかかれば、掃除なんてお茶の子さいs『ベキッ』助手のおかげです」
重昌は取り出した胡桃を束に見せつける様に砕き割る。
重昌「助手?」
???「束さま、クッキーが焼けましたのですが」
そこに現れたのは、さながら研究者の様な白衣を身にまとい、背丈は140cmぐらい。
片方はエメラルドグリーン、もう片方は金色の目を持ち、腰元まで伸びるそれ程手入れされていない銀髪の少女が現れた。
少女が持ってきたのは、見事真っ黒に焦げたクッキーで、束は「ありがとう、く~ちゃん」と言うと、手づかみでそのクッキーを「うまいうまい」とほおばり平らげる。
「重ッチも食べてみなよ」と言われ、重昌はクッキーの乗った皿一枚手に取り、口の中に放り込む。
重昌「(ふむ。・・・どうやら分量は間違えてなさそうだ。小麦粉の度合い、水の継ぎ足し量、加熱具合も・・・・・・)ではなくて――」
このクッキー・・・一般の感覚から言ってかなりまずいのだが、その昔、恋歌の覚えたての料理?に比べれば、まだ可愛い方である。
重昌「よしっ。色々ツッコミたい所があるが・・・・・・まず、この子は誰だ?」
束「嫌だねぇ、重ッチ。嫉妬?こんな小さな少女に嫉妬?大丈夫だよ。束様の心と体はアナタだけのもn『ベキッ』判ったよ。真面目に話すよ。実はね・・・・・・」
重昌「・・・・・・・・・」
束は俯き、哀愁漂う雰囲気を醸し出しているので、重昌も真面目に聞こうとする。
しばしの沈黙の後――
束「ゴメンネ、重ッチ。実はこの子、つい最近産まれた、私と重ッチのこどm『ガシッ』」
最後の1ワード言い終える前に重昌の手で顔面を覆うように掴まれ、「そんな訳あるかぁぁぁぁぁっ!!」と叫びながら振り回される。
“く~ちゃん”と呼ばれた少女は、振り回されている束を見ながら、どうすれば判らずおろおろする。
束「――うぅ、痛いよぉ重ッチ。ち~ちゃんのアイアンクローより痛いよぉ」
重昌「それで、この子は?」
束「だから、私と重ッチのこどm『ゴスッ!』」
重昌「もういい。この子に聞く」
束は脳天に重昌の拳骨をくらい、気を失う。
重昌「ゴメンネ。別に私は君を取って食べようと思っている訳じゃないよ。君の名前を教えてくれればいいんだ」
少女は生の重昌の怒りを見て端で震えているが、彼の紳士な対応に、敵意が無いことを感じ取り、口を開く。
???「・・・・・・Claudia(クラウディア)」
重昌「クラウディア、だから”く~ちゃん”か。よろしくね、クラウディアちゃん。私の名前は重昌という」
クラウディア「知っている。束さまから聞いた。貴方は危険でない事も聞いているので、束さまみたいに呼んでいい」
重昌「そうか。しかし、”く~ちゃん”では他のく段の女性の人と被ってしまうな・・・・・・クラウディァ・・・クラu・・・デァ・・・ディァ・・・・・・。ディアなんてどうだろうか?判りやすく、他の人と被る心配もない」
クラウディアの愛称を考え出した重昌に復活した束が喰ってかかる。
せっかく自らが考え出した呼称を変えられた事についてだが、クラウディアはその呼称を気に入ったらしく、直ぐに了承。
あっさりと了承されてしまったディアを見て、今度は束が部屋に隅に行き落ち込む。
ディア「えぇっと。いいのか?束さまがあの様な状態だが?」
重昌「大丈夫だよ。ああ見えてそれ程落ち込んではいないだろうから。ディア、君は一体何処で束と出会ったのだ?」
ディア「・・・・・・街」
重昌「街とは、何処の街だい?・・・いや、何処の国のだい?」
ディア「・・・・・・判らない。お腹が空いて路地裏で倒れていた所を、束さまに拾って貰った。私は物心ついた時から、親がいなかった。お金も無かった。字も読めなかったし、頭も良くない。だから、私は何処で何の為に産まれたかも判らない」
重昌「(なるほど。ストリートチルドレン・・・・・・ホームレス孤児というわけか。それにこの子の金色の目は恐らく・・・・・・義眼のオーディンの瞳(ヴォーダン・オージュ))」
そんなことを予想しながら、重昌はディアに提案を持ちかける。
重昌「ディア、先程のクッキー」
その話題を持ち出され、彼女は少し落ち込み気味で頭を垂れる。
落ち込みかける少女に重昌は「そんな話題ではない」と付け加える。
重昌「ディア。クッキーを食べてみて思ったのが・・・・・・君の事だ、束に食べさせようと思って一生懸命調べて作ったのだろう。分量も恐らく間違っていない。だが、クッキーがあんな風になったのは、何が原因かわかるかい?」
彼の質問に、少女は首を傾げて軽く首を振るう。
重昌「判らなくていい。これから学んで行けばいいのだから。私が作り方を教えてあげよう」
その提案を聞き、無垢な少女の目はキラキラと光り、パタパタと足音を鳴らしキッチンに向かっていく。
束「重ッチたち、料理するの?それなら束様も――」
束も続けてキッチンに走って行こうとするが、首の襟元を重昌に掴まれてバタバタともがく。
束も反論しようと彼に振り返るが、振り返れば神妙な顔つきで束を見つめていた。
重昌「・・・・・・束、仕事だ」
束は「ほいほい」と言い、研究所の大型投影空中ディスプレイをいくつも使用したPCを使い”仕事”にとりかかる。
言葉を交わさなくとも、息の合った天才2人には、アイコンタクトで十分である。
そして場所は変わってキッチン。
重昌「いいぞ。そこで卵を入れてかき混ぜる」
2人は今、クッキーの生地の元を作る段階を行っていた。
ディアが作り、重昌が指示を出す。
何か判らない点、悪い点があれば注意する方針を取り、現在に至る。
ディアは生地を混ぜる為にミキサーを使おうとするが・・・・・・
重昌「ちょっと待て」
ディア「・・・?」
重昌「そこは機械では無く、泡立て器を使い、自分の手で混ぜるんだ」
ディア「・・・しかし・・・それじゃあ疲れる。腕が痛くなる」
重昌「だからこそだ」
ディア「・・・・・・?」
重昌「疲れる、頑張る、いつまでも続けていると痛くなる。そうした努力で出来た料理を食べてもらって、『美味しい』と言ってもらえれば、それは作るまでの苦労も忘れてしまう程、嬉しい瞬間になるのじゃないか?」
少女はよく判らないと言うかのように首を傾げる。
重昌「判らなくてもいい。とりあえず、私が言う通りにやってごらん」
ディア「・・・・・・・・・」
ディアは黙って作業を続けた。
自分を拾ってくれた恩人が心を許す人物なのだ。
その人の言葉を信じて作る作業に専念した。
途中、腕が痛くなって作業を中断した時も、重昌は優しくディアの腕をさすったり、マッサージもしてやった。
そのゴツゴツした暖かい手は、まるで自分の見たことのない父親を、彼女は思っていた。
重昌も、自分が今まで育てて来た多くの子供たちと同じように、撫でてやった。
その時彼は、優しさと悲しみの気持ちを持って思った・・・・・・「細い」っと。
やがて生地を作り終え、専用の小さな小物に入れて、オーブンで暫く焼く。
香ばしく、暖かな香りが出てき、オーブン独特の音が鳴り終わる。
蓋を開けて取り出すと、先ほどとは違って、綺麗なクッキーが出てきた。
そのうちの一つを重昌はつまみ頬張る。
ディアは彼の反応を不安気に見守り、彼が微笑み親指を立てると、彼女も一つつまむ。
その味に満足したのか、彼に初めての笑顔を見せる。
クッキーを作り終えて、それを束の元に持っていく。
束は待ち望んでいたかのように、座っていた椅子から勢いよく飛び、重昌の持っている皿から一つクッキーを取って口に含む。
重昌「おい、行儀悪いな」
束「・・・・・・ふぁれ(あれ)?ふぉんふぁいも、ひふぇっひふぁふふったふぉ(今回も重ッチが作ったの)?」
重昌「いいや、正真正銘ディアが作ったやつだよ」
束の反応に、重昌の後ろに隠れているディアは恥ずかしそうに顔を赤らる。
束は「凄い凄い」と言いながらディアの片手を両手で握手するように掴んでぶんぶんと振るう。
重昌「っで、味はどうだ?」
束「すごくすごく美味しいよ、く~ちゃん。重ッチの作る料理と同じぐらい美味しいよ」
彼女の反応を見て、ディアもつい笑顔になってしまう。
そして夜。
ディアは束の部屋のベットで早めの就寝。
研究所の重昌作成のリビングで、束に調べされた資料を広げながら、彼(重昌)は眉間にシワを寄せながら目を通している。
そこにディアを寝かしつけた束が入ってくる。
束「く~ちゃん寝ちゃったよ」
重昌「無理もない。お前を喜ばせるために一生懸命だったんだからな」
束「でも初めて見たよ。く~ちゃんの笑顔」
彼女はディアと初めて出会った時のことを、おもしろおかしく話す。
しかし、その内容はあんまり明るい話でもない。
彼女がこのように話すのは、少しでも重昌の心配にならないようにという配慮でもあるのであろうか?
だが、重昌にとってその様な話は、珍しくもなんともなく、探求者になる前まで日常茶飯事だった。
しかし、束の配慮も考慮して、いつものように彼も度々ツッコミを交えながら、束の話を聞いている。
束「それでも重ッチにはホントに感謝しているんだよ~~。宇宙一の天才、束様に褒められたのだ。もっと誇りなさい」
重昌「はいはい。それはそれは光栄ですよ。宇宙一のバカせ様」
「重ッチひど~~い」っと嘆いている束を尻目に、彼は彼女に問う。
重昌「――それで束。ここに書かれている情報は”真実”なのか?」
束「当たり前だよ、重ッチ。天才の調べごとに、間違えはないよ」
重昌「だがな、束。この様な状況に陥ることになるのは、お前も判っていたはずだ。だが・・・・・・何故ISなんてものを作った?」
束「・・・・・・・・・」
重昌「確かにお前は、頭がいい。凡人にはお前の考えていることは理解できない。だから、お前がこの世界を退屈に思えるのは判る。だが何故だ?今回、たまたまお前はクラウディアを救えたかもしれない。だが、いまだ、第二、第三のクラウディアが生まれるのかもしれないのだぞ?お前はこの世界に何を見出したいのだ?」
束「・・・・・・・・・」
重昌「そうか・・・・・・まだ、この質問をするのは早すぎたか。いいさ、時間はたっぷりある。お前の悪ふざけに加担するのも悪くはない・・・・・・。今日はもう遅い。早く寝ろ。私は片付けを終えてから寝ることにする」
彼女は黙って重昌に背中を向けて、自分の部屋に戻る。
しかしその前に――
束「重ッチ・・・・・・。ありがとう」
彼の視線から見た彼女の小さな背中は、泣いているのか?それとも微笑んでいるのか?それでも哀愁が漂っていることは間違いないように思えた。
重昌は軽く”フッ”と”笑い「気にするな」と呟くと、束は軽い足取りでスキップしながら、自らの部屋に消えて行った。
一応書きましたが、おじさんのセリフで「いまだ、第二、第三のクラウディアが生まれるのかもしれないのだぞ?お前はこの世界に何を見出したいのだ?」まるで、何かの物語の確信に近づく的なセリフをこぼしましたが・・・・・・
はっきり言って何も考えてません!!
えへっ(´∀`*)
いやぁ、こういう風に書いたら面白いかな?と思って、ノリと勢いでやっちゃった(/ω\*)
大事だよね。
ノリと勢いww
やっぱり、未完の作品を書くのは難しかったのかな?っと常々自分でも思っていますが、でも仕方ないよね・・・・・・好きなんだものww
ちなみに私がISの中で、一番好きなキャラは箒です。
メインヒロインらしいので、王道ですかねぇ。
おもしろくない?
仕方ない。
人それぞれだものww
それではまた会う日までSee you next time.
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皆様お久しぶりです。
あけましておめでとうございます。
ただの無敵要塞です。
バイト、学校、テスト、資格の勉強、疲れによる睡眠っと全く作成に踏み込んでおらず、妄想でストーリーを構築していく毎日。
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