No.535331

〜なんとなく 壊れている自分 the origin 2007-4〜

夢で見た事や思いついた文字を羅列している詩集…と言うより散文集です。以前ブログにて掲載していたものをこちらに転写しました。
下に行く程古く、上に行く程新しいものです。
無駄に量があるので時間が余りまくってる方、どうぞ(笑)

↓最近の作品はこちら 

続きを表示

2013-01-23 21:25:30 投稿 / 全16ページ    総閲覧数:667   閲覧ユーザー数:667

2007.12.3

「誰もいなかった 始めから」

 

何故だろう

ずっと見た事があると思っていた

そこに存在していると思っていた

それがある事を 私はずっと信じて疑わなかった

あの体育館の光景も ずっと遠くを見ていた彼女の事も

白いケープを纏い 白い息を吐きながら まるで尼さんのように 頭を丸めた彼女の事を

 

けれど 気が付くと

そんな光景は無くなっていた

いや 始めからそんなものは

存在して いなかった?

色々調べてみた

家中のアルバムを探した

友達にも聞いてみた

ネットでも調べてみた

 

けれど 何も出て来なかった

あの体育館の片隅も

頭を丸めた彼女の事も

 

そうよね

よく考えてみたら

本当に存在し 友達として そこにいたならば

私の事だ 絶対毎日話してる

絶対毎日挨拶し 絶対毎日一緒に帰る

 

けれど 思い出すのは 白い息を吐きながら 遠くを見ている姿だけ

会話をした 記憶はないの

 

何故だろう?

何故存在し得ないのに 「思い出す」と言う表現なのだろう?

 

何故だろう?

何故「思い出す」のに 存在しない相手なのだろう

 

 

2007.11.15

「退路の無い講義」

 

どうしても受けたい講義があった

だから待ち合わせのデパートを抜け出して

目が回る程の沢山の人を押しのけ

その狭い教室にやってきた

 

教室は3つに壁に隔たれていて

私は先生のいる前の部屋に座る事が出来た

けれど 酷く人気のある講義みたいで

人の山で床も椅子も見えない

実際 私が座っている席も

二人がけの所に三人座ってて

右肩には前の人の足が片方乗ってるの

 

でも そんなに人気のある 大切な講義なのに

先生が何を言っているのか 分からないの

先生は何かを必死で教えようとしている

けれど 先生の声が 私には聞こえないの

 

黒板に書かれている文字も まるで外国の象形文字

私には 何を書いているのか さっぱり分からない

 

そしてその講義を受けている

あまりに沢山いる人達も

瞳の奥が酷くボンヤリしていて

顔に精気を感じる事が出来ない

青白く どす黒いその顔は まるで冥府の亡者

生きている人間って感じが あまりにしないの

 

帰ろうにも もはや身動き出来る状態じゃない

私はこの絶望的な講義から 逃れる術が見つからないの

 

 

2007.11.12

「模型都市」

 

暗闇の中に

ぼんやりと浮かぶビル群

その窓という窓から 青白い光が漏れ

幻想的な世界を 作り出している

 

真っ黒に落ち窪んだ中央からは

どこまで続くか分からない

青白い渓谷が広がっている

 

渓谷の近く

宙に浮かんだ青白い看板に手を伸ばしてみるも

その手は空を切り

確かに掴んだ筈の看板が 手に取る事が出来ない

 

ここは模型都市

そこにある全てが そっくりに作られた偽物

ビルディングはどこまでもからっぽで

そこにある全ては 酷く空ろなの

 

だから その看板も

それを手に取ろうとしたあなたも

この世に実に存在するとは言えない物体なの

 

あなた自身は 確かに生きて存在している

そう思っている

目の前の看板も 確かにそこに存在している

そう思っているのね

 

でもね

ここは模型都市

そこにある全てが偽物で

全てが空ろで 空虚なの

 

 

2007.11.9

「名も無き絵画」

 

大きな真っ白のキャンバスの右側に

線画だけで描かれた一人の人物がいる

両手を開き まるでスカイダイビングをするようなポーズ

背景が無いその絵の人物は

何をしているのかは 想像するより他にない

 

けれども 私は この絵を何故か自分だと思った

自分に似ていた訳でも何でもないが

何故か この絵は私だと思ったのだ

 

キャンバスの人物は頭を若干下に下げ

無表情を視線を泳がせいるだけだ

 

でも 私には分かる

楽しくスカイダイビングをしている訳じゃない

この人は いや私は これからこの世とオサラバする為に

ビルの突端から飛び降りたんだ と

 

真っ白なキャンバスに 線画だけで描かれた人物

何故 そう思ったのかは自分でも分からない

でも これは自分の未来の姿だと そう感じた

 

 

2007.11.6

「真理」

 

全てをためらわず受け入れる事

それが正しいと信じてきた

自我を殺し 全てを受け入れる事で

安心感を得ようとしていたんだ

 

けれど 全てを受け入れても

決して自由にはなれず

その不自由さ故に安心感も得られない

なんとなく 遠い昔に そう悟ったんだ

 

でも 今まで全てを受け入れてきた僕は

受け入れない事 拒絶する事

全てに対し 自我をもって対処する事が出来ない

 

全てを受け入れていたのは

安心感を得る為じゃなくて

拒否する拒絶する事を

悪い事として 恐れていたのかも知れない

 

そう思った遠い日の午後

 

 

2007.11.5

「夫婦漁船 ~上映時間20分~」

 

暗い部屋の中に広がる

360度超パノラマスクリーン

灰色の嵐の中

沖合へと船を進める夫婦が映っていた

 

みんなは嵐が来る事を察知し

陸に避難していたと言うのに

その夫婦だけは

みんなと反対方向の沖合に

船を漕ぎ出していたんだ

 

どうして避難しないんだ?

そんな声をかける仲間に 夫婦はこう答えた

 

今夜 旅館に来る お客に出す

おもてなしの品を捕りに行くんだよ

何にもない旅館だから

命を懸けてでも魚を狩りに行かなくちゃならない

 

そう 昔から伝わる寓話で

僧侶をもてなす為に

自らの身を焼いた兎の話

あれと一緒で

我らも命を懸けて お客をおもてなししなきゃならない

誰が決めた訳でも 誰かに言われた訳でも無い

自らの意志で 私らは船を沖に進めるんだ

 

そして 暗い部屋の中に広がる

360度超パノラマスクリーン

激しい波がスクリーンに映し出され

激しい波の間を 木の葉のように 一艘の船が舞う

 

その様子が 客を迎える為に

今日も薄暗いロビーで上映される

 

僧侶をもてなす為に

自らの身を焼いた兎の話

あれと一緒で

我らも命を懸けて お客をおもてなししなきゃならない

 

 

2007.10.29

「自殺の理由」

 

何故 死を選んだか

多分 誰にも分からない

誰もが 私の事を 理解出来ない

 

孤独ではない事くらいは

何となく 現状としては

理解出来ない事はない

 

家族が悲しむとか

友人が悲しむとか

困る人が出てくるとか

考えない訳じゃなかった

 

ただ それを踏まえても

ただ 生きていくのが 辛すぎた

 

それだけでした

 

 

2007.10.23

「高貴な廃墟」

 

狂ったように鳴り響く

ピアノの下で 世界が壊れる

 

手の施しようもなく

泣き叫ぶ暇すらなく

 

破壊された守護神

崩壊した石造

血で塗れた大地

荒れ狂う大海原

神の嘆きか 人の嘆きか

空気が悲鳴を彼方に伝える

 

高貴な廃墟は

その姿を次第に完成させていく

 

狂ってしまった砂時計

生まれた事を忘れた赤ん坊

自我を無くした人類と

哀れみを忘れた神々

 

高貴な廃墟は

そうして完成を迎えていく

 

大地の存在を忘れ去り

大空の存在を忘れ去り

そこにあるのは ただ空虚

血で塗れた空気と 湿った闇

 

高貴な廃墟は

そうして完成を迎えていく

 

 

2007.10.16

「展示された世界の終焉」

 

どんよりとした雲の下

静かに佇む廃墟のビル

そのフロアの中央に

ぽつんと置かれたショーケース

 

中を覗くと

ショーケースの中には

激しい雷雨が吹き荒れ

海は暴れ 全ての陸を飲み込んでいた

 

そこに映し出されていたのは

世界が終わる瞬間

 

この瞬間

全ての陸の生き物は滅び

魚達には天国が訪れた

 

どんよりとした雲の下

静かに佇む廃墟のビル

麓には広大な海が広がり

ビルの下層には 魚達が住んでいる

 

こうして 1つの世界が終わる

こうして 1つの世界が始まる

 

 

2007.10.11

忘れ去られた事件現場

ある日 朝 起きてみると

キッチンの窓ガラスが割られ

床には沢山のガラスが散乱し

部屋には「立ち入り禁止」の黄色いテープが

ぐるぐる巻きにされている

 

沢山のガラスを片付けようと手を伸ばしたら

どこからともなく声がする

 

「ココデハ事件ガアッタンダ

現場ヲ荒ラシテハ イケナイヨ」

 

だから 私の家なのに

私の家のキッチンなのに

散乱したガラス片を 片付ける事が出来ないの

 

あれから数年……

この光景も普通になってしまった感がある

 

一体 この部屋で何があったのだろう?

気がかりなのは その事だけ

 

 

2007.10.9

「真の創生の神」

 

人はその昔 自らの意志の中で

“神”と言う存在を 生み出した

“神”の創製は人がいて初めて成し得た事

創生の神は 人 そのものなのだ

 

だが いつの日か 人はその事実を忘れてしまった

人に生み出された意識が無い“神”は

自らを創生の主と名乗り 人の上に君臨した

 

人は その事に疑問も持たず その支配を甘んじて受け入れた

 

神はいる

確かにこの世に神はいる

 

だが 神は何もしない

いや 何も出来ない

だから 祈る者すらも 救う事が出来ない

 

創生の“真の神”は人の中にある

 

自らの運命を決めるのも

自らの幸福を生み出すのも

全ての 創生と 再生を 築き上げられるのも

人の手に他ならない

 

天に向かい手を合わせる“人”達が

その信実に気付く日は 一体いつの事だろう?

 

 

2007.10.2

「改装工事中」

 

ふらりと立ち寄った古びた本屋

裏通りに面した小さな建物の中は

そこには似付かわしくない 青いビニールシートが立て掛けられ

その様子はまるで工事現場

 

その奥に ビルの変わりに 本棚が

沢山の本を湛えて佇んでいる

天井は酷く高くて その先は暗闇が支配し 何も見通せない

そのずっとずっと先まで どこまでもどこまでも 本棚は続いている

嫌だ めまいがして倒れそう

 

そんな高さに参っていると 店の店主が出てこう言うのだ

見ての通り まだ工事中なんだよ

工事が終わったら また見に来てくれよ

とびっきりの内容で お客さんをお待ちしているからよ

 

そう言われても 私には この本棚の底辺の

本当に底にある部分の本しか取れない

暗闇の中に埋もれた 大量の本達を 私は 見る手段がない

どんなに素晴らしい内容が書かれていても

どんなな素敵な表紙でも

私には とてもじゃないけれど 手が届かないの

 

私がそんな本棚に手を伸ばそうとする横を

店主は大量の本を抱え 一気に浮かび上がり 天空の闇へと消えていく

 

そうね…

この世界で 手が届かないと嘆いているのは

きっと私だけなんだわ

 

 

2007.9.27

「全てを忘れてしまった」

 

君は 一人 ここに佇む

周囲には何も無い 暗闇の中で

君は 一人 ここに佇む

誰にも顧みられない中で

 

君は叫ぶ事も 忘れてしまった

 

君は孤独 孤独である自覚も無く

仲間と言う概念も 親族と言う概念も持たず

 

泣く事も 叫ぶ事も 訴える事も

求める事も 呼ぶ事も 記憶の彼方に忘れ去り

 

君は佇む 孤独の中を

寂しいとも 悲しいとも 何も思わずに

 

~感情が揺り動かない今が とても 幸せです~

 

 

2007.9.26

「そこにあると思っていた希望」

 

その薄暗い洞窟の中を

君はマシンに乗り突っ走っていく

 

その先にある行き止まりの道を

君はモデルスーツよろしく状態の

固まった体を持ち上げ

拳を振り下ろし

道を開こうとしている

 

行き止まりの間から漏れる光

そこにあるのは自由な外の世界

緑が 光が 溢れている世界

君は疑う事なく そう信じ

道を塞ぐ岩を砕こうとしている

 

例え その岩が砕けたとしても

その先にあるのは同じような洞窟で

その暗い道は永久的に続く事にも気付かずに

 

君は凝り固まった 鋼鉄の拳を振り下ろし

道を開こうと努力をしている

 

 

2007.9.24

「追われているの」

 

逃げなくちゃいけない

この薄暗い洞窟の中を

私は何かから 逃げなくちゃならない

 

何から逃げているの?

自分にもよく分からない

けれど 追われている事だけは 確かなの

 

この薄暗い洞窟は

その昔 鉱山だったらしい

溶岩の上に組まれた細い足場を

私は妖しい足取りで渡っていく

 

そうだ ひょっとしたら

相手は先回りしているかも知れない

そう思って 私は逆方向に歩き出し

険しい石炭の山を登っていく

 

何に追われているのか

自分にもよく分からない

けれど 追われている事だけは 確かなの

 

逃げなくちゃ 逃げなくちゃ

私はこの薄暗い鉱山の中を 逃げ続けなきゃならない

 

 

2007.9.21

「おかしなデパート」

 

おかしなデパートに入ってしまった

 

中は水害にでも合ったのかと言わんばかりに水浸し

腰まで浸かる泥水の中 沢山の木々が乱立し

その様子はまるで熱帯雨林

木々の間に ひっそりと 商品棚がある感じ

 

けれど 私以外のお客さんは

そんな様子をおかしいと思っていないみたい

ある人は水をかき分けながら

またある人は ボートを漕ぎ出し

ゆったりと買い物を楽しんでいる

 

おかしいのは

この光景をおかしいと思う 私の方なのかも知れない

 

試しに近くの木々の間から

多分クッキーでも入っているとおぼしき袋を取り出す

みんなの目には とても美味しそうに映るのでしょう

けれど私には とても食欲をそそりそうにない代物

 

おかしいのは 私の方なのかも知れない

きっとこの世界では これが 普通 なのだろう


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
0
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択