No.529844

ソードアート・オンライン フェイク・オブ・バレット 第四話 初戦突破と恐怖との再会

やぎすけさん

戦闘はあっさり終わります。

2013-01-09 19:17:50 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2089   閲覧ユーザー数:2037

デュオ視点

次の瞬間には俺は林の中に立っていた

 

デュオ「さて・・・久しぶりにやりますか。」

 

俺はM82A1を持つと、林の中をほふく前進で進む。

林の中は障害物になる木が多くあり見通しが悪いため、伏せたままの状態なら簡単には見つからない。

ゆっくりと移動していたその時、ガガガガガガガガッ!!という音を立てながら弾丸が飛んできた。

 

デュオ「・・・っ!?」

 

突然の攻撃に驚きながらも、左右に転げまわって弾を回避する。

弾丸の嵐は数秒で止んだが、おそらくリロードが終われば、再び弾丸が飛んでくるだろう。

 

デュオ〈その前に決着をつける!〉

 

俺は仰向けになったままの体勢から、ライフルを構えながら体を反転させて狙撃体勢に入る。

引き金に指をつけると【着弾予測円(バレッドサークル)】と呼ばれる、弾着地点を示す緑色の光円が、覗き込んだ照準装置の向こうに見える灰色の市街迷彩を着たプレイヤーの心臓部分に現れた。

 

デュオ〈くらえ!!〉

 

心の中でそう叫びながら引き金を引き絞ると、やや強めの反動が肩から全身に伝わる。

大型の砲身から撃ち出された大口径の弾丸は、狙った場所から僅かに右に逸れ、プレイヤーの中心を撃ち抜きその体を吹き飛ばした。

《コングラチュレーション》の文字が表示される夕焼けの空を眺めながら、俺は小さく呟いた。

 

デュオ「まず1勝。あと4つか。」

 

俺の声が虚空に消えると、体が光に包まれて、控え室に転送された。

再び戻ってきた控え室の1つの面に広がるモニター群の画面内では多数のプレイヤーが戦闘を繰り広げていた。

俺はその中からキリトとシノンの姿を探す。

 

デュオ「おっ・・・いたいた。」

 

左の方にキリトが戦っている画面があった。

そこには、飛来するアサルトライフルの弾をキリトが光剣で迎撃している様子が映っている。

 

デュオ「相変わらず馬鹿なことやってるな・・・でも、面白そうだな。機会があったら俺もやろう。」

 

思ったことを呟いた後、今度はシノンの画面を探す。

 

デュオ「・・・いた。」

 

偶然にも、キリトの画面の近くにシノンの画面はあった

 

デュオ「狙撃銃か・・・あれもアンチマテリアルライフルだな。」

 

シノンの手に握られているのは巨大な狙撃銃【PGM ヘカートII】。

フランス製のアンチマテリアル(対物)ライフルでPGMプレシジョン社が開発、製造しているウルティマラティオシリーズの中でも最大口径モデルの銃である。

今は地面に伏せて敵を待ち構えているようだ

 

?「あなたも応援ですか?」

 

突然横から背の高い男が声をかけてきた。

 

デュオ「一応。どうして?」

 

?「あなたが、シノンが戦っている画面を見ていたから・・・」

 

長い銀灰色の髪をかきあげる男

 

デュオ「なんで俺が、シノンの画面を見ているとわかったんだ?」

 

?「シノンの戦っている画面の辺りを見て狙撃銃って、しかもアンチマテリアルライフルって呟いていてたので・・・」

 

デュオ「なるほど。そういうことか。ちなみに俺はトーナメント参加者だ。」

 

そう答えるとなぜかその男は困惑した様子を見せた。

おそらく、シノンを応援しているから良い奴だと思ったら、最終的には敵となるかもしれないプレイヤーだったからだろう。

 

シノン「あらデュオ、早かったわね。あれ?シュピーゲル、あなたも来たの?」

 

シノンが戦いから帰還した。

どうやら俺が男と話し込んでいる間に戦いを終えていたらしい。

 

シュピーゲル「うん。シノンの応援にって思って。」

 

シュピーゲルと呼ばれた男は顔を緩ませる。

端から見れば恋する男子そのものだ。

 

シノン「ありがと。それにしてもデュオ。あなた、私よりも早かったのね」

 

デュオ「俺は遠近両用型だから敵を見つければ、後は早いよ。まあ、今回は見つけるんじゃなく、見つかった側だけど。」

 

なるほど、と微笑むシノン

 

シュピーゲル「シノン。彼とはどういう関係なの?」

 

シュピーゲルはこちらを睨みながらシノンに問う。

 

シノン「敵よ。」

 

一瞬の迷いもなくそう言ったシノン。

 

シュピーゲル「そう・・・なんだ・・・」

 

腑に落ちないような表情を見せるがシュピーゲルは引き下がる。

そのままシュピーゲルは壁の方へ歩いていった

 

シノン「そういえばキリトは?」

 

デュオ「そういえば・・・どこ行った・・・?」

 

シノンの言葉に辺りを見回しキリトを探すと、真っ黒な相棒はすぐに見つかった。

だが、様子が変だった。

 

デュオ「あっ、いたいた。」

 

端っこの方で椅子に深く腰掛け顔を伏せているキリト。

 

デュオ「どうした、キリト?」

 

近づいて声をかけると、顔を上げたキリトは恐怖に震えていた

その様子を見た俺は、キリトに何かがあったことを悟った。

 

デュオ「・・・シノン。すまないがちょっと2人だけで話をさせてくれないか?」

 

シノンは一瞬戸惑ったが、キリトの様子を見て頷くと向こうの壁の方まで歩いて行った。

それを確認すると俺は再度キリトに問いかけた

 

デュオ「何があったんだ、キリト?」

 

キリト「デュオ・・・死銃は・・・」

 

デュオ「ラフィン・コフィンの生き残りだってことか?」

 

キリト「っ!?・・・知ってたのか・・・?」

 

デュオ「確信は無かったがな。だが、今のお前の様子を見てよくわかったよ。」

 

俺がそう言うと、キリトはまた俯いてしまった。

 

デュオ「キリト、こんなことを言うのもどうかと思うが、今は本選に進むことだけ考えてろ。」

 

俺はキリトにそう告げると、振り返って去り際に言い放つ。

 

デュオ「過去は変えられない。だから、お前は未来()だけ見てろ。」

 

それだけ言うと、俺は次のステージへと転送されていった。

言葉の意味がキリトに伝わっていたかどうかは、わからない。

 


 
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