「はい、それでは皆さーん。今日は高速起動について授業しますよー。」
一組副担任山田先生の声が第六アリーナに響き渡る。
「この第六アリーナでは中央タワーと繋がっていて、高速起動実習が可能であることは先週いいましたね?それじゃあ、まず専用機持ちの皆さんに実習してもらいましょう!」
山田先生がそう言って手を向ける先にはセシリアと一夏がいた。
「まず高速起動パッケージ『ストライク・ガンナー』を装備したオルコットさん!それと織斑君!この二人には一周してきてもらいます。」
皆から頑張れの応援の声が聞こえる。一夏とセシリアは軽く手を上げ応えると、セシリアはISに意識を集中させた。
『あら、一夏さんはバイザーを出さないんですの?』
「ん!まあ慣れてるからな。」
『そんなこと言って。無理に見栄を張ると事故を起こしますわよ。』
「大丈夫だって。」
二人はプライベートチャンネルで取りをしながら空に上がった。
「では、・・・・3・2・1・ゴー!」
山田先生のフラッグで一夏とセシリアは一気に飛翔、そして加速をして音速を突破する。
「あれ?」
「どうかしましたか?」
「織斑君オルコットさんと違ってバイザー付けてませんでしたよ。」
「ええ!織斑君バイザー出さなかったんですか!織斑君事故らないといいんですけど・・・」
山田先生は心配するが一夏はそんな様子はまったく見せていない。むしろ手馴れていた。
『一夏さん結構慣れていますわね。』
「まあな。」
一夏はネクサスの力を得てから飛行は当たり前であった。そのため目も高速移動に慣れている。
一夏とセシリアはそのままタワー頂上から折り返しそのまま併走状態でアリーナ地表に戻った。
「はいっ。お疲れ様でした。二人とも優秀でしたよ。」
山田先生は嬉しそうな顔で一夏とセシリアを褒めた。
「一夏。」
「なんだ、ラウラ?」
「あの時バイザーを出していなかったがちゃんと見えたのか?」
「ああ。結構慣れているからな。」
「・・・・・・・」
「どうかしたか?」
「いや・・・・流石の私も驚いた。お前はすごいということを改めて知らされた。」
「?」
そんなやり取りをしていると千冬がパンパンと手を叩いて全員を注目させる。
「いいか。今年は異例の一年参加だが、やる以上は告示結果を残すように。キャノンボール・ファーストでの経験は必ず生きてくるだろう。それでは訓練機組みの選出を行うので、各自振り分けられた機体に乗り込め。ぼやぼやするな。開始!」
千冬姉の指示で皆動いた。みんなが今回狙っているのはデザート無料権、女の子はスイーツに眼がないと誰かが言ってたな。そんなことを考えていると山田先生がやって来た。
「織斑君、さっきの実演すごかったですよ。バイザー出していなかったのによく出来ましたね。」
「結構慣れているんです。昔よくジェットコースターに友達と遊びに行くとき乗ったんです。」
「それで慣れたんですか!」
「ええ。一日に二十回乗らされました。」
「地獄!まさかのジェットコースター地獄ですか!」
「そのため速さに慣れてきましたよ。」
「慣れるレベルじゃないですよ!!」
「まあウソですけど。」
「どこから!どこからウソですか!?」
「ジェットコースターの話からです。」
「からかわないで下さい!」
「まあウソですけど。」
「どっちですか!」
と、そこへ千冬姉がやって来た。
「織斑、先生をからかうのもほどほどにしておけ。」
「すいません。」
「山田先生も大声を出さないで下さい。」
「すいません。」
「織斑、篠ノ之の方に行ってエネルギー調整の分配でも相談しろ。」
「はい。」
一夏はそのまま千冬の指示の元、箒の元へ行った。
「織斑先生、織斑君って何か特別なことでもしていたんですか?」
「どういうことだ?」
「織斑君、バイザー無しであそこまでの起動をしていましたし、普通の人間だと出気無いことです。」
「すまないが私はほとんどこの仕事をしているからな。そういったことは知らない。だが・・・・」
「どうしたんですか?」
「なんだかあいつの飛行しているときの手が似ていたんだ、ウルトラマンに。」
「えっ!?」
「考えすぎかもしれないがあの話を聞いてからというものますますその疑いが強くなってきてな。」
「そうじゃないといいですね。」
「ああ・・・・・」
千冬が知ったネクサスの話。知ったことはあれだけではなかった。
ウルトラマンに変身し戦った者はビーストとの戦闘におけるダメージ、通常時の姿のときにとてつもない苦痛で帰ってくる。通常では考えられない状態になっていることが多い。つまりそれは『福音戦』においての一夏の状態に一致する。
徐々に近づいてくる真実。
考えたくない結果。
一夏がネクサスでないことを二人は願っている。
Tweet |
|
|
2
|
1
|
追加するフォルダを選択
第六アリーナで高速起動の訓練が実演される。一夏とセシリアが実演するが・・・