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(改訂版)真・恋姫無双 ~2人の飛将軍~ 第12話

cavalさん

直刀と刀真、そして劉協。この3人の出会いは決して平凡な物ではなかった・・・

作者)時間をかけたのも関わらず、反省の色のない、いつも通りのデフォルトで駄文、稚拙な文章です。生暖かい目でみてくだしゃい。

第1話の変更はありません

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2012-12-31 00:10:23 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:8157   閲覧ユーザー数:6166

改訂版12話 

 

黄巾の乱終結から1か月が経過し、大将軍である何進と十常侍の権力争いは激しさを増していた。この状況で、中立の立場にある月たちは、帝を抗争から守るべく準備を進めていた。そんなある日、一刀がある報告書を持って詠の執務室を訪ねてきた。

 

「詠、恋、ねね。陰陽から定期報告が入った」

 

暇で遊びに来ていたという恋が抱き着きついてきたのを一刀は倒れない様に踏ん張りつつ、陰からの報告書を軍師組に渡す。軍師組が報告書に目を通している間、一刀は甘えてくる恋の頭をゆっくりと撫で続けていた。

 

「陽たちも頑張っているようですぞ。一刀殿」

 

「でも気になる点もいくつかありそうね・・・一刀、恋の相手もほどほどに手伝ってよ」

 

「了解了解。恋ごめんな、また後でね」

 

「ん・・・一刀がんばる」

 

その陰陽からの報告書(手紙)にはこのように書かれていた。

 

『月様。兄様。現在こちらの状況もかなり厳しい状況になってきております。何進の息がかかった侍女、十常侍の息がかかった侍女が徐々に勢力を増やしつつあります・・・』

 

その報告書が書かれる少し前・・・

 

侍女(メイド服)を着た刀真は洛陽城のある1つの部屋の前にいた。その部屋の扉は詠や一刀たちが使用している部屋とは違い大きな装飾等が成され、特別な部屋だと一目でわかるようになっている。

 

「劉協さま。陰です」

 

「よい。入れ」

 

刀真の声に応じて部屋の主から返事があった。刀真は見張りの兵に一礼すると中へ入る。

部屋の中は外の扉の装飾に比べて装飾品等は少なく質素。部屋の主が皇太子である劉協であることを知らない者は、まさかこのような質素な部屋に皇太子が住んでいるとは夢にも思うまい。

 

「特別侍女長『陰』。命により参上いたしました」

 

特別侍女長とは本来存在しない地位であるが、彼が仕えている劉協の独断で作られた新しい地位。

 

「陰よ。よく来てくれた。皆の者すまんが私は陰と話がある。2人きりにしてくれぬか?」

 

部屋にいた侍女たちが、劉協の命令によって、行っていた仕事を一旦中断し部屋を退出していく。刀真は退出していく侍女たち1人1人の顔を見つつ、自分の記憶と照らし合わせていく。

 

―――昨日までいなかった者が3人ほどいましたね・・・

 

すべての侍女が退出し、見張りの兵士が扉を閉めると、部屋の中央に置かれていた机に座っていた劉協はゆっくりと立ち上がると、刀真に満面の笑みを浮かべた。

 

「刀真。きょうもその服かわいいね」

 

「はぁ・・・協さま。だれが聞き耳を立てているかわからないからそちらの名前では呼ばないでほしいと何度言えば・・・」

 

刀真に年相応のかわいらしい笑みを浮かべる彼女は劉協。字は伯和。後の献帝となり漢王朝最後の皇帝になる少女である。刀真が呼んだ『協』というのは、彼女が本当に親しくしている者にのみ許す呼び方。しかしこの名前は真名ではない。皇太子である彼女の真名は、彼女の夫になった者にしか伝えられないからだ。今彼女から『協』と呼んでいいと許しをもらっているのは月、刀真、直刀の3人だけ。

 

「大丈夫でしょ。外の兵士は月の所から来ているし、それに刀真。下手な暗部なんて北や徐栄、そして刀真と直刀の敵ではないでしょう?」

 

「まぁ、そうではありますが・・・」

 

―――ボクの術式にも反応ありませんし、大丈夫でしょう

 

「それで協様。お話があるということでしたが・・・?」

 

「ええ、ちょっとこれを見てほしいの」

 

困った顔をしながらいくつかの書簡を刀真に見せる。書簡を受け取った刀真は、簡単に目を通していく次第に刀真の顔は困惑する物に変わっていった。

 

「侍女の推薦状・・・ですか」

 

「そうなのよ。今月になってもう10人以上増えているのに・・・まだ送ってくるつもりなのかしら・・・」

 

「推薦者は張譲殿・・・兄様にこの10人を調べてもらいます。張譲殿には、迎えるための準備が整っていないため、すぐには迎え入れることができないという返事で時間を稼ぐのはどうでしょう?」

 

「わかったわ。その形でいきましょう」

 

刀真と直刀と劉協。3人が出会ったのは、直刀たちが皇太子護衛の任について2週間ほど経過したある日。対暗殺・暗部の主力である一刀と舞の2人がそろって洛陽を離れていた日でもあった。

 

SideNaoto&Toma

 

その夜、刀真が設置した感知用の術式が、劉協の寝室へ向かう不審者を捕えた。非常事態と判断した刀真と直刀は急いで戦闘衣に着替え劉協の寝室へ向かう。(さすがにメイド服での戦闘は不可なため)

 

堅牢に防衛されている後宮へ侵入できるほどの腕を持つ者たち。もしかしたら間に合わないかもしれないという不安に駆られながらも2人は劉協を守るべく後宮を走る。

 

劉協の部屋に近づいていくと、寝ずの番を担当していた何人もの兵士が首から血を流して倒れている。本来なら供養してやりたい・・・でも、今はできない。彼らの無念を心に刻み2人は再び駆ける。

 

感知の術式が6名の不審者が劉協の部屋の真上に接近したのを捕えた。それと同時に2人も劉協の部屋の前にたどり着く。

 

「間に合った!直刀!」

 

刀真の声に合わせて扉に向かい麒麟を振るう直刀。その斬撃が扉を切り刻み吹き飛ばす。

轟音と共に部屋に突入した2人に、暗殺者たちが一瞬驚愕したが入ってきたのが子供とみて半数ずつに分かれて排除を行おうとする。

 

「させない!術式解放!」

 

体力や氣の総力が生まれつき少ない刀真が直刀をサポートするために、独自に開発したのが氣を貯蓄圧縮することができる術式の構築。刀真の使う術式にはいくつかパターンが存在するが、この時使ったのは防衛用。数日分の氣を貯蓄圧縮した防衛術式は、術者である刀真の意志によって強固な壁となり指定した場所を守る。

 

刀真の意志の中の引き金が引かれ、彼の氣の色である翡翠色で描かれた術式が輝く。そして劉協の寝台を中心設置されていた術式から見えない透明な壁が出現し寝台を覆う。

 

数日分の氣を圧縮し形成された結界の硬度は一刀や恋の剛撃にも耐えることができる。

 

 これが一刀に認められた刀真の絶対防衛能力。軍全体を守ることはできないが、ある将や王を暗殺など不意な殺意から完全に守ることに関して刀真を超える者はいない。

 

 しかし、絶対防衛能力といっても弱点は存在する。

 

 それはこの防壁の維持のためには、術者本人が術式に氣を送り続ける必要があるということ。つまり一刀や直刀のように爆発的に氣を放出できず、放出可能量も少ない刀真では、この術式を維持できる時間が限られている。

 

でも・・・彼は1人じゃない

 

「妖術だ!術者を狙え!」

 

「させないよ!飛び切り裂け!麒麟!!」

 

術者である刀真を排除しようとする暗殺者に前に直刀が立ちふさがる。絡繰り三叉槍である麒麟を振るい、その刀身を射出する。一度の射出で宙を飛ぶ3つの刃は彼の意志通りに飛翔し、敵の身体を突き刺し切り裂かんとする。

 

 

 

守りの刀真に、攻めの直刀。これが彼らの本来の戦闘方法。降りかかる狂気・殺意を刀真がすべて防ぎ切り、直刀がその刃を持って勝利への道筋を切り開く。

 

相手の刃の突きを避けつつ、直刀は柄と刃を繋ぐ糸(斬糸)の1本を腕に巻きつけ切り飛ばす。そして、腕を斬り飛ばされ怯んだ者の首を、別の刃が真上から貫いてその者の命を絶つ。続けて残りの2本の斬糸を使い刀真に迫る2人の片足を絡め捕り転倒させる。

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

中心部分の刃を引き戻した直刀が一気に間合いを詰め、転倒している者の胸に麒麟を突き 刺し、もう1人には腰に差していた小刀を投げつける。

 

―――残りは3人・・・

 

直刀は麒麟を引き抜き次の目標に向け飛翔する。刀真の負担を減らすために早く結界に張り付いている者たちを排除しないといけない。気合を入れなおした直刀は、白銀色の氣を身に纏わせていくのだった。

 

直刀が結界周辺にいた者と戦闘を開始したのを見た刀真は、部屋の入口から劉協の寝台の側へ滑り込む。死角に回り込んだ刀真は息を整えるために深呼吸を行い、額に流れる大量の汗を袖で拭う。

 

―――これでまだ楽に・・・

 

術式に直接氣を送ることができるようになり体にかかる負担は減ったものの、間接的に送っていた時間が長かったために刀真の体力は限界に近かった。

 

直刀は長柄を使い投げつけられる小刀を弾き落としながら、刃と斬糸を走らせ隠れている暗殺者たちを狙う。その不可視といっても過言ではない攻撃は暗殺者たちに攻め手を封じ回避に専念させていた。

 

「劉協さまごめん!」

 

柱や机の陰に隠れる暗殺者たちにイラつきがたまってきた直刀は力技に出る。白銀の氣を刃と斬糸に通してピンポイントで狙うのでなく目標関係なく縦横無尽に走らせたのだ。その斬撃上にあったものは、人だろうが机だろうが例外なしに切り裂いていく。

 

1人、2人とこの容赦のない斬撃を避け切れなかった者が全身を切り裂かれる。

「これで残り1人!「ごほっ!ごほっ!」刀真?!」

 

残り1人が潜んでいると思われる場所へ刃を飛ばした直刀の耳に親友の苦しむ声が飛び込んできた。慌てて振り返ると寝台周辺に展開していた翡翠色の結界が消えかけようとしていた。

 

―――限界時間か!

 

直刀が一瞬振り返った隙と結界消滅と判断した暗殺者が寝台に向けて飛び込む。その手には2本の投擲用の小刀が握られている。

 

「劉協覚悟!」

 

一瞬遅れで気が付いた直刀が麒麟の刃を飛ばし3方向から突き貫くが絶命する前に投げられた小刀1本が劉協へ迫る。

 

「しまっ!」

 

「っ!」

 

直刀が叩き落とせないと判断した刀真は石のように重たくなった体を必死に動かし劉協を覆うように被さり体に来るであろう衝撃を想像し目を閉じた。

 

そして左肩に衝撃と強烈な痛みが走った・・・

 

Side Naoto&Toma End

 

Side Ryukyou

 

誰かが被さった重さと血の匂いに目を覚ました私は目の前の現状の理解はすぐにはできなかった。唯一分かったことは自分に向けて小刀が飛んできていることだけ。私は身体を貫く衝撃に恐怖し目を閉じたが、その衝撃は来ることなく被さっている者の痛みにうめく声だけだった。

 

「刀真!」

 

すこし離れていた白銀色の髪の少年が駆け寄り、私に被さっていた少年を抱き寄せる。

それで漸く彼が小刀から身を挺して私を守ってくれたことが分かった。落ち着きを戻してきて部屋の現状も理解できるようになった。あちこちに飛び散る血、斬り飛ばれた腕、そして目の前の2人。そして目の前の2人の少年たちには心当たりがあった。

 

「あなたたち・・・もしかして・・・陰と陽・・・?」

 

苦悶の表情を浮かべていた少年も、三叉槍を持った少年も驚いた顔を私に見せる。

その顔はなぜ分かったといっているような物。私は寝台から下りつつ彼らに話かけた。

 

「私には生まれつき他人の氣が見えるの・・・陰なら翡翠色の、陽なら白銀色のようにね」

 

そして私が持つ特殊な力が・・・ある。それこそ私が皇太子に選ばれた理由。

 

「陽、陰の傷口を見せて」

 

私の言葉に半信半疑の様子だったが、恐る恐る服を脱がし傷口を露出させる。女性の多くが嫉妬しそうな白い肌に走る刺傷からは多くの血が流れている。私は手が血で汚れるのも厭わずに触れて私自身の氣を放出した。

 

刀真の傷口を桜色の氣が覆う。

 

私自身の氣は桜色。その力は治癒。

何代かに1人に発現するという希少な能力で、漢王朝の皇帝の血筋のみが得ることができる力。

 

私の氣の効果によって、流れていた血が止まり、そして紅い線になっていた傷口もあっというまに消えていくのを驚いた2人が私を見つめているのがわかり、気恥ずかしいところがあるが、今はそれで治療をやめるわけにはいかない。

 

深部まで到達していた傷の治癒を終えた私は氣の放出を止めた。体の中の倦怠感から氣を消費したというのを感じさせる。

 

「どう?陰、まだ痛みがある?」

 

「いえ・・・まったく、劉協さまありがとうございます」

 

手を握ったり開いたりして痛みが完全に引いたことを確認していく陰が、体勢を改めて私に礼をする。それに合わせて陽も陰を習って礼を述べようとするのを私は止めた。

 

「礼をいうのは私のほう・・・2人ともありがとう」

 

その後侍女と兵士を呼び部屋の整理などを指示した後、私は陽と陰と2人きりで話をする時間を取った。そこで2人の正体や本来の任務を聞いた私は彼らに特別な地位を与えることにし、親衛隊以上の側近として2人には付いてもらうことをお願いした。刀真は私専属の軍師として、直刀は心身の守護者として・・・

 

誰よりも近くで私を支えてくれる2人の存在は私の心の中で日に日に大きくなっていく。でも私は皇太子。漢王朝を継ぐ者。だから本心を隠して2人に接する。でも・・・

 

―――刀真、直刀好きだよ・・・

 

いつかこの気持ちを伝えることができる状況になれるかな・・・

 

 

あとがき

更新遅くてごめんなさい。

 

今回の第12話は、新キャラである劉協と直刀、刀真がメインの話です。

なんか拠点といってもいいぐらい話が進んでない・・・

 

劉協は改定前では妹キャラで登場させましたが、今作では刀真、直刀の彼女的存在になる予定です。また能力にも特徴を持たせて描きやすくしています。治癒能力にした理由は、女性版華佗をだれにするか悩んだ末に「協」になりました。

 

次回13話の更新も不定になります。

では皆様良いお年を~(´・ω・`)ノシ

 


 
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