第百七十一技 宴会?いつものことだろ
キリトSide
「わ~お……」
目が覚めた俺の開口一番がこの言葉、何を隠そう既に時刻は朝の十一時。
思いっきり寝過ごした……隣のアスナは未だにすやすや。
確かに俺は起きるのは苦手な方だが別に無理というわけではない、朝の鍛練などもやったりするからな。
まぁそういうわけで、アスナの寝顔をこうやって拝見することができるわけで…。
それにしても、だ……がっしりと体に抱きつかれている…あ、胸がいい感じに。
そんなこんなで考えているとアスナの瞳がゆっくりと開いた。
「おはよ、アスナ」
「……/// おはよう、キリトくん///」
俺達は挨拶を交わすといつも通り朝の日課であるキスをする。
「もう十一時だぞ…」
「え? ホントだ…」
まぁ眠ったのが三時で、疲れなどもあればこうなっても仕方が無いだろうけど。
取り敢えず服を普段着に着替えようと思った時、メッセージが届いた。クラインからだ。
「いままでの流れからして、まさかこれは…」
「キリトくん、絶対そうだよ!」
アスナも俺と同じ考えに至ったのだろう、喜々とした声を上げて言った。
メッセージは写真付きになっており、それを開いた。そこには、
―――『俺達、結婚したぜb』
そう書かれており、写真にはクラインとその腕に抱きついたカノンさん、
風林火山の面々が二人を囲むようにみんな嬉しそうな表情で写っていた。
「クラインの奴、やってくれる……カノンさんの傷を、癒せたか」
「キリトくん、これはやっぱりいつものように…」
「ああ、宴会だな」
俺達は顔を見合わせながら笑みを浮かべた。昼食も合わせて、パーティといきますか。
色々料理などを準備するということで、場所は俺達の自宅を提供することにした。
一時間後、みんなが集まった。いつものメンツに加えて、今回は風林火山の面々も参加。
前と違って、俺の周りも随分と賑やかになったなぁ。
「さて、みんな。飲み物は行き渡ってるよな? それじゃあ、いつもの如くいくぜ!
クラインとカノンの結婚を祝って、かんぱ~い!」
「「「「「かんぱ~い!!!」」」」」
今回も音頭はシャインが行い、各自コップをぶつけてから飲み干していく。
風林火山のメンバーは普段滅多に食べることが出来ない、現実世界の味に感動しながら食らいついている。
ちなみにテツとロックもだ、お前らなぁ…。
他の男性陣はクラインの元に、女性陣はカノンさんの側に集まっている。
俺はまずクラインの方に近づいた。
「クライン、良くやったよ、お前は」
「ちょ、いてぇって、エギル」
エギルがクラインの背中を嬉しそうに叩き、手荒い祝福を受けているようだ。
「それくらいは甘んじて受けておけよ、クライン」
「そうだぜ~」
「なんでだよ?」
俺とシャインの言葉に疑問を持つクライン、俺は答えてやることにした。
「よく考えてみろよ。カノンさんはアスナやティアさん同様、SAO内で五本指に入る美人だ。
ティアさんは最初の方からシャインと結婚したから、さほどの嫉妬はなかった。
けど、俺なんか凄かったからな」
攻略組や前線組は俺とアスナがくっつくだろうという予想を立てていたらしく、特に嫉妬などは無かった。
シンカーさんとユリエールさんから聞いた話では、下層において俺とアスナの結婚は、
なぜか攻略の希望という扱いにまでなっているらしい。
それに反して、以前中層にアスナと買い物に出かけた時、なんというか初めて、
人は嫉妬だけで人を殺せるのでは?と思ったものだ。
それを聞いていたクラインの表情は僅かに引き気味だ。
「加えて、リズやシリカも人気があるしな…もちろんサチも」
「えっ!?」
俺がそう言うとケイタが驚きの声を上げた。存外身近にいる分、知らないのだろうな。
とは言うがヤマトが笑いを堪えていることから、テツとロックも知っていそうだ。
「僕も大変でしたよ…。シリカは中層では知る人ぞ知る人気プレイヤーですから」
どこか遠い目をするヴァル、お前も大変だったんだな…。
「なら俺も、これから知れ渡るはずだから覚悟しておかないと…」
「お、俺はめげねぇぞ!」
ハクヤもクラインもこれから間違いなく知れ渡る事になるだろう。
これも嫁を手に入れたことへの試練かもしれない。
「ま、頑張ってくださいっす」
「……応援はしておく」
そんな言葉を投げかけるルナリオとハジメにエギルが言葉を投げかける。
「そういうお前さんらは、相手はいないのかい?」
「大丈夫だよ、ルナリオとハジメにはリアルで気になる娘がいるからな」
「そうなんだ」
俺がそれを言ったので、ヤマトが驚き、ルナリオは少々慌てた様子を取っている。
ハジメは相変わらずのポーカーフェイスだ。
「ハジメは幼馴染の女の子、ルナリオは……俺の妹だ」
「キ、キリトさん!?」
「安心しろ、俺はお前になら任せられると思っているから」
「ルナリオは安泰なんだ…」
さらに慌てるルナリオに対し、ケイタは羨ましげのようだ……ふむ。
さて、そろそろカノンさんの方に行くとするか。女性陣で固められているが、まぁ問題無い。
「あ、キリトくん♪」
「カノンさん、おめでとうございます」
「キリト君、ありがとう」
俺が歩み寄ってきたのにアスナが気付き、俺はカノンさんに言葉を掛けた。
「あんたは良かったの? こっちに来て、居辛くない?」
女性陣だけということで、リズがそう感じたのだろう。
「あっちは今、暑苦しそうだからな」
クラインの方では俺が離れた時から食事を取っていた風林火山などの面々が戻ったので、かなり騒がしくなっている。
ハクヤにヴァル、ハジメなどは離れている。
「あはは、納得…」
サチに至っては苦笑いだ。
それはそうだろう、クラインの奴が仲間から袋叩きにされていればな。
圏内なのでダメージはないが…ま、嫉妬だろ。
「でも私、本当に嬉しいです。ようやく、カノンが救われた気がして…(ぐすっ)」
「ちょっと、大げさよ、ティア」
「そんなことないです。あの時からずっと、貴女は傷ついていましたから……だから、今は凄く嬉しいんです♪」
「ティア…」
ティアさんは親友として、幼馴染として、ずっとカノンさんを見てきたから、彼女のことを気に掛けていたんだろうな…。
こちらの空気が少しばかりしんみりしてしまったな。
「なんにせよ、あとはサチ…お前だけだな」
「キ、キリト、何を///!?」
「そうだよ! サッちゃんも頑張らないと!」
「ケイタさんを誰かに取られちゃうかもしれませんよ?」
「う、うぅ…///」
俺の意地悪げな言葉にサチは動揺し、アスナとティアさんも追随する。これで空気は元通りっと。
そのままサチを弄る女性陣、カノンさんも参加しており、クラインの方は未だに手荒い祝福状態だ。
こりゃあ、まだまだ掛かりそうだな…。結局、この日の宴会は夜まで続いた。
キリトSide Out
To be continued……
後書きです。
というわけで、今回で「ラフコフ騒乱編」及び「クラカノ編」が完全に終了しました。
次回からは短いですが「黒猫編」、ケイタとサチのお話しに入ります。
それが終わればさらに短編の「閃光剣編」、その次が最終編である「77層ボス編」になります。
この『黒戦』も終わりに近づいてきました・・・来年1月には終了し、間を空けてALO編になる予定ですので。
そういえば、アニメの方も終わりましたね。
キリトとアスナのキスシーンが見れて良かった~(ほくほく)www
それでは次回で・・・。
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第百七十一話です。
タイトルのように、宴会ですw
どぞ・・・。