束と過ごしてISと言う物がどういったものか分かってきた。
ただ、疑問が一つある。
何故、ISは女性しか乗れないのか?
これだけはどうしても理解できないし、束も分からないと言う。
あ、それと・・・今、俺は束の秘密基地?の上空を飛行中だ。と言っても、低空飛行だけどね?
どうやら束は世界中の国々から追いかけ回されているらしい。
それはそれは・・・ご愁傷様ですって言ったらジト目で見られた。
『煉くーん、調子はどおー?』
「問題無い。良好だ」
『取りあえずご飯だから戻って来てね-!』
「・・・・ああ」
俺は公園で遊んでいる子供か!?
ま、お腹は減ったので帰還するとしよう・・・。
「と言う訳で、ちょーっとだけ調べたい事があるんだよねー」
食事の最中に束はそう切り出した。
序でに食事は俺が島の海岸で態々素潜りしてまで捕った魚介類だ。
何故か伊勢エビらしきものが混じっていた気がするが、とにかくフライにして美味しくいただきました。
「断る」
「即答!?」
理由?簡単だ。コイツが変態科学者だからだ!
「どうせ碌でもない事を企んでるんだろ?」
「違うよ!?・・・・というか、今回はちょっと真面目な案件なんだよね」
・・・・ほう?
「未確認の情報だけど、私が開発したISにAIを搭載した無人機を作ったっていうのを耳にしたんだよ」
束が静かに言う。
「私の開発したISを勝手に改造して・・・・その上、無人機?見つけたら絶対に許さない・・・潰してあげる」
こりゃ本気で怒っているな・・・。まあ、自分が開発した物が勝手に弄くり回されたら怒りもするわな。
俺が開発したわけじゃないが、ナインボール・セラフを改造や量産とかされたら俺も怒る。
っていうか、確実に戦争が起こるね。
「分かった。協力する」
衣食住の礼はきっちり返さないとな。
「といっても、基本的には煉くんのルシフェルの力を貸して欲しいんだけどね♪」
おいコラ!!
「さーて、始めるよー」
【いつでもどうぞ】
俺はナインボール・セラフを展開して束のコンピューターと繋いでいる。
このコンピューター、スーパーコンピューター以上の演算力があるらしい。ってか、何処で手に入れた?
「ふんふんふーん♪」
キーボード打つの早いな。
因みに、ルシフェルは束があちこちでハッキングしている間に逆探知を防いでいる。
・・・・・ルシフェルの使い方を間違っている気がするのは俺の気にせいだろうか?
「・・・っ!見つけた・・・これね?データは・・・無い?おっかしいなぁ?ここが一番濃いんだけど・・・・・・ん?これは暗号化されてるね?ちょちょいと解析っと~♪」
束、ッパねぇな・・・。暗号化されているデータを十秒も掛からないなんて・・・
「見っけー!ふんふん・・・これは・・・はは~ん、こんな所に隠れてたのか~」
ん?見つけたようだな。
その頃、とある場所では・・・
「しょ、所長!コンピューターが何者かにハッキングされています!」
「なに!?ファイアーウォールはどうした!?」
「そ、それが十秒足らずで破られました!逆探知もできません!!」
この時、所長はこのハッカーに心当たりがあった。
世界で最初にISを開発し、何処かへ雲隠れしている天才科学者・・・篠ノ之束博士だ。
「あの女なら・・・可能だ・・・。くそっ!やられたデータは分かるか!?」
「は、はい・・・最重要機密である例の物のデータと製造場所です!」
「嫌な予感が当たったな・・・」
そして、さらに被害は増える。
「あっ!で、データが・・・全てクラックされました!修復は・・・出来ません!完全に破壊されています!」
勿論、無人機など作っているデータを束が放っておく筈が無い。
所長は頭に血が上る思いをし、せめての仕返しと思い、ある場所へ連絡する。
「すぐにあそこに繋げ!篠ノ之め・・・・ただでは済まさんぞ!」
その日から一週間後、煉はベーリング海上空からユーコンまで飛行形態で飛行中だ。
現在はユーコンから100km地点といった所だ。
飛行速度は1300km。流石は反陽子生成炉だ。これだけの速度で飛行してもエネルギーの回復が追いついている。
VOBは無いが、それでもこのナインボール・セラフは最高時速2000弱まで飛行可能だ。
「・・・見えた」
【目標ポイントに到達。通常形態に移行します】
俺は飛行形態から戻ると、一度停止する。
そして付近をスキャンする。
【スキャニング開始・・・・・・・・熱源反応多数あり。2時の方向、距離400m】
俺はルシフェルの割り出した場所に移動し、確認する。
すると、ISらしき物が出てきた。
真っ黒な外装で腕がやけに太く、レーザー砲のような物が付属している。
【敵無人ISを確認。戦闘モードへ移行します。敵数3、問題ありません】
たった三機で俺を止められると?
「サブウェポンを使用するまでもない!」
俺はそのままスロットルを絞り、敵機に肉薄する。三機がレーザー砲で迎撃するが、狙いが甘い
「先ずは一機!」
俺は『Akatuki』を使用して敵機を斬り裂く。出力リミッターを解除しているので簡単に切り裂けた。コイツらは無人機とのことだから、多分AIか動力を破壊しないと動き続ける可能性があると束が言っていたので、もう一度縦に斬り裂いて爆散させた
もう一機が殴り掛かってきたので、それを無駄の無い動作で回避。パルスキャノンの『Stardust』を撃ち、怯ませる。そして相手を掴み、俺の後ろに突き出す。
すると、もう一機が俺を狙って撃ったレーザー砲に盾にした敵機に直撃、要らなくなった奴を斬り裂いて爆散させる。
そして、状況が圧倒的不利と判断した敵機が逃げようとする。
「遅い、そして逃がさない」
こっちの機動力を舐めてもらっては困る。
俺はすぐに敵機に追いつき、ブレードで斬り裂いた。
【全機破壊を確認。地上で人らしき熱源を探知。どうしますか?】
勿論・・・・
「全員抹殺する!」
俺はパルスキャノンを人らしき場所に乱射。すぐに反応が消えた。
そして木々の中に洞窟らしき物を発見。
中に潜入する。
「て、敵!?」
「無人機はどうしたんだ!?」
「に、逃げろー!!」
取りあえず何か言っているゴミは、
「死ね」
俺は容赦なく逃げる奴を含めてブレードで斬り裂き、パルスキャノンで撃ち殺す。
大半は一瞬で蒸発したから痛みも感じないで逝っただろう。
「ルシフェル」
【地下10mに強い熱源反応あり。溶接関係か、溶鉱炉かと思われます】
ならばそこが工場だろう。兎に角地下に降りる。
俺は搬入用エレベーターを見つけ、そこから地下へと降りる。
「ビンゴ」
そこには大量に製造されている無人機があった。
といってもまだ30前後しか無いが。
「全て破壊する」
俺は
そして、俺は腕を振り上げるとミサイルは各々の方向へ飛んでいき、施設は破壊し尽くした。
俺はソレを確認すること無く脱出。
念のためにHミサイルで何発かは内部に、残りは外側に当てて瓦礫で埋もれさせた。
勿論、発電施設も破壊したので、通信は出来ないし、これだけの瓦礫では電波も届かない。ルシフェルに調べて貰ったところ、此処は独立した電気系統らしいので、他からの供給が出来ないらしい。
『やっほー!お疲れ様ー!』
そこで束が労いのメッセージを送ってきた。
「任務完了。帰還する」
『待ってるよー!』
さて、今日はゆっくり休みますか・・・
あれ?そう言えばまともに戦っていない気が・・・・
施設の破壊から二週間が経った。
この日突然、束は宣言した。
「というわけで、明日から日本に行っくよー!!」
「・・・どういう経緯でそうなる!」
本当に突拍子も無く言ってきやがる・・・。
「だってー、このまま隠れてもつまんないしー?」
「疑問系で答えられても困る!」
まさか、理由はそれだけなのか?
いや、こいつは割と考えている・・・と思いたい・
「ま、正直に言うといっ君とちーちゃん、それに箒ちゃんを守る為だけどね?」
よ、よかった・・・まともな理由があって・・・
いっくんとか言った人物達は前に束が話してくれた事がある。
まあ、日本に行くなら別に構わんが・・・
「世界は黙っていないぞ?それに、住まいはどうする?それに、俺は?」
っていうか大騒ぎ確定だな。
「んー?世界なんて知らないよ?住まいは私が直々に設計した物を建てて貰うから大丈夫!勿論、君も連れて行くし公式に発表するよ。世界で二番目の男性IS操縦者としてね」
こいつが設計した建物ほど心配なものはない。それなら倒壊寸前の建物に住んだ方がマシだ。
「・・・まあ決定権は前にあるから別にいいが。俺は俺でお前を敵から守るだけだ」
そう、受けた礼はきっちり返すのが俺の人情だ。
「うぇ!?あ、うん・・・そう・・・だね」
ん?何故顔を赤くする?熱でもあるのか?
「そ、そうだ!そうと決まったら早速ちーちゃんに電話しよっと!」
束は慌てて席を離れてちーちゃん・・・もとい、織斑千冬に連絡しに言った。
ふっ・・・・俺はアイツの私兵だ。何があっても守ってやるさ。アイツが俺の義に反しない限り・・・な?
「とうちゃーく!」
「はしゃいでいる場合か?」
俺達は今、日本の空港に来ているのだが・・・困ったことに―――
「篠ノ之博士!今まで一体何処におられたのですか!」
「今回の日本へ帰国した目的を!」
「隣に居る男性は博士の恋人ですか!」
「今後の活動について一言!」
マスゴミがうじゃうじゃいる。
日本に帰国する事は到着の2時間前に政府に束が連絡していたらしい。
さぞかし大慌てだったろうな。
今はマスゴミ共をSPや警官達が押さえ込んでいるから助かっているが。
「いやぁ~、ちょっと雲隠れに飽きちゃったから戻ろうと思ったんだよねー。それと隣の彼についてはまた後で記者会見でもするから」
そう言って束は空いた道を進んでいく。俺も後に続き、政府が用意したリムジンに乗っり込んだ。そこには政府の重鎮が乗っていた。
「篠ノ之博士、帰国する際はもっと早く連絡を下さい。博士の護衛や準備する我々の身にもなって下さい・・・・」
このお偉いさんは額にある汗を拭いながら言った。この人、結構苦労したんだなー?
「あはは!ごめんねー?」
「はぁ・・・まあいいです。それで、彼は一体何者ですか?まさか本当に博士の・・・」
「うん!実は私の恋びt「嘘吐くな変態科学者!」あいたっ!?もー!なにすんのさー!」
俺はとんでもない事を言おうとした束の頭に鉄拳制裁した。
「堂々と嘘を吐こうとするからだ!」
「べ、別にちょっとぐらいいいじゃん!?」
良くなねぇよ!
「ええ~と・・・で、本当のところ彼は一体・・・?」
「ん?彼は私の雇った私兵で護衛だよ?」
「は、はぁ・・・・。しかし、彼は見たところまだ成人していないように見受けられますが?それに、実力は・・・?」
確かに若造が護衛というのはおかしいだろうな。しかも男が。
「彼を甘く見ない方がいいよ?何せ世界で二番目のIS操縦者だからね!」
おい待てコラ!いきなり暴露するのは止めんか!
「な、なんと!?二番目のIS操縦者・・・ですと!?」
ほれ見ろ!オッサンが・・こほんっ・・・お偉いさんが驚いているじゃないか!
「そう。この後の記者会見で発表するから!」
「あああ・・・また厄介なことに・・・」
お疲れさん。
その後束と俺は記者会見の会場であるIS学園に着いた。
あそこはどの国や組織にも属さないから都合が良いらしい。
そしてかなり大きい。
「えーと、この度はお集まり頂きありがとうございます」
記者会見が開くと束が丁寧な挨拶をする。何故かって?俺がさせているからだ。
この会見でみっともない話し方をしてみろ?間違い無く世間はコイツをガキと見なすだろう。いや、もう手遅れかも知れないが。
そういう所を少しでも直していかないと、この先苦労することになるからな。
最初は嫌がっていたが、俺が拳を握って見せるとウサ耳を垂らして頷いた。
うん、これ・・・結構使えるかも?
「まず私が日本に帰国した理由は隣にいる彼を紹介するためです」
記者諸君の視線が一斉に俺に向く。あまりこういうのは好きじゃないから結構息苦しく感じる。
「彼は世界で二番目のIS操縦者なのです!!」
そして記者の中の一人が手を挙げて質問をした。
「日本の旭日新聞、国枝です。博士を疑っている訳ではありませんが、彼がIS操縦者である証拠を見せてもらえませんか?それとも、彼にはまだ専用機のようなものは無いのですか?」
・・・つまり、この場で見せろと?恥ずかしいな・・・。
「そうですね・・・・・いいでしょう。入らぬ誤解や噂をされても困りますからね。じゃあ煉、お願いね♪」
仕方ないな・・・
「・・・分かった。ナインボール・セラフ・・・起動」
俺は黒い光に包まれてコンマ数秒で起動完了した。
その瞬間、会場が響めく。
「お静かに。では、これでよろしいですか、国枝さん?」
「は、はい!ありがとうございました」
彼は半ば放心していたようだ。
そして、ここで質問タイムが始まる。
「フランスのパリ新聞社のノールです。彼のISの詳細をご説明頂けますでしょうか?」
詳細ね・・・・。何処まで話すだろうか?
「はい。先ずこのISの名前は『ナインボール・セラフ』といいます。そしてこれはもともとあった機体を私が開発した物です。そしてこのISは世界最強といっても過言ではありません」
その言葉に会場が再び響めく。
「最も、このISはこれっきりで、同じ物を作れと言われても不可能です」
だろうな・・・。これと同じ物があったら俺は間違い無くそれを破壊するがね?
「イギリスのロンドンジャーナルです。その理由をお聞きしても?」
「はい。それは彼から話してもらいます」
はいはい、丸投げすると思ったよ・・・まったく。
「私の名前は篠崎煉と言います。先ずこのISは色々問題点がある為、普通の人間には絶対に扱えない代物です」
「その問題点と言うのは?」
「従来のISを上回る超高速機動戦闘を目的とした為、人体に掛かる負荷に耐えられないだからです」
俺の言葉に記者達は顔を見合わせる。
「このISは人間の事を全く考えずに、性能だけを追求したパイロットキラーと言えば理解できるでしょうか?」
また会場が響めく。
「アメリカのジャーナル・ピース・ワシントンのマックです。それではMr.篠崎も扱えないのでは?」
「それには先ず私の出自からお伝えしないといけません。私には数ヶ月以前の記憶がありません。私は物心着く前に何処かの研究所に実験体として連れ去られ、そこで数々の非人道的な実験を受け続けました。」
さらに会場は騒がしくなってきた。当然だろう。ISに乗せるために実験体とされたと言われれば、な?
「そしてこのISに耐えるだけの人体改造も施され、その副作用で記憶が消えました。ですが、戦闘テスト中に暴走を起こし、研究所は吹き飛びました。そして虫の息だった私を博士が見つけてくれて保護してくれました。どうも博士はその研究所を探っていたようで本当に運が良く保護して貰いました。以降は篠ノ之博士の護衛として過ごしてきました。それと、このISの調整もしてくれて暴走は起きないようになりました」
俺が言い終わると大半の記者は唖然とし、マックさんは何とも申し訳なさそうな表情で礼を言って席に着いた。
俺は会見を終わらせる前に一言だけ言おう。
「それではこれで記者会見を終了させて貰いたいですが、最後に一つだけ知って欲しいことがあります」
記者達は俺に注目した。
そして俺は宣言した。
「俺は人体実験のような非人道的な事を許しません。それがいかなる理由があってもです。もし、それを行っている組織、国があれば・・・・・」
俺は一拍の間を開けてこう言った。
「このナインボール・セラフで完璧に破壊し尽くします。例え国が認めようが保護しようが・・・俺は絶対に潰しに来ますのでそのつもりで」
俺の言葉に記者は息を呑んだ。目一杯の殺気を込めて言ったからな!
そして会見は終了し、俺達は政府が保有しているホテルへ止まることになった。
だが、ここで問題が発生した。
「何で俺がお前と一緒の部屋なんだよ!?」
「えー!別にいいじゃーん!今まで一つ屋根の下で暮らしてきたんだよー?」
良くねぇ!?ってかそれはそうだが、あくまでも部屋は別だったぞ!!
「ってか、何で部屋を一つしか取っていないんだ!?」
「あ、それ私が頼んだの」
貴様ぁあああああ!!何てことをしてくれたんだ!!
「ほらほら!一緒に寝よ♪」
おい!待て!止めろ!手を離せぇええーーーーーー!!
その日、俺は穢されてしまった・・・・・・しくしくしく・・・・
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