No.512219 IS x 龍騎〜鏡の戦士達 Vent 43:謳われる真実i-pod男さん 2012-11-25 20:45:36 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1700 閲覧ユーザー数:1596 |
一方、十重二十重にも張られた防衛ラインを突破したチームBはやっとの事で通信室に辿り着いた。鏡面化している部分がある事を確認すると、ドアの前に戸棚やテーブル等の重い物を積み上げてバリケードを築いた。鏡面化している物がどこかしらに有ると言うのを確認すると次の作業に入った。
「さてと、やっちゃいますか。」
束は世界中に中継出来る様にセッティングを始め、ハッキングを開始した。だがやはり一人で多数のキーボードを操作するにも限界がある。
「クラリッサさん、大丈夫ですか?」
「私は大丈夫だ。方が外れた程度何とも無い。それより部下の面倒を見てやってくれ。何人かが重傷を負っている。」
「分かりました。直ぐに手当をします。」
数馬を見張りに残し、弾はミラーワールドを通ってイレイズドに怪我人を少しずつ送り返し始めた。
「けんちゃん、手伝って〜♪モニターとかが多過ぎる〜!」
『はいよ。今やってるから。でも、そっちに向かってる奴らがいるから、今からブラストシャッターを下ろすよ。これでどこにも出られないし、誰も出せなくなる。ハッキングが終わるまでどれ位掛かる?』
「五分以内に終わるよ〜。」
そして憲司の助けもあってきっかり四分四十三秒後、準備が完了した。
「ハロハロ〜!世界中の皆〜!天才の篠ノ之束さんだよー?元気にしてた?!今日はねー、AD・VeX7のシロちゃんと一緒に国際IS委員会のお馬鹿さんの所に乗り込んでいまーす!そ・こ・で♪今日はそのお馬鹿さん達が隠蔽した白騎士事件の事について色々と暴露しちゃいたいと思いまーす!白騎士事件を起こしたのは確かに私だけどー、死者が全く出なかったとか何とか戯言をほざいた人達の言葉は、真に受けちゃ駄目だよ?実はねー、改めてシロちゃんが調べてみたんだけどー、死者が出なかったって言うのは真っ赤な嘘なんだよー!」
これを聞いて、世界が、震撼した。
「死んだのはねー、二千人以上だよー?残りはかーなーり酷い怪我で、今でも入院中だよー。詳しい事はこのファイルを開いてネ?他の黒ーい秘密とかー、裏取引とかー、後、今じゃもう関係無いかもしれないけど、過去に起こったファントムタスクとのやり取りも有るよー。」
「これを見ている全世界の男達に告ぐ。女尊男卑が起こったのは、確かにISの所為だ。だが、ISは元々兵器としてではなく、宇宙探査の為に作られた。だからこそ
中継を切ると、部屋にいた全員はミラーワールドに飛び込んで行き、姿を消した。
「すべき事は全てやった。各機、戦線を離脱!退却しろ!俺が引きつける。」
司狼の指示で、全員がそれぞれ別方向に飛び始めた。
「奴らを逃がすな!何としてでも捉えろ!」
「させると思ってんのか?」
『Unite Vent』
レクスヴォルザードが姿を現し、その超スピードとパワーを活かして増援IS全機を押し返した。更にデュアルバイザーから放たれるビームと銃弾の豪雨が降り注ぐ。遠方からはゾルダサバイブとマグナテラによる広域殲滅攻撃が炸裂し、一方的に蹂躙されていた。兵力も、火力も、何もかも差がつき過ぎている。これは最早只の負け戦だ。
「どうした、その程度かよ?ささっと終わらせちまうぜ?」
ハウリング・オウガを使って向かって来る相手を全員殴り飛ばして行く。それも、リミッターを解除しているので、殆ど全員が一撃でシールドエネルギーを削られていた。戦意喪失に追い込むには十分過ぎる程の光景だ。
「さあ、どうする?お前らは、俺からすれば雑魚以下。これ以上手向かっても無駄なのは分かっている筈だ。威力も体感した通り。絶対防御?何の冗談だ?いつまで政府の玩具でいるつもりだ、お前らは?面白くも何ともないだろう?まあ、良いさ。お前らは好きな様にやれば良い。俺と戦って、生き残れるって自信がある奴だけ前に出てこいやぁあああああああああーーーーー!!!」
『Blast Vent』
レクスヴォルザードの翼が起こした風で文字通り竜巻が、嵐が巻き起こった。『スレイプニール・ショック』が瓦礫と人を巻き上げ、空に放り投げる。
「ここいらが潮時だな。じゃあな、三日後にまた来るぜ。」
『Wing Vent』
レクスヴォルザードの翼が新たにウィングバインダーに追加され、超音速のスピードで彼方へと姿を消した。
全員がイレイズドに無事帰還した。あちこち傷だらけだが、生きている事に代わりは無い。これで、全てに決着がついた。だが、まるで通夜の様に静まっている。
「終わったな、マドカ。」
「そうだな、兄さん・・・」
「さてと、今夜は、思いっきり Party Nightだぜ!」
キイイイィィイィイィイイイイイィィィイ・・・・
金切り音がして、水面の中から一人のライダーが現れた。
「タイガ・・・・イーリス!どう言うつもりだ?」
「やっぱりあたしには・・・・納得出来ない!あんなやり方・・・!」
『司狼?!イーリがそっちに行ってない?!』
「ああ、いるぜ。」
突如としてナターシャから緊急開戦で連絡が入る。
『彼女を止めて!仕方無いかもしれないけど、やっぱり貴方達のやり方が気に入らなかったみたいで・・・・・!!ごめんなさい、私にはどうにも・・・!!』
「分かった。イーリス。お前のダチが呼んでるぞ。こんな事はやめろってな。俺だってお前とは戦いたくないが、あくまで俺とやり合うと言うのなら、好きなだけ相手になってやるよ。悪いな、ナターシャ。今回ばかりは、俺も手加減をする気にはなれない。折角全員死なずに戻って来た所だ。俺が相手をしてやる。だが、今更こんな所まで来て文句を言っても無意味だとは思わないか?もう既にやるべき事はやった。もう止まらない。止められない。世界はさっきのを機に、委員会への攻撃を始めるだろう。女尊男卑は、近い内に消えて無くなる。もし、男達が今までの仕返しとばかりに何かを仕掛けようとすれば、俺達が止める。」
「それでも・・・・あたしには、これが正しいとは思えない!たとえナタルが止めても、あたしは・・・・お前を倒す!」
デストバイザーを司狼に向けて、タイガは言い返す。
「やれるもんならやって見ろ。言っておくが、正しいか間違いかは、誰にも分からない。神や仏でもない俺達凡夫に、そんな事が分かる筈も無い。正しいと信じる物は、お前達が決めれば良い。だが、本当に正しいか否かなんて物は、不確定だ。だから世の中は、勝者こそが正義となる。たとえそれがどれだけ胸糞の悪く、反吐の出る正義だろうとな。だが、それが気に食わなければ、自分が倒せば良い。世論なんて物は鎧袖一触。打ち負かせば、ゴミだ。(もう、お前はデッキを砕く事でしか理解出来ない様だな。)どっちが良い?ヴォルフか、リュードか。好きな方を選ばせてやる。」
龍騎とリュウガの黒い紋章が重なった金色の装飾を施された赤いデッキと、赤紫のヴォルフのデッキを見せた。
「お前が本気で戦う時の奴を使え!」
「お前に死なれたらアメリカも困るだろうからな。ま、良いぜ。変身!」
リュードのデッキをしまうと、ヴォルフに変身してミラーワールドに飛び込んだ。デストバイザーを構えるタイガと向き合い、デュアルバイザーを剣に変形させた。それを地面に突き刺して左手で安定させると、一気に踏み込んで右手で剣を掴み、斬り上げた。スピードでは順位的にはかなり高いタイガですら反応出来ないその攻撃に後ろに吹き飛ばされた。立ち上がって攻撃しようとも、全く攻撃が通らない。
(何故だ・・・・コイツはあの戦いで疲弊している筈なのに何で息一つ乱さずに戦えるんだ?!)
そう考えながらも攻撃を続けようとするが、攻撃しても全くダメージが通っていない。
「隙有り。」
デュアルバイザーを再び銃に変形させると至近距離で発射する。
「うわあああああああああ?!」
「ほら、来いよ。まだ終わってないだろ?」
『ストライクベント』
デストバイザーを杖にして立ち上がり、デストクローを召喚した。
『ソードベント』
ヴォルフもフェザードファングとデュアルバイザーを構えて攻撃し始める。素早く、重い攻撃を何度も何度も真っ向から叩き付けられ、タイガは反撃すら出来ない。デストクローを手から叩き落とされて尚攻撃の手は緩まなかった。デッキからファイナルベントのカードを複数引き抜いて見せる。
「三枚有るぞ。どれが好みだ?」
だが、その答えを待たず、ユナイトベントのカードをカードリーダーに通した。
『ユナイトベント』
レクスヴォルザードが姿を現す。
『フリーズベント』
「だから何でそこでカードを無駄にする?せめてアドベントだろ?」
『コンファインベント』
凍結していたレクスヴォルザードを再び自由にして、背景が青と紫の二色を持つファイナルベントのカードを使って、ヴォルフの持つ四つの最強の技のうちの三つ目、『ラグナロク・フラッシュ』が発動された。
「はああああああ・・・・・・・・!!」
レクスヴォルザードの巨体が収縮し、ライダー二人とほぼ同じ体格になった。体が青く発光し始め、それと同時に、一人と一匹の姿が消えた。
「な、消え」
ドゥン!
いや、消えたのではなく、その余りのスピードに消えたと錯覚したに過ぎない。地面に空中に水中に、四方八方にまるで突風に晒された紙切れの様に宙を舞い、追撃され、ボロ雑巾にされて行く。そして最後に放たれた強力な右ストレート二つが、カードデッキを貫き、粉々に破壊した。
『グオオオオオオオオオオ!!!』
デストワイルダーが変身解除されてしまったイーリスに契約破棄とみなした為襲いかかるが、ヴォルフはその前に立ちはだかって振り下ろされた攻撃をまともに受け止める。全く動じなかった。
「お、お前・・・・!」
「言ったろ?覚悟の差が違うってな。だが、コイツは倒すか新たに契約し直さない限り、お前をつけ狙うだろう。まあ、コイツと契約した時のカードの能力は特殊だ、殺すのは惜しい。俺の物になれよ、デストワイルダー。」
契約のカードを引き抜き、デストワイルダーにそれを翳した。やがて大人しくなり、どこかへ走り去って行った。
「俺の勝ちだな。さてと、お前には暫くイレイズドで滞在してもらおう。そんな怪我じゃまともに出来る事なんざ飯食って寝る位だ。」
「え・・・・・」
今まで散々非難していたからその腹いせに海にでも静められる覚悟をしていたイーリスは鳩が豆鉄砲を喰らった様な顔をした。
「確かに、俺がやった事は人に褒められる様な事じゃない。無茶だし、恐らく向こうも死者は少なからず出たかもしれないだろう。だが、俺は勝った。だから向こうは、俺に口出しは出来ないんだよ。お前もな。だから、暫くはここで休め。上司には俺が上手い事言い包めておく。今は、とりあえず休みたい。俺もそろそろ疲れた。これ以上やったら俺が過労でぶっ倒れちまう。これでも俺はAD・VeX 7 の社長だぞ?」
イーリスの腕を取り、ミラーワールドから出た。これ以上そこにいれば彼女の体が粒子となって跡形も無く消滅してしまう。
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