No.503827

SAO~黒を冠する戦士たち~ 第百二十一技 二人目の犠牲者

本郷 刃さん

第百二十一話です。
二人目の犠牲者が出てしまう、犯人は一体・・・って、みなさん結果は知ってますよねw

どうぞ・・・。

2012-11-03 10:43:07 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:10336   閲覧ユーザー数:9742

 

 

 

 

 

 

第百二十一技 二人目の犠牲者

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリトSide

 

第56層にあるギルド『聖竜連合』の本部前に着いた俺とアスナ。

 

入り口の門の前には仁王像そっくりの門番が二人。俺は片割れに近づき声を掛ける。

 

「お疲れ、ウェルガーさんいるか? キリトが来たっていえばいいと思うが…」

 

「あ、キリトさん、どもっす! リーダーっすか? それなら「もう来ているぞ」」

 

答える門兵を遮って、リーダーのウェルガーさんが姿を現した。

 

「用というのはなんだい、キリト君」

 

「57層の一件は聞いてますよね?

 それにシュミットさんが関わっていると思われます。そういうわけで彼に話を聞きたいんです」

 

俺の言葉にウェルガーさんは少し驚いた表情をしたが、すぐに顔を引き締めた。

 

「そうか……いや、わかった。彼を呼んでこよう」

 

そう言って中へと戻っていった。五分程してからシュミットを伴って出てきた。

 

「話し……いいですか?」

 

「……ああ、ただし条件がある。

 手際の良いアンタのことだ、もうヨルコには会っているんだろうな……彼女と会わせてほしい」

 

俺はアスナと顔を合わせてから頷き合い、条件を承諾した。

 

 

 

「久しぶりね、シュミット…」

 

「そう、だな…」

 

ヨルコさんが泊まっている57層の宿屋にて、二人は対面した。

 

「……単刀直入に聞くぞ…指輪を奪ったのは、

 リーダーを、グリセルダを殺したのはカインズなのか!? だからあいつが殺されたのか!?」

 

動揺のあまりか一気に捲し立てるシュミットにヨルコさんは浮かべていた微かな笑みを消して、彼を睨んだ。

 

「そんなわけないじゃない。私もカインズも…あなただって、みんながリーダーの事を尊敬していたのよ」

 

「ああ、そうさ…。だが指輪を奪う動機があるのは売却派だった奴らも同じだ。

 売り上げの独占を考えた奴がいてもおかしくはない…!」

 

俺は言い合う二人の様子を出来るだけ監視している。

 

アスナは心配そうに見ているが、俺はヒースクリフの助言を聞いたので、ヨルコさんにも注意を払うようにしている。

 

だが正直なところ、二人ともそれといって怪しい気配がない。もう少し注意深く見る必要があるな…。

 

「グリムロックは、俺達を殺す気なのか…? 俺もお前も、あいつに狙われているのか!?」

 

「他のメンバーかもしれないわ。でも、なによりも……グリセルダさんの復讐かもしれないわ。

 だって圏内殺人なんて…プレイヤーが、人間ができるはずないもの」

 

その言葉にシュミットは硬直し、俺とアスナもさすがに怯んだ。

 

立ち上がったヨルコさんは後ずさりながら窓に寄り掛かった。

 

「私、昨日から寝ないで考えた。グリセルダさんを殺したのは、結局のところ私達ギルメン全員なのよ。

 でも、そんな中でグリムロックさんだけは彼女に任せたわ、リーダーを信じて…。

 あの二人には…全員に復讐する理由があるのよ」

 

「そ、んな……俺は、俺達は……」

 

言葉を詰まらせたシュミット。彼女が何かを言葉にしようとした、その時だった。

 

「えっ?」

 

驚きの表情をしたヨルコさんの体が僅かに傾き、その背には…、

 

「「「なっ!?」」」

 

短剣が突き刺さっていた。そのデザインは先の一件にも使われた短槍にも似ていた。

 

ヨルコさんは窓の外へと体勢を崩していく。俺はすぐさま駆け寄るが……遅かった。

 

「ヨルコさんっ!!」

 

バカな、即死攻撃だと!? いや、ありえない。あんな短剣で、一撃で殺せるなど…!

 

とにかく俺は今の攻撃の犯人を捜すために辺りを見回した。

 

すると、他の建物にローブで身を隠した人物を見つけた。俺が視界に収めるとそいつは屋根の上を走り出した。

 

「アスナ、彼を頼む!」

 

「待って、キリト君!」

 

アスナの制止の声を無視して俺は窓から跳び、反対側の建物へと着地して走り出す。

 

俺は自身の不甲斐なさに腹を立てながらも追いかける。俺には責任があったんだ。

 

ヨルコさんのガードを受けていた俺には。けれど俺は…!

 

「……コロスッ!」

 

俺は自分の中の激情を抑えきれないでいるのがわかる。

 

追い続けた末に奴に追いついてきたところで、奴はフードの懐から青く輝く結晶を取り出した。

 

≪転移結晶≫だ。

 

「サセルカッ!」

 

俺は奴に結晶を使わせまいと考え、三本のピックを取り出して投げつけた。

 

しかし、当然ながらにそのピックはシステムの壁に阻まれてしまい弾かれる。

 

せめて声を聞きとろうと意識を集中させるが、

時刻を知らせる鐘が鳴り響いてしまい、声が聞き取れなくなってしまった。

 

これが狙いだったのか!

 

そしてあと僅かで奴に辿り着くというところで、奴はテレポートの光と共に姿を消した。

 

「っ~~~~~!」

 

俺は拳を握りしめ、建物の屋根を叩きつける事しかできなかった。

 

キリトSide Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

キリトがブチギレました・・・。

 

守るという約束をしていて、それを出来なかったという憤りを書いてみました。

 

上手く書けていたでしょうか?

 

では、次回で・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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