「竜ちゃーん、だれかいるのぉ?」
奥から出てきたのはこの家の主である泰子だ。
例のごとく仕事帰りにそのまま寝てしまったらしく
メイクも落ち切っていなく髪もぼさぼさなのだが
本当に一児の母なのかというぐらい若々しい。
「あ、すいません。起こしちゃいましたか?」
「あ、奈々子ちゃんと亜美ちゃんだ。いらっしゃいでがんすー」
「メイクぐらいちゃんと落として寝ろって言っただろ。
それとまだそんなしゃべり方してるのか……」
いつものように竜児のお小言が始まるが
すぐにメイク落としのシートを持ってきて顔を拭いてやり
着替えをも用意しているあたりさすがである。
「えー今の若い子にはこれが普通なんだよー。
それよりみんなちゃんとお勉強してて偉いねー」
よしよしと言って頭をなでてくれる。
泰子はすぐに奈々子を受け入れてくれたし何よりとても優しい人だった。
こんな人なら嫁姑問題も心配ないだろうなんて
一人で想像し、そんな自分に思わず笑ってしまう。
奈々子はそんな日常を大切にしていた。
「そういえばそろそろ学園祭の時期だよね、みんな今年は何をやるの?
お勉強も大事だけどぉ、竜ちゃんには楽しいこともがんばってほしいなー」
と、泰子がおもむろにそんなことをいう。
「言われてみればもうそんな季節ね」
今年の夏は竜児のことでどたばたしていたため少し時間の把握が出来ていなかったようだ。
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3です。
色々同時進行していて遅めになるとは思いますが
よろしくお願いします。