No.500542

恋姫†無双 関羽千里行 11-3話

Red-xさん

恋姫†無双の2次創作、関羽千里行の11話、拠点の3つ目になります。
精神と時の部屋が欲しい(切実
そして先日、夢の中で某武神様に襲われました。ガチで怖いです。
それではよろしくお願いします。

2012-10-26 17:38:33 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:3341   閲覧ユーザー数:2755

第11話 ―拠点1-3―

 

 

○祭

 

 

一刀「まさかこんなことになるとは...」

 

雛里「流石にこれは予想外です...」

 

愛紗「これも一刀様の人徳のなせる業ですね。」

 

 一人上機嫌になっている愛紗を余所に俺たちが顎を外さんばかりに驚いているのは、城に寄せられた義勇兵の志願書だった。これは軍部の方に窓口を置き義勇兵に志願する人を名簿にしてまとめたものだが、驚くべきはその数であった。目の前には書簡やら竹簡やらがうず高く積まれている。この机から零れ落ちるほどの書類全てを書くだけでも想像を絶する労力を必要としたのではないだろうか。

 

一刀「これどれくらいあるんだ?」

 

雛里「えーと、報告によると二千くらいあるみたいです。」

 

一刀「マジかよ...こんなん一体どうすりゃいいんだ。」

 

 先の黄巾との戦いで兵士の不足を実感した俺たちは軍備増強のため義勇兵を募集した。それにも俺の直轄の隊として募集した方が集まるだろうということで募集を掛けたのだった。

 

...その結果がこれだよ!

 

雛里「とりあえず部隊の編成を考えないといけませんね。直轄隊ということでご主人様自ら調錬していただく必要もありますし。」

 

一刀「え!?俺調錬とかはしたことないんだけど!?」

 

雛里「そうだったんですか?兵隊さんに聞いたら先の戦いでは見事な指揮だったと聞いたのでてっきり調錬も経験があるのかと。」

 

 考えてみれば前の世界では戦いにはいつも付いて行ってたけど、指揮も少ししたことがあるくらいだったんだよなぁ。殆どは戦前の鼓舞くらいしかしていなかったし。雛里は俺の言葉を受け、少し考えるようなそぶりを見せた後、

 

雛里「そうですね...経験がないのならばいきなりこの規模を一人で調錬するのは厳しいかもしれませんね。誰か補佐をつけましょう。」

 

愛紗「それなら私が...」

 

雛里「祭さんなんてどうでしょう。経験も豊富でしょうし。」

 

一刀「そうだな。...愛紗、今何か言った?」

 

愛紗「...いえ、何も。」

 

一刀「ん?そうか。とにかく俺は祭のところに言って手伝ってくれるよう頼んでみるよ。」

 少しそっけない態度の愛紗も気になるが、こう言う時は深入りしない方がいいというのは長い付き合いでわかりきっていることだ。とりあえず俺は補佐を頼むため祭を探すことにした。

 

 

 

 

 

一刀「さて、祭はどこにいるかな...」

 

 祭を探して城内を歩いていると、庭に作られた休憩場にその姿を見つけた。

 

一刀「お、いたいた...っておいおい。」

 

 祭は目の前のものに気を獲られているようで俺の存在にはまだ気づいていないようだ。俺は後ろからそっと祭に近づくと、

 

一刀「昼間から酒とは何事です!」

 

 愛紗の真似をして少しだけ怒気を含んだ口調でそう言ってみた。すると祭はぶるっと震えて、

 

祭「!?な、何を言うとるっ!これは酒ではないっ!水じゃ水!」

 

 本当に愛紗が来たと思ったのか、いつものように祭が勘違いして慌てて弁解し出した。

 

 祭と一緒に生活するようになってわかったことは、祭がとんでもないウワバミということだ。しかも何度も注意されておきながら仕事をしながら酒を飲もうとする。その度に愛紗に見つかっては長いお説教を食らっているので祭は愛紗に対して頭が上がらないらしい。時々冥琳、おそらくこの世界ではまだあったことはないが周喩さんのことだろう、が2人いるみたいじゃとぼやいているのを口にする。

 

一刀「おっと。まさかこんなに効くとは...いい天気だし一杯やりたくなるのはわかるけど、程々にしておきなよ。」

 

祭「ぬ?なんだ北郷ではないか。悪い冗談はよしてくれい。」

 

一転してホッとした表情を浮かべる祭。しかし、

 

一刀「さっきまで愛紗と話してたから、もしかしたら本当にこっちまでくるかもしれないよ?」

 

祭「なにぃ!?」

 

 祭は先ほどのように慌てた様子で、持っていた酒瓶と御猪口をを急いで机の下に隠した。祭の怒られるのを回避しようとする子どものような様子に少し心が和む。

 

一刀「全く、子どもみたいなんだから...」

 

祭「ふん。小僧に子どもみたいなどと言われたくはないのう。」

 

一刀「じゃぁ愛紗にこの事、話してもいいかな?」

 

祭「...はぁ。何が望みじゃ。」

 

 観念したように祭が溜息を洩らした。その様子に思わず苦笑する。

 

一刀「話が早くて助かるよ。実は...」

 

 俺は事の次第を祭に話してみた。

 

一刀「祭にも自分の部隊の調錬があるから本当に無理だったら諦めるけど...どうかな?」

 

祭「ふむ。確かに初めてでその規模を調錬するのには軍師殿の言う通り補佐が必要じゃろう。その役、任されよう。」

 

一刀「そうか、ありがとう!」

 

祭「礼を言うのはこっちの方じゃ。鍛錬の補佐をするということならば、お主と一緒の時間も増えると言うことだしのう。」

 

一刀「えっ。」

 

祭「ではこれからよろしくのう。隊長殿♪はははっ!」

 

 俺の背中をバシバシ叩きながら豪快に笑う祭に俺は一抹の不安を抱えるのであった。

 

 

 

○雛里

 

 

雛里「ご主人様、これすべてご自分でなされたのですか?」

 

一刀「全部じゃないよ。細かいところは元々この街で働いていた人たちや文官の人たちにも手伝ってもらったからね。」

 

雛里「でも凄いです!こんなこと、水鏡先生のところでも習ったことがないです!」

 

一刀「元々俺の世界にあった仕組みとかを使ってるから考えたのは俺じゃないんだけどね。」

 

 雛里が見ているのは今行われている街の区画整理から今後の方針までも含めた政策をまとめたものだ。目の前のものはほんの一部だがそれでも雛里にとってはかなりの衝撃だったようだ。書物に目を通すたびに目を輝かせ、時にわからないところは俺に質問してくる。

 

雛里「あの、これはどういう...」

 

一刀「ああ。それはね...」

 

 この遣り取りを既に数時間やっている。雛里も好奇心旺盛で訊いてきてくれるので疲れることはないがそろそろ休憩してきたほうがいいだろう。

 

一刀「雛里。ここで一旦休憩して昼飯を食べよう。朝からずっとこの調子だからね。」

 

雛里「あわ!すいません。私全く気付かなくて...わざわざ付き合っていただいて申し訳ありません。」

 

一刀「いやいや。雛里に説明するのは俺にとってもちゃんと頭の中で整理がつくし、ためになってるよ。昼飯を食べてからまた続きをすればいいさ。って言ってももう昼飯の時間は過ぎてるな...」

 

 少し考えて、

 

一刀「一緒に街に行こうか?」

 

 目の前の少女にそう告げた。

 

雛里「あわわ!ふ、ふたりだけででしゅか!?」

 

一刀「うん。流石にまだ昼飯取ってないのは俺らくらいだろうしね。厨房の人に迷惑かけたくないし街に行って何か食べよう。」

 

雛里「は、はひ...」

 

 昼飯を食べに行くだけなのに、雛里は顔を真っ赤にしていつも被っている帽子をすっぽりかぶってしまった。

 

 

 

一刀「さて、何を食べようかなぁ。雛里は何か食べたいものとかある?」

 

雛里「い、いえ!ご主人様にお任せします。」

 

一刀「そうか。じゃあラーメンでもいいかな。いい店を知ってるんだ。」

 

 俺たちは俺の行きつけのラーメン屋を目指して街の通りを進む。街の通りはどこも活気があり、商人たちの掛け声が飛び交っている。

 

雛里「ここは本当に良い街ですね...これだけ商人で賑わっていれば、旅の商人を通じてさらに商人が集まってくるでしょう。」

 

一刀「そうだね。楽市制を入れたのは正解だったかな。」

 

 道中街の様子を観察しながら政策の成功を実感する。こうして自分の政策がどんな結果をもたらしているのか実際に見てみることはより良い政策をとるためにもとても重要だろう。

 

店主「へいらっしゃい!って旦那じゃないですか!こんな時間にどうしたんですかい。」

 

一刀「こんにちは。昼飯食いそびれちゃってさ。景気はどう?」

 

店主「おかげさまで。今日はお連れさんも同伴ですかい。」

 

一刀「ウチで軍師をやってくれている子なんだ。凄く優秀なんだよ。」

 

店主「へえ。こんなに若いのにねぇ。嬢ちゃんもゆっくりしていってくれよ。」

 

雛里「は、はひ!」

 

 俺と雛里は適当にあいてる席に座る。すぐに店主が水の入った器を2つ机におきにくる。

 

店主「そいで旦那。今日は何にしましょう?」

 

一刀「じゃあ、あれとあれ1つずつで。」

 

店主「わかりやした。あれですな。」

 

 店主は注文を確認するとさっと厨房へと戻って行った。

 

雛里「あ、あの...あれってなんでしょう?」

 

一刀「それは来てからのお楽しみってことで。勝手に注文しちゃったのは謝るけど、あれは雛里もきっと気に入ってくれると思うよ。」

 

雛里「は、はぁ...」

 

 怪訝そうにする雛里。それから待つこと数分。

 

店主「へい、お待ちどう!」

 

雛里「こ、これは...?」

 

一刀「まず一口食べてみて。」

 

 俺たちの前には白濁にこってりとした印象を受ける器と、透き通っていてあっさりとした印象を受ける器が並べられている。雛里の前に今あるのはその透き通っているほうだ。店のおじさんも見守る中、雛里は恐る恐るといった様子で麺を少量ゆっくりと口に運ぶ。そしてすぐに驚愕の入り混じった顔を浮かべる。

 

雛里「こ、こんなラーメンは食べたことがありません...どこかあっさりしていて...それでいてコクもあって...」

 

一刀「美味いだろ?それは塩ラーメンって言って俺の世界にあったラーメンなんだ。魚から出汁をとるんだけどここって長江が近いだろ。新鮮な魚が手に入るってことで何か魚を使った料理がこっちでも作れないかと思って、ここのおじさんと相談して作ったんだ。ちなみに俺のこっちは豚骨ラーメンって言って豚の骨から出汁をとるんだ。こっちでも豚肉は結構高いと思うけど骨は捨てちゃうって聞いたからね。だったらそれを何かに使えないかと思ってさ。ほら。」

 

雛里「あわわ!」

 

 俺はスープがたっぷりと絡んだ麺を箸でつまむと雛里にそっと差し出す。雛里は顔を真っ赤にしながらもそれを口に入れてくれた。

 

一刀「な?こっちも結構いけるだろ?」

 

雛里「は、はひ...」

 

店主「おかげでウチは大繁盛でさあ。ありがたいことですな。それじゃ、あとはごゆっくり。」

 

 雛里の美味しそうに食べる様子に満足した店のおじさんは再び厨房へと戻って行った。おじさんがいなくなると、雛里はまたいつものように尊敬の混じった瞳で言った。

 

雛里「ご主人様は凄いです。政治や軍略だけでなくこんなことまで...」

 

一刀「うーん。前にも言ったと思うけど俺の世界では当たり前になってるものをこっちに持ってきてるだけだから凄いのは俺じゃないよ。本当に凄いのはこの場合最初にこのラーメンを一から考えて作った人だし。」

 

雛里「いえ。たとえそうだとしても幅広い知識をもっており、それを形にするというのはなかなかできないことです。だからやっぱりご主人様凄いですよ。」

 

一刀「そんなもんかなぁ...」

 

雛里「そんなものなのです。」

 

 雛里がにっこりと笑う姿に少しドキッとする。それを隠すように、

 

一刀「さて。伸びる前に食べちゃわないとね。」

 

 雛里に笑いかける。そのまま二人でまったりとした、それでいてどこか甘酸っぱい雰囲気で食事をとるのであった。

 

 

―あとがき―

 

 

祭「グビグビ。」←お酒を飲んでいる

 

雛里「あの!祭さん!そんなにお酒ばかり飲んでいるのは体に悪いですよ!」

 

祭「雛里、まだまだわかっておらんのう。酒というのはだな...」

 

 ...

 

祭「であるからにして、酒は人生のよき伴侶であるわけじゃ。」

 

雛里「は、はぁ。」

 

れっど「でもだからって酒を飲みすぎると体壊すのは事実じゃ?」

 

祭「かーっ!お主もそんなことを抜かすか。だからさっきから言っておろう...」

 

れっど「この指一本で酒が消せるなんて、便利な世界だなぁ...」

 

祭「ぐぬ...この悪魔め...」

 

れっど「みなさんも飲み過ぎには気をつけましょうね。」

 


 
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