No.498645

真・恋姫†妄想 とある桂花の眼鏡騒動

狭乃 狼さん

タイトル通りです。

眼鏡桂花万歳!

AC711さま、素敵!

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2012-10-21 14:50:42 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:9310   閲覧ユーザー数:7651

 「んー……なんか、見えにくいわねえ」

 「桂花?」

 

 ごしごしと。執務中、竹簡に目を通しながら自分の目をこする桂花に、一体どうしたのだろうと声をかける。

 

 「……ここ最近、目が霞んでしょうがないのよ。……疲れ目かしら」

 「まあ毎日書類とにらめっこの日々が続いてるわけだしなあ。……桂花、そこからこの指、何本に見える?」

 「……ぼやけてるけど、二本」

 「ふむ。一メートル離れてぼやける程度か。……ちょっと視力、落ちてきているのかもな」

 「……沙和たちみたいに、眼鏡でもかけるべきかしら?」

 

 桂花の眼鏡……良いかも。あ、でも、大して悪くも無いのに眼鏡をかけて、悪化度合いが酷くなったって話も聞いたことがあるしなあ。

 

 「んー、あんまり安易に眼鏡に頼るのも、かえって悪化しかねないんだけど……暫く、そうだな、一月ぐらい、ちょっとしたトレーニングでもして様子をみたほうがいいかもな」

 「とれーにんぐ?」

 「訓練っていうか、鍛えるって言うか。今みたいに近いところを長く見続けた後はさ、時々間を置いて遠くの方を少しの間見るようにするといいって、聞いたことがあるんだ」

 「へえ。……こんな感じかしら?」

 

 俺の話を聞いた桂花が、開け放たれた窓の外へとその顔ごと視線を転じ、暫くの間そちらをじっと見続ける。

 

 「そうそう、そんな感じで、なるだけ目の力を抜いて、遠くのほうに視点を合わせてな。後はそれの繰り返しだよ」

 「ふーん。……じゃ、ちょっとの間これ、続けてみるわ」

 「それが良いよ。まあ眼鏡については、それでどうにもならなかったら、街の眼鏡屋に相談、しに行くといいさ」

 「わかったわ。さて、とりあえず今日のあんたのところでの仕事は終わりね。じゃあまた明日」

 「ああ、お疲れさん、桂花」

 

 そうして、手元の竹簡を束にまとめて出て行く桂花の背中を見送った後、一人残った俺が考えていたのは。

 

 「……しっかし、桂花もずいぶん丸くなったよなあ。以前なら確実に、罵詈雑言をぶちぶち言いながら仕事して、最後に出て行くときも『あーやっと終わったわ。あんたなんかと同じ部屋にいて空気妊娠しないかひやひやもんだわ。おぞましいったらありゃしない』……なんていう風にのたまってたこと考えたら」

 

 ある意味、ちょっと懐かしいとも思える、最初の出会いからちょっと前に至るまでの、俺だけに向けられていた桂花のあれが、そのナリを潜め始めたのは一体何時頃からだったか。

 

 「……そりゃまあ、変態だの自動孕ませ機だの歩く性欲魔人だの言われ続けるのに比べれば、今の状態の方がいいことには違いないんだけど」

 

 ……なんか、ね。罵られて喜ぶような真性じゃないけど、時折物足りなくなる感が無いとも言えないってのが、ある意味不思議な感覚はしてる、今日この頃の俺、北郷一刀だったりしたのでした。 

 

 

 それから半年ほど経った。

 

 「やっぱり見にくい?」

 「ええ。……アンタの言っていた方法、この半年ほど試して見たんだけど、ほとんど変わってないわ」

 「そっか。……医者、そうだな、できれば華佗辺りに診てもらうってのは?」

 「もう診てもらったわよ。華佗はさすがに無理だけど」

 

 大陸のそこら中を飛び回ってるからなあ、あいつ。貂蝉か卑弥呼辺りなら、すぐに見つけられるかもだけど。

 

 「あいつの居所掴むの、難しいからなあ。……で、医者はなんて?」

 「多分、目の疲労からくる一時的な視力の低下だろうって。あんたの言っていた視力回復の方法、理には適っているから続ければそれで問題ないそうよ」

 「……じゃあなんで、今、俺たちは“眼鏡屋”にいるんでしょうか?」

 

 街唯一の眼鏡を専門に扱う店の軒先で、目の前にずらりと並ぶ眼鏡を見つつ、そう桂花に問いかける俺だった。つか、そもそもこの世界の眼鏡ってどうやって作ってるんだろ?そんなに高度なレンズ加工技術があるんかいな?度もどうやって合わせるんだか。

 

 「あ、これ冥琳が着けているのと同じ型ね。こっちは穏が着けてる奴かしら?この一枚しか無いのは亞莎が着けてる単眼型ね」

 「……桂花さーん?」

 「あによ」

 「いや、眼鏡……別に要らないんじゃなかったの?」

 「……べ、別に持ってるぐらいはいいでしょ?もしかしたら、ほんとに要るようになるかもしれないんだし、無いよりあった方が良いでしょ」

 「そりゃそうかもだけど」

 

 まあ、桂花の論も分からんでもないし、実際のところ、桂花が眼鏡をかけてる姿ってのも、一度ぐらいは見てみたいのが本音だったり。

 

 「んー。……ね、どう?……似合う?」

 「え?」

 

 ふと。桂花に言われてそちらを見た俺の視界に入ってきたのは。

 

 

 

 「……」

 「な、何よ?」

 「……桂花……」

 「……う、うん」

 

 「……めっちゃ最高。可愛い。萌え!言うことなし!眼鏡天使荀文若たん、GJ!!」

 

 いや、あれが萌えない奴なんてこの世に居るわけ無いだろ?!眼鏡のタイプは冥琳のと同じ、フレームの上部分だけが無いタイプの奴だけど、かける人間が違うだけでこうも萌えようとは……っ!

 

 え?なに?背景が映ってないじゃないかって? 

 

 桂花以外、俺の目に映ってこないだけです/////

 

 「ああ、ぱらいそはここにあったんだ……っ!!」

 「ばっ!な、何恥ずかしいこと大声で言ってるのよ!?馬鹿なの?!死ぬの!?その腐った目と頭に詰め物でもして欲しいの?!つか今すぐ切り落して宦官にされたい!?」

 

 おおう。桂花の久しぶりの罵声が出たよ。けど。

 

 「何とでも言ってくれ!よし、おっちゃん!このタイプの眼鏡、度の入ってない奴か一番低いのくれ!」

 「ちょ、ちょっと北郷!?」

 「せっかくだし、俺からプレゼントするよ。こっちの度の入ってない奴なら、伊達眼鏡としてファッションにもなるし、こっちの低い奴でも、今後本気で目が悪くなるようなら、いざって時に使えるだろうしさ」

 

 そして俺も目の保養ができて一石二鳥、いや、一石三鳥ってやつだ、うんうん♪

 

 で、結局どうしたかって言うと。 

 

 「……なあ~、桂花~。なんで受け取ってくれないのさ~」

 「だから別に要らないって言ってるでしょ!?今日あそこに言ったのはあくまで下見、なんだから!本当に必要になったら私が自分で買うからいいわよ!」

 「そんなこと言わないでさ~。……じゃあせめて、今度これを着けて夜にぐほあっ?!」

 「この馬鹿!あほ!スケベ!変態!無節操の性欲男!まっ昼間からくだらないこと抜かしてんじゃないわよ!今度こそほんとに引っこ抜いてやるわよ!?」

 

 そう。一応、買うには買ったんだよ。なのに、桂花は頑なに、受け取ってくれないんだよ。せっかく、詠型と人和型の二種類も、冥琳型と合わせて買ったのにさ~……。

 

 「……桂花のケチ」

 「るっさい!……ほらっ」

 「……へ?」

 

 ずい、と。顔と体はそっぽを向いたまま、おもむろに俺に向かって差し出される桂花の手。

 

 「……そ、えと、ま、まあせっかく買ったもの、無駄にしたらあの店の店主に悪いし、そう、あと、華琳様にお見せして、華琳様に可愛がっていただくから、その……不本意だけど、受け取ってあげるわよ」

 「……そっか」

 「な、なにニヤニヤしてんのよ!?言っとくけど、別にアンタに感謝して受け取ってやるわけじゃあないからね?!それとアンタには金輪際、見せる気は無いからね?!分かった?!」

 

 で。

 

 

 

 「……あによ」

 「……いやあ……別に?」

 「……言いたいことがあるなら、はっきり言ったらどうなのよ?」

 「別に大したことじゃあないですよ?うん、いい目の保養が出来て嬉しいなあってだけで」

 「ばっ、馬鹿なこと言ってないで、とっとと手を動かしなさいよね、この特殊性癖持ちの種馬御遣い!」

 

 二つの机越しににやにやしてる俺に、ほっぺたを真っ赤にしてそんな風に怒鳴る桂花。

 

 「特殊性癖、って。眼鏡好きなんてそれこそいくらでも居るかと」

 

 四角いフレームに収まったレンズ(?)の下の綺麗な瞳が、なんだかとっても新鮮なものに今の俺には見えてるわけで。で、目の前で黙々と執務中の彼女をちらりと見ては、ちょっとした悦に浸りつつ癒されながら仕事に励んでおります。

 ああ、生きてて良かった……っ!

 

 「も、もう、次からは絶っっっ対!眼鏡なんてかけて来ないから!」

 「ええ~?別にいいじゃんか~。減るもんでもなし~」

 「減るわよ!それに、結局視力の低下もただの疲れ目だって分かったし、これももう、必要なくなったからね」

 「……じゃ、何で今日は着けて来てるの?」 

 「う。そ、それはその……そ、そう!華琳様よ!華琳さまに、今日一日眼鏡をかけて過ごすようにって言われただけ!それだけよ!」

 「そっか~、華琳に、か~。それじゃあしょうがないよな~。にやにや」

 

 よし、なら後で華琳の所に行って、桂花に眼鏡着用の義務命令でも出してもらっておこう。うん。我ながらナイス名案!

 

 「……言っとくけど、華琳様に変なこと吹き込んだら承知しないからね?!」

 「さあ~て、一体何のことやら」

 

 でまあ、その後。

 華琳至上主義者の桂花が、俺の提案で乗り気になった華琳の命令に背けるはずも無く。度無しの冥琳型眼鏡をしばらくの間着け続けることになったのは、言うまでも無いことだと思う。

 

 「これは華琳様の命令、これは華琳様の命令……っ!」

 「……じゃあ華琳、今夜」

 「ええ、分かってるわ。ふふ、今からとっても楽しみ。……一刀、いい仕事したわよ♪」

 「だろ?」

 

 もちろん、眼鏡桂花はその夜、俺と華琳とでおいしくいただきました(笑)

 

 おわり

 

 

 眼鏡桂花、ばんざーーーーいっ!

 

 いやあ、レスポンスにも着けさせていただきましたが、AC711さまの眼鏡桂花イラスト、あれでリビドーが抑えられなくなりましたw

 

 あと、同じくAC711さまと、絶影さまの共同開発された同人ゲーム、『真・眼鏡†無双』も、リビドー暴走の要因の一つです(おw

 

 ゲームのほう、未プレイの方は是非、DL、してみる事をお勧めします♪

 

 ちなみに、作中に使わせていただいたイラストは、AC711さまよりお許しをいただき、書き文字などの無いバージョンを使わせていただきました。

 

 けどやっぱり、背景のある方、いただくべきだったかな?

 

 けどまあそれはそれとして、AC711さま、改めて、この場で御礼を申し上げます。

 

 では皆さんまた、別のお話でお会いしましょう。

 

 再見~www


 
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