それから数年後、一夏は正式に更識家の婿として迎えられ、楯無は一夏に鍛えられながらもブリュンヒルデの称号を獲得し、一夏もモンド・グロッソに参加した事で新たな称号、『
「九十五、九十六・・・・九十、七、九十・・・・八、九十九・・・うぐっ・・・百!っしゃあ!やったぜ・・・・!早く終わらせろよー。」
「兄さんが速いんだよ、動きが。それに、早くやりゃあ良いってモンでもないんだよ?」
「確かにな。だが、それ位出来なきゃ、妹達を守れないぞ?」
「そうかしら?今でも充分強いわよ?喧嘩も負け無しって、昔の一夏みたい♪」
「あ、お母さん!」
「おお、楯無。姪っ子達はどうしてる?」
「簪ちゃんと合気道の稽古中よ?」
「そうか。そっちも見てやらないとな。よっし、二人共、腹筋百回と上段蹴り五十本ずつやったら休憩な。」
「「はーい。」」
屋敷の廊下を移動し、道場に入ると、確かに道着姿の良く似た女の子二人と、一人の女性が演武をしていた。
「邪魔するぞ。」
「あ、パパだ!」
「おはよー、パパ!」
「よう、千秋、美春。しっかりやってるか?」
「うん、やってるよ。いつもより全然気合いが違うし。」
簪が笑顔で答えた。地味だった彼女は今ではすっかり社交的になり、髪も姉を真似てショートヘアーにしてある。
「そうか。そりゃそうだな、簪は強いし。」
「私とお姉ちゃんを鍛えた一夏が言う? 」
「言って悪いか?強いのは事実だろうが?俺はそろそろ昼飯の準備して来るから。」
「あ、ちょっと待って。(ちゅっ)」
「あーあ、また始まった。」
「良いでしょ、別に?お姉ちゃんだってして欲しいくせに。」
一夏はそんな軽口の応酬を聞きながらそっと道場を後にして台所に向かった。いつもと変わりない、平和な日常だった。
「はい・・・・はい・・・・分かりました。すぐ行きます。」
平和と言っても、魔化魍は絶えず現れるが、いつもの事である。一夏は額に音角を翳し、アカネタカに乗って空を駆ける。
了
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ようやくエピローグです。ここまで長かった・・・・ありがとうございました。感無量です。