No.493390

超次元ゲイムネプテューヌmk2 希望と絶望のウロボロス

さん

要約更新できた……いつになったら神次元に突入できるんだろうか……。
国家試験が終わるまで無理だよね……

2012-10-07 20:58:14 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:946   閲覧ユーザー数:866

空 side

 

閃光が走る。

黒い、漆黒の軌跡はありとあらゆるものに境界線を造りながら疾走する。

容赦ない顔面を狙った一撃を躱したところで、次に来る回し蹴り、拳に意識を取らせるようにできた二連撃を僕は蹴られる方向に向かって体を回して、襲ってきたレイスの足を掴む。

 

「っーーー」

 

余った腕を地面に立て、レイスの足を引っ張り体制を崩す。

レイスは倒れながら、お返しとばかりに僕の足を掴み投げる。

 

「ブレイブ・ソーーードォォォォ!!!!」

 

一気に僕の意識が上空に飛び、狙っているかのごとく炎熱を纏った大剣が振り下ろされる。

すぐさま僕は、魔力の膜を足元に造りそれを蹴り吹き飛ばされた方向を変えて躱す。

ブレイブの必殺技は空しく空気を焼き切りながら、僕は投げられた加速力を利用してブレイブの肩を足場に飛ぶ。

 

「---っと」

 

僕がレイスとブレイブを潜り抜けることを予想していたのか、レイスが指示を出していたのか、狙ったように幾つもの光弾が僕に向かって飛んできた。

さきほどと同じように足元に魔力の膜を生成して光弾を避けるように別方向に飛ぶ、しかし猟犬の如く向きを変えて僕に向かってくる。

ホーミング性で、躱しても意味がないと悟った僕は空間から剣を飛ばして相殺させる。

 

「……なにが、コンビネーションシンクロ率0だよ。息が合っているじゃん」

「これでも、それなりには長い付き合いだからな俺達は」

 

地面に降り立ちレイス達を見る。

レイスの左右に大剣を構えたブレイブと幾多の魔法陣を周囲に展開しているトリックだ。

レイス自身の作戦力も含まれるけど、僕のことを研究して確実に次の一歩を繰り出してきている。

 

「しかし、君に戦闘技術を叩き込んだのは僕だ。君の癖とか全部知っているよ」

 

君の復讐劇を終わらせて廃人となっていたあの時期から君と僕は一緒にいて、ずっと僕は君の全てを見てきた。

だけど、君の苦悩や憎悪には必要最低限しか手を貸さなかった。

なのに君は僕のことを相棒とか親友とか呼んでくれたよね。

 

「それは俺のセリフでもあるぜ?」

「はっ、それで?レイスに負けたことなんて指で数えるほどしかないよ?」

 

僕の言葉にレイスは口元を釣り上げた。

 

「俺の勝機は基本、一緒だぜ」

 

ーーーっ、なるほど。

僕がレイスに負けたことは基本、レイスのとんでもない新技を造ったときに僕の勝機が歪む。

レイスは僕と完全に離れた三年間の空白期がある。

その間にレイスはなにか新技でも開発したか……

 

「おい、レイス一体何をする気だ?」

「まぁ……俺が使っている死味魔境(レデュラ)の応用だ。まだ未完成だから三発が限界だけどな」

 

レイスはコートから一本の刀を取り出した。

それからはまるで龍の如き荒々しき威圧感を感じる…!

ゲイムギョウ界にあんな武器が存在したっけ?今のレイスは他の世界に渡ることはできないティシフォネは刀剣の知識なんてないし、あれには神殺しの気配はないから空亡ちゃんに造ってもらったものじゃない。

 

「ある日、神楽町という町で買い物しているとゴロツキに絡まれてなその時、両手が塞がっていたから困っていると尋常じゃない気を放っているおじいさんに助けられたんだ」

 

かっ、神楽町……?あの常に陰謀が渦巻いてものすごく疲れそうな街になんで買い物に行くのよ?何を買いに行くのよ?

っていうか、尋常じゃない気がするおじいさんって……まさかゲイムギョウ界の裏では一位、二位を争うあの伝説の……?

 

「まぁ、俺もそこらへんに買い物かごを置いて参戦して撃退したんだけどな、そのおじさんがあまりに強い者だから彼の元で研摩を積んだ」

 

レイスの隣にいるトリックとブレイブはあの時か!と言わんばかりの表情だ。

それにしてもいままでのゲイムギョウ界の時間軸の中でまれに現れる伝説の存在に合うだなんて宝くじの一等を連続で当てるようなものだぞ…?

 

「……っで、俺はその人のもとで少しだけど修行をしていた。そしてその人は俺にこれを渡して姿を消した」

 

『龍刀・桐生』僕の記憶が正しければ、あの刀はそう呼ばれている。

女神を要求する未来(ゲハバーン)のような特殊な能力はなく、ただ凄まじい切れ味と強大な力を秘めている究極のシンプル差を持っている。

レイスは天に昇る龍が描かれた鞘を腰に置き、左足を大きく後ろに下げ、右手で優しく柄を---来る、直感とか予測とかそんな些細なことより先に本能が僕の体を咄嗟に動かした。

 

「ーーー斬っ」

 

レイスの右手が霞んだ。

そして同時に、宙に僕の右手が飛んだ。

 

「っーー!!!」

 

鮮血が栓をなくした炭酸飲料のように引き出した。

微かに動けたおかげで右手で済んだ。

もし、動けなかったら僕は今頃一刀両断された薪になっていただろう。

直ぐに破壊の力で右手の切断を破壊してなかったことにしようとするが、

 

「無駄だ、言っただろう?新術だってこれは死味魔境(レデュラ)を使った物だって」

 

僕の認識できないほどの超ハイスピードの抜刀、それに死味魔境(レデュラ)を纏わせることにより回避できないほどの速さで目的を断切する斬撃。

これは、確かに僕の知っていた時のレイスの技じゃない。

それに込められた断切の概念が強すぎて空亡ちゃんに半分力を封じられているこの状況で壊して治すことはできない!

 

「チッ……!」

 

狙った様に放たれた光弾を後ろに飛んで躱す。

先ほどのトリックの光弾らしくいくつかは地面に直撃して消滅するが、全ては消えてない。

僕は空間から久しぶりに『煉獄ヲ裁断スル切ッ先』を取り出して魔力を流す。

轟音と共に発生し、渦巻く焔を自身の前に吹き荒れさせ、光弾を刹那に焼き尽くす。

どれだけレイスの攻撃が回避不能、防御不能でもそれを放つのはレイスだ。

あの一撃はレイスの言った通り、範囲が小さい、故に照準は的確に行わないと当らない難しい技だと見抜いた。

だとすれば、とにかく動き回ってレイスの視線に入らなければいい!

 

「はぁぁぁぁ!!!」

「っーーー」

 

更にあのレイスの技はおそらく為の動作の為に動けない。

その間に攻撃したいけど、ブレイブとトリックが邪魔をする!

上空から炎を纏った大剣を振り下ろすブレイブに合わせて僕も『煉獄ヲ裁断スル切ッ先』を振るう。

互いに纏わせた炎が重なった瞬間、爆発したような爆音が空間を揺らした。

相手は両手、僕は片手、本来なら勝てる筈だけど、さすがにキツイ!

体が止まることを焦った僕は鍔迫り合い状態を『煉獄ヲ裁断スル切ッ先』を無理やりずらすことで逃げる。

 

「斬ーーー!!!」

 

再び全てを断切する斬撃は放たれたけど、既に撃たれること予想していた僕は既に放たれた斬撃の範囲から逃げており、当ることはなかった。

レイスは仲間に三発しか撃てないと言っていた。

さっきと今ので二発、あと一撃を避ければ勝機はあるかもしれない!

 

「空ーー」

「な、なにかな!?」

 

トリックのホーミング光弾とブレイブの剣戟を相手しているとレイスが僕を呼んできた。

 

「チェックメイトだ」

「はっ……?--っ!?」

 

レイスが呟いて、僕が地面に降りた瞬間、僕を囲むように魔法陣が展開されて中から触手のようなものが出現して、あっという間もなく僕は拘束された。

 

「言っただろう?お前が俺の癖を知っているように、俺もお前の癖を知っているってな」

 

ーーーっ、最初と二撃目はデコイで最初っから全てここに降りさせることがレイスの作戦だったのか!?

レイスは過去、十六の世界を全ての存在するものを自身の手で一つ、一つ、殺した経験がある。

その経験から、レイスは知識の中で似たような生物などの動きを一瞬にしてパターン化して先読みすることが出来る!

僕はレイスより戦闘経験は豊富だ。しかしーーー殺人経験、生き物を殺す技術ならレイスの方が遥かに上手だった!!

 

「レイスよ。今思ったんだがこの作戦って、ブレイブを捨て駒に」

「さぁ!空、これで終わりだぞ!!降参とかしてもお前のことだからドヤ顔で逃げるからな、ここで仕留めさせてもらうぞ!」

 

………くっ、どうする!

かなり強固な拘束魔法だ。

僕でも解除は数秒は必要だ、その間は無防備の状態で、防御魔法を張ることはできるけどレイスのあの一撃を防ぐことなんて出来ない!

 

「----」

「えっ…?」

 

レイスはまた深く構えた。

必殺一撃の断切の斬撃をもう一度、繰り出す気だ!

焦ってもがく僕に対してレイスは静かに声を出さず言葉を紡いだ。

この状況でのレイスの言葉は僕にはっきり伝わったが、その内容は驚くもので僕は思わず声を零した。

 

死味魔境(レデュラ)剣ノ太刀・一式ーーー嵐閃刃(ヴォルテックス)!!!」

 

レイスは駒の様に回り、右手が霞むほどの速さで抜刀した。

加速された遠心力は止むことなき旋風となり、それは斬撃の嵐となった。

僕は力強く拘束魔法を打ち破り、レイスの言った方向(・・・・・・・・・)に体を跳んだ。

 

 

 

レイス side

 

回転による遠心力と死味魔境(レデュラ)による断切概念に光速の抜刀が重なってできた斬撃の嵐、その軌跡には塵芥すら残さない絶対の旋風が過ぎ去った後は全て消しゴムで消し去ったように大地は消滅していた。

右手に握られる『龍刀・桐生』の白銀の刃には俺の血が滴る。

先ほど放った「死味魔境(レデュラ)剣ノ太刀・一式・嵐閃刃(ヴォルテックス)の反動はこの肉体だと耐え切れないらしく抜刀の速さに耐えれず右手から出血している。当分は右手は触れないと考えてもいいだろう。

もし、俺が罪遺物を所持していれば話は別だが、無い物を欲しがった所で都合よく手に入るものではない。

俺は直線上に抉れた惨状を見ながら『龍刀・桐生』を一振りし、鞘に収めた。

 

「さすが、レイスだ。あんな技を開発していたとわな」

「お前のようにギャルゲーばっかしてないんだよ。トリック」

 

それが無ければ生きていけないと返してくるトリック、お前の顔と姿じゃ幼女一人も連れてきそう似ないからな、誘拐すれば俺が責任をもってトリックをフルボッコして親が心配しないように返すけどな。

 

「…レイス、お前は破壊神と仲深い関係だったのでないか?お前たちのやり取りはまるでーーー背中を任される相棒のように思えたが」

「ふむっ、確かに俺も思ったな、それにお前たちは互いに知り合っているような話の内容だったな」

「…………そうだな」

 

ブレイブの素朴な疑問に乗ってトリックも顎に手を当てて呟く。ーーー確かに、俺と空は相棒だった、親友だった、師匠であった。

あいつに俺は命を救われた。

 

「…………レイスお前に聞きたいことがある」

「なんだ…?」

 

ブレイブの怪訝な口調に思わず『龍刀・桐生』を収めている鞘に力が入る。

いまさらだが、俺はマジェコンヌの信仰など一欠けらもない。

こいつらは別だが、もしーーー万が一のことがあれば、

 

ーーーー私が殺りましょう。

 

頭に深淵を思わせるような低い声音でティシフォネは俺に語りかけた。

 

ーーーあなたの敵は、私の敵、敵は皆殺し、仲間が来ればまた皆殺し、あなたを染めません。

 

氷を直に付けられたような寒気が全身を包む、ブレイブとトリックはこんな強大な闇が近くに居てもいつも通りだ。

否、強すぎる故に本能が感じることを拒絶しているのだ。

もし、俺がここで頷けばティシフォネは瞬時に俺以外のギョウカイ墓場、全ての生き物を殺戮する。

 

ーーー私はあなたは愛しています。恋い焦がれております。あなたという存在が私を成りたてているのです。どうか、どうか、嘆かないで、あなたの悲しい顔は私の悲しい顔、あなたの笑顔は私の笑顔、染めたい、あなたを私色にどんな色に負けない濃い色で染めたい。故にーーー全て、消えて、なくなればいい。

 

「お前は何を知っている?何を目指している?俺は時々、お前があの冥獄神を育てているように見える。まるで生き別れた弟を見るような目だ」

「………」

 

お願いだ、ティシフォネ黙っていててくれ。

お前のことは出来るだけ表に出したくない。

くうちゃんと同じなんだ……頼む、信じてくれあいつ等を

それにしても、ブレイブが想像以上の鋭さだ。

空の発言が本当のことならーーーアザトースが動き出すことになる。

そうすれば、この世界は間違いなく塵と化す。

唯一の助けは期間があることだろう……あいつのことを考えればーーー残り一週間と言ったところだろ。

 

「時間が…ないか…」

「レイス……?」

 

俺は空が生きている(・・・・・・・)ことを悟られない様にその場を離れるように歩き出した。

そして、ある程度まで歩いたところで俺は怪訝そうな表情を浮かべているブレイブとトリックに振り向かった。

 

「お前たちはーーー破滅の未来を望むか?」

 

 

 

 

空 side

 

ーーー目を覚めて最初に気づいたことは僕の現状は血で出来た水溜りの中だった。

 

「……かはっ」

 

口の中から溢れるように血が零れだす。

体から溢れる流血は止まることを知らず永遠と流れ出す。

断切の概念が込められた斬撃を諸に受けたんだ、回復するはずないし、今の僕にはレイスが刻んだこの断切の概念を破壊するほどの力はない。空亡ちゃんに封印されたからね

あの時、レイスが口ぱくで言った方向に飛ばなかったら僕は今頃バラバラどころか髪の毛程度しか残らなかっただろう。

まぁ、それでも死なないけど……

 

「ぁ、……ぁ…っ」

 

呼吸器官は壊滅的で息を吸うことも吐くこともできない。

試しに声を出そうと口を開くが、口が開くだけ僕の望むことは出来ない。

先ほど斬り飛ばされた右手は勿論のこと感触なし……というより肩ごと持って行かれているから当然か。

左手、両足は奇跡的に繋がっているけど左足は皮ひとつで繋がっている状態でブラブラだ。

全体を見れば正に僕は下手な微塵切り(・・・・・・・)された現状だ。

 

「………ぁ…」

 

レイスの気配が、かなり遠い。

ばれない様にここから離れてくれたと思いたい。

試しにトラップがないか軽く捜索魔法を掛けるが存在ない。

さて、人間ならとっくに死んでいる死傷だら僕は立ち上がる。

勿論、立ち上がろうとした瞬間まだ残っていたのかと思いほどの鮮血が飛び散る。

正直な所、ものすごく痛い、だけどそれを口に出したら負けのような気がするので僕はゆっくり千切れないに細心の注意をしながらギョウカイ墓場特有の紅い大地を歩く。

実は、ギョウカイ墓場に付いてすぐに僕はエリアサーチの魔法を使って女神を探していたんだ、僕は紅夜のような女神の気配を感じれる様なスキルないから、こうして探す方法しかないんだ。

 

「……っ、…」

 

あぁーーーなんて、愚かしいんだろう。

こんな寂しい大地で、人ならとっくに死んでいるような裂傷を幾つも刻んで、助けに来る側なのにこんなにボロボロになって……。

もっと、考えればもっといい策が思いついたかもしれない、冷静になればこんな神風特高のような行動じゃなくて効率のいい作戦が閃いたかもしれない。

本当に自分がーーーバカバカしくて仕方ない。

 

『…………』

 

そんな思いでゾンビのように引きずり歩きしていると触手で拘束された女神達を要約発見した。

これまた、触手プレイとか……一部のファンに写真を売れば高値で買ってくれそうだ。

けど、残念ながら満足に手を動かせない今の状態だと却下するしかない凄まじく残念だ……、っとこんなこと考えている暇じゃなかった。

僕は血だらけの左手で空間操作を行い、ある箱を取り出す。

僕はゼロハート時を維持するためにシェアクリスタルをエネルギーとして使うからシェアクリスタルを持っているんだよね。

箱を開くと神秘的な光を放つ手ごろな大きさの四つのクリスタルが入っていた。

 

「…………」

 

伸ばした手が一瞬、躊躇した。

これは僕の実験が生み出した副産物のようなものでこの世界で全力を出せない僕にとってどうでもいいアイテムなんだけど、ハイエンド・プロセッサユニットーーー絶焦神化(ゼロハート・エクスライザー)を使うにはこれは必要なんだ。

そもそも、エクスライザーは対ティシフォネ戦を想定して造りだしたものだ。

これを使えば僕は、ゼロハートすらなれなくなる。

………僕は思考を切り替えてシェアクリスタルを掴んで苦しそうに呻き声を零している女神達ーーーネプテューヌ達に捧げるようにクリスタルを解き放った。

信仰が結晶するまで濃縮された正に希望の宝石であるシェアクリスタルは粒子となり拘束されたネプテューヌ達に吸収される。

彼女たちの顔色は嘘のように良くなっていき、きつく彼女達を拘束していた触手はあっという間にバラバラとなって四女神は降臨するように薄い光を纏いながら、降り立った。

 

「この光は…」

「温かい……」

「これは、体が癒されるようですわ…」

「……動ける…」

 

相変わらず、痴女としか見えない露出度の激しいプロセッサユニットだな~

そう思いながら、僕は遂に力が尽きたように地面に倒れた。

 

『………ちょ!?』

 

女神達……パープルハート、ブラックハート、グリーンハート、ホワイトハートは驚くように声を上げて僕に近づいた。

 

「あなたは………空っ!?」

 

あ、気づいたたんだ。

僕が言うのもなんだけど、血だるま状態だからコートとか髪とか全部血色で染まってしまっているんだよね。

それにようやく、気づいたんだけど右目が見えない(・・・・・・・)多分眼軸ごと断たれたんだろうね。

 

「酷い怪我……空あなた……」

 

返事をしようと懸命に口を動かすけど、呼吸動作すらできないだから言葉を相手に伝えれない。

ホント、今の僕はそこらに捨てられそうなゴミのようだね。

 

「……生きてるか?」

 

ホワイトハートの問いかけに倒れている状態から頷く。

同時にパープルハート達は安心したようにため息を零した。

 

「絶対破壊チートの空がここまでやられるなんて……」

 

いやー、これでもかなり制限付けているんだよ?

本気なら既に全部解決出来ているんだけど、この世界が器が小さくて尚且つ僕の破壊コントロールが未熟だからこうなっているんだけどね…。

 

「……本当に生きてる?まさか既にゾンビになって意識が無くなる直前とか言わないわよね?」

 

ブラックハート……僕にそんなことを言うなんて失礼だね。

……しかし、否定できないのが痛いな、全身切り刻まれて左足は皮ひとつで繋がって右目は見えなくて右手は無くて……ゾンビゲームなら主人公の足に忍び寄って捕まえて足止めする役だね。故にすぐ殺されるけど……さて、こう思わせたブラックハートにどう仕返ししてやろうか……。

 

「血だらけの顔で悪意溢れる笑みをしないで、敵と間違えそうだわ」

 

ふふふっ、これでも僕は前作でラスボスなんだよそんな顔することもあるさ。

こんな黒いことも考えてしまうのは仕方がないことさ、と発言したつもりだが口がパクパク動くだけでまともに会話できない……相手の心にダイレクトに語りかける魔法で『念話』と言うものがあるんだけどレイスのあの新技時にほとんど防御に回したから使えない。

リミッター外せばいいけど、外した時に微かに溢れる魔力でレイス達を呼んでしまうことになる。

 

「困りました…私たちの中で回復スキルが使える者がおりませんわ」

 

グリーンハートはその腕を組む、すると彼女の大きく実った胸が腕に乗る。

ブラックハートやパープルハートはともかくホワイトハートと比べると虚しくなるね……。

あと、君たちの妹……ユニは除けてネプギア、ロムちゃん、ラムちゃんは回復スキルを持っているのに姉たちが持っていないとはこれどうよ?まぁ、妹たちはどちらかと言えばサポートだし、君達(女神)は特攻隊長って奴だね。

 

「とにかく、ここから出ないと………本当ならこのままあいつ(・・・)に一泡吹かせたい所だが、私たちは万全じゃねからな」

 

ホワイトハートの言葉に女神達は悔しそうな表情で頷く。

あいつーーー十中八九レイスだろうね。

本来の形ならマジック・ザ・ハードが相手をするだろうけど彼女たちはこの未来までのパラメータより上で恐らく四人ならマジック・ザ・ハードに勝てるだろうね。

紅夜が冥獄界に行く前に僕と一緒にゲイムギョウ界を回ったときに一人一人と合って強敵と戦ったもんね……。

あと、質問あるんだけどここに出るには確かイストワールの力が要るんでしょ?どうやって連絡するの?

 

『…………』

 

四人は固まった表情で視線を合わせて無言だ。みんな揃って頬に汗が流れている。

僕の空間操作ならここから出ることが出来るけど、こんなボロボロな状態だとさすがに使えないよ。

どうやってここから出ようかと色々考えているとーーー上空にとんでもない気配が近づいて来ているのを感じた。

 

「……っ、ドラゴン……?」

 

漆黒、純白、深緋色の三匹のドラゴン。

僕にはそのドラゴンたちに見覚えが合った。

あれはまだレイスが紅夜と名乗っていた時代で僕と行動を共にしていたころだ。

空亡ちゃんと僕とレイスでピクニックしようという意見がレイスから提案されて僕も仕事の終わった後だからノリノリで準備した。っで、僕たちは手が加わってない自然な大地……人がまだ科学という概念が薄い世界に行ったんだ。

そこで空亡ちゃんは使い魔を得たーーーその世界で『黒龍』、『紅龍』、『祖龍』と呼ばれている伝説の存在を

 

「っーーーーなんて威圧感…!」

 

女神達はドラゴンたちから放たれる気に思わず下がる。

こいつらは昔、君たち四人がかりでようやく倒せたゼクスプロセッサ・ドラゴニスより遥かに強いよ一匹、一匹がね。

 

「………こんばんわ」

 

三匹のドラゴンは僕たちの目の前で舞い降りて威嚇するように唸る。

その様はまるでお姫様を守護する騎士(ナイト)のようだ。

そして純白のドラゴンから降りてきたのは無造作に伸びた白髪に儚げな表情が綺麗と思えるロムちゃんやラムちゃんと同じくらいの背である空亡ちゃんだった。

 

『……誰?』

 

ごもっともな疑問だ。

君たちは空亡ちゃんと認識ないからね。

 

「私は……常夜 空亡と言います………」

 

消えそうな声だ。無表情だけどちょっぴり照れているのかな?自分から名乗ることなんて少ないから

 

「……私の名前はパープルハートよ。えっと……常夜ちゃん、あなたはなぜここに?どうやってここに?」

「空さんの気配を感じたから来た……方法は無理やり……」

 

ギョウカイ墓場とゲイムギョウ界は空間が違うから正方法じゃ無理だ。

それを無理やりって……多分、この三匹ドラゴンの合体バージョンが違う二つの空間を壊して繋げたんだ。

ここは一応、死んだ魂魄しか来れない場所なんだけど確かにそんな無理やりな方法を……けどそれって世界の修正能力が働いて長い時間は……

 

「……遠くから父様の気配……っ、乗ってください」

「ゲイムギョウ界に連れて行ってくれるの?」

 

空亡ちゃんは女神達の問いかけに頷いた。

 

「るーちゃんお願い。ぼーちゃん、ばーちゃん怒っちゃだめだよ」

 

漆黒のドラゴンと深紅のドラゴンは頷き、女神達が乗りやすいように翼を下ろした。

るーちゃんと呼ばれた純白のドラゴンは口を開いて…ちょ!?食べる気なの!?僕は美味しくないよ!

 

「大丈夫だよ……」

 

純白のドラゴンは僕を噛んだ状態で翼を鮮やかに広げる。(体に刺さって痛い)

女神を乗せたドラゴンたちも翼を羽ばたか視線が徐々に上がっていく。

 

「…………っ」

 

見ると空亡ちゃんはいつもの無表情顔を崩していた。

下を見るとマジェコンヌ四天王とレイスが見上げていた。

襲ってくる気配があるけど、このドラゴンたちの速さなら既に空に舞い上がった時点で勝敗は決まっている。

 

「父様………」

 

泣きそうな掠れた声、無造作に伸ばされた手はレイスに向かって伸ばされていた。

……空亡ちゃんにとっての父親であるレイス、リーンボックスで一緒に居た時は仲良し気にしていたけどレイスはまだ空亡ちゃんに自分の状況とか話してないんだろうな。

まぁ、空亡ちゃんは既に勘づいているみたいだけどね。

 

「父様ーーー」

 

絶対に届かない距離で伸ばされた手は虚空をしか掴まない。

空亡ちゃんは見えなくなるまでレイスを……父親を見つめた。

 

 

「ーーー隣に居たいよ」

 

 

 

 

 

 

 


 
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