No.488262

語られし者たちとIS 世界樹大戦 第14話 転校生は男の子?

書かせていただきます
視点は一夏で

2012-09-25 00:10:25 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1693   閲覧ユーザー数:1573

 

……よし、できた

 

久しぶりに弁当を作ったから時間がかかったな

 

昨日は料理を作ることができなかったので今日はお弁当を作ることにした。ジュディスさんも自分の分のお昼ご飯を作っているみたいだ

 

こういう時、異世界は時間の流れが遅いから便利だ。その反面、調理器具が限られてくるのが難点かもしれない。キャンプ場で作っているみたいなものだから火の調整とか難しい

 

「終わったわよ。あら、なかなかおいしそうじゃないの」

 

「ありがとうございます、じゃあそろそろ学校に行きますので」

 

「ええ、戻りましょう」

 

すぐに元の自分の部屋に戻って学校に向かう

 

教室に着くとクラスの子たちが何やら色々な雑誌を見比べている

 

ファッション誌かな? 千冬姉は読まないけど

 

「おはよう」

 

「あ、織斑君おはよう。ねえ、そういえば織斑君のISスーツってどこの会社の?」

 

そうか、今日からISスーツの申し込み開始日か、俺は特注で作ってもらったから忘れていたけど

 

すぐに入ってきた山田先生が皆にスーツについて解説をしていた。やっぱりいい先生だよな

 

気が付いたらチャイムが鳴ったため、すぐに席に戻った。同時に千冬姉が入ってきた

 

もちろん、皆も席につく

 

(何だか訓練された兵隊みたいね)

 

(奇遇だな、僕もそう感じた)

 

(私も)

 

俺もそう思います

 

「今日からISの実戦訓練を始める。各人気を引き締めるように。では山田先生、ホームルームをお願いします」

 

「わかりました、では皆さん、今日は新しく二名の転校生が入ります」

 

ドアから二人の人物が出てきた。その転校生にみんなが驚いた

 

そのうちの一人は男だったから

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。不慣れなことも多いと思いますが、よろしくお願いします」

 

あいさつの後、クラスの女子たちが一斉に騒ぎ出した……まあ、確かにそうなるのも無理はないよな

 

そしてもう一人の銀髪の眼帯をつけた少女、ラウラ・ボーデヴィッヒが自己紹介をした。正確には千冬姉に言われてやったようなものだが

 

彼女が千冬姉を教官と呼んだことで俺はあいつがドイツの軍人だということを確信した

 

ラウラの自己紹介が終わった途端、俺の目の前にやってきて、手を振り上げてきた

 

俺は殴られた。かわすこともできたが、あえて受けた

 

「認めない、貴様があの人の弟ということを……」

 

皆はポカンとしている。まあ、そうだよな

 

殴った本人はすぐに自分の席に着いた

 

(どうして殴られたの?)

 

(あいつ、昔ドイツで千冬姉に教わっていた人です)

 

(……なるほどね、自分の尊敬していた人物の身内のせいで優勝を逃したから、ということかしら。そして一夏も律儀ね、わざわざ責任を感じることないのに)

 

……時々ジュディスさんの先読みが怖く感じる

 

(……下らんな)

 

リオンさんはバッサリと切り捨てる。しかし一体何に対して言ったんだろう?

 

「では、授業を始める。今日の最初の授業は第二グラウンドで二組と合同でISの模擬戦闘を行う。着替えてすぐに集合しろ。それと織斑はデュノアの面倒を見ておけ」

 

すぐに千冬姉が場の雰囲気を切り替える。まあ、同じ男同士だからな

 

しかし急いで行かないと時間に間に合わないかもしれない。俺はすぐにシャルルの手を引いて、早足で更衣室に向かった

 

「え? 織斑君?」

 

「自己紹介とかは後、早く行かないと授業に間に合わないから」

 

「更衣室までそんなに離れていたかな?」

 

ああ、分かっていないみたいだ。学園では俺達がどういう存在なのかを

 

(……一夏、来るわよ)

 

「なんとなく感じています。シャルル、行くぞ」

 

俺とジュディスさんの予想通り、様々なところから女子が現れた

 

ものすごい結束力で捕えようとしてきたが、俺もうまくかわす

 

しかしシャルルもうまくついていっているな

 

何とか更衣室に到着することができた

 

「ありがとうね、織斑君。僕のことはシャルルって呼んで。でもどうしてあんな風に追い掛け回していたんだろう?」

 

(……この子……)

 

ジュディスさんも気が付いたみたいだけど……こいつ、何かおかしい

 

「男子が珍しいからな。ああ、俺のことは一夏でいいぞ、ってそれよりもさっさと着替えないと」

 

そう言って上着を脱ぐとシャルルは驚いてそっぽを向きながら着替えを始めていた

 

……何か引っかかりながらも着替え、グラウンドに向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業に間に合い、整列する。今日は二組との合同授業のため、いつもより人数が多い

 

「今から授業を始める。まずは実際の戦闘をしてもらう。鳳、オルコット、前に出てこい」

 

すぐに二人が前に出る。一体誰が相手なんだろう?

 

そう考えていると上空から山田先生がゆっくり降りてきた

 

「お前たちには山田先生と二対一で戦ってもらう」

 

「二対一ってそれはさすがに……」

 

「セシリア、油断しない方がよさそうよ」

 

鈴は落ち着いている。まあ、いくら専用機を持っていたとしても相手が教師だから技術的な面で違うだろうな。そのうえ、世界樹大戦の参加者だ

 

(鈴、今回はフォルスを使うのは禁止だヨ。後、余裕があれば闘気をためる練習をしておくこと)

 

(真耶も闘気をためる練習ね、一夏君はもうできているのだからできるはずよ)

 

二人のパートナーがそれぞれ指示を出していた。当たり前だけどみんな鍛えているんだよな

 

すぐに試合が始まった。山田先生の攻撃がうまく鈴の動きを封じている

 

でも鈴もなかなか冷静だ、少ない動きでセシリアの補助に回っている

 

「ほう、すぐにやられると思っていたが、なかなか粘るな。ちょうどいい、デュノア。山田先生が使っているISについて説明をしろ」

 

どうやら千冬姉は鈴とセシリアがすぐに負けると思っていたのだろう。鈴の場合、そう簡単にはいかないんだけどな

 

シャルルの説明が終わってもまだ戦いが続いていたため、決着をつけることなく終了させた。これ以上やってもしばらくかかると判断したのだろう

 

それにしても鈴も山田先生もやっぱり強いな

 

(そんなことないわよ、真耶ったらさっきまで緊張しててガチガチだったんだから)

 

「そ、それは言わないでください……」

 

そうだったんだ……この人ってプレッシャーとかに弱いのかな?

 

おっと、今は授業に集中しないといけない

 

「実際に訓練機を動かしてもらう。専用機持ちは、その手伝いをしろ!」

 

俺とシャルルの周りに生徒が集まった。この人数を相手にしろと?

 

もちろん千冬姉の一声でそんなことにはならず、ちょうどいい人数となった

 

「じゃあ、順番にやっていこうか。えっと最初は……」

 

「は~い、私です。頑張るからよろしくね」

 

根が真面目な子だったので、すんなりと教えることができた

 

しかし問題が発生した。降りる時に、ISを高い位置のままにされていた

 

こうなってしまうと、よじ登らない限りうまく乗れない。それは危ないし

 

(そうね……一夏が踏み台にでもなればいいんじゃないのかしら?)

 

まあ、それが一番かな?

 

「どうしましたか? ああ、なるほど。織斑君、白式を展開させて女の子たちを運んであげてください」

 

(踏み台になればいいって言っていたけど危なそうよ。一夏君、ものすごく体が大きいわけじゃないんだから)

 

うまく進んでいるかどうか見に来てくれた山田先生が助言をしてくれた

 

そしてアンジュさんの言う通りにすることにした、安全な方がいいからな。そういうわけですぐにISを起動して、運ぶことにした

 

お姫様抱っこで運んだため、ものすごく喜んでいたが、他の女の子が騒いでいる

 

そうやって運んだからなのか、降りる子は皆、高い位置のまま降りていた

 

つまり次の子も運ばないといけない

 

(モテモテね)

 

こっちは色々と大変です。さて、次は……箒か

 

「私だ。本来なら踏み台にでもなってもらいたいのだが、安全面を考慮した場合、しょうがない。運んでもらえないか?」

 

別にわざわざ言わなくてもいいのに……

 

もちろん運ぶ、その時に昼食は屋上で食べようと誘われた

 

ちょうどいいかもしれない、シャルルもまだ学校に慣れていないし誘っておこう

 

その誘いに了解を出した。ものすごく喜んでいるのがわかる

 

さて、集中して授業を続けないと千冬姉に怒られるからな

 

結局その日の授業は順調に終わった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休み、俺はシャルルを連れて屋上に向かった

 

クラスの女子たちが食堂に誘っていたが、先約があると華麗にシャルルはかわしていた

 

その時のあいつの対応ときたら紳士そのものだった

 

だからこそ気になった……なんだか完全すぎて不思議に見えた。まるで演じているみたいに

 

とにかく約束に間に合うように急いでシャルルの分の昼ご飯を購買で購入した。

 

途中でセシリアと鈴に合流した時に、二人とも一緒に食べようということでついてきた

 

「どういうことだ?」

 

一体どうしたのだろう?

 

「いや、シャルルはまだ馴染んでいないから連れてきたんだ。それにご飯ってみんなで食べた方がうまいからな」

 

「それは……確かにそうだが……いや、それよりも……」

 

どうやら俺の手に持っている弁当が気になっているみたいだ

 

その視線は鈴とセシリアからも感じた

 

「昨日俺の友達の定食屋に行って食べた時に知り合いと料理の話で盛り上がったんだ。それで久しぶりに作ってみようと思っただけなんだが……」

 

その言葉にセシリアと箒はぐぬぬという感じの表情だった。何というか良い表現だと我ながら思う

 

鈴は何となく納得していた。あいつも食べたことがあったはずだしな

 

「とにかく食べようぜ。時間もないんだから」

 

そのまま食事を始めたい。俺も腹が減った

 

箒が用意してくれたシートの上に座って自分の弁当を広げる

 

その弁当にみんな驚いていた

 

「一夏……お前、何だそのすごい弁当は?」

 

「一夏さん、そんな特技が……」

 

「あんたまた腕あげたんじゃないの? 本当にあたしの立場がないわよ」

 

「すごいね、一夏。ここまできれいなお弁当は久しぶりに見たよ」

 

そんなに褒めてもらえるとは思っていなかった

 

ん? 箒やセシリア、それから鈴の手にもう一人分のお弁当がある

 

……さすがに無理だぞ、結構量を多めに作ってきたから

 

鈴は察したのかマオにタッパーを渡していた。もちろん他の人には見えないように

 

(……鈴、この酢豚冷えているんですけど?)

 

(う、うるさいわね……ちょっと考えていたことがうまくいかなかっただけよ……後でなんか作ってあげるから)

 

……冷えた酢豚渡す気だったのかよ

 

「い、一夏。ちょうどここにもう一つ弁当があるのだが……」

 

「悪いな。今日作ってきた弁当は結構量が多いから……」

 

「一夏さん、せっかくの申し出を断る気なのですか?」

 

そうは言っても……

 

「まあまあ、そんな無理して食べて一夏が倒れたりでもしたら大変なんだから……また今度食べてもらえればいいんじゃないのかな?」

 

ありがたいことにシャルルが助けてくれた。後でお礼を言っておこう

 

「これからもたまには弁当を作る機会があると思うけど前もって言ってくれれば、俺も作らないから」

 

「そ、それでは驚かせないではないか……」

 

「全く、乙女心が分かっていませんわね」

 

ん? 何か二人がぶつぶつ呟いていたみたいだけど聞こえなかった

 

まあ、いいか。さっさと食べよう

 

俺達はお弁当のおかずを交換しながら昼食を楽しく過ごすことができた。ちなみにマオにも少し分けたらものすごく喜んでくれた

 

しかしマオが鈴の料理よりおいしいって言った時の鈴の表情が少し怖かった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一日が終わり、部屋に戻った。同性ということもあってシャルルと同室になった

 

お互いに軽く部屋のルールを決めたり、宿題をしたり等、普通に過ごしていた

 

しかし俺には日課がある。寝る前に少し散歩をすると言って俺はいつも異世界に行っていた

 

そこでいつも通り、ジュディスさんと修業を行う

 

いつものように魔物相手にオーバーリミッツの練習にフェイタル・ストライク

 

オーバーリミッツの発動、闘気の溜め方はだいぶうまくなったがフェイタル・ストライクはまだまだうまくいかない

 

でも、ジュディスさんはいつもどこを直すべきか等の的確な指示をくれる

 

そして特訓が終わると、少しジュディスさんは気になることを話してきた

 

それは俺も気になっていたことだ

 

「シャルルの事なんですけど……」

 

「なんとなくわかっちゃたんだけどね……あの子、女の子ね」

 

もしかしたら違う……そう思っていただけにあんまり信じたくなかった

 

なぜ、そんなことをするのか……シャルルに聞いてみないと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スキット

 

鈴の料理の腕

 

 

 

昼食後、異世界でマオとジュディスは少し休んでいた。

 

「それにしてもすごいね、一夏とジュディスの料理は」

 

「あら、ありがとう。一夏にも伝えておくわ」

 

ジュディスは素直にお礼を言う

 

一方、鈴のお弁当はまだ残ったままである

 

「それにしても……鈴も考えてないよね。冷えた酢豚を渡そうとするなんて」

 

「もしかしたら作戦なのかもよ? 例えば一夏が温かいのが欲しいって言ったら自分の温かい酢豚を食べさせるとか」

 

「そういうのを乙女心って言うんだっけ? 良くわからないな~鈴の料理もなかなかおいしいんだから素直に渡せばいいのに」

 

「それが難しいのが乙女心っていうものなのよ。ちなみに一夏と鈴だったらどっちがおいしいの?」

 

「一夏の!」

 

マオは即答した

 

「……あらあら即答なのね」

 

ジュディスは苦笑いをしていた

 


 
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