No.488016

IS−インフィニット・ストラトス−黒獅子と駆ける者−

トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!


2012-09-24 16:17:26 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1466   閲覧ユーザー数:1411

 

 

 

episode69 重なる面影

 

 

 

 

「・・・・・・・」

 

隼人は静かに唸りながら書類をまとめていた。

 

隼人が居る場所は生徒会室。目の前には山積みにされた書類が二つもあった。

 

「さすがにこうも多いと気が滅入る」

 

「そうですね」

 

と、隣で虚さんが同じように書類をまとめていた。

 

「ってか、何なんだよこの苦情の書類の数は!?」

 

ちなみに言うとここにある書類のほとんどはクレーム関連のものばかり。

 

「仕方がありませんね。今年になって事件が多くなりましたからね」

 

「そりゃそうですけど・・・アンノウンの襲撃、福音事件、文化祭での亡国機業の襲撃、それとキャノンボールファストでの同組織の襲撃・・・苦情が出るのは当然と言えば当然なんだがなぁ・・・」

 

隼人はため息をついてまとめた書類を虚さんに渡す。

 

「中でも生徒の親からの苦情が多いですね」

 

「そうですね。しかし一番に多いのが俺と一夏が現れたから事件が増えたとか言う輩が多いな・・・まぁ確かに事実だけど」

 

「そうですね。これには反論はできませんね」

 

「・・・とは言えど・・・俺達ばかりが原因じゃないっての」

 

そう愚痴りながら隼人は書類をまとめて行く・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・はぁ・・やっと終わった」

 

それからしばらくして書類をまとめ終えた。

 

「後は私に任せてもいいですよ」

 

「そうですか。では、お言葉に甘えて」

 

そして隼人は席から立ち上がると虚に頭を下げて生徒会室を出た・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「隼人君」

 

「?」

 

隼人が寮の廊下を歩いていると後ろから声を掛けられて一旦立ち止まって後ろに振り向くと、そこに楯無がいた。

 

「楯無さん」

 

「ご苦労様ね。書類をまとめてくれて」

 

「どういたしまして」

 

 

 

「最近多いものね」

 

「そうですね。で、何の用ですか?」

 

「率直ね」

 

「それ以外に何かあるんですか?」

 

「まぁ無いけどね」

 

と、楯無は手にしていた扇子を開く。

 

「用件って言うのは今度行われる専用機持ちのレベルアッププログラムの『専用機持ちタッグマッチ』のことよ」

 

「あぁ、あれですか。キャノンボールファストの襲撃事件を教訓により実戦に近い模擬戦を専用機持ちのみで行う」

 

「その通りよ。その名の通り専用気持ちのみで行われる。今年は異常に専用機持ちが多いからやれたことなんだけどね」

 

「で、問題があると?」

 

「そうよ・・・。問題っていうのは――――」

 

 

 

「専用気持ちの数にある・・」

 

「えぇ。専用機持ちは全員で11人しかいないのよ。タッグマッチとなれば必ず一人余りが出てしまう」

 

「しかし専用機持ちはそう簡単に用意できるものじゃない。だからと言って教員を入れるわけにはいかない」

 

「そうね。そうなるとバランスが崩れてしまうのよ」

 

「だから、その一人を俺に担ってくれ・・そう言いたいんですね」

 

「フフフ・・・勘が鋭いわね。まぁそうじゃないとね」

 

「まぁ俺は別に構いませんがね。むしろ一人の方が動きやすいって言うこともありますし」

 

「隼人君がそうだとしても決まりがあるのよ」

 

「まぁそうですよね」

 

「だから、一つ提案があるんだけどね」

 

「提案?」

 

「えぇ。基本隼人君は一人でエントリーするんだけど、戦う時はパートナーと一緒で戦ってもらうわ」

 

「と、言うと?」

 

「戦う時だけ別のコンビから一人を自分のパートナーにつけるって方法よ」

 

「つまり試合が被らなければ別のコンビから一人を俺のパートナーに付けてもいい、と?」

 

「そうなるわね。パートナーには制限はつけないわ」

 

「毎回違うパートナーでも良いってことですね」

 

「そういうこと」

 

「分かりました」

 

「よろしい」

 

 

 

 

「そういえば隼人君」

 

「なんでしょうか?」

 

「颯ちゃんは元気かしら?」

 

「えぇ。元気ですよ」

 

「そう」

 

「何でそんな事を?」

 

「颯ちゃんが亡国機業のメンバーに接触したって言うから、ちょっと気になってね」

 

「・・・・・」

 

「もちろん颯ちゃんに何かをするわけじゃないのよ。ただ気になっただけ」

 

「そうですか」

 

 

 

「そういえば最近噂になっているわよ」

 

「何がですか?」

 

「もちろん、あなたの部屋に颯ちゃんがいることはもちろん、リインフォースが出入りしているところが見られているのよ」

 

「・・・やっぱりそれですか。まぁ分かっていたことですけどね」

 

「そもそも、リインフォースとはどういう関係なのかしら?」

 

と、楯無はなぜか隼人を冷ややかな目で見る。

 

「どういう関係って・・・パートナーですよ」

 

「パートナーねぇ・・」

 

「・・だからといって彼女をタッグマッチに出すわけにはいきませんよ。生徒で無ければ教員でもありませんから」

 

「それはそうだけどね」

 

「・・・・・」

 

 

 

「ところで、楯無さんはタッグマッチで誰と組むんですか?」

 

「もちろん簪ちゃんとよ」

 

「簪・・・ですか」

 

「・・何か残念そうね」

 

「い、いえ・・・そんな事は・・」

 

「嘘ついちゃって。視線が泳いでいるわよ」

 

「うっ・・」

 

隼人は反論が出来ず言葉を詰まらせる。

 

「そういえば最近簪ちゃんと一緒に居る時が多いわね」

 

「・・・何か問題でも?」

 

「・・・いいや」

 

そうして楯無は後ろを向く。

 

 

「特に・・何も・・・」

 

そしてそのまま前に歩き出した・・・・

 

 

「・・・・・」

 

隼人は楯無より今までに感じたことの無い感覚を覚える。

 

(どうしたんだろう・・・楯無さんらしくない・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・」

 

そして廊下の角を曲がったところで楯無は壁にもたれかかる。

 

(・・私の事を好きになってくれるわけ・・・無い、か)

 

そして深くため息を付くが、それは重々しかった。

 

(当然、か・・・隼人君は・・・あの人じゃ無い・・・・それは分かっている・・・分かっているのに・・)

 

そして脳裏にとある光景が過ぎって、楯無は息を呑む。

 

(どうして・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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