「海!見えたよ!」
ラフレイアの騒ぎから四日。何事もなかったかの用に皆ははしゃいでいた。
「一夏!海見え・・・・」
シャルロットが話掛けようとしたとき、一夏は寝ていた。
「織斑君寝てるね。」「なんかあったんかな?」「でも退屈だと寝ない?」
「・・・・こいつはいい顔で寝てるな・・・」
「ええ・・・・」
「こういう馬鹿が・・・」
「そうだね・・・」
カシャッ
「「「「!」」」」
シャッター音がした方向を向くとそこにはケータイのカメラで撮影しているラウラの姿があった。
「・・・・・ラウラ・・・・何してんの?」
「決まっているだろう。一夏の寝顔を撮影しているのだ。」
「それはわかるけど・・・」
そのラウラの行動に続くかのようにみんなも撮影をする。意外とうるさい。
「静かにしろ、お前達!」
千冬の説教が入り皆ピタリと動きを止める。
「それでは、ここが今日から三日間世話になる花月荘だ。全員、業務員の仕事を増やさないように注意しろ。」
「「「よろしくお願いしまーす。」」」
「はい、こちらこそ。今年の一年生も元気があってよろしいですね。」
女将さんはニコニコとそう言う。
「あら!そちらの子は噂の・・・」
「ええ。今年は一人男子がいるせいで浴場分けが難しくなってしまって申し訳ありません。」
「いえいえ、そんな。それに、いい男の子じゃありませんか。しっかりとしてそうな感じを受けますよ。」
「確かにそうなんですが・・・・・ひとつ鈍感でして・・・」
「あ~、なるほど大変ですね~。」
「ええ、本当に。」
「どうも、織斑一夏です。」
「あら、ご丁寧に。どうも、清洲景子です。」
「いろいろと出来の悪い弟ですみません。」
「あら、織斑先生は弟さんに厳しいのですね。」
まあ、目の届かないところではいつも戦ってんだがな。
「それじゃあ皆さん、お部屋の方にどうぞ。海に行かれる方は別館の方で着替えられるようになってますから、そちらをご利用になってくださいな。場所がわからなければいつでも業務員に訊いてくださいまし。」
女子一同は返事をして移動する。
「織斑、お前の部屋はこっちだ。ついて来い。」
「織斑先生、俺の部屋はどこになるんでしょう?」
「付いてくればわかる。」
言われるとおりに千冬に付いていく一夏。
「ここだ。」
「やっぱり。」
ドアには『教員用』と大きく書かれた紙が貼られている。
「何だ、予測してたのか?」
「おおむね女子たちが違反しないようにと考えてんだと思って。それに他の先生達には任せられないでしょ。」
「わかっているならいいが・・・すごいな。」
「どうも。」
「一応言っておくが・・」
「私が教員だということは忘れるな、でしょ。」
「そうだ。」
一夏と千冬は部屋に入る。
「流石だな~。」
「一応大浴場は使えるがお前は時間交代だ。本来ならば男女別になっているんだが何せ一年全員だからな。お前一人のために窮屈な思いをするのはおかしいだろう。よって一部の時間のみ使用可能だ。深夜、早朝に入りたければ部屋のを使え。」
「わかりました。」
「さて、今日一日自由時間だ。荷物も置たし、好きにしろ。」
「織斑先生はお仕事で?」
「そうだ。だが軽く泳ぐくらいはしよう。せっかく弟が選んだものだしな。」
「さようで。」
コンコン
「織斑先生、失礼します。」
そう言って山田先生が入ってきた。
「わっ!織斑君!」
「そんなに驚かなくても・・・」
「ご、ごめんなさい。織斑君は織斑先生のお部屋でしたね。」
「山田先生、これはあなたが提案したことでしょう。」
山田先生って肝心なところが抜けている気がするけど・・・気のせいかな?
「さて織斑。私達はこれから仕事だ。どこへでも遊びに行くがいい。」
「はいそれじゃあ。」
一夏はそのまま部屋を出て行った。
「織斑先生、もう少しやわらかくなってはどうです。せっかくご姉弟で一緒の部屋なのに。」
「・・・・・・・」
「織斑先生、どうかしましたか?」
「いや、一夏の右腕がな・・・・・」
「右腕がどうかしましたか?」
「荷物を持つとき左手で持ってたんだ。」
「それがどうかしましたか?」
「カバンは二つ。バランスを保つには両手で持つか両肩にかけるのが普通なんだが一夏は左肩と左手で持ってたんだ。不思議と思わないか?」
「確かにそうですね。でもそれがなにか?」
「いや、なんでもない。」
「?」
ウルトラマンの噛まれた腕と場所が似ていると思った千冬。それは千冬にとっての疑問であり不安であった。
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ラフレイアの騒ぎが何事も無かったかのように全員は海に向かう。シャルロットが一夏に話しかけるが・・・