No.485809

咲-saki-月宮編 第19局 覚醒

白昼夢さん

---月宮高校麻雀部での城山華南と麻雀部の仲間達の紆余曲折ありながらもインターハイ優勝を目指していく、もうひとつの美少女麻雀物語---

2012-09-18 21:41:28 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:721   閲覧ユーザー数:716

(調子が狂うな…、和了する打点自体は高い訳では無いのだが、立直してもお構いなしに危険牌を切ってくる、しかし放銃することはない…なんなんだこいつは…)

上家の羽衣を見やり、辟易する。

オーラスに来るまで、全員大きな和了が一度もない、それも羽衣が生牌を何枚も通すせいで他家が容易にオリやすくなり、必然的に他家の放銃も減っていたからだ。

更に羽衣は安手ではあるが、振り込むことなく相手の手を潰して和了し続けた。

『あ、自漠です、1300・2600ですねー』

7順目、羽衣がダマでタンピンドラ1を自漠和了する。

(いつの間に…本当に掴み所がないな…)

 

『っと、副将戦前半戦、終了です!点数状況はこのようになりました!』

 

途中経過・副将戦前半戦終了時

 

3年 双柳 詩音 (吾野)  140900点

3年 宮前 里子 (越谷女子)116400点

3年 柏原 春奈 (名細)   74900点

3年 高天原 羽衣 (月宮女子)67800点

 

『順位の方は変わらず、ですが月宮女子、高天原選手、他校との差を確実に縮めていきました!』

『高天原選手以外の3選手は全員マイナスといった結果になってしまいましたね、終始勝負手を高天原選手に和了り潰されるか、和了りきれずに流局してしまってましたね』

『そうですねー、この半荘でも、高天原選手は無放銃でした、このまま後半戦も無放銃で切り抜ける事が出来るのか!さて、それでは15分のインターバルを持ちまして…』

 

第19局 覚醒

 

 

対局室、3校の選手が部屋を後にする、しかし羽衣だけは席に着いたまま動かない。

天を見上げ、目を閉じる、満ち足りたような表情で微笑を浮かべる。

 

研ぎ澄まされてゆく…打てば打つ程に。

 

心がクリアになってゆく…打てば打つ程に。

 

---月宮女子控え室

 

『ぶちょー、もどってこないね』

対局室を映すモニターには席に着き、微笑みながら天井を見上げる羽衣の姿が映っていた。

『まあ…なんか大丈夫そうだね』

『そ、そうですね』

『着実に他校との差を縮めてますしね』

モニター越しの部長の姿を見て、とりあえず安堵する一同。

『でもなんだろ、ぶちょーのあんな表情、初めて見た気がするなあ』

『そうだな、あんな楽しそうな部長は華南をイジってる時くらいしか見たことない気がする』

『…それはそれでどうかと思うんですが』

渋い表情を浮かべる華南。

『…でも、部長なら大丈夫…なんかそんな気がします』

『だねー』『だな』『うん』

あかりのその言葉に全員が同意する。

 

---越谷女子控え室

 

『大丈夫だった、みたいだな』

戻ってきた里子の様子を見て、そう言って安堵の表情を浮かべる樹。

『うん…えっと、この半荘、何局打ったっけ?』

戻ってきた里子はそんな事を尋ねる。

『えっとー、12局、ですね』

樹の横に居た蘭子が代わりに答える。

『前に”アレ”が起きたのが…、始まってから20局目から…だとしたら』

『そうだな、出来れば高天原には東家か南家スタートになってもらいたい所だな…それこそラス親だったら…』

2年前の悪夢を思い出しながら、里子と樹がそう言う。

『…うん、そろそろ行くね』

『ああ、高天原には気をつけてな、高天原の親番がなくなるまで、可能な限り連荘はしない、そしてさせない事』

『うん…分かってる』

そう言って、里子は部屋を後にした。

 

対局室、里子が戻ってくると既に他の3人は先に着いていた。

名細の柏原春奈、吾野の双柳詩音は場決めを終えているようだ。

『あ、どうぞ』

『あ…はい、どうも』

羽衣はまだ場決めを終えてないようだ、ずっとこの部屋にいたらしく、目の前で場決めの牌をシャッフルしてたのを見てたそうなので自分は引かないほうがいいと、羽衣は里子に引くのを譲ったようだ。

里子は残った牌を確認する、まだめくれていないのは東と…北だった。

(北を…めくらないと!終わっちゃう…!)

裏になっている牌を一つ手をかけ、目を閉じ、祈る。

手が震えている、開けるのが怖くて手をかけた牌を裏返すことなく、その場に立ちつくす。

『あらーじゃあ私はこっちかしら?』

その様子を見てた羽衣は、余ったほうの牌を手に取り、ひっくり返そうとする、隣で立ちつくす里子は思わず『あっ』という声を上げた。

羽衣の引いた牌は…。

…東。

(よかった…!!)

ふぅーっと深い息を吐き、席につく里子。羽衣も席につく。

場決めの結果、席順はこうなった。

 

 

東家 3年 高天原 羽衣 (月宮女子)

南家 3年 柏原 春奈 (名細)

西家 3年 双柳 詩音 (吾野)

北家 3年 宮前 里子 (越谷女子)

 

 

『さて!場決めも終わりました!副将戦後半戦、スタートです!』

 

東一局 親・高天原 羽衣

 

(とりあえず…まずはここを…流す!)

『ポン!』

2順、里子は1枚目の白を鳴く。

『自漠!白ドラ1、500・1000』

そして6順目、白ドラ1を和了。

(あと…4局!)

 

『後半戦、最初の和了は越谷女子、宮前選手です!早い和了で高天原選手の親番を一蹴しました!』

『まずは軽快に一つ、和了を決めましたね、吾野との差も着実に縮めています』

 

東二局 親・柏原 春奈

 

『立直』

11順目にして詩音から立直が入る。そして

『自漠、立直一発ツモ平和、1300・2600』

一発で引き入れる。しかしトップに和了られたというのに、越谷女子の里子の顔は何故か安堵の表情を浮かべていた。

(これでいい…あと3局!)

 

東三局 親・双柳 詩音

 

『立直!』

7順、里子が立直をかける。

(調子がいいみたいだな…まあだがここで易々と親を流されても此方も困るんでね)

『自漠!ピンヅモドラ1、1300オール』

同順、ヤミピンフをツモ和了する詩音。

(くっ、連荘された…!)

焦る里子をよそに、連荘する詩音。

 

 

東三局・一本場 親・双柳 詩音

 

『ロン!平和赤、2000は2300』

次局和了したのは里子、親の詩音からヤミピンフを直撃で和了る。

(トップの私からダマで取りにきたのか…いや、違うな、何故だか知らないが、早く場を流そうとしているように見える…)

少し考えて、今自分から和了した里子の表情を伺う、彼女はただ羽衣を見つめていた。

(高天原、か、何の意図があるか分からないが、そうしなければいけない理由があるという訳、だな)

 

東四局 親・宮前 里子

 

(点数が欲しいけど、まだ我慢…高天原の親番を越えてからじゃないと…!)

里子は開幕から手作りしていなかった。この局は連荘せず、流局してもノーテンでいいと考えての打牌である。

『立直!』

12順、詩音から立直が入る。

(親が和了る気がないのなら…好きにやらせてもらうぞ)

『自漠!立直一発ツモ北一盃口ドラ、3000・6000!』

 

『吾野高校、双柳選手!この場面でダメ押しの跳満ツモです!トップの吾野高校、着実に差を広げていくー!』

 

南一局 親・高天原羽衣

 

3順目、羽衣の立直が入る。

早すぎる親リーに各家勝負に行かず、オリる。

そして9順目。

『あ、自漠ですねー、メンピンツモ、裏は無しで、1300オールです』

羽衣がツモ和了りし、連荘する。

 

『高天原選手!親番で1300オールをツモ和了!連荘して他校を追い上げていきます!』

 

南一局・一本場 親・高天原羽衣

 

 

---澄んでゆく意識。

 

局を重ねる毎に、羽衣が感じるこの感覚、羽衣はこの感覚が好きだった。

無意識に近い状態で、打牌する。

 

---研ぎ澄まされゆく感覚。

 

もう無意識に近い状態でも、残すべき牌、切るべき牌の区別がついていく。

 

思考がクリアになる。

 

思考がクリアになる。

 

思考が---

 

 

里子は羽衣の様子が変化しゆくのを見逃していなかった。

(そういえばこれでもう19局目…ここで高天原の親を流さないと…!)

聴牌する。しかし立直はかけない、そのまま不要牌を打牌する。

『ロン、3900の一本場はは4200』

和了したのは詩音、振り込んだのは里子、詩音もダマで聴牌していたようだ。

(振り込んじゃったけど…間に合った…!)

羽衣の最後の親番が終わった。

 

南二局 親・柏原 春奈

 

自動卓が牌を積み終わり、全員に配牌が回ると、異変が起きた。

バタン!

突如対局室のドアが風で廊下側に開いたのである。

対局室には入り口は一つしかなく、窓も無い。

(…な、なんだ、空気が、変わった…?)

(…風?なんか…寒い)

突然辺りの空気が冷たくなったような感覚を感じ、戸惑う詩音と春奈。

(は…始まった…!なんとか親番は流せたけど…この感覚…やっぱり…怖い…!)

この感覚をこの場で唯一経験したことのある里子は、その原因が何処にあるかが分かっていた。

里子は羽衣に恐る恐る視線を向ける、その表情は、対局開始時に見せていた柔和な笑みとは程遠いモノであった。

…それはひどく無機質で、口元には笑みも無く、とても冷ややかな眼。

その羽衣の視線は、ただ卓の真ん中へと向けられていたのである。

 

異変は対局室の外でも起きていた。南二局開始直後、突然対局室を映すモニターが全て映らなくなってしまった。

『あ、あれ?対局室のモニターが映らなくなりましたね、機材トラブルでしょうか?』

『さ、さあ…?』

分からないと首を傾げる和、松浦は近くのテレビ局員に話を聞いている所だ。

 

---月宮女子控え室

 

『えっ、えっ、なになに?カメラ壊れちゃったのかな?』

『おいおい、早く復旧してくれよー』

『部長の試合が見れないです…』

なんでなんでー?とモニターを叩いたりしてるりりあ、その後ろでその様子を伺っているあかり、泉も試合が気になるのか部屋の中をうろうろしている。

控え室のモニターも映らない。解説の音声だけは届いたのでどこのモニターも映ってない事は分かったのだが。

『まあ、待ちましょう、私たちが騒いでも機械が直る訳でもないですし』

1人落ち着いてる華南がそう言うが、他3人の耳には入ってなさそうであった。

 

---越谷女子控え室

 

『里子…!』

映らなくなったモニターの前で1人、樹が呟いた。

 

---対局室

 

(おかしい…なんだこれは)

10順ほどして、詩音は明らかな異変に気づいた。

詩音の手は配牌から一枚も変わっていない、有効牌を一枚も引かず、全てツモ切りをしている。

あまりのツモの異常さに他家の様子も見ていたら、羽衣以外の2人もツモ切りしかしていなかった。

そして唯一手の進んでいる羽衣が山から牌をツモる…その瞬間、その場に居た全員が悪寒を感じた。

(やばい…!)

(……!!)

(ひっ……!)

その場に居た3人が、そのツモで羽衣が和了してしまうであろう事が、何故か予測できた。

 

少しして、突然対局室を映すモニターが一斉に復旧した。

『自漠、ツモ全帯幺九北ドラドラ、3000・6000』

表示されて最初に映し出されたのは、羽衣の和了。

『っと、モニターの方が復帰…って、自漠です!月宮女子、高天原選手!ダマで跳満を和了しましたー!』

『手順が分からないのでなんともコメントがし辛いですね…』

和も解説の仕事で来てるので何か言おうと思ったが、画面が復旧したら突然和了してたのでそう言うしかなかった。

 

南三局 親・双柳 詩音

 

(まずい…私の中の何かが、警鐘を鳴らしている)

得体の知れない何かがこの対局室を渦巻いているような感覚、そんな感覚に詩音は囚われていた。

相変わらず有効牌は来ない、前局同様、配牌から手牌が一枚も変わっていない。

今の詩音の手牌はこうである。

 

三四五六七②⑤⑦23456 ドラ五

 

この手で向聴数の減らせる牌の種類は17種類、34種類の牌しかないこの麻雀というゲームにおいて、その中の17種類のいずれかを10順以上持ってこないのは最早異常な確率だった。

(この手で何故進まない…何故…!)

 

『高天原選手以外の3選手の手が、全然進みませんね、高天原選手以外の3選手は、開幕から全てのツモをツモ切りしています』

『…そうですね、特に吾野の双柳選手の手はおよそ半数の種類の牌がくれば一向聴になる配牌なのですが…すごい確率ですね』

『ここまで来ると、何か不思議な力が働いてるような…』

『そんなオカルト、ありえませんから』

松浦が言い切る前に、和が否定する。

 

(…この重苦しい雰囲気…あの時と同じ…!)

いくらツモっても有効牌を一枚も引かないツモに、げんなりしている里子、今持ってきた1萬も打ち出していく。

河に1萬を叩いた瞬間、凄まじいまでの悪寒に襲われた。

(…あ…これ…だめ…!)

『ロン、純全帯幺九平和一盃口、8000』

気づいた時には、羽衣が手牌を倒していた。

 

『月宮高校、高天原選手!2連続和了!高目の1萬で越谷女子から満貫を出和了りましたー!』

『安目であれば平和のみの形だっただけにダマだったのでしょう、いずれにしても高天原選手、見事な和了りでした』

 

オーラス 親・宮前 里子

 

(…う…そ?)

里子は自分の配牌に驚愕していた。

 

里子の配牌

 

①①①③③③④(赤⑤)⑥⑦⑧⑧⑧北 ドラ⑨

 

北を打てば見事なまでの綺麗な門清の八面張、1筒以外の全ての筒子で和了できる。絶望に瀕していたこのタイミングで人生でもう2度と来ないような奇跡の様な良配牌が来た事にただただ驚いていた。

(麻雀の神様は、私を見捨ててなかった!私…まだ…戦える…!)

落ち着いて、再度手牌を見回し、打ちのめされた自分の心が蘇るのを感じていく。

『立直!』

力強い宣言と共に、北を横に打ち、曲げる里子。

(…あ…れ?)

その打牌と同時に身体に走るとてつもない倦怠感、悪寒、脳裏に蘇るのは2年前のあの場面。

(全身の震えが止まらない。何故?

私は親番で8面張の門清をダブリーした。

恐れる理由なんてない、ないはず。どう考えてもいい流れのはず…!)

体に力が入らない、がなんとか下家の羽衣の表情を伺う…。

 

『おおー!これは!越谷女子、宮前選手!オーラスの親番に門清をダブルリーチだあああ!』

『これは…八面張、ですね、宮前選手、最後の親番にとてつもない大物手を聴牌しました』

 

自身の一巡目のツモ牌をゆっくりと山から持ってくる羽衣、その表情は里子は2年前の忌まわしい記憶にある表情と同じ…。

笑っていた、とても冷たい笑いを浮かべ、持ってきた牌をそのまま打牌する。

その1打目は、赤5萬。

その打牌を見た下家の春奈は、思わず目を見開いた。対面に居る詩音も同じような表情を浮かべている。

(流石に待ちが分からないにしても…一打目にそんな所からなんて)

ただただ羽衣から異質な物を感じた、春奈は自分の手をまともに見ることもなく手牌にある5萬を打ち出す。

(高天原…公式戦無放銃記録を持つ天衣無縫の打ち手…その打牌に、なんの意図があるというんだ…!)

親のダブル立直、そして直後の完全に理解不能な羽衣の打牌に完全に心を掻き乱されている詩音、詩音もまた、理牌もせずに手牌から現物である北を打ち出す。

(嘘でしょ…嘘よ…これは私が和了る…私が和了る番…!)

2年前と同じ表情を浮かべる羽衣、目を閉じるがその顔が頭から離れない、頭を横に振り、それを脳内から消し去ろうとする。が、出来ない。

1順目のツモ牌は、6萬、和了牌ではない。

そして羽衣のツモ番、持ってきた牌をそのまま河に捨てる。

その打牌は赤5索。またも赤ドラだった。

完全に訳の分からない事態が起きているこの卓で、ただ溜息をつく春奈、次順は現物がないので今羽衣の打った5索の筋である2索の対子を落とす。

詩音は里子の打った6萬をそのまま合わせ打つ。

次に里子が持ってきた牌は、4索、当然捨てる。

同順、ツモ切りで4萬、またも危険牌。

たった3順で萬子の456、索子の45が通ってしまった。

(この感じだと、越谷は…筒子待ち?まあ字牌とかの可能性もあるけど…)

もう筒子以外で筋で通らなそうな牌は3,6,9索くらいしかなくなってしまった、それ故に春奈はそんな予測を立てる。

そして春奈は現物ではないが、またも羽衣が通した4索の筋である1索を打ち出す。

(高天原が無理をしてくれるお陰で、安全牌が尽きることがない…が…)

やはり羽衣の打牌は異常だった。詩音の目には最早差し込もうとしてるのではないかとすら見えるほどだ。

4順、里子の持ってきた牌は3索、やはり和了牌ではない。

(8種類もあるのよ…早く、早く持ってきて!)

そして同順、羽衣が牌をツモる。

ツモって来た牌を手牌の上に置く、そして羽衣は俯いた。

肩を小さくゆらしている、そして小さな声で何か聞こえてくる。

それは笑い声、ホントに小さくではあるが、クスクスと笑っていたのである。

そして、今ツモって来た牌を河に打ち出し、千点棒を場に出した。

『立直』

打ち出したその牌は…唯一里子に当たらない筒子…1筒。

(全部ツモ切りでここに来てツモ切り追っかけ立直って…1順目から張っていたって事じゃない…!しかも唯一和了れない筒子を通してくるなんて…)

驚愕の表情を浮かべている里子、そして羽衣はその里子を見て、一層冷たく、ニヤリと笑った。

(あの1筒は…挑発だ…!あの人には私の和了り牌が…きっと分かるんだ…!)

春奈も詩音も、当然のように安全牌を打ち出す。

(筒子…筒子…筒子!どれでもいいから…!)

祈るように牌をツモる里子、持ってきた牌は…。

…北。

北単騎なら…ここで和了っていた。

そして同順、羽衣がツモる。

 

この卓の周り全てが凍りつくような錯覚、手牌を倒し、この対局の終了を告げる羽衣。

倒された手牌はこうだった。

 

九九⑨99南南白白發發中中ツモ⑨ ドラ⑨裏①

 

『自漠、立直一発ツモ混老頭七対子ドラドラ、4000・8000』

 

『ふ…副将戦、終了ー!点数の方はこのようになりました!』

 

途中経過・副将戦後半戦終了時

 

3年 双柳 詩音 (吾野)    155100点

3年 高天原 羽衣 (月宮女子) 100800点

3年 宮前 里子 (越谷女子)  86600点

3年 柏原 春奈 (名細)    57500点

 

『吾野高校、部長の双柳選手!後半戦で稼いで点数を伸ばしトップを維持!そして月宮女子!かつての白糸台の準エース、高天原選手の活躍によりおよそ5万点もの点数を伸ばして2位まで浮上しました!』

『そして今回の半荘2回も、無放銃で切り抜けましたね、これはすごい事です』

『そうですね!後半戦オーラスでは越谷女子、宮前選手から八面張の門清ダブル立直をかけられてしまいましたが、見事かわして倍満を和了!まさに”天衣無縫”の名を裏切らない打ち筋でした!』

『一方その越谷女子は一転、3位に転落で厳しい展開になってしまいました、ここからの追い上げに期待です』

『そうですね!そしていよいよ地区大会決勝も大将戦を残すのみとなりました!果たして県予選を勝ち抜いてインターハイの切符を手にするのはどこの高校なのか!それでは大将戦は30分のインターバルを置きまして…』

 

 

『うふふ、ありがとうございましたー』

『お疲れ様』

『有難う御座いました』

『…ありがとう…ございました…』

対局を終えた羽衣は、いつもの柔和な笑みを浮かべ、挨拶し、去っていった。


 
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