その頃、猛士関東支部では、鬼達に緊急招集がかけられて全員がたちばなに集合していた。
「緊急召集なんて、何があったんすかね?」
「その事については、俺達が説明する。」
集まった鬼達の前にイブキとイスルギが立った。
「未だに確証には至っていないが、再びオロチが現れる可能性が出て来た。魔化魍も日本各地で爆発的に増えている事は無いが、力が強まり、行動も更に派手になって来ている。協力者達も血狂魔党も新たに蘇ったのではないかと疑っている。」
「前回はヒビキさん、トドロキさん、そして僕で静める事が出来ましたが、血狂魔党が関わっているとなると、皆さんの力が必要になります。特に、ヒトツミが相手では、ニシキさん、ハバタキさん、トウキさん、そしてキラメキさんにも手伝って頂きたいのです。現地での指揮権は、ヒビキさんに譲ります。」
「各自準備を怠るな。そして、命が惜しい奴、戦いたくない奴に無理矢理戦えとは言わない。そんな奴がいれば寧ろ士気が下がる。だから、降りたければ降りて構わない。吉野には俺が掛け合う。仮に降りたとしてもお前達には何の責も無いと言う事を約束する。」
沈黙が続くが、誰一人として出て行く様子は無い。
「よぅし、各自行動に移れ。弾、蘭、イブキ、お前達は俺と学園の方に向かう。生徒会長に入場許可証を発行する様に連絡を入れておいた。数馬はみどりと吉野の研究員達と協力して出来るだけ沢山のディスクアニマルを作れ。他は各自グループに分かれて行動。どんな些細な事でも、分かり次第たちばなに報告しろ。ヒビキを加えた七人は例の場所で待機、魔化魍が現れたら迷わずぶっつぶせ。以上、解散!」
手を叩くのを合図に、全員が行動を起こし始めた。弾、蘭、イブキは車に乗り込み、イスルギがアクセルを踏んだ。車は猛スピードでモノレールの駅に到着し、学園に急行した。そこでは楯無が入場許可証を用意しており、表情が何時に無く真剣だった。
「よう、楯無。久し振りだな。」
「そうですね。イスルギさん。」
「ウチの奴が迷惑かけたな。今どこにいる?」
「それが・・・・・部屋で何かしているきりで・・・」
「分かった。俺が行く。イブキ、お前は弾と蘭と一緒に森の中にディスクアニマルを放って魔化魍がいないか確認しろ。そして見つけ次第叩き潰せ。蘭はサポートしつつ島の全域に結界を張れ。俺が作った札ならこんな島位問題は無い。見つからない様に配置しろ。」
「「「はい!」」」
蘭に血で梵字を描いた札を何枚も渡し、三人は森に急行した。楯無に連れられ、市は一夏の部屋に入った。そこはもぬけの殻で、一夏の音撃武器もディスクアニマルも全て無くなっており、窓が開け放たれてカーテンがそよ風にはためいていた。
「あの馬鹿野郎が・・・・」
「一夏は・・・・?」
「この島のどこかにいるだろうな。そして恐らく魔化魍を生み出すクグツを必死こいて探そうとしている。クグツを倒さない限り、魔化魍は現れ続ける。カッパは出て来なくとも、ヨブコは出ているかもしれない。」
「え?!」
ヨブコは一度は奪われたアームドセイバーの波動を元に作られた人造の魔化魍で、ヒビキ、イブキ、トドロキの三人では歯が立たず、音撃すらも聞かないと言う厄介な相手だ。アームド響鬼になってようやく倒せる、それ程の難敵なのだ。森の中を動き回りながら蘭は札を木の幹に貼り付けては惑で札を消した。
「よし、残り一枚」
「ヴニャーーーオ!!」
猫の鳴き声が森中に響き渡った。
「マズイ・・・・!バケネコだ!」
そして木の上から二十体は下らない程のバケネコ、そして大量の紅狐と白狐が現れた。
「イブキ、弾、お前らは蘭を連れて最後のポイントに札を張りに行け、コイツらは俺が片付ける。」
市は音響で石動鬼に変身、手始めに雷撃拳と雷撃蹴で紅狐と白狐の八割を一掃、そして口から灰色の粉らしき物を吐き出した。
『鬼幻術:
その灰はは広がり、触れると同時に爆発を起こして、残った紅狐と白狐を完全に粉砕した。そして腰から音撃棒を引き抜き、空中に描いた四方の音撃鼓を目にも留まらぬは八郷正確さで叩き、バケネコも全て倒された。
「さて・・・早くコイツを一夏に届けなきゃな。」
その頃、一夏も魔化魍を相手にしていた。それも生身で。一夏の周りにはドロタボウと蛇とナメクジを掛け合わせた様な軟体動物型の魔化魍、ヒマムシが・・・・
「グルルルルル・・・・グルルルァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
一夏は最早本能で動いており、確実に魔化魍を圧倒していた。だが、生身のままでは大したダメージを与えられない。音叉剣を口に銜え、両手には白蓮を構えていた。ヒビキは生身でも魔化魍を倒したと聞いたが、やはりキツいと言う事が実感出来る。音撃の技すら簡単に発動は出来ないと言うのは心苦しい物だ。だが、一夏はそんな事は物ともせず、頑に変身しないまま戦い続けている。気迫で強制的に音撃の技を発動させ、ドロタボウを全て蹴散らした。
「キュルルルルルルルウゥゥゥゥゥウウウウウ!!」
ヒマムシが大口を開けて襲いかかって来た所で口の中に鬼石を音撃管で撃ち込み、音撃の技をもう一度発動した。
「音撃射、轟風一乱!」
内部で鬼石が共鳴し、ヒマムシが苦しみ始め、遂に爆発した。一夏は倒れた木の幹に背を預けて座り込んだ。
(想像通り・・・・いやそれ以上にキツいな・・・・師匠が来ると入ってたけど、少しでも負担を減らしておかないと。これ以上師匠や猛士の皆に迷惑をかける訳には行かねえ!クグツ・・・・クグツハドコダ!!!!)
一夏は立ち上がった所で、目の前に石動鬼が降り立った。後ろからは威武鬼と弾、そして蘭もやって来る。
「ったく、こんな事だろうと思ったぜ。出来なかった訳じゃないが、随分と派手に無茶をしたな。しかしまあ、驚いた。まさか音撃の技を生身のままであそこまで扱える様になるとはな。とは言え、ぶっ倒れるまで修行をするのは感心しないな。それもこの非常時に・・・・」
「クグツ、は・・・・クグツを・・・・」
「一旦頭を冷やせ、馬鹿弟子。」
冷気を放つ掌で彼の頭を鷲掴みにした。頭が凍る様な衝撃に襲われ、一夏は肺一杯に酸素を取り込み、咳き込んだ。
「し、師匠・・・!?何でここに・・・・!?」
「魔化魍退治、避難誘導、そして更なる魔化魍の警戒態勢の準備の為だ。」
手短かに説明し、空から簪と楯無がISを纏った状態で降り立った。
「「一夏!」」
「お前ら・・・・!!どうしたんだ・・・・・?」
「それが・・・・変な化け物が来て・・・・!!」
「ファントムタスクの一人が・・・・食べられ・・・・」
「やはりな。魔化魍は特に女喰いが多い。特に若い女の肉は格別に美味いそうだ。このまま残りの奴らが食われてしまえば更に仕事がやり易くなる。」
「簪、よく頑張った。楯無、状況はどうなってる?」
「それが・・・・・織斑先生が、先生とそっくりの奴と戦ってて・・・・・でもやっぱり量産機じゃどうにもならなくて・・・・篠ノ之さんも!!」
「分かった。俺も行く。師匠、この」
一夏は白式を展開し、学園の方に向かおうとした。
「待て。お前に届け物が二つある。大事に使え。」
一つ目は白式のシールドエネルギーの最大値と耐久力を上げる強化プログラムだった。恐らく束が作った物なのだろう。データを入力した途端にエネルギーが瞬く間に四桁にまで増えたのだ。
「凄い・・・・これなら行ける!」
「慌てるな。もう一つはコイツだ。」
石動鬼は腰に差していた脇差しサイズの武器を一夏の手に握らせた。
「これは・・・・!!」
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いよいよ鬼達が動き出す・・・・そして・・・・?!