No.481450

超次元ゲイムネプテューヌmk2 希望と絶望のウロボロス

さん

ただ空が酷い目に合うそんな簡単なお話

2012-09-08 21:24:43 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1066   閲覧ユーザー数:1010

空 side

 

「………嫌な空だ」

 

僕はそうギョウカイ墓場の空を見て呟いた。

星を無くしてしまったような、そこはまるで天が無限の虚無へと変貌した暗黒が広がるだけ、そこには何も存在しない。とても寂しい空間だ。

 

「-----オォォ!!!!」

 

背後から放たれる獣の咆哮に反射して体が動く。

左右に握った剣が伸ばしてきた手を切り裂く、相手の反応できない速さで一歩、モンスターの懐に入り込む。

 

「六爪斬・閃塵」

 

花散る刹那の如き放たれた六つの閃光はモンスターの生命を一瞬にして散らせた。

モンスターを形成していた『部分』は空中に舞って、重力に従い落ちていく。

負の濃くなったモンスターはもはや生物というよりに近い霊的な存在となるので死骸が残らず消えていく。

剣を空間に仕舞って女神の気配を探る。

思ったよりは遠くないね全速力でいけば十分ぐらいで付けそうだ。

 

 

ーーー一週間だよ。優しい(・・・)でしょ?

 

「---っ」

 

頭を過る気が狂いそうになる冒涜声、たった一つの気分で全てを死滅させることができる魔王の中の魔王、こいつらには人間やそこらの下級神が定めた法律や固定された運命なんて無慈悲に薄れた文字を消しゴムで消す様に一瞬で消滅することが出来る怪物だ。

なぜ、そんな怪物達がレイスと仲良くなれたのかそれは彼らたちの属性がレイスと合ったからだろう。とはいえ、大半は彼らたちの気まぐれだろうが。

レイスは例えるならSAN値が1だ。

正直にレイスの行っていることが狂気か正気かバラバラだ

レイスのしようとしていることは現実的理論からすれば正気だろうが、精神的理論からすれば間違いなく狂気だろう。

自分が死ぬことに全く抵抗しない普通ではありえない精神の持ち主でありながら、生物を殺すテクに対しては僕を遥かに上回る禍災の殺戮者であり。

こんなどうしようもない世界を心底、理解したうえで困っている人たちに手を伸ばす究極のお人よし。

 

「でも、それは偽り」

「あぁ、それは大罪を犯した罪悪感に潰されて廃人となった俺を立ち上がらせるための呪いの言葉」

「そこはせめて願いと言ってほしいな……」

 

レイスの声がした方向へ顔を向ける。

闇が膨れ爆発したかのように拡散する。

そこには漆黒のコートを靡かせ優しげな表情するレイス、

その背後には強固な装甲に骸骨のマークがあるジャッジ・ザ・ハード。

白を中心とするアニメで出てきそうなカッコいいロボットな姿をしているブレイブ・ザ・ハード。

巨体で背中に円盤形のパーツを背負り、口内に収まりきれない長舌を垂らすトリック・ザ・ハード。

堕天使のようなプロセッサユニットを身に纏い右目を眼帯で隠したマジック・ザ・ハード

 

「四天王に副幹部が一体どんな了見で?」

 

昔のゲイムギョウ界を見てきているから四天王の名前をはっきりと覚えている。

特に姿は変わってない、空気からも実力はさほど変更はないね。

四天王を軽く見て解釈するとレイスは頭を掻きながら不思議そうな声で僕に問いかけてきた。

 

「それはこっちの台詞だ。なんでお前がここに来る?ーーーいつものお前なら神様らしく傍観するか手助けするだけだ。お前が単独で出てくるなんてどんな気まぐれだ?」

「……時間が無いんだよ。君たちのお友達のせいで」

「はぁ。そっか……」

 

レイスは納得した表情で呆れたため息を付いた。

 

「おぉぉぉいい!!!レイス、いつまで世間話をしているんだぁぁ!?敵が真正面にいる。故にやることは一つだろうがぁぁぁ!!!」

「あっ!?待て。そこは一人で俺達の本拠地に単独で潜入してきた勇気を称えて……」

「あの脳筋になにを言っても無駄だと思うぜ。ブレイブ」

 

発射された砲弾のような速度で一気に僕との距離を縮める。

リーチの長いハルバードが振り下ろされる。

普通ならば当ってしまえば砕けするほどの威力なんだろう。残念ながら僕は普通のカテゴリーに入ってないけど

 

「ーーーっなに!?」

 

僕を中心に大地が砕けた。

想像通りのバカ力だ。

ゲイムギョウ界内の僕の実力は億の中で一しか(・・・・・・・)発揮できない。おまけに空亡ちゃんに破壊の力を半分封印されているような状況だけどこれは凄い賞賛に値するよ。

 

「まさかレイス以外に真剣白羽どりをする奴がいるとは……」

「あいつ素で油断しなかったら背中から超音速で接近するぐらいのものは余裕で察知できるからな。真正面から突っ込むなんて……なぁ…?」

「ここにも化物が……!これは早急に始末しないとマジェコンヌ様の計画に支障が出る!!」

 

えらく評価されているね。

確かに素で超音速ぐらいなら直ぐに捉えれるけど、破壊神化(ゼロハート)とか神化(デウス・クレアトール)すればもっと範囲と速さに対応できるね。

僕は力のコントロールとか永劫とも呼べるほどの時間を鍛錬してきたけどほとんど進歩ないんだよね。ゼロハート時はともかくだけど、とりあえずそこは悔しいな。

そういえば、僕って強いはずだよね……前作から思い出してみれば最初は女神達や紅夜相手に俺TUEEEEEみたいな感じだったのに最終局面で精神的に混乱してしまってそれが原因で紅夜に負けて、最悪の再開で死闘を繰り広げたティシフォネに見逃してもらって、レイスと久しぶりに死闘して引き分けになって、空亡ちゃんにフルボッコされて……あれ?もしかしたら僕って負け癖属性があるの?引き分けが一件だけど………

 

「潰れろぉぉぉーー!!!」

「耳にキンキンする声を出すなよ……!」

 

ジャッジの振り下ろした力を利用して体を回転させる。

そのまま、頭上まで上がり肩から伸びているナイフのように尖った突起物を掴み、遠心力を身に任せジャッジの顔部に強烈な蹴りを叩き込む。

 

「ぐはぁぁ!?」

「やっぱり、こうなった……」

 

呆れた顔を出したレイスの声はジャッジが地面に衝突した音と共にかき消された。

僕は地面に両足で着地して直立して、レイス達を見詰める。

 

「久しぶりだな。その『無花果(イチジク)』は」

「まったく、ある程度の奴ならお遊び程度で構えることが多いけどーーー傍観者(笑)でいたくないからね」

 

僕の武術は基本的に構えない。

僕がいるクラスになると構えただけで相手の動きがなんとなく予想できてしまう。

僕の場合は碌にコントロールができない半人前なのに単純な暴力だけで最上位に上り詰めた。ということは技術を極めていけば更なる高みへと登れる可能性があるんだ。

人間臭いと思うけど僕が強くなるには努力する必要があるそれと同時に精神的に、故に考えて思いついたのは自分が弱いと想定した上での僕流の武術の答え構えない構え(・・・・・・)……それがこの『無花果(イチジク)』だ。

とはいえさすがに構えた方が動きやすいから、ちゃんと構える技もあるんだけどそれだけ自分で考えたコンセプトを破ることになるから滅多なことでは使わないんだけどね。

 

「マジックは中距離、ブレイブは近距離でトリックは遠距離で狙ってくれ。あいつのアレは簡単に言えば絶対防御で確実なカウンター狙いだ」

「おいおい、レイス。俺達コンビネーションシンクロ率は真面目な話0%だぜ?」

「そうなのか!?俺はてっきり90%は超えていると思っていたぞ!!」

「フン、貴様たちに力なくてもこの程度の相手は私が刈り取る!!」

 

バックプロセッサのブーストを吹かせ突っ込んでくるマジックに僕はただ立ち塞がるようにその場を動かない。

 

「あぁ……二人目の犠牲者が…」

「マジェコンヌ様の為に貴様は私が殺す!!」

 

おぉ、なんとも聞き手によれば僕が絵に描いたような正義の味方として勇敢に敵に向かうように見えるかもしれないけど僕自身のことを良く知っている読書様たちにとってはこの役は紅夜の方が似合うんじゃないか?と思うんだろうね。僕でごめんね

首を狙った確実に命を狙った一撃が右から振られる。

僕は小さく後ろに跳んでそれを紙一重で躱した。

 

「---な、に…?」

「はい、ドーーン!!!」

 

こんなあっさりと避けられること想像してなかったマジックは驚愕に染まる。

こんな最高のカウンターチャンスを見逃す訳もなく、地面に足が付く瞬間に前に跳び無防備な腹部に強烈な拳をねじ込む。

 

「が、あぁぁ…?」

 

苦しさに耐えられず声を立てたマジック、その刹那にマジックの肉体は僕の視界から消えた。

 

「あ、もうーーー!!」

 

同時にレイスの呆れた声音が放たれて僕がぶっ飛ばしたマジックの体を難なく受け止めた。

 

「ナイスキャッチ☆」

「お前な……いくらなんでも女性の思いっきり腹を殴ることないだろう…」

「顔よりはマシだと思うよ?」

「そういう問題じゃないだろう?」

「戦いに性別をあーだ、こーだ理由を付けるなんて三流だよ。レイス」

 

レイスが鋭い目つきでこっちを睨んできたけど僕が知らんぷり、口先だけで世界は回らないよ。

権力や力、頭脳やそれを100%発揮する知識があってこと勝敗が分けれるんだよ。

女性だって男性より優れたところが沢山するのに女性という概念に縛られるから、いつまでたっても前を進まない混沌と恐怖が満たす戦場なら、慰安婦として散々弄ばれて知らない男の子供を孕まされるか飽きて殺されるかそれくらいだよ。

 

「お前の言っていることはいつも現実的で耳が痛い」

「逆に聴きたいね。僕もそれなりに人の可能性を信じているけどレイス程じゃない。なにがそこまで?」

 

クトゥルフ神話の神格達と盟友と呼べれるほどの仲なら人間がどれほど無力で、ちっぽけな存在かそれが理解できるはずだ。

確かに君はどこにでもいる元人間だった。ただ、平凡に生きることが決定付けされていたような平和と幸福に満足して生きて、死ぬそんな運命だった。

 

「前にも……言ったことがあるかもしれないな」

 

徐にレイスはマジックを抱えたまま黒く染まった空を見詰めた。

 

「人も星の数以上の願いや夢や希望がある。確かにお前の言うとおり絶望、復讐、憎悪は確かに存在するけど、そんな混沌の世界でも人は光で生きていける。それってきっと素晴らしいことだと思うんだ」

 

レイスの子供のような純粋な心と無垢な眼差しに僕を除いた四天王(一人は僕はグーパンチで殴り飛ばして地面に埋まっているけど)は言葉を失った。

 

「いいじゃないか。俺には力ある、運命を覆すほどの莫大な力がある。だけどそれだけで、俺がいつも手の中に収めれるのはいつも砂粒だけだ。でも、手を伸ばすんだ掴むんだ、自分に絶望してしまえば世界を拒絶するのと同じだ。例え、お前が俺を失くない為の呪いが全ての原因で全ては定められたことでも……俺は諦めたくない。最後のーーー最後まで!!!」

「はっ、やっぱり君と僕の思想は水と油だね」

 

狂気を感じるほどの夢人だ。

さすがレイス、カッコいい!

そういうところに僕は引かれた時期もあったんだよね。

絶対的な信念を胸に儚く永久の理想郷を築いて、それが叶わないとしても幻想を追い求める。

 

「……レイス、お前の声は心に響いた。俺は一生、お前に付いていくぞ!!」

「はぁ……ロリ魂友、レイスよ。……お前は俺とは違ってリアルに幼女でもフラグを立てそうだ」

「ほわぁーー(な、なんだこの胸の鼓動はう、うるさいぞ!)」

「……(トリックに実際に自分の娘にフラグを立てていると言えばなんて反応するんだろう)」

 

ていうか、君たち戦闘は?

僕でもさすがに空気を読むからなにもしなかったけど、それより僕は女神救出という大切なことをお仕事をするために来たんだけど、この主人公臭が半端ないレイスの発言を聞いていれば、むしろ僕がお姫様奪還が目的なのにお姫様強奪に思ってしまうのは僕の日頃の行いの性だろうな……つまり僕は負け癖属性の上に実はちょろくて鬼畜な属性も……非常に不味い事態だ。

 

「ブレイブ、トリック……行くぞ。コンビネージョンとか難しいことは言わないーーー俺に合わせろ」

 

レイスはマジックを優しく地面に下ろして、ブレイブとトリックの一歩先に出る。

足に纏わりついた漆黒のコートは広げて強固な意志を目に焼いて拳を前に構えた。

 

「レイス……」

「マジック、お前がマジェコンヌに心酔しているのは知っている。今回の失態は大きい」

 

レイスの言葉にマジックは下を噛むように悔しがりながら遠目からでも分かる程に拳を造っている。

まぁ、レイスの言葉に耳を貸さずジャッジと同じようになにもできないまま僕が殴り飛ばしたからな……彼女の性格からして恐らく自殺したくなるほどの屈辱だろうな。

 

「でも、あれだ、……もしだが、お前がマジェコンヌに見捨てられたその時は俺がお前を貰ってやるよ(・・・・・・・・・・・)

 

 

 

『…………はっ?』

 

一瞬の沈黙の後、僕たちは自身の耳を疑った。

しかし、彼らも僕もだけどレイスがとんでもない女誑しなのか知っているのか全く同じタイミングですぐさま脳に伝わったレイスの放ったとんでもない内容を理解して思わず口が引き攣った。

 

「な、………、それは…………キュ~ン」バタンッ

「なっ!?マジック!?!?」

『(レイス……お前自分の言ったこと理解しているか?俺に添い遂げろと言っている内容だぞ!)』

 

恐らく敵なのにここまで共感できたのはこれが初めてで最後だろう。さっきからなんなんだこの戦闘になって敵側が主人公的な輝きを放ったと思ったらいきなりヒロインにプロポーズとかなにこれ!?僕どうすればいいの!?

 

「……よっぽど鬼畜野郎のパンチが効いたのか、時間差で気絶してしまったのか……」

 

なんでーーー!?!?どう考えてもレイスのせいだろ!!!

なんて好都合で自己解釈な責任転換なの!!!君の仲間たちを呆れたようにため息ついているよ!!!

 

「空、俺の仲間に手を出したんだ……行くぞ!!!」

「……おぅ」

「……はぁ」

 

絶対にこれは言える……理不尽だーーー!!!!!


 
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