No.479322

IS−インフィニット・ストラトス−黒獅子と駆ける者−

トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!

2012-09-03 16:31:09 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2692   閲覧ユーザー数:2595

 

 

 

episode61 思い出した事

 

 

 

 

 

それから六日経って土曜日・・・・

 

 

 

 

 

午前の授業が終わって午後はほぼ生徒の自由であった。

 

 

「・・・・・」

 

 

しかし隼人は生徒会室で書類をしていた。

 

「こういう仕事ばかりだと少し気が滅入るよな・・・・まぁ、それが助手の仕事だし」

 

と、独り言を言いながら仕事をこなしていく。

 

生徒会長の楯無はこの場には居らず、他のメンバーも居らず一人の状態であった。

 

 

 

 

 

「・・・・・・・」

 

そうして仕事をこなしていくと・・・・・

 

 

 

 

 

ガチャ・・・・

 

 

 

 

「・・・?」

 

すると生徒会室のドアが開いた音がして、隼人はドアの方に目をやると・・・

 

 

 

 

「隼人・・・」

 

そこには簪がいた。

 

「簪か・・・。どうしたんだ?」

 

「そ、その・・・・何か手伝えることってないかな?」

 

「そうか・・・。ちょうどよかった。じゃぁこの書類をこうしてくれ」

 

と、隼人は指を動かして簪に教えた。

 

「う、うん」

 

簪はうなずきながらも席に着いて書類を隼人の言う通りにまとめていった・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・・・ようやく終わった・・・」

 

と、隼人は背伸びして窓を見る。

 

既に空はオレンジ色に染まっており、時間を見れば午後五時半になっていた。

 

 

 

「もうこんな時間か・・・。時間が経つのは早いな」

 

「う、うん・・・・」

 

 

 

「さてと・・・寮に戻るか」

 

そして隼人はイスから立ち上がると、簪もイスから立ち上がるが・・・・・

 

 

 

「っ!」

 

すると簪はバランスを崩して後ろに倒れそうになる。

 

「簪!」

 

隼人はとっさに駆け寄って簪を抱えた。

 

 

「大丈夫か?」

 

「う、うん・・・・大丈―――」

 

「大丈夫」と、簪は言おうとしたが、その直後に顔を赤らめた。

 

倒れそうになった簪を隼人が抱えたはいいものも、勢い余ってそのまま抱き抱えられている感じになっていた。俗に言うお姫様抱っこの状態だ。

 

 

 

「どうした?」

 

「う、ううん・・・。なんでもない」

 

「そうか・・・。だが、なんで倒れたんだ?」

 

「そ、その・・・・・足が痺れて・・・足が勝手に・・・」

 

「あぁ・・なるほど・・。たまにあるな」

 

「・・・・・・」

 

 

 

「立てるか?」

 

「う、うん・・。ちょっと痺れるけど・・・なんとか」

 

そして隼人は簪を下ろして支えてやる。

 

「しかし・・・最後まで付き合ってくれてすまないな」

 

「ううん・・・。私は別に構わない・・・・・・隼人のためになるなら・・・私は・・」

 

と、簪は最後の方をボソッと言う。

 

 

「最後何て言った?」

 

「・・・・なんでもない」

 

「そうか・・・」

 

 

 

 

 

「・・ねぇ隼人」

 

「なんだ?」

 

「・・・・その・・・えぇと」

 

と、簪は頬を赤らめてもじもじとする。

 

「・・・?」

 

「・・・隼人って・・好きな人が出来たことってあるの・・・?」

 

 

「・・好きな人・・か」

 

 

「・・・・・・・」

 

 

 

「いいや・・・居ないな」

 

「そう・・・なんだ」

 

「・・まぁ、強いて言うなら・・・みんな好きだな」

 

「・・・・?」

 

「・・仲間だからな・・・」

 

「・・仲間、か」

 

 

 

(・・やっぱり俺は非情にはなれないな・・・。まぁ、そのほうがいい。他のみんなだってそれを望んでいる)

 

 

 

 

「ねぇ、隼人」

 

「なんだ?」

 

「好きな人がいないのなら・・・・・気になった人っているの?」

 

「気になった人か・・・・・」

 

隼人は顎に手を当てて考える。

 

 

 

 

 

「・・・そういえば・・・」

 

「居たの?」

 

「あぁ。今から五年前ぐらいだな。まだ小学六年生のときだ」

 

「・・・・・」

 

「その時は家族と一緒に京都に旅行に行ったんだ」

 

「それで・・・?」

 

 

「・・・まぁ、途中で親とはぐれてしまったけどな」

 

「・・・・」

 

「ちょうど清水寺の高台の下に迷い込んでしまったんだよな・・・恥ずかしいことに」

 

「・・・・・・・」

 

「・・そんな時に、上から悲鳴が聞こえたんだよな」

 

「悲鳴?」

 

「それで上を見てみりゃ女の子が高台から落ちてきてな、あの時は驚いたよ」

 

「・・・・・・」

 

「俺は慌ててその子の下に待って何とか抱き止めたんだけどな」

 

「・・・・・」

 

「その子は大泣きしていたけど、まぁ奇跡的にその子には怪我一つ無かったんだが、俺は抱き止めた瞬間後ろに倒れて背中と後頭部を強く地面に打ち付けて大怪我を負ったがな」

 

「・・・・・」

 

「その後にその子の親が慌ててやって来てお礼を言われたよ。今思えば結構家柄の高そうな人だったな」

 

「・・・・・」

 

「そんな突然な出来事だったからその子の顔はあんまり見てなかったけどな」

 

「・・・・・」

 

「・・・まぁ、今も元気か気になるけどな」

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

しかし簪はその話しをなぜか驚いている様子だった。

 

「・・・・?」

 

 

「・・・特徴とか・・・そういうのって見てないの?」

 

「特徴か・・・・そういえば髪の色は・・確か水色だった気がするな・・・」

 

 

「・・・・・」

 

「それがどうしたんだ?」

 

 

 

「・・・それ・・・私なの」

 

「・・・・なんだと?」

 

隼人は一瞬呆然とした。

 

「・・・私・・・五年前に京都に家族で旅行して清水寺の高台から景色を見ていて、手を滑らせて落ちたの」

 

「・・・・・」

 

「でも、私は男の子に助けられて、こうして生きていると思う」

 

「・・・・」

 

そして隼人は簪とその時の女の子を重ね合わせた・・・・・

 

 

 

 

 

「・・・そうだったのか・・」

 

そして隼人は確信を得た。

 

「・・・・不思議だね・・・。私って隼人に・・・二回も助けてもらったんだね」

 

「そうだな・・・。俺がISを初めて起動させたあの日より前にも簪を助けていたんだな」

 

隼人は心の奥底から何かが沸いてくるのを感じた・・・

 

 

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

 

 

 

 

「・・・私たちって・・・何かの縁で結ばれていたのかな・・?」

 

簪は冗談交じりで言ったが・・・・・

 

 

 

「・・そうかもな」

 

「え・・?」

 

予想外の隼人の言葉に簪は唖然とする。

 

「ここまで来るとそう思ってしまうよな」

 

「隼人・・・」

 

 

 

「・・・まぁ、そういうこともあるってことかな」

 

「・・・・・・」

 

 

 

「じゃぁな」

 

そして隼人は簪に手を振って生徒会室を出た・・・・・

 

 

 

「・・・隼人・・」

 

簪は隼人が出て行ってしばらくしてボソッと名前を言う。

 

 

 

 

「・・・・・ありがとう」

 

 

 

 

その頬に一筋の涙が流れた・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらくして・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(何かの縁、か・・・)

 

隼人は少し遅めに夕食を取っていた。ちなみにメニューはとんこつラーメン。

 

(何でだろうな・・・・。今までこんなこと考えたことが無いな・・・)

 

そう考えていると・・・・・

 

 

 

 

「・・・隼人さん」

 

「ん?」

 

すると前から声を掛けられて隼人は顔を上げると、そこにはセシリアがいた。

 

「向かい側の席・・よろしいでしょうか?」

 

「あぁ。いいぞ」

 

「では、失礼しますわ」

 

そうしてセシリアは手に持っていたトレーをテーブルに置いて隼人の向かい側の席に座る。メニューはミートスパゲッティーであった。

 

 

 

 

「そういや最近訓練に励んでいるよな」

 

「え、えぇ・・まぁ」

 

「だから、顔に疲れが出ているのか」

 

「・・・分かりますか?」

 

「あぁ。誰が見ても分かるぐらいな」

 

「そうですか・・・」

 

 

 

「・・・・・」

 

隼人は麺を啜り終えると・・・・・

 

 

 

「・・疲れというより・・・悩みの方が大きそうだな」

 

 

「え・・・?」

 

「図星か・・・」

 

「なぜ・・・分かったんですか?」

 

「なんとなくだな」

 

「・・・・・・」

 

 

 

「まぁ、何か言えるかは分からねぇけど、悩みがあるんなら言ってみろ」

 

「・・・・・」

 

 

「一人じゃ悩みは解決しないぞ・・・。他人の助力を得るのは恥ずかしいことじゃない」

 

 

 

「・・・・・はい・・・。実は――――」

 

 

そしてセシリアは悩みを隼人に打ち明かした・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど・・・・。亡国機業にそんなやつがいたか」

 

隼人は話を聞くとチャーシューを食べる。

 

「はい・・・」

 

「で、自分が一番適合率が高いはずなのにそいつが理論上の能力をやって見せたから、プライドを傷つけられて落ち込んだ、か」

 

「・・・・・・」

 

「でもって、今に至るか・・・」

 

「そうなりますわ」

 

と、セシリアは落ち込む。

 

 

 

「まぁセシリアは確かにプライドが高いな・・・だから自分より上がいるってことが信じられない。それが悪の組織に居るのなら尚更信じられない」

 

「否定はしませんわ・・・。事実ですから」

 

 

 

「・・・そりゃぁ落ち込むかもしれないが・・・別に気に知ることでもないだろう」

 

「そ、そんなこと!」

 

セシリアは勢いよく立ち上がる。幸いにも周りに他の生徒は居ないので、注目されることは無かった。

 

 

「落ち着けよ・・・。言い方が悪かったな」

 

「・・・・・」

 

「・・お前の気持ちは分かる・・・。だがな・・・他人と比べあっても、訓練をみっちりとしたところですぐに追い抜けるってわけじゃないだろ」

 

「・・・それは・・・そうですが・・・」

 

セシリアは落ち着いて席に座る。

 

「・・・俺が言いたいのは・・・お前はお前・・・向こうは向こうだ」

 

「・・・・?」

 

「簡単に言えばな・・・今は全力を出し切ればいいんだってことさ」

 

「・・・・・・」

 

「それにな、お前はそう簡単に諦めないって言うウリがあるだろ」

 

「・・・簡単に・・・諦めない」

 

「まぁ、あくまで俺のアドバイスさ・・・。だが、諦めない限り・・・不可能なことは無い」

 

「・・・・・」

 

 

 

「まぁ、どう考えるかはお前次第さ」

 

「・・・わたくし次第・・・ですか・・・。隼人さんらしいアドバイスですわね」

 

「そうか?」

 

「えぇ」

 

「・・・後だな・・・。こういう考えも持った方がいいかもな」

 

「・・・・・?」

 

「・・何も考えずに・・・考えるよりも先に・・・前を進め」

 

「・・・何も考えずに・・・・」

 

「それで自分の道理を押し通せ。自分が思う通りに・・・」

 

 

「・・・つまり・・・馬鹿正直になれ・・と?」

 

「ぶっちゃけ言えばそうなるな」

 

 

「・・・・・」

 

 

 

「・・・・ぷっ」

 

するとセシリアは突然吹き出した。

 

「おいおい・・・。笑うことは無いだろ」

 

「ご、ごめんなさい・・・。しかし、本当に隼人さんらしい考えですわね」

 

「まぁな」

 

「・・なんだか気持ちがスッキリしましたわ」

 

「そうか・・・。それは良かったな」

 

「えぇ・・・。もう一度考え直してみますわ」

 

「そうだな。それがいい」

 

そして隼人はラーメンのスープを飲み干すと、トレーを持つ。

 

 

「まぁお前次第さ。今後どうするのかは」

 

「はい」

 

そしてセシリアに笑みが戻った・・・・・

 

 

 

 

 

後書き

もう簪がメインヒロインに確定かな・・・。それと広告ですがハーメルンと言うサイトでもう一つ小説を投稿しています。アクセル・ワールドを題材にした二次創作ですので、良かったら見て下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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