第六十技 情報収集
アスナSide
本当ならこの場所に、『始まりの街』に来るのは辛かったかもしれない。
あの日、デスゲームの開始を告げられてリアルに帰れなくなって、ただここに居ることすら怖かった。
だけど今は違う。
いまはキリトくんとユイちゃんが一緒に居てくれている。
それだけで辛いと思う感情が薄くなっていくのが感じられた。
たとえ今日、ユイちゃんを知る人達が見つかって離ればなれになったとしても、
この3日間の事をわたしは絶対に忘れはしないから……。
アスナSide Out
キリトSide
アスナの表情に変化があった。
ここに来る前までは少し気落ちしていた感じがあったが、いまではそれも払拭されている。
なにか振り切ることができたんだろう。ホッとした。
さて、それじゃあ行動開始といきますか。
「とりあえずは掲示板のところにいこう。迷子とか探し人でユイの事が載ってる記事があるかもしれないしな」
「うん」
俺達はまず、掲示板のある場所へと向かった。
「なかったね…」
「ああ。でも、情報を載せたからなにか連絡があるかもしれない…」
掲示板にはユイらしき人物に関する情報は載っていなかった。なので、こちらから情報を載せておいた。
「あとは、聞き込みをしてみるか…」
「そうだね…って言っても……」
周囲には人がいない。朝とはいえここまで人が少ないのはおかしいだろう。
だが俺はその
前にティアさんから情報を貰ったことがあるからだ。
「あ、キリトくん。あそこ!」
アスナに呼ばれて、彼女が指差す方向をみてみると一人の男性がいた。
みたところNPC(ノンプレイヤーキャラクター)ではなさそうだ。
俺達は彼に話を聞くことにした。
ちなみにユイは疲れたといっていたので、俺が左手で抱っこしている。
「あの、すいません…」
「なんだ、あんたら?…見ない顔だな」
その男性は俺達を不審がるようにみている。
アスナは少し怯んだようだがすぐに話しを戻した。
「えっと、私達この子の知人を探しているんですけど…。
ここらへんに迷子センターみたいなのってありませんか?」
「その様子だとあんたらよそ者だな…」
この辺りの事情に詳しくないアスナを見てそう思ったのだろう。
俺達がよそ者だとすぐに悟ったらしい。
「……迷子か…東七区にある川べりの教会で一人の女が小・中学生ぐらいの子供を集めて一緒に住んでるって話だぜ…」
「ありがとうございます……あの、どうしてここら辺はこんなに人が少ないんですか?」
アスナが疑問に思っていたことを尋ねた。
「それは…「軍の圧政と徴税…だろ?」あんた…、知ってたのか?」
「上の情報屋でな。噂だと思っていたが……まさか本当の話しとは…」
男の言葉を遮るように俺が言うと、男は少々驚いていた。
情報屋でということにしたが、正しくは情報屋ではなくティアさんからの情報だ。
「……そこの兄さんの言う通りさ」
「そんな……」
アスナはいまの話しを聞いて少しショックを受けたようだ。
「それじゃ、俺はやることがあるから失礼するぜ…「ちょっと待て」なんだ?」
先に行こうとする男性を俺は呼び止めてから、彼に少しだが金を渡した。
「……い、いいのか、こんなに貰って!?」
「情報代だ…。
「……恩に着るぜ」
俺は彼に一応警告しておいた。彼も重々承知のようで、すぐに裏路地へと入っていった。
「勝手なことして悪かったな…」
「ううん、等価交換ってやつだと思うよ。それよりもキリトくん…。このこと知ってたんだね…」
ムスッとした表情をしたアスナに俺は自嘲気味に答えた。
「『狩人』だからな。嫌でもこういう情報を知らないといけないし…」
「……ごめんなさい(ショボーン)」
「気にしないでくれ…。そういう顔、してほしくないからさ……」
俺の回答が『狩人』関係のものだったことから、アスナはわるい事をしてしまったように落ち込んでしまった。
そんなアスナを俺は頭を撫でて慰めてあげる。
「ママ……、だいじょうぶ?」
「あ…。うん、大丈夫だよ!」
ユイが心配するものだからすぐに元気を出すアスナ。母親の貫録がでてきたと思う。
「アスナの元気もでたことだし、教会に行こうか?」
「うん」
「は~い」
俺達は情報の通りに東七区の教会へと向かった。
キリトSide Out
To be continued……
後書きです。
葉っぱイベントは発生しませんでしたw
と言いますか、このキリトにそんな事させるわけないじゃないですかww
次回は教会でのお話です。是非、お楽しみに・・・。
ではでは・・・。
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第六十話です。
『始まりの街』で情報収集となります。
原作と少し違う話しです。
どうぞ・・・。