No.476855

そらのおとしものショートストーリー5th あの子と海8 巨乳ポニーテールっ子

とある科学の超電磁砲
エージェント佐天さん とある少女の恋煩い連続黒コゲ事件
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2012-08-29 00:13:44 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2019   閲覧ユーザー数:1930

そらのおとしものショートストーリー5th あの子と海8 巨乳ポニーテールっ子

 

 

「畜生……っ。どうしてこんなことになっちまったんだ……」

 楽しいものになる筈だった海でのバカンス。

 イカロスやニンフは勿論、日和や鳳凰院月乃なんかも呼んで皆でワイワイやるつもりだった。

 おっぱいボインボインお尻プリンプリンの水着の美少女達に囲まれてうっはうっはのむっひょっひょのひと時を過ごすつもりだった。

 ところがだ。

 それぞれ都合がどうとかで1人欠け2人欠け、海に到着したのは当初の予定より大幅に少なかった。

 たわわに実るおっぱいの量が減ってしまった。

 だが俺に訪れた悲劇はそれだけでは終わらなかったのだ。

 俺達は観光用ヨットに乗って大海原へと繰り出した。ところがいつものお騒がせメンバーがこともあろうに船内で喧嘩を始めた。

 そして危険指数は超1級品である奴らはお約束的な展開として船に大穴を開けてくれた。沈み行く船体。俺は水面へと放り出され……運良く浮いていた丸太に捕まって事なきを得たが、その後気絶してしまった。で、現在……。

 

「こんな無人島に流れ着くなんて俺は漫画の主人公かっての~~っ!!」

 綺麗な淡い青い色をした海に向かって大声で叫ぶ。

 何と俺は漂流してどことも知らない無人島へ流れ着いてしまったのだ。前に1度、会長達に騙されてそはらと2人きりで無人島生活体験もどきをさせられたことはある。が、今回は正真正銘の本物だ。本当に無人島に流れ着いてしまった。

 

「何か……前に無人島に2人きりで生活していた時と同じ様な状況になっちゃったね」

 

 そはらは俺の隣に体育座り姿で海を見ながら弱々しく笑っている。

 そう、俺と一緒にこの島に辿り着いたのはそはらだった。

 俺達はいつかの“無人島”体験を再び経験することになってしまったのだった。

 

 

『超級覇王智子電影弾っ!!』

『石破天驚美香子拳っ!!』

 

 守形先輩を巡る会長と智子の争いが破壊に繋がらない訳がなく、俺達が乗っていたヨットは跡形も無く吹き飛んだ。

 

『2人を抱えて逃げたんじゃ間に合わない。智樹、出来る限り遠くまで放り投げるからそはらのことをちゃんと守りなさいよっ』

『放り投げるって…………おわぁあああああああああああぁっ!?』

『きゃあぁああああああああああぁっ!!』

 

 俺とそはらはヨットに同乗していたニンフの手により数百キロ投げ飛ばされてそれから漂流。そしてこの島に辿り着いたという訳である。

 俺とそはらが石破ラブラブ天驚拳を水面に放って着水の際の衝撃を緩和しなければ危なかった。

 

 まあ、そんなこんなで俺はそはらと共にこの比較的大きな無人島にいる。

「智ちゃん。これからどうしようか?」

 かなり大胆な黄色のビキニ姿のそはらは戸惑っている。この暑さにも関わらず額から冷や汗を止め処なく流していた。

 その気持ち分からないではない。

 この島に辿り着くまでは非難するのに必死だった。けれど、とりあえず身の安全が確保できそうな場所まで逃げて来ると今度はやることがなくなった。逆に言えば行動の指針を失って却って不安になっているのだ。

 なら、こんな時ぐらいは男である俺がしっかりしないとな。

「そうだなあ。この島は無人島みたいだし、イカロス達が助けに来てくれるまではサバイバル生活送るしかないだろうな」

 島を見回しながら答える。

 見た限り周りに魚は付近に沢山泳いでいる。島には多くの木々が生えているしその中には食べられそうな果物もある。綺麗な水が沸く小川も既に発見している。サバイバルの経験もあるし、まあ餓死することもないだろうと見当をつけて述べる。

「そうだよね。前の無人島体験もわたし達2人でちゃんと1ヶ月生き抜いたんだもんね。今度だってきっと大丈夫だよね」

 そはらの顔がパッと明るくなった。

「ああ。俺とそはらなら絶対に大丈夫さ」

 力強く頷いてから立ち上がる。

「そうと決まれば、まずは食料と今日寝る場所の確保だな」

「うんっ♪」

 こうして俺はまた以前のようにそはらと無人島生活を送ることになった。

 

 俺が採った魚とそはらが採ってきた果物で食事を済まし、葉っぱと枝を集めて簡易な家を作りそこで眠る。

 漂流生活1日目はこうして無事に終わった。終わる筈だった。実際俺はそうして安心して寝ていた。けれど夜中にふと目を覚まして気付いた。

「そはら、一体どこに行ったんだ?」

 隣で寝ていた筈のそはらがいつの間にか消えていた。

 何が潜んでいるかまだ分からないこの無人島。俺の緊張感は一気に極限に達した。

「そはらっ!!」

 慌てて飛び起きてそはらを捜しに外に出る。そはらの身に何か起きたらと思うと気が気ではなかった。

 

 幸いにしてそはらはすぐにみつかった。砂浜で体育座りをしながらひとり寂しげに海を見て泣いていた。

「そはら……」

 声を掛けるか迷った末に彼女の名前を呼びながら横に座る。

「あっ。智ちゃん……心配掛けたみたいでごめんね」

 そはらは小さな声で俺に謝った。

「ちょっと、守形先輩達のことを思い出しちゃってね」

「……そうか」

 どう答えるべきかちょっと困る。

 会長と智子はあの程度で死ぬことはない。ニンフも脱出には成功したと見て間違いない。

 俺達も生きている。

 それに比べると守形先輩が今現在生きているのかは非常に怪しい。

 いや、守形先輩が今回の件で一番の被害者であることは分かっている。

 けれど一方で先輩の女に対する優柔不断な態度が今回の悲劇を引き起こしたことも確かなので自業自得でもある。

 守形先輩が、会長か、智子か、カオスか、オレガノか、ダイダロスか、俺の母ちゃんか、秋風こすもすか、皇園子か、甘木そよかぜか、それともまだ見ぬ美少女か。付き合う相手を決めてくれれば大きな問題は生じなかったというのに。あの無自覚悪のハーレム王は俺より性質が悪い。

「寝ようと思って目を瞑ったら、急に怖くなっちゃって……それで気分転換しようと思って……っ」

 そはらは満天の夜空を見上げる。

「ねえ、智ちゃん。わたし達……どうなっちゃうのかな? このまま助けが来なかったら」

 そはらの目には再び涙が溢れていた。

「そん時は、ここで楽しく暮らせば良いさ」

 仮に何らかの理由でイカロスやニンフ達が俺達を発見できなかったとしても。俺にはやることがある。

「俺がいる」

 そはらの側にいること。そはらを守ること。それが俺が今の状況で成すべきことだ。

「えっ?」

「1人じゃない。そはらに寂しい想いなんて……させないからさ」

 そはらに向かって手を差し伸べる。

「智ちゃん……っ」

 そはらはしばらく戸惑った末にゆっくりと俺の手を握った。

 そはらの体をそっと起こす。

 そはらの顔が明るくなっていた。それが、とても嬉しかった。

 

「そうだね。子供とか作れば、きっともっと賑やかにもなるしね」

 明るく提案するそはら。でも、その提案は思春期の俺にはちょっと刺激が強過ぎた。

「子供、作るって……」

 驚きながらそはらに問い返してしまう。

 そはらの顔も瞬時に赤く染まった。

「そっ、そういう意味じゃないんだよ。そういう意味じゃ……!?」

 焦った表情で後ずさるそはら。だが、砂浜の地面は慣れない俺達にとってはとても歩き難いものでそはらはバランスを崩した。

「きゃぁあああぁっ!!」

 悲鳴をあげながら後ろに倒れていくそはら。俺の手を握った状態なので俺もまた引っ張られて倒れてしまう。俺はそはらを押し倒すような体勢で倒れてしまっていた。

「そ、そはら……」

 俺の左手は偶然からそはらの中学生らしからぬ豊満な胸を鷲掴みにしていた。

「と、智ちゃん……」

 そはらは驚いている。

 けれど、俺を押し退けようとしない。抵抗さえもみせない。

「そういえば、前の無人島生活でもこんな風な体勢になったことがあったよね」

 そはらは夜目にも分かる紅潮した頬で小さく呟いた。

「そう言えばあの時は、後ちょっとっていう所で化け物……ていうかイカロスに襲われて大パニックに陥ったよな」

 もしあの時イカロスが戻って来るのが後1時間遅ければ。俺とそはらは全く違う今を過ごしていたに違いない。

 心臓が耳障りなほど大きな音を奏でている。そしてそれは俺だけじゃなかった。掴んでしまっているそはらの胸を通してコイツもまた緊張の極地にいることが分かった。

 そはらの顔を覗き込んでいると理性を失いそうな程にクラクラする。ヤバいって本気で思った。すぐに退かないとそはらに何をしてしまうか分からない。そう思って退こうとした瞬間だった。

「今回は……ずっと2人きりみたいだね」

 そはらが両手を俺の首の後ろに回して来た。

「そ、そはら!?」

 突然の行動に驚いて体を一瞬痙攣させる。けれど、そはらも体を震わしながらそれでも俺の首に回した手を解こうとはしなかった。

「わたしには、これが限界だから。だからこの先は……智ちゃんにリードして欲しいな」

 リードの意味が分からないほど俺はガキじゃいられなかった。でも、臆病だったからどうしてもそはらの心を確かめたかった。

「そはらは、その、俺で……いいのか?」

 視界にいっぱいに映るそはらの愛らしい顔を見て思わず唾を飲み込んでしまう。返事なんか聞かずにこのまま襲ってしまいたい衝動が渦巻く。

 でも、それは許されない。そう固く心に戒めながらそはらの回答を待つ。そしてそはらは瞳を潤ませながら熱っぽく答えた。

 

「今まで言えなかったけど、わたしは幼い時からずっと……智ちゃんのこと、大好きだったんだよ」

 

 そはらの告白を聞いた瞬間、俺の全身をとても温かいうねりが包み込んだ。それは単なる劣情とは違う、もっと幸せな何か。

「そはら、俺、スゲェ嬉しい。この嬉しい気持ち……これが好きってことなんだと思う。俺、そはらのことが好きなんだ」

 俺は答えられる自分の精一杯の気持ちを口にした。

「嬉しいよお……智ちゃん」

「俺もだ」

 そはらと砂浜の上で固く抱き合う。そはらの全身の温もりを感じられることがとても嬉しかった。

 そはらの柔らかい女の子の柔肌がとても気持ち良かった。でも、その気持ち良さは俺の男の子の部分をしっかりと反応させてしまった訳で。

「「あっ」」

 そはらにも思い切りバレてしまった。

 気まずい雰囲気。でも、そはらはそんな俺をより強く抱き締めて、そして言った。

「智ちゃんは……わたしのことをお嫁さんにもらってくれる? 一生、大切に面倒見てくれる?」

 尋ねるそはらの顔は真っ赤だった。その意味はあまりにも明確だった。そして俺の答えももう明確に決まっていた。

「そはらは世界でたった1人の……俺の可愛いお嫁さんだよ」

「嬉しい…よお」

 重なる俺とそはらの唇。

 

 この夜、俺とそはらは夫婦の契りを交わした。俺にとってそしてそはらにとっても忘れられない一夜となった。

 

 

 

 

 漂流生活を始めてから6年が経った。

 

 海底付近を泳ぐ青い色をした熱帯魚をよく削って尖らせた木の枝で突き刺す。

 木の槍は魚に命中し、俺は今日の昼食を手に入れることに成功した。これで本日6匹目。

「智ちゃんパパ~。スープが煮えたからそろそろご飯にしよう~」

 海岸からそはらの声が聞こえて来た。

「ああ。こっちも十分に魚を採ったから今から戻るな」

 海から陸へと戦果物を持って戻る。

「わあ~。本当に大漁だったんだね~♪」

 葉っぱで作った衣服に身を纏いながらそはらは喜んでいる。

「まあな。今日は絶好調だったぜ」

 ニコニコしながら魚をそはらに渡す。

 

 無人島暮らしを始めてから6年の歳月が過ぎていた。

 俺とそはらは20歳になったが、これまで病気に掛かることもなく元気にやっている。

 いや、元気以上と報告しなければならないか。

「パパっ。今日は一段と大漁だね」

 5歳の長男、智そが笑顔で俺を出迎えてくれた。

「わ~。サザエもアワビもあるじゃん」

「ホント豪華だ~」

 4歳の双子で次男の智は、三男の智らは目を輝かせて父親を出迎えた。

「わ~い。ごちちょ~。ごちちょ~」

 2歳半で長女の樹そらはまだ舌ったらずながら俺の戦果を他の兄弟動揺に瞳を輝かせて喜んでいる。

「く~~」

 1歳で次女の樹らはは母親の背中で安心して寝ている。

 そう。俺は5人の子供の父親になっていた。そはらと夫婦らしく毎日仲良くしていたら子孫繁栄に成功してしまったのだった。

 

「いただきます」

「「「「「「」いただきます」」」」」

 家族7名で1つの木製のテーブルを囲んで行う食事はちょっとしたお祭りだ。

「そのね。智ちゃんパパ……」

 そはらママがちょっと恥ずかしそうに俺を見ている。

「何だ?」

「そのね。多分……6人目がお腹に出来たんだと思う」

 そはらママは照れ臭そうにそれでいて嬉しそうに笑った。

「そうか。これでまた我が家の楽しさが一段と増すな」

 笑顔で愛妻に答えてみせる。めでたいことは何度あっても良い。

 それにしても俺とそはらは相性が良過ぎるのかも知れない。このまま行くと、一体子供何人できるんだろう?

 そんなことを考えているとそはらは更に話題を追加してきた。

「それからね。これをさっき智そが拾ったんだけど……」

 そはらは俺に赤い丸い球を渡した。

「何だこりゃ?」

 見たことがないその球を手のひらで転がしながら調べてみる。すると球状の表面に1つだけ色違いの緑色のボタンがあるのが見えた。

 何気なくそのボタンを押してみる。

「何なんだろうね、それ?」

「どっかの船から落ちたボールがこの海岸まで流れ着いたのかもな」

 不思議なボールを2人して眺める。

 すると上空からゴォ~という大きな音が鳴るのが聞こえた。次いで大きな鳥のような巨大な翼の影が俺達家族を包んだ。

「な、何!? 恐竜? 怪鳥!?」

 そはらが大きな影に怯える。子供達も一斉に俺とそはらの元へと身を寄せる。

「この影の形…もしかして」

 鳥のようでいて鳥でない2つの影に俺はよく見覚えがあった。

 もしかしてと思いながら空を見上げる。

 するとそこには6年前と変わらない姿で未確認生物の2人が空に浮かんでいた。

 

「イカロスっ! ニンフっ!」

 俺の声を聞いて、子供達を必死に抱き締めていたそはらも空を見上げる。

「本当だ。イカロスさん、ニンフさん」

 そはらは2人を見ながら瞳を輝かせている。

「……ようやく捜し出すことが出来ました。お久しぶりです。マスター。そはらさん」

「まさかこんな無人島にいたなんて予測出来なかったわ」

 地面に降り立つ2人の天使。

「イカロス、ニンフ。どうしてここが?」

 2人に会えて嬉しい。けれど、6年間も会えなかった2人が突然現れたことに俺は大きく驚いていた。

「……マスターが手にしている球はシナプスの救難信号装置なんです」

「シナプス縁の者が助けを求めているってことで立ち寄ったのだけど、それがまさか智樹達だったなんて私達も驚きよ」

 イカロス達が俺を見つけ出したのもどうやら偶然、というかこの球のおかげらしい。

 まあ何にせよ、この球のおかげで俺はかつての家族と再会することが出来た。

 

「で、そっちの方の事情をそろそろ説明して欲しいんだけど」

 ニンフがジト目で俺とそはらを見た。

「私とアルファは6年間、智樹達のことをずっと探していたのに……智樹達は随分満喫した生活を送っていたみたいね」

「……マスターとそはらさんが無事だったのはとても嬉しいです。でも……シュン」

 落ち込んだ表情を見せるイカロス。

 6年ぶりに再会したということは、俺とそはらが結婚したこともまだコイツらには伝えていなかったことになる。

 こうして5人の子供に囲まれている光景を見れば、俺達を心配して探し続けてくれていたイカロス達の立場からすれば割り切れないだろう。

 さて、どう説明すれば角が立たないものか……。

「わ~。お姉ちゃんの羽、綺麗」

 長男の智そがニンフに近付いて行き、その半透明の翼に触った。

 幼い頃の俺そっくりの顔をしている智そは瞳を輝かせてニンフを見ている。

「ずっきゅ~~んっ!!」

 ニンフが胸を打たれたらしい擬音を口から出した。

「智樹っ! この、可愛い子は!?」

「えっと……長男の智そだけど」

「智そねっ!」

 ニンフは智そを抱き締めた。

「智樹とそはらの結婚を認める。認めるわっ!」

 ニンフは相変わらずの薄い胸で長男を抱き締めながら俺達夫婦を承認してくれた。

「だから代わりにこの可愛い智樹そっくりの子を私に頂戴っ!」

「頂戴ってな……そいつまだ5歳だぞ」

 ニンフにはもしかしてショタの気でもあるのだろうか?

「……マスターは全然分かっていません」

 イカロスは体を震わしながらニンフを弁護した。

「……圧倒的な萌え、いえ、愛を前にしては年齢など些細な問題に過ぎないのです」

 イカロスは次男と三男の双子コンビを見ている。

「……マスター。あちらのやんちゃそうな男の子と大人しそうな男の子は双子ですか?」

「ああ。智はと智らは今4歳の双子だ」

「……マスターと同じ遺伝子を持つ双子の男の子。……ブハッ!!」

 イカロスはひっくり返りそうになる程に盛大に鼻血を吹いた。

「双子の男の子。それは究極の自己循環愛を達成できる最強の存在。しかもマスターの子供ともなれば……BLの血が騒がない訳がありませんっ!」

 熱く燃えているイカロス。

「あのな。俺の子供を勝手にBLにするな」

「……マスターとそはらさんの子育てを是非私にも手伝わせて下さい」

 イカロスは鼻血を滝のように流しながら熱く訴えた。

「私も。智樹とそはらと一緒に子育てするっ!」

 ニンフは智そを強く抱き締めながら続いた。

「お前らなあ……」

 ちょっと呆れながらそはらへと顔を向ける。けれど意外にもそはらは欲望丸出しの2人に好意的な視線を送っていた。

「うん。イカロスさんとニンフさんに手伝ってもらえればわたしも助かるかな」

 そはらは楽しそうに頷いた。

「いいのか? 子供達が変な方向に育つかもしれないぞ」

「それはわたしと智ちゃんが気を付ければ良い話しだし。それに……」

 そはらは周囲をグルッと見回した。

「子供達の勉強のことを考えると、頭のいいイカロスさんやニンフさんの助けは絶対に必要だもん」

「確かに中学校の成績も良くなかった俺達じゃ勉強教えられないもんなあ」

 そはらの考えに同意する。

 智そももう5歳。教育の問題も考え始めないといけない。

 けれど俺達には学もないし、何よりここには教科書や施設の類が一切無い。けれど、イカロスとニンフがいてくれればどんな教育機関にも負けない教育が施せるのは間違いない。

 嫁さんと子供5人、来年には6人を空美町の実家では養っていけそうにない俺としてはこの島での暮らしの質を上げることが何より重要なことだった。

「そうだな。イカロスとニンフにも子育てを手伝ってもらうとするか」

「うん♪」

 そはらは嬉しそうに頷いた。

 でも、その後で俺にちゃんと釘を刺して来た。

「だけど、2人があんなに美人で、智ちゃん好かれているからといっても、浮気は駄目だからね」

「あったりまえだろ。俺のお嫁さんは世界でただ1人、そはらだけなんだからよ」

 愛妻にちゃんと宣言しておく。俺は浮気をしないって。

 そして6年間俺を探し続けてくれた大切な元同居人にもう1度家族になってくれるようにお願いする。

「それじゃあ、イカロス、ニンフ。これからは2人に俺とそはらの子育ての手伝いしてもらいたいんだけど良いかな?」

「……勿論です、マスター」

「私に任せなさい」

 快く引き受けてくれたイカロスとニンフ。

 

 こうして愛する妻と子供達、そしてイカロスとニンフによる新しい生活がこの小さな無人島で始まりを告げたのだった。

 

 

 了

 

 

 

 

 

 


 
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