◆ 第28話 訓練×魔女×黒いご主人 ◆
フェイト嬢たちとの別れから数日経ちました。皆様、いかがお過ごしでしょうか?
どうも現在ご主人と魔法訓練中だぜーなみぃです。
なんでこんな事になってるかと言うと、明日に迫ったはやて嬢の誕生日に魅せる(誤字ではない)
魔法の練習の相談をユーノにしてたら、ご主人も「私もやるー」だそうで。
すわ、いつの間にかご主人がバトルジャンキーに!? とか思ったけどそんな事はなかったです。
どうやら今度フェイト嬢にビデオレターを贈る際に普通にやるんじゃもったいないから、何か魔法を使ったものを見せたいんだそうな。
で、ぬこたちはどんな事を練習してるかと言うと、ひたすらコントロール! コントロール! コントロールゥ!! である。
魔力弾を維持しながら、指定した場所に移動させ続けるという単純ながら結構きつい練習。
なんでそんな事をとか思われるかもだが、ネタバレ甚だしいですがアレです。
航空ショーみたく空をキャンバスにいろいろ描いてみよう! みたいな。
でも、よく考えたらぬこの魔力光じゃ夜だと見えにくくいような気がします。
ぬこの魔力光は、黒に近い青。ネイビーブルーというやつですからねぇ。
ご主人みたいな桃色なら綺麗で夜空に映えたりするんでしょうけど……まあ、何か対策を考えますか。
なんてぼんやり考えていると、ご主人から檄が飛んできた。
「ほらっ、みぃ君! サボってないでちゃんとやるの!」
(サボってないです。これは休憩なのですよー)
「むぅ、さっきもそう言ってたじゃない。ダメだよっ」
(うぅ、ぬこは褒められて伸びる子なのにぃ)
「でもなのは……今日はもういいんじゃない? そろそろ学校でしょ?」
「あっ、ほんとだ」
いや、実際ぬこはサボってるわけじゃないのですよ。
ご主人の魔力量に比べたらぬこのは月とスッポンなのであってですね。
ご主人のペースじゃぬこの身がもたないのですよ。
まぁ、なんにしても今日の練習はここまで。ユーノのおかげで助かった。
ただでさえご主人が考えた練習メニューは難易度ルナティックだというのに、これ以上やってたらぬこはもうだめだったかもわからんね。
「じゃあ帰りながらやろう!」
(ちょっ、ご主人! 人に見られちゃうからッ!!)
「そ、そうだよ!」
「大丈夫、大丈夫。高いとこで誘導弾を操作し続けるだけでいいから、ねっ」
そういう問題ではないと思うんだ、ご主人。
何気に難易度上がってるし! 視認できない位置で操作しろと申すか!
(ひどい……)
「あはは、がんばってー」
「…? 何言ってるの? ユーノ君もだよ?」
「えぇっ!? 僕も!?」
(ふはは、道連れじゃー)
そんな感じでご主人の本日最後のスパルタ魔法訓練(強制)が開始されたのであった。
そして高町家に帰ったとき、そこには真っ白に燃え尽きてしまったけだもの×2の姿が……!!
もう、ゴールしてもいいよネ……
◆
あ、ありのままに今起こった事を話すぜ。
高町家に戻ってぐったりしてたと思ったら、いつの間にか翠屋で看板ぬこをやっていた……
な、何を(中略)もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……
そんな感じでいつの間にか看板ぬこをやっています。習慣って怖いね。
習慣になるほど翠屋で働いていたかと問われると、そうでもないような気がするから不思議!
でも、ちゃんとぬこ働いてるんだからね!これでも看板ぬこ暦3年の古株ですよっと。
それにしても実に暇である。
昼過ぎになれば優雅なティータイムを過ごす人たちが来るんだが、さすがに午前中から来る人はあまりいないのである。
世の看板ぬこさんや、わんこさんたちはこの暇を如何に過ごしているのだろうか……尊敬するぞ。
仕方ない。
ワンパターンで申し訳ないが散歩に行って来る!
「あら、お散歩? お昼過ぎには帰ってくるのよ?」
アイ、マム!
相変わらず念話の必要のないお方だ……
さてと、どこに行きますかね。
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とりあえず公園にやってきました。
この時間帯ならぬこを可愛がってくれる爺様や婆様がゲートボールに勤しんでおられるのだ。
ぬこはたまにここで煮干やらなんやらもらっている。
「おやおや、みぃちゃんじゃないかい。よく来たねぇ」
「最近は来なかったねぇ」
「ほれ、煮干じゃ」
うほ、なんというハーレム(R-60)
できれば若い娘の方がぬこは嬉しいです……
はぁ、しかし和む。
婆様たちの孫自慢の話を聞きながらまったりする。
今朝の地獄が嘘のようである。本当に、嘘だったらいいのに……
まだ、ここ数日しかやってないのに半ばトラウマになりつつあるから困る。
「どれ、私の番が来たようだね。それじゃ、みぃちゃんは見てておくれよ」
いつか決めるよ、稲妻シュート。そう言って去っていく煮干をくれたお婆ちゃん。
稲妻シュートとかすごく見てみたいです……というか、ゲートボールで稲妻シュートとかできるの? 物理的に。
そんな事を考えると周りのじぃ様やばあ様がざわざわし始めた。
「おぉ、ついに出てこられたのぅ」
「『海鳴の魔女』じゃ」
「今回はわしの所は負けかのぅ。悔しいのぅ悔しいのぅ」
「仕方あるまい。あのばあさん、若いころは海鳴にこの人ありと謳われた女傑じゃぞ?」
「なんという、わんさいどげーむ……! このジジイめは不覚にも戦慄しますぞ」
「誰かあの婆さんを止められるものはおらんのか……」
ぶふッ!!
そんなすごい婆様だったのか……
どこにでもいそうな普通のばあ様なのに。人は見た目に寄らないものですねぇ。
あの婆様然り、うちのご主人然り。
ぬこはルールなんて全然知らないけど、なんというかすげぇ。
ホントに決めましたよ、稲妻シュート。
ジグザグに球の機動が変化して綺麗にゲートを通っていきましたよ。
『海鳴の魔女』マジパネェっす。
生きる
本人も本人で「やれやれ、もっと骨のある奴はいないのかい?」とか言ってるし、マジでカッコいいです。
あと云十歳若ければ惚れてましたね。嘘だけど。
さて、そろそろいい時間なので翠屋に戻るとしますかね。
「おや、行っちゃうのかい? また、おいで」
了解ですよっと。
ではでは、皆さん。お体にお気を付けくださいねー
◆
という事で、午後からは翠屋に戻って真面目に看板ぬことして働いているぬこです。
真面目……? とか考えた人はぬこに謝りなさい。まったく、失礼な!
学校帰りの小学生たちに囲まれながらちゃんと接客してるのです。
あ、コラ! しっぽを掴むんじゃありません!!
はぁ、ちっちゃい子たちは元気ですなぁ、コレが若さか……
「なのは……なんかみぃが黄昏てるわよ?」
「あはは、さっきいた子たちにいっぱい構われてたからじゃないかな?」
「ふふ、お疲れ様」
む、聞き覚えのある声がすると思ったらご主人たちじゃないですか。
なんだか、アリサ嬢たちはお久しぶりな気がしますね。
「ただいま、みぃ君」
「にゃー(お帰りなさい、ご主人)」
「あはっ、えらいわねーちゃんと返事するなんて」
「にゃあ(でしょ?)」
「すごいね。本当に私たちの言う事が分かってるみたいだよ」
「あ、あはは……」
すずか嬢、正解です。
分かってて返事してます。
すごいねーなんて話しながらそのまま外でティータイムをするそうな。
ふはは、ここでもらえるシュークリームは日給に含まれないのでメシウマ状態!
「はい、みぃ君」
「なぁー(ありがとうございます)」
「相変わらず、すずかに異様に懐いてるわよね、みぃは」
「……そうだね。(みぃ君?久しぶりにお仕置きが必要なのかな?)」
(め、滅相もない! でもですね、すずか嬢はぬこの扱いを心得てるというか、にゃふんっ!?)
「ふふ、ここが気持ちいいんだよねー」
(ぬこの弱いとこ、全部、知ってるみたいでぇっ、あ、そこはッ! だめぇッ!)
「……(ゴゴゴゴゴ―――!!)」
「あの、なのはー? 目が怖いわよー?」
これはまずい。
久しぶりの黒化です。
これはフェイト嬢の時以来の圧倒的威圧感……!
(うふふ、みぃ君。すずかちゃんが弱いとこ全部知ってるなら、知らないところを新しく作ればいいと思わない?)
(ヒィっ?! 目が笑ってないですご主人!)
(今夜が楽しみだねー)
ご主人が……ご主人が本気です……ガクガクブルブル
あ、アリサ嬢ヘルプ!
「………(サッ)」
目を逸らされたー!?
なんということだ……神は死んだ!
いや、まだだ! まだ、終わらんよ! すずか嬢ならなんとかしてくれる!
「……? どうしたの? あ、なのはちゃんのところに行きたいの?」
ちょっ、ちがっ!! その前にご主人の機嫌を何とかしてー!?
そんな叫びが聞こえるわけもなく、抱き上げられてご主人に渡されてしまうぬこ。
「はい、なのはちゃん。ごめんね、私ばっかりかまっちゃって」
「ううん。いいの、みぃ君も嬉しそうだったしね……(本当に……)」
オ ワ タ \(^o^)/
(大丈夫だよ。今は(・・)何もしないから、帰ったらゆっくり、ネ?)
(アハ、アハハハ……お手柔らかにお願いしたい、です……)
(だが断る、なの)
ふっ、どうやらぬこはここまでのようです。
すまんな、はやて嬢……約束……守れそうにない、です……
―――パリーン
「あれ、みぃ君の使ってたお皿が急に……なんでや?」
◆ あとがき ◆
読了感謝です。
ぬこが濃厚な死亡フラグを立てましたが、別にどうともなりませんよ?
徹底的に体中をいじくられるだけで。あひんあひん言わされるだけで。
幕間も終わり、次回からA'sへと突入します。早ければ今夜あたりに投稿する予定です。
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