No.475091 真・恋姫†妄想 もしもの三姉妹パターンの二 #42012-08-25 11:39:15 投稿 / 全9ページ 総閲覧数:5113 閲覧ユーザー数:4019 |
もしもの三姉妹・パターンの二 #4
俺は今、汜水関正面に展開した桃香率いる皇軍五万の、その先頭付近に立っている。傍には月と思春、流琉がそれぞれに緊張の面持ちで居て、俺たちのさらに前に立つ桃香の背中越しに見えるもう一方の集団、反劉備を掲げた袁紹こと麗羽率いる諸侯連合の軍をじっと見つめている。
「……やっぱりすごい数だな。報告だと二十万は下らないってことだけど、よくまあ集まったもんだ」
これまでの外史でもそうだったけど、諸侯のみなさん、領地をほっぽり出して出張って来てていいんでしょうか?しかも今回の外史にいたっては、理由如何によっては皆さん簡単に反逆者の烙印を押されますよ?曲がりなりにも、桃香は正真正銘の皇族、皇帝の実妹なわけだし。
「どんな理由が向こうにあろうが、不利なことこの上ない事には違いないはずなのに、なんでわざわざ呼びかけに答えるのやら」
「それも間もなくはっきりするだろう。相国閣下と向こうのお山の大将、袁紹とやらの舌戦が始まればな」
「思春お姉さまの仰るとおりですから、私たちは静かに見守っていましょう、兄様」
「……だね」
「あ、ご主人様。相国さまが前に」
月の声に視線を正面へと戻して見れば、桃香がゆっくりと馬を歩かせ、連合軍の方へと数歩進み出る。そしてそれを見た連合の方の大将、金ぴか鎧に縦長カール髪があいも変わらず目だって仕方のない麗羽が、自信たっぷりな顔をして前に出てきた。
「……さてさて。一体どんな無理難題というか無茶苦茶な事を言い出すかね……」
………………………………………………
「おーっほっほっほっほっほっほっほっほっほっ!!桃香さん?随分とご無沙汰いたしてましたわね?お元気そうで何よりですわ。おーっほっほっほっほっほっほっほっほ!!」
……出たよ、いきなりの高笑い。まあ、彼女の場合、あれが無いと彼女じゃないんだけど、なんかなあ、あれはもう確実に、今自分がやってることに欠片も疑いを持ってないな、麗羽の奴。あ、ちょっと後ろに居る華琳が眉間を押さえてため息吐いてる。雪蓮は完全に呆れて苦笑いしてるし、白蓮やその他も似たり寄ったりな顔だ。
……って、あれ?そういやもう一方の駄名家の旗が見えないな?んー……あ、居た。馬に乗ってる雪蓮の背中に隠れてて見えなかったよ。ん?あれ?美羽がなんで雪蓮と一緒の馬に乗ってるの?これまでは大体、輿に乗った状態で張勲こと七乃がべったりくっついていたはずなのに?……この外史だと、美羽たちと雪蓮たちに確執、起きてないのかね?
なんかもう、ほんとにぐちゃぐちゃだな、今回の外史は。
「……麗羽さん、いえ、袁本初に問います。此度の仕儀、一体いかなる理由があって、諸侯に呼びかけをし、漢の相国たる私にその刃を向けようとされるのでしょう?」
「そんなもの決まってるでしょう?皇族であることをいいことに、相国という地位にあるをいいことに、好き勝手に国を動かし民を苦しめる名ばかりの皇族に、友人としてお仕置きをして差し上げるためですわよ」
「袁紹貴様!一体どんな証拠があって相国閣下が民を苦しめているというか!?後ろの諸侯もそうだ!噂と袁紹の勝手な言い分だけで都に、漢に歯向かうとはいかなる了見か?!」
おお。さすがこの外史の大将軍。蓮華の奴、凛々しいものじゃあないか。うんうん、流石は三国一の美尻公さんだなあ。
「美尻は関係ないと思いますよ、この変態豚野郎の兄様?」
あ、声に出ちゃってたか。てへ。……つか、流琉の桂花ばりの罵倒台詞……やっぱりすごいへこむなあ……。本家のそれよりダメージが100倍ぐらいに……。
「そこに居る姉さまもそうです!誇りある孫家の家長たる人が、よりによってこのような駄名家に踊らされるなど!亡きお母様も草葉の陰で嘆いておられますよ!?」
お。蓮華の矛先が雪蓮に向かった。つか、今回はちゃんと血縁あるんだな、あの二人。さてさて、雪蓮はどう返してくるかな?
「あらー、蓮華、久しぶり。大将軍が板についてきたじゃない。姉としてとっても誇らしいわ、うんうん」
「誤魔化さないでください!さあ、一体何を考えてここに居るのか、ちゃんと話して下さい、姉さま!」
「それは簡単よ。……美羽の頼みじゃ断れないもん♪馬鹿で阿呆で何も考えていないどうしようもない愚姉を、なんとか助けてやってたも、なあ~んて、うるうると小動物みたいな目をして言われたら、義理の姉としては助けてあげたくなって当然でしょ♪」
……は?義理の、姉?雪蓮が、美羽の?
「雪蓮姉さま~。やっぱり姉さまは優しいのじゃ~。大好きなのじゃ~♪」
「やあん、もう!美羽ってば、可愛い~!お姉ちゃんすりすりしちゃう~♪」
……雪蓮が美羽にあんなに幸せそうな笑顔でほお擦り……美羽の方も本気で嬉がってるなんて……こんなの初めて見ました……つか、あの位置って七乃さんの定位置じゃなかったっけ?
「……まったく。あいかわらず、美羽には甘いんだから……七乃とは違う意味で、溺愛しすぎよ、姉さまってば」
……一体どういう背後関係になってるんだか……。何をどうしたら、美羽が雪蓮の義理の妹になんかなるんだよ……も、不可解極まりないな、今回の人間関係……。
…………………………………………
「で?そっちのくるくる頭のちび女。貴女は確か、元都尉だった曹孟徳でしょう?畏れ多くも都にて漢の禄を直接に食んだことのある貴女が、何故このような愚挙に手を貸している?前に出てはっきり答えなさい、正面絶壁」
「誰が正面絶壁よ!貴女も同類でしょうが!……しばらく会わないうちに、またさらに毒舌に磨きがかかったじゃない、荀彧どの?」
「そちらはまったく変わっていませんね。あれですか?以前都に居たころから、蟻ほども背、伸びましたかしら?」
うわー。
桂花と華琳が罵り合ってるとこなんて、おれ、今回の外史で始めてみたかも知んない。まあ、互いに言い合ってることは、悲しい同類喧嘩なんだけど。あれかな?同族嫌悪って奴かな?
「桂花ちゃん、貴女が華琳ちゃんを嫌いなのは知ってるけど、個人的なことは今は横においておこう?ね?」
「はい!申し訳ありませんでした、桃香さま!あんなどチビまな板となんて、喧嘩する価値もありませんし!」
五十歩百歩。目くそ鼻くそを笑う。桂花、あれ、自分で自分のことも言ってるって事、分かってるのかね?
「……まあ桂花ちゃんの言いようはともかく、華琳ちゃん。なんで、こんな集まりに参加して、私を、都を脅かそうとするの?昔はよく遊んだじゃない。麗羽さんも、雪蓮さんも、白蓮ちゃんも、みんな一緒になって」
「……そ。覚えてないの。……なら、改めて言わせてもらうわ、桃香。……私が麗羽に協力して居る理由、それはたった一つだけ」
「それは?」
しん、と。緊張の空気が場に張り詰め、皆が固唾を呑んで華琳のその理由とやらを聞こうと、彼女の次の台詞を待つ。そして、華琳の口から出た言葉はというと。
「……桃香。貴女を私の“モノ”にするために、決まってるでしょ?ウフフ(じゅるり)」
台無しだよ、何もかも!!
それ、無印の時の貴女ですよね?!大陸中の女の子(美少女限定)をモノにする為に、そのためだけに、大陸制覇を描いていた時の貴女ですよね?!
「……あー、あはは……まだ、あきらめてなかったんだ……」
「当たり前よ。貴女のその憎たらしいまでのふくよかな胸。それを思いっきり閨の中で蹂躙して、貴女を私一色に染め上げるのが、子供のころからの私の永遠の夢ですもの。
「何言ってるのこの変態女!桃香さまのこのお胸様は私だけのものよ!!形も香りも感触も全てが極上のこの至宝!アンタみたいな変態には指一本どころか一ミリたりとも触らせるもんですか!!」
「ちょ、ちょっと桂花ちゃん!そう言いながら私の胸を揉みしだくのやめてー!」
「……もうやだこの外史。……誰かもう、ほんとになんとかして……」
ここまでの一連のやり取りを見つつ、本気で泣きそうになっていたこの時の俺。……そして、あまりにもカオスな状況が続いているせいで、さっきの桂花の台詞の中に、聞き逃したとても重要な一言があったのに気づいたのは、汜水関での戦を含め、全部が終わった後のことだった。
続く
………………………………………
この先おまけ。本編とは(多分)関係ありません?
………………………………………
「……私はやっぱり空気なんだな……いちお、諸侯の一人なのにさ……真名が着いてもこんな扱いばっかだよ……ふふ、ふふふふ、ふふふふふふふふ」
「シャオだって最近はずっとこうだよ……空気どころか出番すらないよ……」
「鈴々も割かしそうなのだ……」
「まあ、なんだ。存在そのものが抹消された、どこぞの双子に比べれば……まだいいんじゃないか?私たちは……な?」
『……あ~』
……彼女らに幸あらんことを(笑
最後のおまけ、推奨BGMは『女々しい○○どもの詩』ですw
というわけで、もしもの三姉妹、その続編です。
相変わらず、メインな筈の月達が空気ですいませんwww
そして戦いも始まらない上に、短くてごめんなさい。
次回こそ!
次回こそは戦闘が始まる・・・はず(えw
そして。
目標十話に上方(下方?)修正。
長引かせない。
絶対長引かせないからな!
んじゃまたw
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もしも姉妹シリーズ、続編です。
短いです。
まいどながらカオスです。
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