第四十三技
キリトSide
訓練は順調に進んでいる。偶にエンカウントするモンスターを討伐していた。
だが、俺はやはり不安と嫌な予感を拭いきれないでいる。
それは迷宮に入る前にゴドフリーに転移結晶や回復アイテムを蒐集されたからだ。
大事な生命線でもあるこれらのアイテムを手放すのはできないと思い反対したが、
もう一人の団員とクラディールまでもが渡したので、俺もこの場にはいないヒースクリフの顔を立てる為に渡した。
現在はそれなりに迷宮の奥にある安全エリアまで来ている。
「そろそろ丁度いい時間だな。では、昼食にするぞ」
ゴドフリーはそういってアイテムポーチから全員分の食事をとりだした。
クラディールや他の団員が受け取ったので俺もそれを受け取った。
口にするが正直うまいとは言えない、しかし贅沢も言えない。
これならば、アスナになにか作ってもらえばよかったと思った。
そんな時、ふと視線を感じてそれを辿るとクラディールがこちらをみていた。
異常なまでに冷たい眼差しでだ。
取り敢えず口の中の食べ物を飲み込み、飲み物を口に含んだ時だった。
「ガ、ハッ!?」
―――パキャンッ!
俺は口の中に違和感を感じ、手に持った容器を投げ捨てて口の中から吐き出そうとしたが遅かった。
全てではないが飲み込んでしまい、途端に体が動かしにくくなった。
すると、俺のパラメーターに異常を示すカーソルが現れた、麻痺毒だ。
見渡すとゴドフリーと団員の男も同じ状況だった。一人を除いては…。
「な、なんだ、これは…。水分を用意したのは…、クラディール!?」
「クックックッ、くっはっはっはははははは!!!」
驚愕するゴドフリーがクラディールを見ると、奴は笑い声を上げ始めた。
嵌められた! 奴の狙いは最初からこれだったのか!
このままではマズイ、回復アイテムは全てゴドフリーがもっている。
「ゴドフリー! 回復アイテムを!」
俺のその言葉にゴドフリーは必死にアイテムポーチを探ろうとするが体が思うように動かず、そして…。
「おっと、いけねぇ」
クラディールがゴドフリーのアイテムポーチを掴み、投げ捨てた。
「ク、クラディール!? こ、これも訓練なのか!?」
「クッハッハ! アンタは脳筋でいけねぇな~。ゴドフリーさんよー!」
クラディールはゴドフリーの体を何度も蹴り飛ばした。
その度にゴドフリーのHPバーは減っていく。
しかし、クラディールは蹴るのをやめて背中の大剣へと手をかけた。
「や、やめ…」
「それじゃあな、ゴドフリー!」
恐怖に慄くゴドフリーにクラディールは大剣を振り上げてから、彼の首へとそれを振り下ろした。
その一撃でゴドフリーの首は飛び、HPバーは一瞬で0になり、ポリゴン化して消滅した。
奴は異常な笑みを浮かべてこちらへと振り向いた。
「くっ!」
「ひっ!?」
俺は拳を握り、団員は恐怖している。
クラディールは少しずつ歩み寄ってきた。まるで、こちらに恐怖を植え付けるかのように。
団員の男は動けないようだし、俺も
そして、奴は歩みを止めた……団員の前で…。
「メインディッシュは最後に置いておかないとな~」
「た、たすけ…」
団員は必死に命乞いをしている。だが、奴はやめるような男ではない。
「わるいな。俺のシナリオでは、生き残るのは俺だけなんだ、よ!」
クラディールは再び剣を振りかぶり、何度も団員へと振り下ろす。その度に、HPバーは激減していく。
「訓練中に
そして俺は、奇跡の生還を果たした英雄になるわけだ!」
最後にもう一度大剣を振り下ろして団員のHPバーは0になり……消滅した。
「クフッ、ヒャーハッハッハッハッハッ!」
奴の狙いは俺だった、それなのに俺は二人の人間を巻き込んでしまった。
俺の中には怒りだけが渦巻いていた、そして俺は……。
「俺は、お前を……」
「あん?……なっ!?」
「許しはしない!」
俺は……立ち上がった。
キリトSide Out
To be continued……
後書きです。
立ち上がったキリト。
首へのたった一撃でやられるというのは疑問に思った方々が多いと思います。
それに首が飛ぶのも・・・。
自分の覚えでは原作で腕が切り落とされるという表現があったと思うのですが、
もし間違っていたらお知らせください。訂正いたしますので・・・。
そのほかにも疑問があるとは思いますが次回で解決するものもあると思いますので、その時に。
それではまた・・・。
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第四十三話です。
タイトルで大体は分かる内容だと思います。
この話はSAOシリーズの中でも見所のある話しですので、
上手く書けているといいですが。
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