◆ 第23話 決戦の舞台裏 ◆
目の前でいよいよご主人とフェイト嬢の決戦が始まろうとしている中、皆様いかがお過ごしでしょうか、みぃです。
フェイト嬢にくっついて帰ってきましたよ!
無事に戻ってきたぬこをみんな温かく迎えてくれるよね!
……そんな甘っちょろい事を考えていた時期がぬこにもありました。
(みぃさん、後でお説教ですからね! 心しておくように)
(そうだよ! 心配したんだからねっ!!)
(すいません、ごめんなさい)
リンディさんやご主人の怒りが有頂天なので、ぬこは必死に謝る羽目になっています。
現実は
斯くも厳しい
ものである
みぃ
決戦前なのにこんなゆるゆるな空気でいいんだろうか?
フェイト嬢はあわあわ言ってますよ? まったく、誰か助けてやれよ)
「君が言わないでよ……」
(あれ? もしかしてだだ漏れでした?)
「うん……」
(まぁ、細かいことは気にすんな!)
「……はぁ、まったく」
ふはは、これは決してご主人のO☆SHI☆O☆KIが怖いから現実逃避をしてるわけじゃないんだぜ!
……うん、そうに違いない。
(それはともかく、リンディさん)
(あら、何かしら? お説教の時間短縮は受け付けていないわよ?)
(そこをなんとか! ……げふん、いかん本音が。
そうでなくて、先にそっちに送ってもらってもいいですか? ……大事なお話があるんですよ)
(……分かりました。―――エイミィ)
(了解です!)
向こうでのことを話さないと……ね。さすがに戦う前の二人に聞かせるわけにはいかない。
でも、ちゃんと伝えなきゃいけないとぬこは思う。特にフェイト嬢には。
きっとつらいだろうけど、知っておかなければいけないことだから。
◆
光に包まれると、そこはアースラでした。
という訳で、帰還。
「さてと、そのお話というのを聞きましょうか」
(その前に、今回のことはどこまで分かってます? プレシア女史とフェイト嬢について)
とりあえず、そこから確認しておかないと。ヘタなこと言って誤解されるのは本位じゃないし。
エイミィさんからフェイト嬢がプレシア女史の娘は事故ですでに亡くなっていること、その娘の名前はアリシアと言い、
フェイト嬢はプレシア女史がそのアリシア嬢を蘇生させようとしていた研究の成果である可能性が高いことなどが伝えられた。
「それで、あなたは向こうでどんなことを知ったのですか?」
促されるまま、向こうで見たことを伝える。
プレシア女史のフェイト嬢への虐待。明らかにドラッグらしきものを大量に服用していて精神に異常をきたしていること。
そして―――
(時の庭園を探索してて、プレシア女史の私室らしき場所を発見しまして……
そこで彼女の手記を見つけたんです。さすがにこんな体なんで持って帰るなんてことはできなかったんですけど)
「……内容は?」
(見つかる可能性もあったんで全部見れたわけじゃないんですけど、要約すると娘さん、アリシア嬢の復活を諦めていないこと。
そのためにアルハザード? とやらに行くつもりであること。
ジュエルシードはそのためにフェイト嬢に集めさせてた……ということでした)
「アルハザード――次元世界の狭間にある失われた秘術が眠る場所……
まずいわね、下手をしたら大規模な次元震が引き起こされるかもしれないわ……」
といっても、現状では打てる手がほとんどないのである。
向こうの本拠地である時の庭園の座標なんぞぬこが知るわけもなく、アースラでもまだ捕捉できていない。
全てはご主人の決着しだいである。
画面の向こうで戦っているご主人を見る。
……どうでもいいが、あんなに機敏に動くご主人をぬこは初めて見たよ。
「とにかく、報告ご苦労様でした。
プレシア・テスタロッサの居場所が分かり次第武装局員を送り込みます。
あなたには局員を数人連れて彼女の私室に行って、証拠品の回収を頼みたんだけど……」
(それはかまわないですけど……その、手記のことなんですけど)
「何かしら?」
(フェイト嬢に見せてあげられないですか?)
「ッ! 待て、それには彼女に対してひどいことが……」
(書いてあった。破り捨てたくなるほどのことが)
「だったら分かるだろう! そんな物を見せたら!「クロノ」ッ、はい―――」
「何か、理由があるのね?」
静かに頷く。
あの手記には確かにフェイト嬢を傷つけることが書いてあった。
でも、それだけ(・・・・)ではなかったのも、また確かだった。
フェイト嬢をさらに傷つけるかもしれないけど、きっと読んでおかなければいけないものだと思う。
「……分かりました」
「母さんッ!」
「ですが、一度私も目を通させてもらいます。
それで、あなたの言う理由というのを見極めてから決めましょう?
焦って決めてしまうのはよくないわ。彼女のためにも」
(十分です)
リンディさんが局員たちに指示をしている間に、ご主人たちの決着もそろそろ着きそうだ。
フェイト嬢はバインドで括りつけられて、ご主人の全力全壊のディバインバs……訂正、なんか別物っぽいです。
魔力がめっちゃ収束してます。明らかにフェイト嬢の魔力とかまで集めてるんですけど……何、この鬼畜元気玉。
えっ? 何、そのまま撃つ気なの?
「スターライトォ!」
ちょっ、フェイト嬢が消し炭になっちゃう!
「ブレイカーーーッ!!」
アッーーーーーーーーー!!?
フェイト嬢ーーーー!?
・
・
・
・
モニターに爆煙が広がっている。
(―――フェイト嬢がログアウトしました)
「何を言ってるんだ!」
「ちょっと、フェイトちゃん生きてるの!?」
焦ったクロノとエイミィさんの声が聞こえる。
ぬこはゆっくりとリンディさんの方を振り返る。
(リンディさん)
「……何かしら?」
(自首したら、どのくらい減刑できますか?)
『待てッ!?』
なんかアースラではあまりの光景にぬこを含めスタッフ全員が混乱してます。
使い魔組も唖然としてます。そんな中、ご主人だけが撃ち落されたフェイト嬢を回収してます。
あーた、自分で撃っといて……
「ま、まぁとにかく。なのはさんたちを回収してちょうだい」
「待ってください! 次元攻撃、来ます!!」
ご主人達とアースラに攻撃が加えられ、艦全体が大きく揺れる。
その中でクロノが指示を飛ばす。
「ッ! エイミィ!」
「大丈夫! 捕捉してるよ!」
ご主人たちに攻撃が加えられたと思ったけど、どうやら威嚇程度で本命はジュエルシードだったようです。
ご主人たちに怪我はなさそうである。ひとまず安心ですな。
フェイト嬢が持ってた9個のジュエルシードは向こうに転送されてちゃったけど、時の庭園の座標が割り出せたらしい。
「武装局員を送り込みます! みぃさん!」
(あいあい、了解です! ご主人にはよろしく伝えといてくださいね?)
ブリッジを出て、転送ポートまで行きつくと3人の局員が。この人たちが回収組らしい。
「あっ、来た来た! こっちだよ~」
(待ちました?)
「大丈夫、今来たところ☆ミ」
「はいはい、コントはいいから行きますよ!」
「………(早くなさい、この駄猫)」
まぁた、濃い人達ですねぇ……
とりあえず紹介は道中でということにして、早速時の庭園へ行くことに。
さて、どうなることやら。
◆ あとがき ◆
読了感謝です。
……おまけのボツネタなんてなかった。
ともあれ、無印編もクライマックスです。なのはの魔砲少女っぷりも留まるところを知らない。
誤字脱字等ありましたら、ご報告いただけるとありがたいです。
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