第四十技 黒猫達の独立
サチSide
結晶で街に戻った私達は入れ違いになるように、
私達と同じくらいのレベルのギルドの人達が迷宮に入っていったのを見た。
「あ~あ、あの人達にアイテム取られるだろうな~」
「諦めようよ。さすがに僕達は四人だけだったし…」
テツはまだ心残りがあるようで、ヤマトがそれを諫めている。ちなみに私は凄くホッとしていた。
「取り敢えず、いつものところに戻ろう。ケイタも帰ってるとおもうし…」
「そうだな」
私はいつもの場所に戻ることを促して、ロックがそれに答えて、テツとヤマトも頷いた。
私達はいつも集まる場所へと向かった。
そこにはすでにケイタが戻ってきていた。
ケイタはキリトがいない事に気付き、私はことの顛末を話した。
ケイタは私達にキリトとの約束を黙っていたことを謝り、
それと同時にキリトにお礼も言えなかったことが残念のようだった。
フレンド登録の機能でキリトの居場所を確認してみると既に最前線の迷宮へと戻っていた。
私もお礼が言えなかったのは残念だ。
その後、気を取り直して購入したギルドハウスに来た。
小さいけれど私達にはちょうどいい家だった。
そして明日、キリトに改めてお礼を言いに行く事になった。
翌日。
私達はキリトに会いにいく為にギルドハウスから出て、最前線の街へと向かおうとしていた。
そんな時、昨日私達と入れ違いに入ったギルドの一人の女性がとぼとぼと歩いていた。
私は気になったので話しかけることにした。
「あの、いつものギルドの人達は……っ!?」
女性が顔を振り向かせるとわたしは驚愕した。
彼女の顔は泣きはらしたようになっていた。
彼女がいうには迷宮に入ってから奥の部屋に辿り着き、
その箱にはアラームトラップが仕掛けてあり、
大量のモンスターに襲われて自分はなんとか逃げ出せたが他のギルメンが帰らなかったそうだ。
そして、先ほど第1層の『黒鉄宮』にある『生命の碑』に確認しにいったところ、
全員の名前の消失と死因が載っていたそうだ。
罪悪感と共に安堵を覚えた。
私達があれを開けていればこの人の仲間が死ぬことはなかったはず。
だけどあれを開けなかった事で自分が生きていられるのが良かったと思い、少し複雑だった。
他の皆も私と同じ表情をしていた。
私は彼女に迷宮から離れる事を勧めて彼女も納得したのか、頷くと去っていった。
サチSide Out
キリトSide
俺は今から最前線の迷宮に入ろうとしている。
いままでの遅れを取り戻さないといけない。
「それにしても……昨日はきつく言い過ぎたかな…」
昨日はほぼ無理矢理あいつらと別れたようなものだ。
ケイタにも挨拶せずに出ていってしまったからな。
俺は頭を振って考えるのをやめた。そんなときだった……。
「「「「「キリト!」」」」」
俺を呼ぶ声が聞こえたので声の方に向いてみると黒猫団のみんながいた。
「どうしたんだよ、おまえら…」
いきなり走って現れたから少し驚いた。
「キリト、ゴメン!」
「な、なんだ、いきなり…」
テツが頭を下げてきたのでさらに驚いた。
「俺、お前の忠告無視しようとして…。あやうく死ぬかもしれなかったんだ!」
「どういうことだ?」
「実はね……」
謝ってくるテツの言葉に俺は疑問を持ち、サチが話したことにまたもや驚いた。
あの部屋が『結晶無効化空間』で箱はアラームトラップ、
そのうえ自分達のあとに入ったギルドが一人を残して全滅したこと。
テツは俺の忠告が正しくて、無視しそうになったことを謝ってきたのだ。
「別に構わないさ、テツ…。それよりもその女性には悪いけど、みんなが無事でよかったよ」
「ホント、キリトには感謝してもしきれないよ…。本当にありがとう」
「「「「ありがとう」」」」
俺はみんなの無事に安堵を覚え、ケイタが礼を述べると全員がお礼を言ってきたので、
出会った時も同じ事があったなぁと思った。
「俺は最前線に戻るけど、おまえらも頑張れよ」
「いつかキリトに追いついて、今度は俺達が支援するから!」
ケイタがたくましそうに言ったので俺は少しだけ嬉しくなった。
「ああ…。待ってるよ」
その後俺は迷宮の中へ、ケイタ達はギルドハウスへと戻っていった。
キリトSide Out
To be continued……
後書きです。
以上で黒猫団回想編は終了です。
今後の彼らは本編でも説明している通り、主に後衛のサポート組です。
目立った活躍はあまりないと思いますがキリト達の援護でよく登場するとは思います。
それでは・・・。
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第四十話になります。
今回で黒猫団回想編は終了です。
原作と違い生きている黒猫団・・・。
それではどうぞ・・・。